『スキルの素』を3つ選べって言うけど、早いもの勝ちで余りモノしか残っていませんでした。※チートスキルを生み出してバカにした奴らを見返します

ヒゲ抜き地蔵

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第3章

第72話 妖術

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 クズハが耳をピクピクさせて、周囲の魔物を探してくれている。

「あっちに魔物がいましんす」

 どうやら人の姿が気に入ったらしく「ここでは九尾に戻ってもいいぞ」と言っても、そのまま人の姿でいる。

 クズハが歩くのを止めて、右前方の巨木を指した。
 俺は『スキャン』と『ping』を使う。
 クズハが指した巨木はエルダートレントだった。

「クズハの戦い方が見たい。1人でも倒せそうか?」

「ワッチ1人でも倒せる相手だから大丈夫でありんす」

 戦う前からドヤ顔している。
 クズハはSランクの魔物だから余裕だろう。

「じゃあ、俺達はここで見ているから倒してきて。少しでも危険があったら助けに入るからな」

 クズハは頷き、ゆっくりと巨木の魔物エルダートレントに向かって歩き出す。
 そして右手をエルダートレントに向けて突き出し、何かもにょもにょと唱えている。園児の劇をみているようで心がほっこりする。

虚空こくう!」

 バリッ!と乾いた音とともに、エルダートレントの幹に中心にポッカリと巨大な穴が空く。
 ミシッミシッと音がした後、エルダートレントは重さに耐えられず、真っ二つに折れた。

「い、一撃! というか今の何?」
「クーちゃん凄すぎ!」

 俺達が驚いていると、こっちを振り向きクズハがにいっと笑った。
 反則級の強さと可愛さだな。
 ん? まて、まだ黒い煙になっていないぞ。

「クズハ、まだだ!」

 俺が声を出すのと同時に、突如地面から突き出した根がクズハを横殴りした。
 吹っ飛んだクズハの方へミアが駆け出す。

 俺は真っ二つに折れたエルダートレントの根元へ走った。
 『ping』の赤い靄は、根元の方に出ていたからだ。

 SPを10消費しライトセーバーの光刃を伸ばし、木の根元に突き刺した。
 その間に複数の根が地表を突き破り、ムチのように俺を襲うが『心の壁』バリアで防ぐ。
 少しすると樹や根が黒い霧に変わり、魔石が落ちた。

 俺はミアとクズハの元に急いで駆け寄る。

「クズハは大丈夫? 怪我の様子はどう?」

「気を失ってます。外傷はないですけど、肋骨が折れてるみたいです。どうしましょうか?」

「う、うぅ……。お腹が痛いでありんす。油断しんした。……『癒水ゆみず』」

 クズハは折れた肋骨の箇所に手を添えて妖術を唱えた。
 スライムのような球状の水が出現し、折れた箇所を覆う。
 そして少しすると水は消え、クズハは何事もなかったかのように立ち上がった。

「心配おかけしんした。もう大丈夫でありんす。次の魔物を退治しにいきんしょう」

「クーちゃん、骨が折れていたと思うけど治ったの!?」

「はい。ワッチの妖術で治しんした」

 さらって言ったけど、とんでもないことだ!
 内蔵がぐちゃぐちゃになっても治るのか?
 九尾のマリさんは、魔王に内蔵ひとつひとつポーションかけて治してもらってたぞ。

「マリさんは今の妖術は使えないみたいだったけど、クズハのユニークスキルなのか?」
 
「知らないうちに妖術が使えるようになりんした。ミアのおかげだと思いんす」

「わたしは何もしてないよ。クーちゃんが凄いんだよ!」

 いや、ミアがやってるからね。

 クズハはミアの腰に抱きつき、ミアは頭をなでなでしている。
 おかしい。ここは戦場じゃなかったのか。
 心が癒やされてしまうんですけど。

 それにしても、妖術はチートだけど打たれ弱いな。
 あの服は妖術だから、スキル『改ざん』で防御力を上げられないからな。
 ゾフに戻ってから服でも買うか。
 今は、近接戦闘は避けさせよう。

「それにしても妖術の威力はすごいな。どのぐらいの回数を使えるんだ?」

「あと2回ぐらいでありんす」

 え? たったそれだけなのか。
 妖術はかなり燃費が悪いみたいだな。

「今倒したAランクの魔石を食べて、魔力がどのぐらい回復するか教えてくれ」

 俺はエルダートレントの魔石をクズハに渡す。
 クズハはバリッボリッと音を立てながら魔石を食べる。

「この魔石に含まれている魔力で、2回分ぐらい回復しんすね」

「なるほど……じゃあ、今度から倒した魔石は全部クズハにあげる。魔力の回復もあるけど、魔物として成長できるからな。あっ、それとミア、今のレベル教えて」

「えーっと、レベルは56です。いつの間にこんなに上がってたんでしょうか?」

「フェンリルを倒したときに、ラストアタックはミアだったよね。俺も同じだけレベルが上がっていた。……次からの戦い方なんだけど、俺とミアは相手を倒さなくていいから、その場の全ての魔物に一太刀あたえることを優先する。最後はクズハの広範囲火力の妖術で殲滅しよう。それがレベル上げに効率が良さそうだ」

 クズハに良さそうな狩り場を聞くと、巨人族のエリアを提案された。
 周りに他の魔物が少ないのと、あまり群れていないので囲まれる心配が少ないらしい。
 俺達は巨人族が出没する狩り場へ向かうことにした。

 ◇

 ——クズハの案内で巨人族が出没するエリアに到着した。
 早速、サイクロプスが俺達を見つけ近寄ってくる。
 肌は薄い青色で目が単眼だ。巨人というだけあって5メートルぐらいの高さがある。
 ただ、乗せてもらっているドラゴンの方が大きいので、あまり迫力を感じない。

 正直普通に戦って勝てる自信はあるが、ここからは時短でいきたい。
 予定通り俺とミアは軽くダメージを与え、クズハの火力で殲滅する。
 
 サイクロプスが大きな手で俺を掴もうとしてきたので、『心の壁』バリアで軽く反らす。その隙にサイクロプスの脇を通り過ぎながら、俺とミアはライトセーバーで足を斬りつける。
 痛みで叫ぶサイクロプス。そして……

「死んでおくんなんし。『雷電』」

 クズハのてのひらから稲妻がサイクロプスめがけて走る。
 空気が破裂するような音と衝撃が俺達にも届き、サイクロプスは黒い煙となって消えた。
 クズハは魔石を拾い、すぐに魔力を補給するためにかじっていた。

「クズハ、ナイスだ! とても助かるよ。けど、ちょっとタイミングが早いかな。俺達がもう少し離れてから妖術は使おうね」

「わーい。褒められんした! タクミっちに褒められんした!」

 ……聞いてないし。
 油断するとフレンドリーファイヤで死ぬ危険があるから、クズハが妖術使うときは『心の壁』バリアは必須だな。ミアにも言っておかないと。
 けど、これはかなりの時短になるな。

「クーちゃん、次はどっち?」

 クズハは魔石をかじりながらミアの手を引っぱり、次の魔物のいる方へ案内してくれた。
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