『スキルの素』を3つ選べって言うけど、早いもの勝ちで余りモノしか残っていませんでした。※チートスキルを生み出してバカにした奴らを見返します

ヒゲ抜き地蔵

文字の大きさ
49 / 76
第2章

第49話 探し物

しおりを挟む
 俺とミアは倉庫のエントランスに入る。
 目の前にある扉は、金属製のかんぬきで開かないようになっていた。

「1階からは中に入れませんので、2階に上がってください」

 警備の男が教えてくれた。
 右手の階段から2階に上がる。
 通路の向かい側の扉を開き、中に入ると全てを理解した。

 この建物は体育館のような作りになっていた。
 2階の中央は大きな吹き抜けになっていて、その周りに観覧席が囲んでいる。
 俺達は、観覧席の扉から中に入った格好だ。

 そして、体育館の中央のスペースには、びっしりと2階まで積み上がった粗大ゴミの山があった。
 
「こ、これは予想していたのと違いすぎてびっくりです。1階からは入れないのも納得ですね」

「ああ。これはマズいかもしれないな」

「これ、全てがアーティファクトなんでしょうか?」

「……違うと思う。今気づいたけど、アーティファクトとただの道具ってどうやって見分けるんだ?」

「鑑定スキルがないと見分けられないかも。その結果がこの山になったんですね」

「ドワーフの恩恵のひとつに『目利き』があるけど、きっとアーティファクトかどうかの区別はできないんだろうな。ある程度価値があると判断したものを、とりあえずここに放置している感じかな」

 壊れてパーツが外に飛び出しているモノや、大きな装置の残骸とかもある。
 ここから探すのは気が重いが、とにかくやるしかないな。

 俺達は、そのまま2階の観覧席の最前列から、積まれた山の上に降りる。
 降りた場所から軽くジャンプすれば、観覧席の手すりをつかめるので、戻るときの心配はいらなそうだ。
 この山が崩れなければだが。

「そういえば、ここで何を探せばいいんですか?」

「あっ、ごめん。言い忘れてた。電話のような連絡手段がほしいんだ。今はドワーフ族と魔族につながりが出来たから、連絡手段を確保したい。それに戦う上でも圧倒的に有利になれる」

「わかりました。それ以外にも面白いものを見つけたら声かけますね」
 
 俺達は二手に分かれて探した。
 しばらくすると、ミアが俺を呼ぶ。
 行ってみると、ミアが無言で地面を指差していた。

 ……なんか銃のように見えるんだが。
 弾丸を飛ばすような作りではなく、光線銃なのか?

「これは、強そうですけどマズいですよね……」

「うん、止めておこう。魔法が使える世界で考えすぎかもしれないけど、誰でも簡単に人を殺せる武器は危険だ。この光線銃を知ったエルフが、魔道具で同じようなモノを研究開発し世界に広めるとか最悪すぎる」

 ライトサーベルも同じようなものだが、銃系の武器はマズい。
 攻撃されたことに気づけないと、『心の壁』バリアで防げないからな。
 殺傷力の高い遠距離攻撃の武器を誰でも使える世の中とか、俺とミアにとって相性が悪すぎる。

 なによりも、銃に怯える世の中にはしたくない。
 そう考えると、この先作り出すモノはかなり気をつけないとな。
 ドワーフ達が絡むから、今までのような制御はきかない。

「あっ、ありましたよ!」

 俺はミアの視線の先を見る。
 そこにあったのは、電話ボックス。
 本来の使い方は知らないけど、俺には電話ボックスに見えた。

「これだと持ち運び大変だな」

「違いますよ。これはもしもボ……」
「いや、それはダメだ。それを使うと、この世界とは別の世界になってしまう。俺はこの世界のククトさんとマルルさんを救いたい」

「た、たしかにそうでした。危うく甘いワナにひっかかるところでした」
 
 くっ……なんてモノ置いてあるんだ。
 『赤き贖罪しょくざいの門』を超えるアーティファクトじゃないか。
 夢は広がるが、それは今じゃない。
 
 この後も電子レンジや冷蔵庫をイメージできるモノなら見つかった。
 あると便利だけど今は必要ない。

 まずいぞ。
 時間だけが無情にも過ぎていく。
 そもそも手のひらサイズのモノがほとんど見当たらないのだ。
 もしかすると、……モノとモノの隙間からどんどん下に落ちてるとか。

 ここに来れば無条件に何か見つかると思い込んでいた。
 今思えば、当時のままの家を教えてもらい、そこを探した方が良かった。
 これだけ技術が発展しているんだ。
 古代人も通信機器を使っていたハズだ。

 ……あっ! アレか。
 むしろ携帯やスマホよりも、アレの方が断然良いじゃないか。
 何をやっているんだ俺は!

「ミア、急いでここを出るよ」

 頭に?マークを浮かべているミアの手をつかみ、急いでここから出る。

「タクミよ。どうだ良いモノは……」
「後で説明する。とにかく付いてきてくれ。時間が無い」

 ◇

 ——入出管理棟の応接室。

「タタラさん、急に押しかけてごめんなさい。この施設がどうやって『ゴンヒルリムの通行証』と通話しているか教えてもらえませんか?」

「その様子からすると、かなり大事なことなんだな? 王からはタクミ達に協力してやれって言われてるから大丈夫だぞ」

 おおっ、さすがドワーフ王、仕事のできる男だ。

「助かります! それなら、まずミアに『ゴンヒルリムの通行証』を使った通話を体験してもらいたい。俺の『ゴンヒルリムの通行証』の腕輪は、俺しか着けられないので何か方法はありませんか?」

「それなら、このゲスト用の『ゴンヒルリムの通行証』を使ってくれ。こいつは誰でも使えるようになっている」
 
 そういえば年に数回、ゴミを地上へ捨てに行くとか言ってたな。
 そのときに使う腕輪か。

 ゲスト用の腕輪を借りた後、俺達はシラカミダンジョンに転送してもらった。
 
 ◇
 
 ——シラカミダンジョン地下3階 転送魔法陣の近く。
 
 タタラさんから声が頭に直接聞こえた。

『どうだ? 聞こえるか?』

『す、すごいです。本当の頭に直接話しかけてくるようです』

 カルラとゲイルには全く聞こえていない。
 けど、俺には聞こえてるんだよね。
 もしかして……

『タタラさん、これって複数人でも同時に話せるんですか?』

『ああ、話せるぞ。魔法陣と制御装置がつながれば、その魔法陣の周辺にいる全員と話せる。ただし、腕輪を所有していることが条件だ』

 誰にも気づかれないで会話できるとか、最高の通信機器だ。
 あとは制御装置側の仕組みがシンプルなら、なんとかなりそうだ。
 
 俺は転送魔法陣を2枚ほど紙に模写するよう、ミアにお願いした。
 ミアが模写している間、カルラとゲイルにも『ゴンヒルリムの通行証』の会話を試してもらう。
 二人とも驚き感動していたが、ゲイルはこれの有用性に気づいたようで、顔が青ざめていた。

「た、タクミよ。まさか、これを作る気か?」

「ああ、言いたいことはわかる。安心してくれ。これを世の中に広めるつもりはない。限られたメンバーだけの秘密の連絡手段だ」

「そうか。それなら何も言うことはない。これを戦争や悪事で使用されたらと考えるとゾッとしたのだ」

しおりを挟む
感想 92

あなたにおすすめの小説

辺境貴族ののんびり三男は魔道具作って自由に暮らします

雪月夜狐
ファンタジー
書籍化決定しました! (書籍化にあわせて、タイトルが変更になりました。旧題は『辺境伯家ののんびり発明家 ~異世界でマイペースに魔道具開発を楽しむ日々~』です) 壮年まで生きた前世の記憶を持ちながら、気がつくと辺境伯家の三男坊として5歳の姿で異世界に転生していたエルヴィン。彼はもともと物作りが大好きな性格で、前世の知識とこの世界の魔道具技術を組み合わせて、次々とユニークな発明を生み出していく。 辺境の地で、家族や使用人たちに役立つ便利な道具や、妹のための可愛いおもちゃ、さらには人々の生活を豊かにする新しい魔道具を作り上げていくエルヴィン。やがてその才能は周囲の人々にも認められ、彼は王都や商会での取引を通じて新しい人々と出会い、仲間とともに成長していく。 しかし、彼の心にはただの「発明家」以上の夢があった。この世界で、誰も見たことがないような道具を作り、貴族としての責任を果たしながら、人々に笑顔と便利さを届けたい——そんな野望が、彼を新たな冒険へと誘う。

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

最強無敗の少年は影を従え全てを制す

ユースケ
ファンタジー
不慮の事故により死んでしまった大学生のカズトは、異世界に転生した。 産まれ落ちた家は田舎に位置する辺境伯。 カズトもといリュートはその家系の長男として、日々貴族としての教養と常識を身に付けていく。 しかし彼の力は生まれながらにして最強。 そんな彼が巻き起こす騒動は、常識を越えたものばかりで……。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~

イノナかノかワズ
ファンタジー
 助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。  *話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。  *他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。  *頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。  *本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。   小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。 カクヨムにても公開しています。 更新は不定期です。

1×∞(ワンバイエイト) 経験値1でレベルアップする俺は、最速で異世界最強になりました!

マツヤマユタカ
ファンタジー
23年5月22日にアルファポリス様より、拙著が出版されました!そのため改題しました。 今後ともよろしくお願いいたします! トラックに轢かれ、気づくと異世界の自然豊かな場所に一人いた少年、カズマ・ナカミチ。彼は事情がわからないまま、仕方なくそこでサバイバル生活を開始する。だが、未経験だった釣りや狩りは妙に上手くいった。その秘密は、レベル上げに必要な経験値にあった。実はカズマは、あらゆるスキルが経験値1でレベルアップするのだ。おかげで、何をやっても簡単にこなせて――。異世界爆速成長系ファンタジー、堂々開幕! タイトルの『1×∞』は『ワンバイエイト』と読みます。 男性向けHOTランキング1位!ファンタジー1位を獲得しました!【22/7/22】 そして『第15回ファンタジー小説大賞』において、奨励賞を受賞いたしました!【22/10/31】 アルファポリス様より出版されました!現在第四巻まで発売中です! コミカライズされました!公式漫画タブから見られます!【24/8/28】 マツヤマユタカ名義でTwitterやってます。 見てください。

異世界転生おじさんは最強とハーレムを極める

自ら
ファンタジー
定年を半年後に控えた凡庸なサラリーマン、佐藤健一(50歳)は、不慮の交通事故で人生を終える。目覚めた先で出会ったのは、自分の魂をトラックの前に落としたというミスをした女神リナリア。 その「お詫び」として、健一は剣と魔法の異世界へと30代後半の肉体で転生することになる。チート能力の選択を迫られ、彼はあらゆる経験から無限に成長できる**【無限成長(アンリミテッド・グロース)】**を選び取る。 異世界で早速遭遇したゴブリンを一撃で倒し、チート能力を実感した健一は、くたびれた人生を捨て、最強のセカンドライフを謳歌することを決意する。 定年間際のおじさんが、女神の気まぐれチートで異世界最強への道を歩み始める、転生ファンタジーの開幕。

元外科医の俺が異世界で何が出来るだろうか?~現代医療の技術で異世界チート無双~

冒険者ギルド酒場 チューイ
ファンタジー
魔法は奇跡の力。そんな魔法と現在医療の知識と技術を持った俺が異世界でチートする。神奈川県の大和市にある冒険者ギルド酒場の冒険者タカミの話を小説にしてみました。  俺の名前は、加山タカミ。48歳独身。現在、救命救急の医師として現役バリバリ最前線で馬車馬のごとく働いている。俺の両親は、俺が幼いころバスの転落事故で俺をかばって亡くなった。その時の無念を糧に猛勉強して医師になった。俺を育ててくれた、ばーちゃんとじーちゃんも既に亡くなってしまっている。つまり、俺は天涯孤独なわけだ。職場でも患者第一主義で同僚との付き合いは仕事以外にほとんどなかった。しかし、医師としての技量は他の医師と比較しても評価は高い。別に自分以外の人が嫌いというわけでもない。つまり、ボッチ時間が長かったのである意味コミ障気味になっている。今日も相変わらず忙しい日常を過ごしている。 そんなある日、俺は一人の少女を庇って事故にあう。そして、気が付いてみれば・・・ 「俺、死んでるじゃん・・・」 目の前に現れたのは結構”チャラ”そうな自称 創造神。彼とのやり取りで俺は異世界に転生する事になった。 新たな家族と仲間と出会い、翻弄しながら異世界での生活を始める。しかし、医療水準の低い異世界。俺の新たな運命が始まった。  元外科医の加山タカミが持つ医療知識と技術で本来持つ宿命を異世界で発揮する。自分の宿命とは何か翻弄しながら異世界でチート無双する様子の物語。冒険者ギルド酒場 大和支部の冒険者の英雄譚。

処理中です...