『スキルの素』を3つ選べって言うけど、早いもの勝ちで余りモノしか残っていませんでした。※チートスキルを生み出してバカにした奴らを見返します

ヒゲ抜き地蔵

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第2章

第52話 出口

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 魔物を強くしてレベルを上げる……とても魅力的な言葉だった。

 実際にレベル上げをすると、魔物との戦闘よりもランクの高い魔物を探す方が大変なのだ。
 つまり自分のレベルに合った狩り場の確保だ。

 機会があれば魔族の秘密訓練に俺も参加させてほしいと、ダメ元でカルラにお願いしてみる。

「ふっふふふ。いいわ。やっぱりタクミもだったのね。歓迎するわ」

 こちら側?
 何のことを言ってるんだ。
 魔族はみんな戦闘狂なのか。

 なぜかゲイルまでニヤリと笑いながら俺を見ている。
 ……まさか、この展開に誘導されたのか?

 魔族領に行くのが少し怖くなったが、まあ修行するにしても当分後のことになるだろう。
 今は緊急事態で、そんな時間は無いだろうからな。

 その後も途中で遭遇したオーガは、俺とミアの経験値とさせてもらった。
 地下1階に上がってから、そろそろ1時間ほど歩いた。
 ゲイルの話だと、出口は近いそうだ。

 そのあとすぐに通路が行き止まりとなり、そこにあった階段を上った。
 やっと地上階だ。
 メルキド王国側と同じ造りなら、この通路を少し歩けば外に出られるはずだ。

 バスケットコートぐらいの広さの場所に出た。
 その先に明かりが見える。あれが出口だな。

 そのまま進み出口に近づくと、二人組の人影が外から入ってきた。
 逆光で顔がよく見えないが、冒険者のような装いだ。

「やっと会えたよ。タクとミ

 タクマとミオって……もしかして。

「あ、アーサーさんとメアリーさん?」

 ミアは驚き名前を口にする。
 それは俺達が一番会いたくない相手の名前だった。

「よかったよ。覚えていてくれたんだね。エルフからの要請で、タクミとミアを捕まえ……」
「きさまぁ、よくも仲間をぉぉぉ!」

 激情したカルラが、アーサーに向かって無詠唱で魔法を放つ。
 サッカーボールぐらいの大きさの炎の弾が、まわりの空気を歪めながら高速でアーサーを襲う。

 アーサーはメアリーさんの前に立ち、右手を前に突き出し炎の弾を受け止めた。
 その瞬間大爆発が起こり、衝撃が空気を伝搬しその後から爆風が周囲を吹き飛ばす。
 
 俺はミアの前で『心の壁』バリアで防ぐ。
 バリアの範囲から外れた壁に、衝撃で亀裂が走る。
 な、なんて威力だ。
 カルラのやつ、こんなに強かったのか。

 爆発により立ちこめた煙がおさまる。
 そこには、何ともなさそうな顔をしたアーサーの姿があった。

 右腕を中心に、上半身の服は焼け焦げていた。
 魔法を受け止めた右のてのひらは軽い火傷を負っている……ようにみえる。
 どうなっているんだ。血が一滴も流れていない。

「ちょっと待っ……」
「うるさい! おまえのせいでみんな死んだんだ!」

 アーサーの言葉を遮り、カルラが叫ぶ。
 その瞬間、ゲイルがどこからともなく現れ、アーサーの腹部を剣で切りつけた。
 完全にアーサーの意表を突いた攻撃。
 しかもあの剣は俺が攻撃力を『+95』に『改ざん』した『堅鋼アダマンタイトソード』だ。

 しかし、アーサーが切れた箇所は服が破れただけで、浅い切り傷しか見えなかった。

「ば、バカな……」

 ゲイルから声が漏れる。

 俺達は絶句した。
 確かにあの防御力には驚愕する。
 しかし、それ以上に異様なことが起きている。
 傷から血が一滴も流れていないのだ。

「みなさん、落ち着いて! まず話を聞いてください」

 メアリーさんの声が響く。

「タクミ、こいつらはカタキだ。止めるな!」

 カルラが、俺を睨む。
 瞳がギラギラと炎のように猛っている。
 
「タクさん、少しだけでも話を聞いて下さい」

 メアリーさんの声には、俺にすがるような焦りがあった。
 どちらの意見に耳を傾けるか……いや悩む必要はない。
 選択肢は最初からないに等しいからな。
 
「わかりました。話を聞きます。ただし、少し離れた距離でお願いします」

「タクミ!」

 カルラが俺に食い下がる。

「ゲイル! カルラを連れて少し離れてくれ」

 俺はミアの近くに移動する。

『タクミよ。ミアとつないだぞ。これで良いのだな?』

『ああ。ゲイル、ミア、二人ともありがとう。カルラ聞こえているよね。まずは落ち着いて。俺達の最優先事項は、カルラがゾフに戻り魔族と人族の戦争を止めること。ここで死んだら止められなくなる』
 
 カルラは苦々しい顔つきでアーサーを睨み、地団駄を踏む。
 
『……わかった。アイツは許さんが、今は話を聞こう』

 俺の予想だと、こちらから手を出さない限り戦闘にはならない。
 その証拠に、アーサーはどんなに攻撃されても一度も剣を手にしなかった。

 それに、今は戦っても勝てないだろう。
 まずアーサーの攻撃力が脅威だ。
 『心の壁』バリアでも防げるか怪しい。

 それ以上に脅威なのが、あの防御力だ。
 ただ硬いだけじゃない。スキルだろうな。
 正直な話、ダメージを与えられる気がしない。

 アーサーを見ると、傷は無くなっていた。
 回復力も尋常じゃないと……あいつ、本当に人間か?

 場に停戦の空気が流れる。
 それを察してか、アーサー達は少し後ろに下がる。
 そして、深々と頭を下げた。
 
「まずは謝罪を……王都ではあなたたち魔族の処刑に加担してしまい申し訳なかった」

「ふざけるんじゃないわよ! 謝って済むわけがないでしょうがっ!」

「私個人の言い訳はしない。だが、人族は魔族と敵対したいわけではない。背後にエルフの圧力があったのだ。それだけは伝えておきたい」

「圧力があろうと、加担したことには変わりないわ。特にあんたほどの実力があれば、止めることもできるわよね!」

「お兄様がど……」
「メアリーいいのだ。王女の言っていることは正しい」

 カルラの言葉に、何かを言い返そうとしたメアリーをアーサーが止めた。

「その通り、僕は止められたけど止めなかった。恨むなら僕を恨んでくれ。では、話の続きをする」

 ここからが本題だな。
 俺は念話で警戒を解かないよう全員に指示を出す。

 アーサーは全員を見渡す。
 
「ここに来た目的は、このエルフ族に仕組まれた人族と魔族の戦争を止めるためだ。エルフ族の圧力で、メルキド王よりタクミとミアを捕まえるよう命じられているが、魔族の捕縛は命じられていない」

 アーサーは俺とミアに顔を向ける。
 その目には同情というか哀れみのようなものが写っていた。
 
 え? マジか……
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