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第2章
第48話 門の行方
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「タクミよ、どうしたのだ? 神妙な顔をして」
ドワーフ王が俺の態度を見て尋ねた。
「エルフ族はどこから『世界樹』を手に入れたのかなと考えてました」
「タクミも知っての通り、エルフ族は秘密が多い。なんでもかんでも秘匿にするよう変わったのは、ちょうどその頃らしい。『世界樹』については『瘴気』を浄化すること以外、ワシらは知らんのだ。むしろ、ワシはタクミの口から『世界樹』の名前が出て驚いたぞ」
ますます怪しいな。
けど、今は『世界樹』が何処にあるかわかっただけでも良しとするか。
「あと少しで終わる。話を続けるぞ。
エルフ族は『世界樹で瘴気の問題を解決した』実績と、『魔道具』を交渉材料にすることで、エルフ族を頂点とした階級社会を世界に構築していった。
そして階級社会が浸透するにつれ、おごり高ぶるようになった。
だが、世界は『魔道具』が『罪』を消費し、『世界樹』が『瘴気』を浄化することで平和な時代が続いた。
それから100年後。今から220年程前。
ある日、突如平和な時代が終わりを告げた。
世界中に『魔物』が溢れ出したのだ。
特にシラカミダンジョンの大迷宮では、今までに見たことのない強力な魔物で溢れた。
大迷宮で探索や発掘をしていた冒険者やドワーフのほどんどが殺された。
さらに、霊峰シラカミにある巨大な縦穴からは、翼を持つ魔物が沢山飛び放たれたそうだ。
各種族の王は、『赤き贖罪の門』の扉が開いたと判断した。
だが、問題の『門』がどこにあるかがわからなかったのだ。
各種族が協力して世界中を探したが、見つけることはできなかった。
真っ先に疑われたのはシラカミダンジョンの大迷宮だ。
だが、これまでに見たことがないほど強い『魔物』が溢れ調査はできなかった。
今では、『門』はシラカミダンジョンの大迷宮のどこかにあるのが通説となっておる。
この魔物の勢いを止めるため、エルフ族は『冒険者ギルド』という『魔物』を狩る仕組みを世界中につくった。
そこで『魔石』を買い取り、『魔道具』に使うことで『罪』を消費する。
『瘴気』は『世界樹』が浄化した。
だが、この仕組だけでは『魔物』の増加を止められなかった。
直接の原因である『赤き贖罪の門』の扉を閉めるしかない。
この頃、突如と人族に異能を操る者達が現れるようになった。
他の世界の知識を持つその人族のことを『異世界人』と呼んだ。
エルフ族は人族の街や村に、『異世界人』を見かけたら冒険者ギルドへ案内するよう通達を出した。
これにより『異世界人』は『冒険者ギルド』に加入し『魔物』を退治する流れができたのだ。
それからは、『冒険者ギルド』、『魔道具』、『異世界人』、『世界樹』により『罪』と『瘴気』の増加は防げておる。
だが、シラカミダンジョンの大迷宮を攻略し『赤き贖罪の門』の扉を閉じることは、未だに成し遂げられておらん。
その状態のまま、今を迎えておる。
これがドワーフ族に伝わる世界の歴史だ」
とても貴重な話だった。
ただ、2回目の『門』の扉が開いたとき、魔物が大量に溢れたのが気になった。
『罪』と『瘴気』も大量に必要なはずだ。
思考の海に潜りかけたとき、ミアの声で引き戻される。
「カルラは知ってたの?」
カルラはびくっと肩を揺らした。
カルラの顔から血の気が引いていた。
俺が黙ってじっと見つめていると、ため息をつき観念したように口を開く。
「別に隠すつもりはないの。ただ、憶測だけで口にしていいことでもないのよ。お父様に確認するから、それまで待ってちょうだい。そのときは、ゴンさんにもきちんと説明しますので」
「ああ、ワシのことは気にせんでいい」
「俺達もそれで大丈夫だ」
……ゲイルがカルラのことを心配そうに見ていたな。
あの表情からゲイルは何も知らなそうだ。
そうなると、王族だけに言い伝えられている内容の可能性が高い。
世の中には知らない方がいいこともあるからな……聞くのがちょっと怖いぞ。
そういえば、『門』はこのダンジョンの地下にあるんだよな。
英雄達はどうやって『門』を地下に運んだ?
もしかして……
「シラカミダンジョンって、昔は魔物がいなかったんですか?」
「ああ。いなかったらしいぞ。当時は、アーティファクト狙いの探索者や学者やらで賑わっていたようだ。2回目の『門』の扉が開いたとき、魔物によって全滅したらしいがな」
「ということはシラカミダンジョンの最下層は何階か知っているんですか?」
「大迷宮の最下層は9階と言い伝えられておる。今では確認のしようが無いがな」
たしか、アーサーは地下6階まで行って食料不足で引き返したんだよな。
今思えばアーサーも『赤き贖罪の門』の調査だったのかもな。
俺達なら転送魔法陣の完成版が手に入れば、攻略できそうな気もするが今は後回しだ。
今最優先することは、魔族と人族の戦争を止めること。
そして、ククトさんとマルルさんを生き返らせることだ。
◇
——翌日。ゴンヒルリムに着いてから三日目の朝。
部屋で朝食を食べ終えたとき、ミア、カルラ、ゲイルが俺の部屋に集まってきた。
「タクミ、今日は何か予定があるんでしょ。私達もついて行くわよ」
「ああ、倉庫に行く予定だけど、もしかするとカルラとゲイルは倉庫に入れないかもしれない。それでもいいか?」
「いいわよ。大体想像がつくけど、それは倉庫の外でやってくれるのよね?」
ミアが頷く。
「うん。大丈夫だよ。一緒に行こう!」
明日の朝には魔族の都『ゾフ』へ向けて出発する。
今日中にポーション関係や食料を補充しないとな。
時間が無いので、すぐに出かけることにした。
◇
——ゴンヒルリムの東の端にある倉庫。
ここが使われなくなったアーティファクトの倉庫らしい。
窓は外から金属の板が貼られている。
元々の施設に、防犯対策として取り付けた感じかな。
入り口に行くと、二人のドワーフが警備していた。
俺達のことは既に連絡があったらしく、名前を言うだけで倉庫の中に入れてくれた。
本人確認が甘いのは、人族が他に居ないからだろうな。
カルラとゲイルは止められてしまったので、入り口でお留守番になった。
ゲイルは見るからに落胆していた。
便利な魔道具を沢山もっているからな、文房具フェチなのかもしれない。
「タクミよ。何か目当てのモノがあるのか?」
「ああ。どうしても欲しいものがあるんだ。今日はそれを見つけるのが最優先だ」
ドワーフ王が俺の態度を見て尋ねた。
「エルフ族はどこから『世界樹』を手に入れたのかなと考えてました」
「タクミも知っての通り、エルフ族は秘密が多い。なんでもかんでも秘匿にするよう変わったのは、ちょうどその頃らしい。『世界樹』については『瘴気』を浄化すること以外、ワシらは知らんのだ。むしろ、ワシはタクミの口から『世界樹』の名前が出て驚いたぞ」
ますます怪しいな。
けど、今は『世界樹』が何処にあるかわかっただけでも良しとするか。
「あと少しで終わる。話を続けるぞ。
エルフ族は『世界樹で瘴気の問題を解決した』実績と、『魔道具』を交渉材料にすることで、エルフ族を頂点とした階級社会を世界に構築していった。
そして階級社会が浸透するにつれ、おごり高ぶるようになった。
だが、世界は『魔道具』が『罪』を消費し、『世界樹』が『瘴気』を浄化することで平和な時代が続いた。
それから100年後。今から220年程前。
ある日、突如平和な時代が終わりを告げた。
世界中に『魔物』が溢れ出したのだ。
特にシラカミダンジョンの大迷宮では、今までに見たことのない強力な魔物で溢れた。
大迷宮で探索や発掘をしていた冒険者やドワーフのほどんどが殺された。
さらに、霊峰シラカミにある巨大な縦穴からは、翼を持つ魔物が沢山飛び放たれたそうだ。
各種族の王は、『赤き贖罪の門』の扉が開いたと判断した。
だが、問題の『門』がどこにあるかがわからなかったのだ。
各種族が協力して世界中を探したが、見つけることはできなかった。
真っ先に疑われたのはシラカミダンジョンの大迷宮だ。
だが、これまでに見たことがないほど強い『魔物』が溢れ調査はできなかった。
今では、『門』はシラカミダンジョンの大迷宮のどこかにあるのが通説となっておる。
この魔物の勢いを止めるため、エルフ族は『冒険者ギルド』という『魔物』を狩る仕組みを世界中につくった。
そこで『魔石』を買い取り、『魔道具』に使うことで『罪』を消費する。
『瘴気』は『世界樹』が浄化した。
だが、この仕組だけでは『魔物』の増加を止められなかった。
直接の原因である『赤き贖罪の門』の扉を閉めるしかない。
この頃、突如と人族に異能を操る者達が現れるようになった。
他の世界の知識を持つその人族のことを『異世界人』と呼んだ。
エルフ族は人族の街や村に、『異世界人』を見かけたら冒険者ギルドへ案内するよう通達を出した。
これにより『異世界人』は『冒険者ギルド』に加入し『魔物』を退治する流れができたのだ。
それからは、『冒険者ギルド』、『魔道具』、『異世界人』、『世界樹』により『罪』と『瘴気』の増加は防げておる。
だが、シラカミダンジョンの大迷宮を攻略し『赤き贖罪の門』の扉を閉じることは、未だに成し遂げられておらん。
その状態のまま、今を迎えておる。
これがドワーフ族に伝わる世界の歴史だ」
とても貴重な話だった。
ただ、2回目の『門』の扉が開いたとき、魔物が大量に溢れたのが気になった。
『罪』と『瘴気』も大量に必要なはずだ。
思考の海に潜りかけたとき、ミアの声で引き戻される。
「カルラは知ってたの?」
カルラはびくっと肩を揺らした。
カルラの顔から血の気が引いていた。
俺が黙ってじっと見つめていると、ため息をつき観念したように口を開く。
「別に隠すつもりはないの。ただ、憶測だけで口にしていいことでもないのよ。お父様に確認するから、それまで待ってちょうだい。そのときは、ゴンさんにもきちんと説明しますので」
「ああ、ワシのことは気にせんでいい」
「俺達もそれで大丈夫だ」
……ゲイルがカルラのことを心配そうに見ていたな。
あの表情からゲイルは何も知らなそうだ。
そうなると、王族だけに言い伝えられている内容の可能性が高い。
世の中には知らない方がいいこともあるからな……聞くのがちょっと怖いぞ。
そういえば、『門』はこのダンジョンの地下にあるんだよな。
英雄達はどうやって『門』を地下に運んだ?
もしかして……
「シラカミダンジョンって、昔は魔物がいなかったんですか?」
「ああ。いなかったらしいぞ。当時は、アーティファクト狙いの探索者や学者やらで賑わっていたようだ。2回目の『門』の扉が開いたとき、魔物によって全滅したらしいがな」
「ということはシラカミダンジョンの最下層は何階か知っているんですか?」
「大迷宮の最下層は9階と言い伝えられておる。今では確認のしようが無いがな」
たしか、アーサーは地下6階まで行って食料不足で引き返したんだよな。
今思えばアーサーも『赤き贖罪の門』の調査だったのかもな。
俺達なら転送魔法陣の完成版が手に入れば、攻略できそうな気もするが今は後回しだ。
今最優先することは、魔族と人族の戦争を止めること。
そして、ククトさんとマルルさんを生き返らせることだ。
◇
——翌日。ゴンヒルリムに着いてから三日目の朝。
部屋で朝食を食べ終えたとき、ミア、カルラ、ゲイルが俺の部屋に集まってきた。
「タクミ、今日は何か予定があるんでしょ。私達もついて行くわよ」
「ああ、倉庫に行く予定だけど、もしかするとカルラとゲイルは倉庫に入れないかもしれない。それでもいいか?」
「いいわよ。大体想像がつくけど、それは倉庫の外でやってくれるのよね?」
ミアが頷く。
「うん。大丈夫だよ。一緒に行こう!」
明日の朝には魔族の都『ゾフ』へ向けて出発する。
今日中にポーション関係や食料を補充しないとな。
時間が無いので、すぐに出かけることにした。
◇
——ゴンヒルリムの東の端にある倉庫。
ここが使われなくなったアーティファクトの倉庫らしい。
窓は外から金属の板が貼られている。
元々の施設に、防犯対策として取り付けた感じかな。
入り口に行くと、二人のドワーフが警備していた。
俺達のことは既に連絡があったらしく、名前を言うだけで倉庫の中に入れてくれた。
本人確認が甘いのは、人族が他に居ないからだろうな。
カルラとゲイルは止められてしまったので、入り口でお留守番になった。
ゲイルは見るからに落胆していた。
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