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第2章
第30話 ゲイル
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まさか王都で集めようと思っていた情報が、一日で全て集まるとは。
ウィリアムズ兄妹に感謝だな。
「今日は本当にありがとうございました」
「何か困ったことがあったら、いつでも相談にのるよ。あっ……」
アーサーは何か思い出し、言うか言わないかを悩んでいるようだった。
この手の情報は、聞き逃すとトラブルに見舞われるのが相場だ。
「どうしました?」
「……モーリ村に行くのなら、早めに出発した方がいい。実は、明後日のお昼に中央広場で魔族の公開処刑がある。もしかすると魔族が襲撃にくるかもしれないんだ。そうなると、警備が厳しくなり王都から簡単に出られなくなる」
「魔族? ……その魔族は何をやったんですか?」
「エルフを襲ったらしい。メルキド王国の外での出来事だから、詳細は誰も知らないんだ」
メルキド王国の外で起こった事件だよな。
なんで、メルキド王国の王都で公開処刑するんだ?
アーサーは呆れたように言った。
「わざわざ処刑するために、メルキド王国に連れてきたのさ。嫌な予感しかしないだろ?」
俺が疑問に思ったことを察したようだ。
「処刑は中止にできないんですか?」
アーサーは少し困った表情で言葉に詰まる。
その心境を察したかのように、メアリーが悲しげな表情で答えた。
「メルキド王は暴君ではありませんが、エルフに頭が上がらないのです。魔道具を押えられていますので。だから処刑は止められないでしょう」
なるほど、人族の王様でもエルフの圧力に屈してるわけね。
俺が思っていた以上に、エルフ様は高貴な身分らしい。
「情報ありがとうございます。俺達も早めに王都を出たいと思います」
俺達は礼を言い、屋敷を後にした。
◇
今日泊まる宿屋を探すことにした。
大きな通りに出るまで、俺達はとりとめのない会話をしながら散策する。
ふと、まわりを見渡したとき、違和感に気づく。
人気が全く無いのだ。
それに静か過ぎる。
人工的に作られたような……静かさに違和感があるのだ。
まわりは石造りの建物が並ぶ一本道。
逃げ道が無い。マズいな。
来た道を戻ろうとしたとき、ローブ姿でフードを目元まで被った人物が前から歩いてくる。
嫌な予感しかしない。これダメなやつだ。
ミアは俺の背後にまわり、後方を警戒する。
ローブ姿の人物は俺達の前で止まった。
「少し聞きたいことがある。素直に教えてくれれば悪いようにはしない」
渋みのある男の声だった。
言ってる内容はどうかと思うが、エルフのように威圧的な口調ではない。
「顔を隠して言われても信用出来ないです」
「……」
ローブの男は、フードを脱いだ。
40代ぐらいの黒髪短髪、シャープな顔つきのイケメン。
ただ、目の瞳が赤かった。
「それで聞きたいことは何ですか?」
「――お前、魔族を見ても驚かないのだな」
へ? 魔族だったのか。
「魔族を初めて見ました。目の瞳が赤いのは魔族の特徴ですか?」
「ああ、そうだ。魔族は目の瞳が赤い」
目の瞳は鮮やかな赤紅色だった。
フードで目元を隠すわけだ。これは目立つ。
「魔族の目のことを知らない……お前たちは異世界人か? 魔族と知って攻撃してこないとは珍しいな」
異世界人、脳筋すぎるだろ!
「俺達はドワーフの味方で、エルフのことが嫌いな異世界人です。魔族とも仲良くしたいと思ってます」
「はっはははは。お前おもしろいな。そんなこと言う奴は初めてだ。その話、何か証明できるものはあるか?」
魔族の男は、急に真剣な顔つきになった。
どうする?
コレは見せて大丈夫なんだろうか。
リュックの中で隠しながら、ぬいぐるみのポケットから腕輪を取り出す。
かなり迷ったが、腕輪を見せた。
「ま、まさか、『ゴンヒルリムの通行証』か!? 人族でそれを持つとは……誰から受け取った?」
「バーセリーに住んでいたククトさんです」
「ククト……って、マイスターのククト殿か?」
マイスター? ドワーフ族の称号みたいなものか。
俺は魔族の男に、ククトさんとマルルさんの話をした。
「にわかには信じがたいが……その腕輪を着けることはできるか?」
俺は右腕に腕輪を着けてみせた。
「――わかった。お前を信用しよう。『ゴンヒルリムの通行証』は、盗難防止の仕掛けがあり、腕輪の主から認められた者しか身に着けることができないと聞いたことがある」
魔族の男が言うには、『ゴンヒルリムの通行証』は、俺達が思っていた以上に貴重なモノものらしい。
「少し話がしたいのだ、場所を変えよう」
俺達は頷き、魔族の男のあとを付いて行く。
そういえば、周囲の違和感が消えていた。
魔族の男に聞くと、人払いと盗聴防止の魔道具を使っていたらしい。
しばらく歩いた先で魔族の男は酒場に入る。
店の男に話しかけると、奥の部屋に案内された。
「ここは魔族と繋がっている店だ。今、盗聴防止の魔道具で結界を張った。外に話が漏れることはないので安心してくれ」
この店に俺達を連れてきたことが、俺達を信用している証ってわけか。
「信用してくれてありがとう。このお店やこれから話すことを口外しないと約束するよ」
ミアも頷く。
「俺はタクミ、こっちはミアだ。それで、何が聞きたいんだ?」
エルフと人族以外を信用する俺は本名を教えた。
そして猫かぶりも止めた。
「オレの名前はゲイルだ。実はタクミ達に声をかけたのは『剣聖』の屋敷から出てきたからだ。囚われている魔族について何か知っていれば教えて欲しい」
ゲイルは切羽詰まった表情をしていた。
俺はアーサーから聞いた話をゲイルに教える。
「……タクミ達は、捕まっている魔族について何か聞いているか?」
「エルフを襲った罪で捕まったとしか聞いてない」
「ば、バカな。エルフが魔族領に侵入し連れ去ったのだ。そして攫われたのは……魔族の王女カルラ様だ」
ウィリアムズ兄妹に感謝だな。
「今日は本当にありがとうございました」
「何か困ったことがあったら、いつでも相談にのるよ。あっ……」
アーサーは何か思い出し、言うか言わないかを悩んでいるようだった。
この手の情報は、聞き逃すとトラブルに見舞われるのが相場だ。
「どうしました?」
「……モーリ村に行くのなら、早めに出発した方がいい。実は、明後日のお昼に中央広場で魔族の公開処刑がある。もしかすると魔族が襲撃にくるかもしれないんだ。そうなると、警備が厳しくなり王都から簡単に出られなくなる」
「魔族? ……その魔族は何をやったんですか?」
「エルフを襲ったらしい。メルキド王国の外での出来事だから、詳細は誰も知らないんだ」
メルキド王国の外で起こった事件だよな。
なんで、メルキド王国の王都で公開処刑するんだ?
アーサーは呆れたように言った。
「わざわざ処刑するために、メルキド王国に連れてきたのさ。嫌な予感しかしないだろ?」
俺が疑問に思ったことを察したようだ。
「処刑は中止にできないんですか?」
アーサーは少し困った表情で言葉に詰まる。
その心境を察したかのように、メアリーが悲しげな表情で答えた。
「メルキド王は暴君ではありませんが、エルフに頭が上がらないのです。魔道具を押えられていますので。だから処刑は止められないでしょう」
なるほど、人族の王様でもエルフの圧力に屈してるわけね。
俺が思っていた以上に、エルフ様は高貴な身分らしい。
「情報ありがとうございます。俺達も早めに王都を出たいと思います」
俺達は礼を言い、屋敷を後にした。
◇
今日泊まる宿屋を探すことにした。
大きな通りに出るまで、俺達はとりとめのない会話をしながら散策する。
ふと、まわりを見渡したとき、違和感に気づく。
人気が全く無いのだ。
それに静か過ぎる。
人工的に作られたような……静かさに違和感があるのだ。
まわりは石造りの建物が並ぶ一本道。
逃げ道が無い。マズいな。
来た道を戻ろうとしたとき、ローブ姿でフードを目元まで被った人物が前から歩いてくる。
嫌な予感しかしない。これダメなやつだ。
ミアは俺の背後にまわり、後方を警戒する。
ローブ姿の人物は俺達の前で止まった。
「少し聞きたいことがある。素直に教えてくれれば悪いようにはしない」
渋みのある男の声だった。
言ってる内容はどうかと思うが、エルフのように威圧的な口調ではない。
「顔を隠して言われても信用出来ないです」
「……」
ローブの男は、フードを脱いだ。
40代ぐらいの黒髪短髪、シャープな顔つきのイケメン。
ただ、目の瞳が赤かった。
「それで聞きたいことは何ですか?」
「――お前、魔族を見ても驚かないのだな」
へ? 魔族だったのか。
「魔族を初めて見ました。目の瞳が赤いのは魔族の特徴ですか?」
「ああ、そうだ。魔族は目の瞳が赤い」
目の瞳は鮮やかな赤紅色だった。
フードで目元を隠すわけだ。これは目立つ。
「魔族の目のことを知らない……お前たちは異世界人か? 魔族と知って攻撃してこないとは珍しいな」
異世界人、脳筋すぎるだろ!
「俺達はドワーフの味方で、エルフのことが嫌いな異世界人です。魔族とも仲良くしたいと思ってます」
「はっはははは。お前おもしろいな。そんなこと言う奴は初めてだ。その話、何か証明できるものはあるか?」
魔族の男は、急に真剣な顔つきになった。
どうする?
コレは見せて大丈夫なんだろうか。
リュックの中で隠しながら、ぬいぐるみのポケットから腕輪を取り出す。
かなり迷ったが、腕輪を見せた。
「ま、まさか、『ゴンヒルリムの通行証』か!? 人族でそれを持つとは……誰から受け取った?」
「バーセリーに住んでいたククトさんです」
「ククト……って、マイスターのククト殿か?」
マイスター? ドワーフ族の称号みたいなものか。
俺は魔族の男に、ククトさんとマルルさんの話をした。
「にわかには信じがたいが……その腕輪を着けることはできるか?」
俺は右腕に腕輪を着けてみせた。
「――わかった。お前を信用しよう。『ゴンヒルリムの通行証』は、盗難防止の仕掛けがあり、腕輪の主から認められた者しか身に着けることができないと聞いたことがある」
魔族の男が言うには、『ゴンヒルリムの通行証』は、俺達が思っていた以上に貴重なモノものらしい。
「少し話がしたいのだ、場所を変えよう」
俺達は頷き、魔族の男のあとを付いて行く。
そういえば、周囲の違和感が消えていた。
魔族の男に聞くと、人払いと盗聴防止の魔道具を使っていたらしい。
しばらく歩いた先で魔族の男は酒場に入る。
店の男に話しかけると、奥の部屋に案内された。
「ここは魔族と繋がっている店だ。今、盗聴防止の魔道具で結界を張った。外に話が漏れることはないので安心してくれ」
この店に俺達を連れてきたことが、俺達を信用している証ってわけか。
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俺はアーサーから聞いた話をゲイルに教える。
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