1 / 26
翔太
再会
またあいつ、ニコニコ笑ってやがる。
何もおかしくなんかないのに。
「おい、早く答えろよ!まどろっこしいんだよ。啞ヤロー!」
「きめーんだよ!幼稚園児が使うみてーな落書き帳使ってんじゃねーよ!」
あいつの落書き帳が投げ捨てられ、蹴り飛ばされている。
アイツはそんな事をされてもニコニコ笑ったまま、あちこちに蹴り飛ばされる落書き帳を拾おうと追いかけている。
足を引っ掛けられて転ばされ、そのまま這いずるように落書き帳を掴んで、大事そうにそれを胸に抱えて笑っている。
ずっと、顔に淡い微笑みを張り付けて、あいつはいつも心では泣いている。
泣けば良いのに。
怒れば良いのに。
声を失ったあいつは、じっと黙ったまま笑っている。
昔はそんな奴じゃなかった。
初めて会った時のあいつは、身体を動かすことが大好きで、元気いっぱいで、お喋りも大好きだった。
こんな嘘くさい笑顔じゃなく、花が開くように顔中で笑った。よく怒ったし、よく泣いたし、明るかった。
高校で5年ぶりに再開した時には声も表情も失っていた。張り付いたような笑顔も、ふとした瞬間に真顔になる時も、どっちも同じくらい無表情だ。
こんな奴じゃなかったのに。
もっとキラキラと明るく、眩しいくらい美しく笑う奴だったのに。
何もおかしくなんかないのに。
「おい、早く答えろよ!まどろっこしいんだよ。啞ヤロー!」
「きめーんだよ!幼稚園児が使うみてーな落書き帳使ってんじゃねーよ!」
あいつの落書き帳が投げ捨てられ、蹴り飛ばされている。
アイツはそんな事をされてもニコニコ笑ったまま、あちこちに蹴り飛ばされる落書き帳を拾おうと追いかけている。
足を引っ掛けられて転ばされ、そのまま這いずるように落書き帳を掴んで、大事そうにそれを胸に抱えて笑っている。
ずっと、顔に淡い微笑みを張り付けて、あいつはいつも心では泣いている。
泣けば良いのに。
怒れば良いのに。
声を失ったあいつは、じっと黙ったまま笑っている。
昔はそんな奴じゃなかった。
初めて会った時のあいつは、身体を動かすことが大好きで、元気いっぱいで、お喋りも大好きだった。
こんな嘘くさい笑顔じゃなく、花が開くように顔中で笑った。よく怒ったし、よく泣いたし、明るかった。
高校で5年ぶりに再開した時には声も表情も失っていた。張り付いたような笑顔も、ふとした瞬間に真顔になる時も、どっちも同じくらい無表情だ。
こんな奴じゃなかったのに。
もっとキラキラと明るく、眩しいくらい美しく笑う奴だったのに。
あなたにおすすめの小説
邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ
零
BL
鍛えられた肉体、高潔な魂――
それは選ばれし“供物”の条件。
山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。
見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。
誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。
心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。