『スキルの素』を3つ選べって言うけど、早いもの勝ちで余りモノしか残っていませんでした。※チートスキルを生み出してバカにした奴らを見返します

ヒゲ抜き地蔵

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第2章

第47話 世界樹

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 俺は『魔王』の思惑について、自分の考えを説明した。
 
「さすがはタクミだな。たったこれだけの会話と時間で、この仮説を組み立てるとはな」

「ほんと、あきれるばかりだわ」

 さっきまでの重苦しい雰囲気は無くなっていた。

「さすがです。わたしはそんな凄いこと出来るなら、魔物を作らないで『瘴気』だけ解決することも出来たんじゃないかって。そればっかり思ってました」

 さすがミア。いいところを突くな。
 実は、俺も同じことを思っていた。
 『魔王』の性格が変わったあたりに、何かあったんだろうな。
 他の種族への深い失望か……それとも復讐か。

「カルラさん、説明ご苦労だった。あの出来事をきちんと伝え残していることが確認できて安心した。その後の出来事についてはワシから説明しよう。先に言っておくぞ。全員、このことは他言無用だ」

 ドワーフ王は威圧するような目で俺達を見る。
 これから話すことの深刻さが伝わってきた。
 
「タクミとミアは、間違いなくこの世界に影響を与える者だ。そしてカルラさんとゲイルもだ。これから話すことは、魔族の王族に話して良い内容かワシにはわからん。しかし、二人はタクミ達の仲間だ。知っておかなければならん」

 カルラとゲイルは頷く。

「これから話すことに魔王であるお父様が、王女である私に隠している内容が含まれている……可能性があるということですね。私もタクミ達の仲間として話を聞きます。他言しないことを誓いますのでご安心ください」

 カルラはドワーフ王の意図を汲んだようだ。
 ……それにしても、俺とミアの立場がとんでもない扱いになっているな。
 ミアも苦笑している。
 この話を聞いたら、一般人に戻れない気がするのだが、今更失礼しますと言って退室するわけにもいかないだろう。
 観念して俺達も頷いた。
 
 ◇

「これから話すことは、ドワーフ族に言い伝えられてきた歴史だ。だから他の種族とは認識が違うかもしれん」

 俺は頷いた。
 伝説のたぐいは、伝える者の立場や価値観によって情報操作が加わり、都合よく改編される。
 そのつもりで聞けってことだ。

「カルラさんの話の続きだ。

 『赤き贖罪しょくざいの門』の扉が『魔王』により開かれた後、世界は恐怖と混乱に包まれた。
 この頃は、ワシらドワーフ族も地上に住んでおったから、他の種族と同じく魔物に襲われた。

 エルフ族、人族、ドワーフ族は互いに協力し、各種族を代表する英雄たちを選び『魔王』のもとに送り込んだ。
 長い戦いの末なんとか『魔王』を討伐することができた」

「『赤き贖罪の門』はどうなったんですか?」

 ミアが疑問を口にする。
 
「言い伝えでは破壊できなかったとある。だから英雄達は門の扉を閉め、どこかに封印した。封印した場所は、悪用を防ぐため各種族の王にさえ秘匿されたそうだ」

 ……今もこの世界にどこかにあるということか。

「魔族の新たな王に、父と同じく天才と呼ばれ、英雄たちと共に戦った『魔王の息子』が選ばれた。
 そして、各種族の王は新たな王である『魔王の息子』に、この世界に『魔物』を造り出した責任を追及したのだ。

 『魔王の息子』は、アーティファクト『血統封呪けっとうふうじゅ』を創り、魔族の恩恵として取り込んだ。
 『血統封呪』は、魔族の能力を大幅に減少させる呪い。
 その効果は終わることなく一族に作用する。
 そして、その呪いの状態にあるとき瞳の色は赤くなるのだ。

 『魔王』討伐の功と、自ら呪いで力を封じ二度と同じ過ちを犯さないようにしたことで、魔族は許されたのだ」

 俺はついカルラとゲイルを見てしまった。
 二人ともこの話は知っているようで、俺に頷く。

 カルラ達のステータスにあった呪いは、謝罪としてかけられていたのか。
 勝手にいじらなくて良かった。
 もし、瞳の色が赤以外の状態でドワーフ王に会っていたら……想像するだけでも怖いんですけど。

「『赤き贖罪の門』の扉を閉じ封印したことで、新たな『罪』は発生しなくなった。
 だが、世界中に既に存在する『罪』を減らすことが難しかったのだ。

 『魔石』を壊しても、蓄えられていた『罪』はそのまま放出され、新たな『魔石』を作り出す。
 『魔石』を壊さないで保管しても、『瘴気』を吸収し魔物になる。

 この問題を解決したのは、『魔王の息子』だった。

 『魔王の息子』は『罪』を消滅させる道具を発明した。
 『魔石』に溜まった『罪』のエネルギーを消費する道具。

 それは『魔道具』と呼ばれた。

 ただしこのときの魔道具は、使えるのが魔族と魔物だけだった。
 呪いの状態では、これ以上の成果を出すのは難しかったのだ。

 その後しばらくして、この魔道具を誰でも使えるようにエルフ族が改良した。
 誰でも使える魔道具は世界中に広められ、使われるようになった。

 『罪』から変換されたエネルギーの力は強力で、魔道具は大きく世の中を変えた。
 人々は魔道具を使うことで、『罪』を消費していく。

 『魔物』は徐々に弱体化し、これで世界が平和になると誰もが思ったのだ」

 なるほど、確かに魔道具を使えば『罪』を消費できる。
 けれど、それは悪手だ。……根本的な解決にはならない。

「魔道具が作られてから100年後、今からだと350年程前になる。
 世の中は作物が育たなくなり、死の病は流行り、魔物の数が増え始めた。

 原因は『瘴気』だった。

 当時、魔物を倒して手に入れた『魔石』は魔道具で使う。
 『罪』が空になった『魔石』は、再び魔物にならないよう壊すのがあたりまえだった。
 真実を知っている者からすると愚かな行為に見えるが、魔物に抗うすべのない者達からすると、『魔石』を放置するなどありえない行為だったのだ。

 『魔石』が世の中から徐々に無くなり、行き場のなくなった『瘴気』が世界中に蔓延した。

 これにより魔族は信用を無くした。
 『魔道具』は『瘴気』を世界中に蔓延させるため、魔族が企てた罠だったと各種族は思ったのだ。
 当時は魔族だけが『魔物』に襲われないで安全に暮らしていた。
 このことに対する妬みも、魔族を迫害する動きに拍車をかけたのだろう。

 信用が失墜した魔族は自領に引きこもった。
 どの種族とも関わらず、静かに生きていくことを選んだのだ。
 迫害に対する怒りもあるが、自分たちがまいた種という認識が勝っていたのだろう。

 この『瘴気』の問題を解決したのはエルフ族だった。
 王都『ティターニア』の近くで育った巨木が、世界に蔓延していた『瘴気』を浄化したのだ。
 この巨木が『世界樹』と言われておる。

 タクミ達が探している樹だ」

 やっと『世界樹』の手がかりを見つけた……はずなのに、背中に冷たい汗が一筋流れる。

 ……エルフ族は『世界樹』をのだ?
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