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第3章
第65話 褒美
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「くっくくくく。あははははは。オレの負けだ。まさかこんな短時間でここまで成長するとはな」
「終わりってことでいいですか?」
「ああ。これだけ戦えれば、残りのAランク魔物も倒せるだろう。新しいスキルの練習にもなる。ところでタネ明かしはしてくれるのかな?」
魔王がウインクをしながら言うと、俺とミアから笑みがこぼれる。
これまでの付き合いで、俺の魔王に対する印象は大きく変わっていた。
戦闘狂のヤバいヤツから、頼りになる兄貴という感じだな。
見た目がイタリア系ちょい悪イケメンなのも関係しているだろう。
戦闘のアドバイスも欲しかったので、俺とミアがスキルをどう使ったのかを簡単に説明した。
「かなり汎用性の高いスキルだな。火力に関しては攻撃系スキルに劣るが、相手からすると一番やっかいなスキルだ。特に『ルーター』は一度くらうと、次からは迂闊に攻撃できなくなる」
俺のスキル『ルーター』は、接触したモノの行き先を自由に変えられる。
魔王の攻撃を防いだ後、俺は自身に『ルーター』をかけた。
魔王が俺に触れたとき、魔王自身に戻すよう行き先を設定しておいたのだ。
つまり、魔王のパンチが俺に触れた瞬間、『ルーター』が『俺の顔面』から『魔王の顔面』に行き先を変えたのだ。
その結果、魔王は自分で自分の顔面をパンチすることになった。
ミアには、事前に『魔王の進行方向を俺』に設定した『ルーター』のざくろ石を渡しておいた。
俺が魔王と戦闘している間、そのざくろ石を使い俺達の周辺に『ルーター』を設置してもらっていたのだ。
ただ『ルーター』は、『対象』と『行き先』をスキル発動時に設定しておく必要がある。『対象』と『行き先』は、『スキャン』で取得した情報からしか選べないかった。
つまり、使うには事前準備が必要なのだ。
『対象』がどこまで含むのか? これについては、ミアと検証してある程度わかっている。接触しているモノに関しては『対象』に含まれるが、非接触なモノは『対象』に含まれなかった。
手に持っている剣は『対象』になるが、投げられた剣は『対象』にならないのだ。
スキル『ルーター』の性能はこんなところだ。
魔王が設置型のスキルと気づいて、ジャンプして脱出するのは予想していた。
方向は後ろだ。理由はさっきまで自分がいた場所なら、他の場所よりもトラップを仕掛けられている可能性が低いからな。
後はミアのスキル『現実絵画』の出番だ。
地面に『裂け目』、岩に『ミア』の『現実絵画』をかけた。
そして、周りの岩を絵とした『現実絵画』を自分にかけたのだ。
動くとスキルが解けるが、止まっている間は岩にしか思えなかった。
匂いや気配といったものが、全て岩の特徴で上書きされるのだ。ヤバすぎだろ。
——魔王から残りのランクAの魔物を狩る許可が出た。
魔王曰く、癖のある魔物。エルフや異世界人と対人戦になった場合、相手は魔道具やスキルを使ってくるだろう。だから丁度良いシミュレーションだ。
「くっくくく。タクミとミアは魔王のオレに勝ったのだ。褒美もないのでは魔王の沽券にかかわる。だからこれをくれてやろう。持って行け」
魔王の褒美は細身のバングル型のブレスレットだった。
魔銀で作られていた。
「これは収納の魔道具だ。頻繁に使うアイテムを出し入れするのに便利なのだ」
そう言うと、魔王は手を振る。
すると手には剣が握られていた。
そして、また手を振ると剣は消えていた。
「収納できる容量は少ないが、少ない動作で自由に取り出せる。特にざくろ石を欠かせないおまえ達には重宝するだろう。これは魔族の魔道具だから人族には使えん。だが、おまえ達ならなんとかできるのだろ?」
「なぜそう思ったんですか?」
「カルラからリドの認識阻害の魔道具は壊れたが、タクミが直してくれたと聞いた。壊れた魔道具は、魔族にしか直せん。ドワーフ族でも無理なのだ。それに『移動式魔法陣』『携帯念話機』のアーティファクトだ。あれはドワーフ族には作れん。作ったのはおまえ達なんだろ? そう考えると認識阻害の魔道具も、直したのではなくアーティファクト化したと考えるとつじつまが合う。違うか?」
ということは、昨日から気づいていたのか。
この魔王エンツォという男なら、俺達に何か無理強いさせたりするようなことはない気がする。
「はい。確かに俺とミアなら、そのバングルをアーティファクト化できます」
「なら問題ないな。次はこれだ。ざくろ石をランクに分けて用意しておいた。AランクとBランクは魔石が大きく使いづらいだろうから、ドワーフ族に頼んで加工してもらっておいた。後でゴンに礼を言っておけよ」
ここに来る前、ドワーフ王に用事があるとゴンヒルリムで待たされたのは、コレのためだったのか。
さすが魔王。仕事ができる男だ。
渡された袋からざくろ石を出す。
なんと! AとBランクが10個ずつ、C、Dランクは沢山あった。
これはありがたい。後でドワーフ王に念話でお礼を言わないとな。
「先に言っておく。無闇にざくろ石のランクを上げるなよ。普通ならそんな心配は不要だが、おまえ達ならやりかねないからな」
……確かに危なかったな。
もしSPを溜められる量を『改ざん』で増やして、その石を紛失したら世の中にSランクの魔物が生まれてしまう。
バングル型の収納魔道具をミアにアーティファクト化してもらい、『収納バングル』と名付けた。
4つもらったので、2人とも両手に装備した。
スキルを開発するときに、魔王が「ゾフに戻る用事ができた」って言ってたのは、もしかしてバングル型の収納魔道具を用意してくれていたのか?
「エンツォさん、このバングルありがとうございました。大切に使わせてもらいます」
「あ、ああ。……まあ安物だ。そんなモノで良ければいつでも用意してやる。お、オレは先の戦いの後片付けをしてくる。おまえ達は次の戦いの準備をしておけ!」
クルッと俺達を背にして、歩いて行ってしまった。
ミアがくすくす笑っている。
やっぱり、アレはツンデレってやつなのか?
俺達は『収納バングル』の使い方を練習しながら、『ざくろ石』にスキルを込め続けた。
準備が終わった頃には、魔王が夕食を用意してくれていた。
「終わりってことでいいですか?」
「ああ。これだけ戦えれば、残りのAランク魔物も倒せるだろう。新しいスキルの練習にもなる。ところでタネ明かしはしてくれるのかな?」
魔王がウインクをしながら言うと、俺とミアから笑みがこぼれる。
これまでの付き合いで、俺の魔王に対する印象は大きく変わっていた。
戦闘狂のヤバいヤツから、頼りになる兄貴という感じだな。
見た目がイタリア系ちょい悪イケメンなのも関係しているだろう。
戦闘のアドバイスも欲しかったので、俺とミアがスキルをどう使ったのかを簡単に説明した。
「かなり汎用性の高いスキルだな。火力に関しては攻撃系スキルに劣るが、相手からすると一番やっかいなスキルだ。特に『ルーター』は一度くらうと、次からは迂闊に攻撃できなくなる」
俺のスキル『ルーター』は、接触したモノの行き先を自由に変えられる。
魔王の攻撃を防いだ後、俺は自身に『ルーター』をかけた。
魔王が俺に触れたとき、魔王自身に戻すよう行き先を設定しておいたのだ。
つまり、魔王のパンチが俺に触れた瞬間、『ルーター』が『俺の顔面』から『魔王の顔面』に行き先を変えたのだ。
その結果、魔王は自分で自分の顔面をパンチすることになった。
ミアには、事前に『魔王の進行方向を俺』に設定した『ルーター』のざくろ石を渡しておいた。
俺が魔王と戦闘している間、そのざくろ石を使い俺達の周辺に『ルーター』を設置してもらっていたのだ。
ただ『ルーター』は、『対象』と『行き先』をスキル発動時に設定しておく必要がある。『対象』と『行き先』は、『スキャン』で取得した情報からしか選べないかった。
つまり、使うには事前準備が必要なのだ。
『対象』がどこまで含むのか? これについては、ミアと検証してある程度わかっている。接触しているモノに関しては『対象』に含まれるが、非接触なモノは『対象』に含まれなかった。
手に持っている剣は『対象』になるが、投げられた剣は『対象』にならないのだ。
スキル『ルーター』の性能はこんなところだ。
魔王が設置型のスキルと気づいて、ジャンプして脱出するのは予想していた。
方向は後ろだ。理由はさっきまで自分がいた場所なら、他の場所よりもトラップを仕掛けられている可能性が低いからな。
後はミアのスキル『現実絵画』の出番だ。
地面に『裂け目』、岩に『ミア』の『現実絵画』をかけた。
そして、周りの岩を絵とした『現実絵画』を自分にかけたのだ。
動くとスキルが解けるが、止まっている間は岩にしか思えなかった。
匂いや気配といったものが、全て岩の特徴で上書きされるのだ。ヤバすぎだろ。
——魔王から残りのランクAの魔物を狩る許可が出た。
魔王曰く、癖のある魔物。エルフや異世界人と対人戦になった場合、相手は魔道具やスキルを使ってくるだろう。だから丁度良いシミュレーションだ。
「くっくくく。タクミとミアは魔王のオレに勝ったのだ。褒美もないのでは魔王の沽券にかかわる。だからこれをくれてやろう。持って行け」
魔王の褒美は細身のバングル型のブレスレットだった。
魔銀で作られていた。
「これは収納の魔道具だ。頻繁に使うアイテムを出し入れするのに便利なのだ」
そう言うと、魔王は手を振る。
すると手には剣が握られていた。
そして、また手を振ると剣は消えていた。
「収納できる容量は少ないが、少ない動作で自由に取り出せる。特にざくろ石を欠かせないおまえ達には重宝するだろう。これは魔族の魔道具だから人族には使えん。だが、おまえ達ならなんとかできるのだろ?」
「なぜそう思ったんですか?」
「カルラからリドの認識阻害の魔道具は壊れたが、タクミが直してくれたと聞いた。壊れた魔道具は、魔族にしか直せん。ドワーフ族でも無理なのだ。それに『移動式魔法陣』『携帯念話機』のアーティファクトだ。あれはドワーフ族には作れん。作ったのはおまえ達なんだろ? そう考えると認識阻害の魔道具も、直したのではなくアーティファクト化したと考えるとつじつまが合う。違うか?」
ということは、昨日から気づいていたのか。
この魔王エンツォという男なら、俺達に何か無理強いさせたりするようなことはない気がする。
「はい。確かに俺とミアなら、そのバングルをアーティファクト化できます」
「なら問題ないな。次はこれだ。ざくろ石をランクに分けて用意しておいた。AランクとBランクは魔石が大きく使いづらいだろうから、ドワーフ族に頼んで加工してもらっておいた。後でゴンに礼を言っておけよ」
ここに来る前、ドワーフ王に用事があるとゴンヒルリムで待たされたのは、コレのためだったのか。
さすが魔王。仕事ができる男だ。
渡された袋からざくろ石を出す。
なんと! AとBランクが10個ずつ、C、Dランクは沢山あった。
これはありがたい。後でドワーフ王に念話でお礼を言わないとな。
「先に言っておく。無闇にざくろ石のランクを上げるなよ。普通ならそんな心配は不要だが、おまえ達ならやりかねないからな」
……確かに危なかったな。
もしSPを溜められる量を『改ざん』で増やして、その石を紛失したら世の中にSランクの魔物が生まれてしまう。
バングル型の収納魔道具をミアにアーティファクト化してもらい、『収納バングル』と名付けた。
4つもらったので、2人とも両手に装備した。
スキルを開発するときに、魔王が「ゾフに戻る用事ができた」って言ってたのは、もしかしてバングル型の収納魔道具を用意してくれていたのか?
「エンツォさん、このバングルありがとうございました。大切に使わせてもらいます」
「あ、ああ。……まあ安物だ。そんなモノで良ければいつでも用意してやる。お、オレは先の戦いの後片付けをしてくる。おまえ達は次の戦いの準備をしておけ!」
クルッと俺達を背にして、歩いて行ってしまった。
ミアがくすくす笑っている。
やっぱり、アレはツンデレってやつなのか?
俺達は『収納バングル』の使い方を練習しながら、『ざくろ石』にスキルを込め続けた。
準備が終わった頃には、魔王が夕食を用意してくれていた。
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