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第3章
第71話 クズハ
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これまでの展開に付いていけないのか、魔王は手を額にあて空を仰ぐ。九尾のマリさんは理解ができずにウロウロし始めた。
ミアのモフモフ好きを甘く見ていた。
九尾は単独で行動していると言っていたよな。
開き直って、本人さえよければ連れて行ってもいいのか?
「エンツォさん、もし本人の意思で付いてきたい場合は、連れて行ってもいいんでしょうか?」
「……その魔物の性格によるな。ただ、九尾は非常に知能が高い。躾けがきちんとできれば連れ歩くのも可能だが、被害を出した場合はおまえ達の責任になると思え」
「ワッチは良い子でありんす。迷惑なんてかけんせん。絶対に役に立つから連れて行っておくんなんし」
……このしゃべり方はどうなってるんだ?
「ミア、狐がしゃべるとしたら、どんな口調が似合うと思う?」
「狐ってなんか妖艶というか……ちょうどあんな感じのしゃべり方ですね」
やっぱりミアの影響か。
納得したけど、狐姿でその話し方はギャップがすごいな。
あっ、いいこと思いついた。
「人の姿に化けられる? そうすると連れて行きやすい」
「ほんとでありんすか! 化けるのは得意でありんす!」
そう言うと、ポンッと煙が全身を包む。
そして巫女姿をした6歳児ぐらいの女の子が現れた。
髪は金髪で透き通るような白い肌だった。
それにしても、なぜ巫女姿? なぜ金髪なんだ?
マリさんをよく見ると、毛の色は白金色。
なるほどな、だから金髪なのか……
「ミア、狐が人に化けるとしたら、どんな服が似合うと思う?」
「……巫女姿なんて素敵かと。お稲荷さんつながりでしょうか」
間違いない。これもミアの影響だ。
翻訳だけかと思ったけど、なんかいろいろ影響が出ているな。
ミアのテンションに合わせて、イメージも暴走したのか?
「タクミっち。どうでありんすか?」
「お、おう。かわいいぞ。っていうか……これなんだ?」
俺は頭に付いている寝癖のようなモノに触ってみた。
ピク、ピクピク。寝癖のようモノがピッと起き上がる。それは狐の耳だった。
「ぬぁぁ! なんだ、耳? これがケモ耳ってやつか!?」
「あわわ、あわわわ。何するんでありんすか! せっかく隠していたのに」
「……尻尾も出ているぞ」
「タクミっちが触るからでありんす。お触り厳禁なのに……ミアっちに怒ってもらいんす」
なんかプンプン怒っているけど、かわいいな。
ミアのジト目が気になるが、今のは不可抗力の事故だ。
動揺や興奮すると、いろいろ解除されるのかな?
「それでどうするのだ。連れていくのか? こんな見た目だが強いぞ。しっかり手綱を握らなければ大惨事になるのを忘れるな」
俺はミアを見ると、二人は手を強く握り合って不安そうな顔をしていた。
どうやら連れて行かない選択肢はなさそうだ。
「名前はあるのか? 名前がないと呼びづらいからな。これからの生活に不便だろ?」
「「やったー!!」」
二人は笑顔で抱き合いながら飛び跳ねる。
そして、巫女姿の女の子は俺に飛びついた。
「タクミっち大好き! ワッチに名前はありんせん。名前をつけておくんなんし」
「うーん。九ちゃん。ナインとか……は安直ですよね。ミアさんお願いします」
ケモ耳がどんどん垂れ下がったのでウケは悪かったようだ。
ナインとか意外にありかと思ったんだけどな。
「ふっふふふ。実は既に名前は決めていたのです。葛葉はどうでしょうか? 伝説の狐の名前ですよ」
ケモ耳がピンっと立ち満面の笑みを浮かべている。
「よしっ! 名前は『クズハ』に決定。クズハ、よろしくな!」
ふぅ……それにしてもおかしい。
何が起きているのかわからないが、ミアがやらかしたとしか思えない。
クズハがあまりにも、ミアのイメージ通りすぎる。
まさか……食べさせたのはアーティファクトではなく、ただのおやつ?
ブラッシングしているときに、スキル『デフォルメ』を九尾に使ったんじゃないのか?
けど、ミアの態度を見る限り、意図的に使った気配はないんだよな。
そうなるとモフモフに興奮して本人も気づかないうちに使ってた可能性が高い。こんなことができたらいいな~ あんなことしたいな~ というブラッシング中の妄想が、全てクズハに注ぎ込まれたのでは……
うん。これ以上深く考えるのは止めよう。
クズハが仲間になった。それでいいじゃないか。
……聞かなかったことにしたかったけど、念のため確認しておくか。
「ミア、クズハの名前の由来ってなんなの? 伝説の狐の名前とか言ってたけど」
「陰陽師で有名な安倍晴明って聞いたことありませんか? 母親が狐だったという言い伝えがあるんです。その狐の名前が『葛の葉』。その名前を頂きました!」
ぐはっ……安倍晴明って、どんだけ強キャラもってくるのよ!
その母親って、ミアの中でどんなイメージになっているんだろうか。
……クズハをここに置いていってたら、世界が危なかったかもしれん。
魔王の視線がさっきから痛すぎる。
口には出さないが、アレは何か思うところがある顔だ。
いろいろ問題が発覚する前に、早くこの場から逃げ出そう。
「よし、そろそろ行こう。マリさん身体をお大事にしてください。では行ってきます!」
俺はミアとクズハの手を引っ張り、急いでここから離れることにした。
ミアのモフモフ好きを甘く見ていた。
九尾は単独で行動していると言っていたよな。
開き直って、本人さえよければ連れて行ってもいいのか?
「エンツォさん、もし本人の意思で付いてきたい場合は、連れて行ってもいいんでしょうか?」
「……その魔物の性格によるな。ただ、九尾は非常に知能が高い。躾けがきちんとできれば連れ歩くのも可能だが、被害を出した場合はおまえ達の責任になると思え」
「ワッチは良い子でありんす。迷惑なんてかけんせん。絶対に役に立つから連れて行っておくんなんし」
……このしゃべり方はどうなってるんだ?
「ミア、狐がしゃべるとしたら、どんな口調が似合うと思う?」
「狐ってなんか妖艶というか……ちょうどあんな感じのしゃべり方ですね」
やっぱりミアの影響か。
納得したけど、狐姿でその話し方はギャップがすごいな。
あっ、いいこと思いついた。
「人の姿に化けられる? そうすると連れて行きやすい」
「ほんとでありんすか! 化けるのは得意でありんす!」
そう言うと、ポンッと煙が全身を包む。
そして巫女姿をした6歳児ぐらいの女の子が現れた。
髪は金髪で透き通るような白い肌だった。
それにしても、なぜ巫女姿? なぜ金髪なんだ?
マリさんをよく見ると、毛の色は白金色。
なるほどな、だから金髪なのか……
「ミア、狐が人に化けるとしたら、どんな服が似合うと思う?」
「……巫女姿なんて素敵かと。お稲荷さんつながりでしょうか」
間違いない。これもミアの影響だ。
翻訳だけかと思ったけど、なんかいろいろ影響が出ているな。
ミアのテンションに合わせて、イメージも暴走したのか?
「タクミっち。どうでありんすか?」
「お、おう。かわいいぞ。っていうか……これなんだ?」
俺は頭に付いている寝癖のようなモノに触ってみた。
ピク、ピクピク。寝癖のようモノがピッと起き上がる。それは狐の耳だった。
「ぬぁぁ! なんだ、耳? これがケモ耳ってやつか!?」
「あわわ、あわわわ。何するんでありんすか! せっかく隠していたのに」
「……尻尾も出ているぞ」
「タクミっちが触るからでありんす。お触り厳禁なのに……ミアっちに怒ってもらいんす」
なんかプンプン怒っているけど、かわいいな。
ミアのジト目が気になるが、今のは不可抗力の事故だ。
動揺や興奮すると、いろいろ解除されるのかな?
「それでどうするのだ。連れていくのか? こんな見た目だが強いぞ。しっかり手綱を握らなければ大惨事になるのを忘れるな」
俺はミアを見ると、二人は手を強く握り合って不安そうな顔をしていた。
どうやら連れて行かない選択肢はなさそうだ。
「名前はあるのか? 名前がないと呼びづらいからな。これからの生活に不便だろ?」
「「やったー!!」」
二人は笑顔で抱き合いながら飛び跳ねる。
そして、巫女姿の女の子は俺に飛びついた。
「タクミっち大好き! ワッチに名前はありんせん。名前をつけておくんなんし」
「うーん。九ちゃん。ナインとか……は安直ですよね。ミアさんお願いします」
ケモ耳がどんどん垂れ下がったのでウケは悪かったようだ。
ナインとか意外にありかと思ったんだけどな。
「ふっふふふ。実は既に名前は決めていたのです。葛葉はどうでしょうか? 伝説の狐の名前ですよ」
ケモ耳がピンっと立ち満面の笑みを浮かべている。
「よしっ! 名前は『クズハ』に決定。クズハ、よろしくな!」
ふぅ……それにしてもおかしい。
何が起きているのかわからないが、ミアがやらかしたとしか思えない。
クズハがあまりにも、ミアのイメージ通りすぎる。
まさか……食べさせたのはアーティファクトではなく、ただのおやつ?
ブラッシングしているときに、スキル『デフォルメ』を九尾に使ったんじゃないのか?
けど、ミアの態度を見る限り、意図的に使った気配はないんだよな。
そうなるとモフモフに興奮して本人も気づかないうちに使ってた可能性が高い。こんなことができたらいいな~ あんなことしたいな~ というブラッシング中の妄想が、全てクズハに注ぎ込まれたのでは……
うん。これ以上深く考えるのは止めよう。
クズハが仲間になった。それでいいじゃないか。
……聞かなかったことにしたかったけど、念のため確認しておくか。
「ミア、クズハの名前の由来ってなんなの? 伝説の狐の名前とか言ってたけど」
「陰陽師で有名な安倍晴明って聞いたことありませんか? 母親が狐だったという言い伝えがあるんです。その狐の名前が『葛の葉』。その名前を頂きました!」
ぐはっ……安倍晴明って、どんだけ強キャラもってくるのよ!
その母親って、ミアの中でどんなイメージになっているんだろうか。
……クズハをここに置いていってたら、世界が危なかったかもしれん。
魔王の視線がさっきから痛すぎる。
口には出さないが、アレは何か思うところがある顔だ。
いろいろ問題が発覚する前に、早くこの場から逃げ出そう。
「よし、そろそろ行こう。マリさん身体をお大事にしてください。では行ってきます!」
俺はミアとクズハの手を引っ張り、急いでここから離れることにした。
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