アッチの話!

初田ハツ

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春の嵐 の巻

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※トリガー警告
作中の展開として、女性差別、同性愛者差別、ヘイトスピーチの描写があります。


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「えっえっ?」
檸檬の話に、愛実が動揺を返す。
「なんで?」
「だってえ~」
檸檬はぐずるような声を上げた。
「自信ないし……」
大地が首をかしげる。
「何が?」
連休の中日。今五人は、愛実の家に集まりアンケートの最終仕上げをしているところだ。愛実が都内で祖父母と暮らしている家が「古いけれど大きめの一軒家で、全員で集まって作業するのにちょうどいいから」と、愛実から提案した。
実際訪れてみると、それは大きめどころか、かなり敷地の広い立派な日本家屋だった。愛実が十一歳の頃に病気で他界した母は、離婚と同時にこの家に愛実を連れて戻り、愛実にとってここが長年暮らしている実家なのだという。
客間と言って通された部屋で、五人は漆塗りの黒い大きな座卓を囲んでいた。床の間に掛け軸まで飾ってある、今時の家ではなかなか見ないような和室だ。掛け軸は何が書いてあるかわからないけれど格式高そうな書だが、床板の上にはひょうたん、シーサー、壺、飛騨のさるぼぼが並んでいる。旅行の土産物をとりあえず置いているようで、そこだけ妙に生活感が見えた。
「それって、両想いってことだよね?」
冬人が戸惑いの表情で檸檬に問う。
これからアンケートの内容と仕様について最終確認しようというところだったが、檸檬の様子がおかしいことに愛実が気付いた。結局檸檬も黙っていられなくて、運営委員の日にあったことすべて打ち明けてしまった。
「……先輩はたぶん、責任感で言ってるんだよ」
檸檬は俯く。
「ワンナイトなんてしたことなかった人が、急にそういうことになって、動揺したんだろ」
「そもそも好きじゃなかったらエッチしないんじゃない、高坂さんは」
解せない様子の愛実に、檸檬は顔を上げる。
「でもあの人、真面目だけど、そんなにカタブツじゃないっていうか」
「だとしてもさ、それこそ檸檬の自分ルールみたいに、先にやることやっといて後からそのつもりじゃなかったなんて人じゃないでしょ」
檸檬は返答に窮する。愛実はさらにに畳みかける。
「檸檬だって、高坂さんに本気だから、つい自分ルール破っちゃったわけじゃん」
「う……」
それを言われると言葉もない。直哉に「遊ぶ時は最初に割り切った関係だと確認を取る」と豪語した直後だったのに、直哉とはお互いどういうつもりなのか、確認せずに致してしまったのだから。
「本気だから冷静さを失ってたのは、先輩も同じだと思うよ」
愛実の言葉には説得力があるけれど、檸檬はまだ飲み込めない顔だ。
「えっとさ、とりあえずよかったの? 先輩として?」
堂々巡りの会話の間を縫うように、大地がなかなか大胆なことを聞いてくる。皆、檸檬の顔を見た。
「それは……なんていうか……」
檸檬も少しは言い淀むそぶりはするけれど、実は話したくてたまらない。
「慣れてないのは、ぎこちなさでわかるんだよ。でも、今までの相手の中でも、一番慣れててスマートな男しかやらないようなことしてくれて……」
俯きがちに話しながら、檸檬は思い出していた。男相手は初めてだと言っていたし、実際檸檬にいろいろと質問してきたけれど、任せっきりでなく、積極的に覚えようとしてくれる態度はかなり高得点だ。
檸檬は、ぱっと顔を上げる。
「だいたい世の中、自分が気持ちいいように腰振れば相手も自動的によくなると思ってる男が多すぎんだよ……!」
皆がぽかんとしている中で、下ネタだけは得意な愛実が問い返す。
「それってやっぱり、テクニック的なこと?」
檸檬は「うーん」とあごに手をやった。
「テクっていうか、気遣いっていうか、思いやり? 自分だけじゃなくて相手もちゃんと気持ちいいかとか、これは嫌じゃないかとか……ちんこに血のぼってる時でもちゃんと気にかけてくれる男なんて、AV男優くらい経験値高いやつじゃないと、なかなかいないよ」
「それが高坂さんはできるわけだ」
檸檬は「そう! そうなの」と叫びながら頬を両手で覆う。
「そのさー……いいポイントっていうのがあるわけじゃん。それを前戯で教えといたら、本番でもちゃんとそこに当たってるか気にしてくれて、どうしたらうまく当たるかな? とか聞いてくんの!」
冬人が首をかしげる。
「それって……嬉しいの?」
「人によるとは思うけど、聞かなきゃわかんないことだし。俺的にはあり」
たしかに最中にいろいろ聞いてきてうざい男もいるけれど、それは「俺のモノすごいだろ?」とか「声出ちゃうでしょ?」とか、よさそうに振る舞うことを要求されているような場合。そういうのは、セックスというより接待させられているような気分になる。直哉はそれとは全然違ったし、頑張ってくれようとする男が可愛くないわけない。
「でもそれ、先輩が檸檬のこと好きってことじゃない?」
大地が問うと、映見が口を挟んだ。
「待って、それは愛だけの問題じゃないよ。セックスの時に相手の体や気持ちを気遣えるかどうかは、できない人は好きな人にもできないし、できる人はワンナイトスタンドでもできると思う」
「そ、直哉先輩は単に人間ができてるの。俺が好きだからじゃない」
檸檬がそう言い次ぐと、映見はもの問いたげな視線を返した。
「ちょっと……どうしてそうなるの。彼は檸檬に告白してるよ。そんないい人が、どうして嘘つくと思うの?」
「嘘ってわけじゃないけど、勘違いってこともあるじゃん」
「檸檬~」
卑屈な檸檬をたしなめるように、映見が呼ぶ。冬人が問う。
「つまり……先輩が檸檬を好きだっていうのがどうしても信じられなくて、保留にしたってこと?」
ふてくされたような顔で頷く檸檬。ここまで信じようとしないのは、もはや檸檬自身の心の問題なのかもしれない。

檸檬への追及はそれくらいにして、目的のアンケートについては、SNSを使うことに決定した。新たに専用のアカウントを立ち上げて、ネットのアンケートフォームで回答を募集する。内容は、次のようなものになった。

1. 学科で「サポート係」というものに勧誘された、または勧誘を目撃したことがありますか
2. 勧誘を受けた、もしくは目撃したと答えた人は、その時どのような印象を受けましたか
3. 「サポート係」の仕事内容について知っていますか
4. 「サポート係」やその勧誘について、ご意見があればお書きください

責任の所在を明らかにするべきかとも考えたけれど、運営委員内部の政治に絡むのは厄介だし、目的にそぐわない。あくまで「声をかけられた一学生が、疑問に思ってSNSで質問してみた」ということにした。実際に愛実の立場は「声をかけられた一学生」なので、嘘ではない。
午後から集まって、あとはウェブ上に公開するだけというところまで作り終える頃には夕方五時を回っていた。愛実は四人を駅まで見送ることにする。みんなは送らなくても大丈夫と言ったけれど、愛実はもう少しこの友人たちと話したかった。
居間で縫物をしていた祖母に一声かけると、玄関先まで出てきた。
「もうお帰り? また遊びにいらしてね」
愛実の祖母は、ほっそりとしたいかにも上品な育ちらしい老婦人で、孫が連れてきた学友を少々浮足立ちがちに歓迎してくれた。ちなみに祖父はゴルフに出かけていて留守らしい。「これ持っていって」と、出されたけれど食べきれなかった個包装の焼き菓子や最中を、祖母は一人ひとりに手渡してくる。
「またおばあちゃんに会いに来るから、その時用に取っといてよ~」
こういう対応は、檸檬が一番上手い。
「あらあ、その時はまた新しいの用意するわよ」
「やったー」
祖母は「うふふ」と笑う。
「もういいから、みんなを帰らせてあげて」
愛実が祖母を玄関に押し戻すようにして、やっとのことで家を後にした。
「お菓子いっぱいもらっちゃった、いいのかな」
困ったように笑う大地に、愛実は頷く。
「家に友達連れてきたの久々だったから、相当嬉しかったみたい。受け取ってあげて」
実のところ愛実も驚いていた。子どもの頃は家で友達と遊ぶこともあったけれど、中高生くらいから、だんだんとそういう機会はなくなっていた。今回はたまたま他人に見られないちょうどいい作業場所と思って家に呼んだけれど、こんなにも祖母が歓待するとは想像していなかった。
「でも、おせっかいな感じとかまなちんに似てるよな」
「えっ」
愛実の表情が固まる。
「私って……おせっかい?」
それは愛実にとって、意外すぎる言葉だった。
「自分で気付いてないのかよー」
「おせっかいというか、ちゃんと気遣いを行動で示してくれるよね、愛実は」
冬人が考えるような表情で重ねる。映見も続く。
「そうね、優しさがアクティブ」
「っていうのが全部、『おせっかい』をきれいに言った感じだろ」
檸檬が乱暴にまとめた。
「えー、ちょっと待って……そういう感じなの私……」
少し開けた通りに出て、大きな病院の敷地を囲む柵を右手に緩やかな坂を下ると、駅へ向かう道は、少しずつ商店が増え、賑やかな色合いが加わる。
「嫌なの? 愛実のいいところじゃん」
大地が笑いかける。
「嫌ってわけじゃないけど……」
悪い意味で言われているわけじゃないのはわかるが、シンプルがモットーの愛実にとって、かなりセルフイメージとかけ離れた評価だ。自分のことを自分でわかっていないと知らされるのは、なかなか恥ずかしいものがある。
「あ、ここでいいや」
駅につく少し手前で、冬人が不意に立ち止まった。
「僕たちちょっと、檸檬と話すことがあって」
僕たち、と言ったのは自分と大地のことだ。
「あー、あれなー」
檸檬は半眼で応える。
「まったく世話の焼けるこったよ」
そう言って大地の肩に手を置く檸檬に、愛実は何かを嗅ぎ取った。
「ここでちょっとお茶してから帰るから……」
大地が心なしか顔を赤くしながら駅前のカフェチェーンの狭い入口を指差して言うのに、愛実は無言のまま指でOKサインを作り、頷く。映見だけが、戸惑って「なになに?」と皆の顔を見回している。愛実はその肩を両手でぽんぽんと叩き、
「じゃあ私はエミーを駅まで送ってくから」
映見と腕を組んで、歩き出した。映見は困惑顔のまま三人に「えっ、じゃあまたね」と手を振る。交差点を渡りながら映見は、視線で愛実に問いかける。愛実はささやく。
「……男の子同士でするのには、いろいろと知識が必要でしょ」
映見はようやく合点がいったように「ああ!」と声を上げた。
「うわー、私こういうの、ほんと鈍感なんだ。だから子どもっぽいって言われるのね」
「いや今のはしょうがないんじゃない?」
と愛実は笑う。
「愛実はみんなのことよく気が付いて、すごいよね」
「いや、まさか自分がおせっかいなタイプだったとは……」
苦笑いする愛実に、映見は微笑む。
「愛実は、した方がいいと思うこと、全部ちゃんとやるからじゃない?」
──なるほど、と愛実は頷いた。それなら少し納得できる。ああした方がいいか、こうした方が親切だろうかと思いながら実行するかどうか迷っているよりは、まず行動してしまった方がシンプルだと考えている。もちろん愛実だって、実際にそうできる時ばかりじゃないけれど。
「エミーも私のこと、よく気が付いてくれてるじゃん」
そう返すと、映見は「んー」と考える顔をした。
「じゃあ私もちょっと、おせっかい、いい?」
もう地下鉄の入り口まで来たけれど、映見の話にはまだ続きがありそうだ。愛実は、地下に降りて改札前まで送ることにする。
「おばあさんとは、難しいことない?」
階段を下りながら、映見がそう聞いた理由は、愛実にもよくわかった。家で、みんなで作業していた時のことだ。

大きな菓子鉢にお菓子をたっぷり詰めて持ってきた祖母が、
「まだ飲み物もあるから、女の子たちちょっと手伝いに来てくれない」
と声をかけてきた。
「俺行きますよ」
大地が言って、冬人と檸檬も立ち上がりかけたけれど、祖母が制した。
「だめだめ、こういうのは女の子がいいの」
愛実と映見は、表情だけで、「ごめん」「いいから」と、気遣う顔の三人も含めて視線を交わし合う。女子だけの給仕係に反対するためのアンケート作りをしている時に、こんな皮肉なこともないけれど、祖母が二人に声をかけたのは別の理由もあった。
タイル貼りの床と勝手口のある古いつくりの台所に入った途端、祖母はうきうきと聞いてきた。
「それで、二人とも、あの中のどなたが好きなの」
愛実と映見は顔を見合わせる。
「おばあちゃん、みんな友達だよ。好きな人なんていないよ」
愛実が返すと、祖母は不服そうな顔だ。
「本当に? あなたもそう?」
「はい、みんな友達です」
映見は簡潔に答えた。
「でも、ちょっと素敵だなと思ってる方はいるでしょ?」
「彼らは、ほかに好きな人がいますよ。私たちは本当に友達」
いつでもレズビアンであることをオープンにしている映見が、今そのことを話さないのは、愛実の家庭生活を気遣ってのことだろう。愛実はそれがなんだか申し訳なかった。
祖母はまだ納得していないようだったけれど、「早く飲み物を持っていこう」と急かして、なんとかその場は受け流した。

「おばあちゃん、いろいろ変なこと言ってたよね、ごめん」
映見は首を振る。
「私は平気。ただ、家にいる時の愛実のことが気になって」
もう改札前についたけれど、二人はそこで立ち止まって話し込む。
「まあ……今はお互い、だいぶ関わり方がわかってきたから。あれでけっこう、私に合わせようとしてくれてはいるんだ」
映見は、覗き込むように愛実の目を見つめる。
「『今は』?」
やっぱり映見だって、なかなか鋭いよな、と愛実は思う。
「……母親が亡くなってすぐの頃は、ちょっと大変だったんだよね。ちょうど生理が始まったりとか、下着が変わったりとか、いろいろある時期だったし。こっちもお母さんがいたらってつい思っちゃうし、向こうもそれを感じてピリピリした時もあったし」
映見は黙って、愛実の左ひじの袖の辺りをそっと掴んだ。
「でも、それをなんとかすり合わせてきたから、考えが違っても、お互いかわし方がわかってるみたいなとこもあるんだ」
映見は、静かな笑顔で頷いた。
「……大変な時を、一緒に乗り越えてきた人なんだね」
愛実も微笑んで頷く。
「まあ……差別発言とかにコラーッて思うこともあるけどね」
笑いながら愛実は、映見という人の特別さについて考えていた。どこがとは、はっきり言えないけれど、これまで出会ってきた誰とも違う存在として、自分の人生に関わっているような気がする。
「聞いてくれてありがとう」
映見は何度も振り返って愛実に手を振りながら、改札の向こうのホームへ消えていった。その姿を見送りながら、愛実はふと思う。
(もし私がエミーと付き合ったら、おばあちゃん卒倒するかな……)
そんなことを友達に対して考えてしまったのがとても気恥ずかしい気がして、愛実は小さくふるふると首を振った。

朝から風が強いと思ったら、キャンパスに足を踏み入れた瞬間、背後の空でどかんと爆発音のような雷が鳴った。少し遅れて、雨がやってくる。鞄の中に折り畳み傘はあるけれど、校舎まで走ってしまう方が早い。雨は大粒で、次第に勢いを増していく。
白い無機質な長机が並ぶ講義室の、真ん中あたりに席を取った。連休明けのこの日は二限からで、大地とは別の授業だ。一つ結びの髪を一度ほどいてハンカチで雨粒を拭っていたら、教室の喧騒の隙間に、何やら妙に、耳につく言葉がある。
「ほら、あの子じゃん」
「あのコメント……」
その声と視線が、どうも自分に向けられている気がして、そちらを見ると、少し離れたところに座っている学生たちが慌てて顔を背けた。なんだか嫌な気配を感じる。しかし、始業ベルとともに教授が入ってくる。割り切れなさを抱えながらも、映見は授業に集中した。
その嫌な気配の正体がわかったのは、授業後だった。エスカレーターを降り、一階のロビーを大きなガラス扉に向かって歩いていた。ガラスの向こうの外は、いまだ雨風が激しい。
「六角さん! ねえ大丈夫?」
ロビーを横切り駆け寄ってきたのは、カフェミーティング以来親しくしている四年の先輩だった。
「吉屋さん?」
挨拶にしては妙な問いかけに、怪訝な面持ちで振り向くと、
「……もしかして、まだ知らない?」
そう言って、気まずそうに顔をしかめる。
「ショックだと思うけど……知らないままにしとくのは良くないと思うから、言うね」
そう前置いて話された内容に、映見は言葉を失った。

「はあ? なんだよこれ」
吠えたのは大地だ。国際学部のラウンジで、愛実も冬人も、自分のスマホを食い入るように見ている。檸檬は、強風で飛ばされる前に野外装飾を撤収しなければならないので、昼休みは委員の作業に行くと連絡が入っていた。
スマホの画面には、グロ科のSNSが映っている。普段は大地も映見も、休講情報などを見るために使っていて、投稿についているコメントまではチェックしない。大雨・暴風警報が出た場合についてのごく事務的な投稿に、そのコメントはぶら下がっていた。
〈誰も狙ってないのに「私レズだから男に興味ありません」宣言したブスのいるグロ科〉
おそらく作ったばかりの何も情報の入っていないアカウントから投稿されている。さらに重ねてほかのアカウントからのコメントもついていた。
〈あの一年? 男といるの見たけど〉
〈ファッションレズ?〉
胸が潰れそう、というのはこういう感覚なのだと、皆、今この時実感していた。コメントが映見を標的にしているのは、およそ確実に思える。
「カフェミーティングの時のあの三年かな」
大地が言うと、映見は首を振った。
「私はいつもオープンにしてるから、あの人だとは断定できないよ。でも吉屋さんは、彼が何か知らないか聞いてみてくれるって」
「学科事務室に言った方がいいと思う」
冬人が言った。
「SNSはそこが管理してるんでしょ?」
映見が「うん」と頷きかけた瞬間、窓の外がぴしゃっと光った。少し遅れて、一段と大きく、隕石でも墜落したかのような轟音が鳴る。思わず四人の会話も一瞬止まる。
ふと、テーブルの上の左手に温かい感触を覚えて見ると、愛実の手が、映見の手の上に重ねられていた。雷に驚いたからかとその顔を見るけれど、愛実は静かに映見を見つめていた。重ねられた手が、自分を支えようとする気持ちの表れなのだと分かって、映見は少し、心が和らぐ。
「……うん。ありがとう。とりあえず事務室に行ってみるよ」
「一緒に行こう」
大地が重ねるように言う。
「俺が証言できることも何かあるかもしれないし」
映見は頷いて、気を取り直すようにきゅっと口角を上げた。
「さ、とりあえず今は食べよう」
元々、昼食のためにここに集まったのだ。
「話してばかりいたら、昼休み終わっちゃうね」
そう言う映見の笑顔に、ひとまずは、冬人も大地も気遣わしげながら笑顔を返し、それぞれ買ってきた昼食に手を付け始める。
けれど映見の左手を、まだ離さない体温があった。映見は、愛実を見る。愛実は、本当に大丈夫かと、目で問うているようだった。胸の奥にじんわりと熱いものが広がるのを感じて微笑むと、愛実は一度頷いて、やっと手を離した。
窓の外は今も、叩きつける雨と、名残のようなゴロゴロという雷鳴が唸っていた。

回収した野外の装飾を室内に飾れる分は飾って、残りを学科の倉庫に運んだら、非常用のタオルが一人ひとりに配布された。学科事務室前の図書スペースに少々定員オーバーぎみな委員たちがぎゅっと詰まって、髪や体を拭いている。
「拭き終わったらタオルはここに集めて、各自解散していいぞ」
洗濯かご的なものは学科にはなかったようで、段ボール箱を長机の上に置いた細井が、持ち前のでかい声でアナウンスする。
「しっかり拭けよー、風邪ひかれても責任取れんからなー」
檸檬は頭にかぶったタオルの合間から、ちらりと直哉を盗み見た。あれ以来、会うのは今日が初めてだ。直哉は後ろ髪を片手で拭きながら、細井たちと何か打ち合わせしているようだった。この状況なのでまともに顔を合わせずに済んでいるけれど、話しかけられたらどうすればいいか、まだ檸檬の中で、答えが出せずにいる。
「あれっ、なんでみんな集まってんの?」
エレベーターホールに続く入口のあたりで、高い声がした。上級生たちが振り返ると同時に、小さな歓声が上がる。
「栞先輩!」
「いつ戻ったんですか?」
取り囲まれているのは、笑顔の明るい女性だった。上級生たちは、しばしその人と話し込む。直哉も端の方ながら、その輪の中にいる。
「四月中には日本に帰ってたんだよ。連休は実家で過ごしたから……」
会話からなんとなく事の経緯を想像していたら、細井が聞き耳を立てている一年たちに向き直った。
「ちょうどいい機会だから一年にも紹介しとこう。留学に行ってた古池栞ふるいけしおり先輩だ。ええっと、どこ行ってたんでしたっけ」
「スイス、スイス」
細井に言う様子の気さくな感じに、様子を窺っていた一年たちの空気も和やかになる。美人だが飾らない感じは渡会とも似ているけれど、さらに陽気なタイプに見える。ちなみに渡会は、今日は資格のために他大学の授業に行っていていなかった。
「栞先輩、三年次から復学だったら、もう先輩じゃなくて同級生っすね」
にやりと笑う細井に舌打ちしてから、「栞先輩」は一年の方に向かって話す。
「留学前も運営委員だったし、幸いまだ三年だから、またちょっと今年も関わろうかなと思います。細井の言うことはまともに聞いちゃだめだからねー」
一年たちが元気よく「はーい」と答えたので、細井が「おいおい!」と焦っている。そんな細井を尻目に、栞が「じゃあ私はもう行くから」と、立ち去りかけたところに、
「栞先輩」
声をかけたのは直哉だった。
「また寮に入ったんですか?」
「そう、学科で手続きがあったし、教授たちにも挨拶したかったから先にこっち来たの」
「じゃあ荷物運ぶの手伝いますよ」
直哉がそう言って、初めて檸檬は、栞が大きなスーツケースを引いていることに気付いた。取り囲まれていたので、脚元にある荷物が見えなかった。
「え、いいってそんな」
「すごい雨ですよ」
そう言われて栞は、窓の外の様子にやっと気づいたようだった。
「え! いつの間に!?」
細井が栞に、「あー、一限終わりくらいまでは晴れてたんでしたっけ」と返す。
「ずっとここにいたから気付かなかったわ……」
「この天候で、傘さしてこの荷物はさすがにきついですよ。エントランスくらいまでは運びます」
檸檬も何か手伝った方がいいかと思ったけれど、スーツケースは一つだし、何も手助けになることが思いつかず、声をかける勇気もなくて、栞と直哉の背中をただ見送る。
檸檬のすぐ前にいた二年生たちが、二人の乗ったエレベーターが閉まると同時に話し出した。
「高坂、もしかして栞先輩とヨリ戻すかな」
「え、付き合ってたっけ?」
檸檬は思わずその話に耳を奪われる。檸檬に背を向けている二年生たちは、聞かれていることに気付いていないようだった。
「同郷で同じ高校でさ、その時ちょっと付き合ってたって、結構有名よ?」
「あー、その話か。大学でかと思った」
「まあ、大学でもわかんないけどね~」
心臓がばくばくと、不快な早さで動悸する。檸檬はタオルを頭にかぶったまま、しばらく動けなかった。

「いや、来てくれてよかった」
学科事務室の奥にあるバックヤードに映見と大地を案内したのは、学科長の助手で、ガイダンスの時などによく壇上で説明していた男性だった。
二人は三限が終わるのを待って、ここを訪れた。大地は昼休みにすぐに行こうと言ったけれど、映見も大地も三限に出席確認の厳しい必修授業を取っていたので、映見が授業後にしようと言った。
モダンで無機質な施設の多い国際学部にあって、この事務室は例外的に、デスクやロッカーのあちこちに書類が積み重なり、適度に居心地の良い乱雑さがある。その一角に、小さなテーブルを挟んでソファが二つ向き合っているこのスペースがあった。おそらく普段は、助手や事務職員が休憩に使っているのだろう。
「こちらもどう対応しようか悩んでいたところだったんです。当事者と話せて助かります」
知らなければ学部生にも見えるベビーフェイスの温和そうな助手は、一年生の二人にも丁寧な口調で話した。すでに映見も大地も名前を知っていたけれど、彼は改めて「ばんです」と名乗る。映見と大地も、名前だけの自己紹介をする。
「六角さんは、このコメントが自分のことだという心当たりがあるんですね」
伴が自分のスマホで示したコメントは、すでに学科側で非表示の設定にされていたけれど、それでも「非表示コメントを見る」という多少面倒な操作をすると、誰でも見られる状態ではあった。
「はい。オープンリーゲイやレズビアンはほかにもいるかもしれないけど、私は伝え方がちょっと大胆だったみたいで、学科で話題になっていると先輩に言われたことがあります。それと……」
映見は、カフェミーティングの時のトラブルについて話した。話を聞いて、伴は顔をしかめる。
「若いのに、クソジジイみたいなことを言う学生ですね」
物腰柔らかな伴の突然の毒舌に、映見と大地は目を丸くする。伴からの「彼が書いたと思いますか?」という問いには、変わらず映見は首を振った。映見がオープンなレズビアンだという噂を聞いた人なら、たくさんいるだろう。
「学科としてすでに行った対策は、コメントを通報したことと、非表示にしたことです」
伴の説明は明確だった。誹謗中傷の書き込みをプロバイダ側から特定してもらう方法は、訴訟を起こして情報開示請求を行う必要がある。それはリスクも大きいし、映見のことを書いているという確証もないのでおそらく難しい。しかし、手立てがないわけではない。
「アナログな方法ですが、聞き取り調査ならできます。私としては、学科から公にヘイトスピーチには厳しく対処するという声明を出しつつ、情報提供を求めたいと考えています。ひとまず再犯を防止するプレッシャーにはなると思いますが、いかがでしょうか」
映見と大地は驚いていた。ここまで協力的に動いてくれるとは思っていなかった。
「そんなこと、できるんですか?」
学科として大っぴらに動くことに、難色を示す教授や職員はいないのだろうか。そう言うと、伴は鼻で笑ってみせた。
「事務処理能力の低い教授たちの世話を一手に引き受けてるのは私ですから。それを盾に取れば誰も反対できません」
不敵な笑みに、二人とも少し背筋が冷える。味方にしたら心強いけれど敵にすると怖いタイプ。実際のところ、のちに大地も映見も、課題の提出がギリギリの時などにはこの人を相当恐れることになる。
伴はさらに、コメントが付けられた元の投稿を削除することと、大学としても学科と同様の対処を求めることを提案した。
被害者側で証拠を保存したい可能性を考えて非表示だけの対応にしていたが、すでに学科では保存してあるし、映見とコンタクトが取れた以上残しておく必要はない。連絡事項はまた投稿し直せばよいとのことだった。大学には、学科からも通達しておくが、映見自身も大学の学生課に行ってみることを勧められた。
「ありがとうございます……正直、こんなに対応してもらえると思ってなくて、驚きました」
映見が率直に言うと、伴は少し柔らかい表情になった。
「それは、あなただけの問題じゃないからですよ」
彼は静かに言う。
「今回はたまたま六角さんが被害者でしたが、学科のSNSでヘイトスピーチが行われたのは、学科全体の問題です」
映見は、少し前に似たようなことを、自分が愛実に言ったのを思い出していた。自分のこととなると、気付けないものだ。
「それに、私も同性愛者ですから、他人事ではないので」
今度は明るい気持ちを含んだ驚きで、二人は再び目を丸くした。

大学の前で大地と別れて、マンションへの道を歩き出したと同時に、どっと体が重くなった。雨風はだいぶ弱まって、傘が雨音を立てる程度の降りになっていた。歩いているだけなのに、息切れするような感覚に、映見は襲われる。
大学の学生課には、学科を後にしたその脚で大地とともに向かったけれど、そこでの会話は、伴とのようにスムーズにはいかなかった。
「わざわざ自分で言ったんですか?」
最初の質問がそれだった。学生課の職員は、応対の親切な四十代くらいの女性だったけれど、「その……同性愛ってことを?」と付け足す表情には、戸惑いだけが浮かんでいた。
それから、伴がすでに言っていた「プロバイダから犯人を特定するのは難しい」ということを説明され、大学側では対処できないということを一貫して伝えようとしてきた。学科から提案された対処法についても話したけれど、芳しい反応はなく、しまいには、「SNSのコメントによって不安な気持ちになるなら、学生相談所のカウンセリングが受けられる」と言われて帰された。
玄関を閉めてワンルームに足を踏み入れた瞬間に、明かりもつけず、映見はへたり込む。つらいとか悔しいとかいうよりも、ただ、力が抜けた。
無造作に突き付けられた悪意からすべての出来事が始まって、今日一日が嵐のように過ぎた。なぜ自分がこんなに疲弊させられているのか、わからない。
と、かばんの中で着信音が鳴って、映見はびくりと体を震わせる。鳴り続ける音に、のろのろとかばんを引き寄せて、スマホを取り出した映見は、そこに表示された名前に目を見開いた。通話ボタンを押すや否や、声が飛び込んでくる。
「エミー、大丈夫だった?」
電話越しでも、愛実の声は、ささくれ立った胸をなめらかに治してくれるような気がした。
「……うん、なんとかなったよ」
映見が答えると、しばしの沈黙が走る。
「……愛実?」
「エミー、今どこにいる?」
「今? 部屋に帰ってきたところだけど」
「私、今からそっち行っていいかな? そっち行くね!」
映見が驚いている間に、愛実はすでに映見のマンションに向かって駆け出していた。

エントランスで出迎えた愛実は、傘は差してきたけれど、走ったので服やらかばんやら、あちこち濡れていた。急いで部屋に上げて、タオルを渡す。
「そんなに慌てて来たの?」
円い赤のラグマットに座って肩のあたりを拭いている愛実が、映見を見上げながら答えた。
「だってなんか、エミーが、暗い部屋に一人でいる気がして」
ティーバッグの紅茶を入れようとしていた映見は、言葉を呑んで立ち止まる。
「そんなことないかもしれないけど、声聞いたらじっとしてられなくて」
キッチンに立つ映見を、愛実は真っ直ぐ見上げる。その瞳は不思議なほど光を孕んでいた。映見は、その通りだったんだ、暗い部屋で一人うずくまっていたんだ、と伝えようかと思うけれど、うまく言葉にできない気がして、「ありがとう」とだけ告げる。愛実が来てくれたら、きっともう、すべてが大丈夫になるように思えた。
テーブルにマグカップを二つ置いて、愛実の隣に座る。
「学科事務室で、助手さんに話を聞いてもらったんだけど」
映見は自分から、今日あったことを話し始めた。愛実はただ、うんうんと頷きながら聞いていた。ラインだけで報告することもできただろうけれど、こうして目の前で話を聞いてくれると、それだけで少しずつ、胸が晴れていく。
「そっかあー……学生課……」
ひと通り話を聞き終わると、愛実はたった今自分が経験したかのように肩を落とした。それから映見の背中をさする。
「ほんと……お疲れ」
映見は「うん」と言いながら、なぜか笑ってしまう。
「なんだかね……力が抜けた」
愛実が、映見の顔を覗き込む。
「……コメントを書いた人は、どうしてそんなに憎むのかなって」
見つめ返しながら、映見は言葉を紡ぐ。
「そのことを考えると、頭がぼうっとしてきちゃうんだ。だけどやらなきゃいけないことが終わって一人になったら、また頭に浮かんできちゃって、でも全然考えがまとまらなくて、またぼうっとする……」
愛実は、ゆっくりと深く頷くと、口を開いた。
「私はさ、『レズビアンです』って言葉が、『男に興味ありません』に聞こえる人がいるんだなって思った」
跳ねるように、映見は体ごと愛実に向き直る。
「そう……それ!」
ずっと違和感を覚えていたけれど、具体的に何なのか、映見は言い表せずにいた。
「そんなこと言ってないのに、いや、実際そうなんだけど、なんていうか……」
「うん。エミーはエミー自身のことを話してるのに、なんで男のことを話してるって思うんだろうね」
愛実の言葉に、映見はその顔をまじまじと見つめる。
「すごい愛実……私が思ってて言葉にできなかったことを、愛実が言葉にしている……」
その反応に、愛実は頬を緩める。
「アイス食べに行こっか」
唐突に言われて、映見は「え?」と当惑する。
「ほら、雨上がったみたいだよ」
愛実が指差す窓の向こうには、雨の気配の去ったほんのりと暗い夕闇があった。

陽が落ちてあっという間に夜空へと変わっていく景色の中を、駅前のコンビニまで二人で歩く。嵐の後の生温い空気が心地よかった。並木道になっている道路わきの歩道を真っ直ぐ行けば、駅前の広場が、横断歩道の向こうに見えてくる。
「あのさ、愛実は、私のこと変わってると思う?」
信号が変わるのを待ちながら、映見が突然問いかけた。愛実は映見の方を見る。
「考えたことなかった」
映見は破顔する。それもそうだな、と思った。愛実や、大地、冬人、檸檬と一緒にいる時に、誰かが変わっているかどうかなんて、問題にならない。青信号に変わり、黒く濡れたアスファルトと白線を踏み歩きながら、映見は話す。
「私ね、小さい頃、ADHDって診断されたんだ」
「ああ……なんだっけそれ、発達障害……?」
愛実はおぼろげな知識を掘り起こすように返す。
「そう。学校でほかの子たちと馴染めないって先生から聞いて、お父さんとお母さんはすぐに私を診断に連れてったんだって」
愛実は少し驚く。日本では、子どもに精神医療の診断を受けさせることにもっと抵抗を抱く親が多い気がする。
「うちの両親って、二人とも仕事のチャンスを求めて日本を飛び出して向こうで出会ったらしくて、そのせいか思いきりと行動力はやたらあるんだよね」
愛実は納得したように頷く。
「なら今は逆に、映見が日本に飛び込んで来たってことだね」
「私は彼らの行動力に比べたら、ずっとおとなしいよ」
もうコンビニに入ろうというところで、ふと、映見は空を指差した。
「……朧月だ」
指差す先にはたしかに、春曇りに満月より少し欠けた月が霞んでいる。
「英語には、朧月のことをいう特別な言葉はないんだ。辞書を引くと『もやがかかった月』みたいな表現が出てくる。でもお母さんは、日本語の朧月って言葉が好きなんだって」
「へえ……たしかに、きれいだね」
もしかしたら映見は少し、家族が恋しくなったのかな、と愛実はその横顔を窺う。視線に気付いて、映見は微笑む。
「私のお母さん、理系の研究者で、親切でアクティブで、ちょっと愛実に似てるところがあるかも」
意外な言葉に、愛実はなんだか気恥ずかしいような、くすぐったいような気持ちになる。
コンビニで各々買ったアイスを持って、駆けるように改札前のコンコースに行き、もう閉まったみどりの窓口のガラス戸にもたれて食べた。愛実はアーモンドチョコでコーティングしたアイスバー、映見はキャラメル入りのカップアイス。
「私のADHDは軽度だったみたいで、ティーンなるまでにソーシャルスキルトレーニングがけっこう進んだから、薬の治療は必要ないってドクターに言われたんだけど」
愛実は黙って頷く。
「でも、今も時々、話したり行動したりすることが突然すぎるって驚かれることがある。日本に来てから、それが多くなった気がするんだ」
愛実は思い出していた。
初めて会った時、全員と握手をして名前を聞いてきた映見に、少し面食らったこと。元から知っている大地の隣でなく、檸檬と愛実の側の席に座ったのに驚いたこと。それから、愛実が諦めの気持ちでいた時に、おにぎりのフィルムを剥いている手を、構わずぐっと引き寄せられたこと。
「……私さ、雷って好きなんだ」
愛実の言葉に、映見は不思議そうな表情で見つめる。
「プラス電荷とマイナス電荷が引き合って放電するなんてことが、空の上で起こるんだよね。電気エネルギーって、普段はテクノロジーの産物みたいに扱ってしまうけど、雷を見ると、ああ、自然の中にあるんだなあって思う」
映見は、こういう話を愛実がする時は、いつも何か意味があるのかもしれない、と耳を傾ける。
「雷、苦手な人もいるし、みんなびっくりするし、時々災害もあったりするけどさ……私は好きだよ」
愛実の瞳が、しっかりと映見を捉えた。
「ほかの人にとっては、驚いたり、嫌がったりすることかもしれないけど、私は全部好きだった」
愛実は、以前自分が映見に話したことを思い出していた。「高圧電線」のような人に出会っても感電しない鳥も、何度でも止まりに来たいと思えるような、とても愛する電線に出会うことはあるのかもしれない。
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