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高校生活
邂逅
ある夕方、いつものように桜亮が渡り廊下で翔太を眺めようと窓から身を乗り出して目を凝らしても、プールには翔太の姿がなかった。翔太は今日登校していたし、放課後は部活に向かう様子だった。水泳部はプールでいつも通りに練習していた。
どうしたのだろう。桜亮は心配になった。具合でも悪くなって帰ったのだろうか。でも、そりゃあ、本物の翔太は生身の人間なんだから、そういうこともあるか、桜亮はしばらく待ったが諦めて、帰ることにした。今日は、篤太郎様に言われて旅館で複数の男達のお相手をしないといけない日だった。征太郎に連れられてそこに行く予定だ。翔太を一目見てから行きたかった。輪姦されている間ずっと、プールで泳ぐ翔太の顔を思い浮かべて気を紛らわそうと思っていた。相手が誰か、何人いるのかも分からないのは、いくら犯される事にも輪姦される事にももう慣れたとはいえ、いつも怖くて逃げ出したい気持ちになった。
「はぁー」
大きな溜息を一つついて、桜亮は下駄箱に向かった。
渡り廊下を渡り切って曲がるとすぐに、翔太がいた。
驚いた桜亮が息を飲み、逃げ出そうとするよりも一瞬早く、翔太は桜亮の前に立ちはだかってその腕を掴んだ。
「ン゛ッ!!??」
喉の奥で息が詰まった。
「逃げないで!桜亮!!」
翔太は折れそうに細い桜亮の腕を掴んだまま言った。振り解こうと踠くうちに桜亮は壁に追い詰められ、翔太は桜亮の片腕を掴んで壁に縫い付けたままそっと桜亮を抱きしめた。
なんで?
やめて…
あまりの事に桜亮は頭が真っ白になって、その場にズルズルとしゃがみ込んだ。
逃げなきゃ…
だめ、オレの身体は汚いから、触っちゃダメだよ、翔太。
逃げなきゃ…
でも足に力が入らず、立ち上がる事ができなかった。
「桜亮、ごめん。ずっと桜亮に謝りたかった。あの時、桜亮と逃げられずに、それで、それで、自分だけ逃げて、ごめん、桜亮。ごめんなさい。許して。」
桜亮は驚いてしまった。そんな事を、翔太はずっと気に病んでいたのだろうか。翔太が佐田のばあちゃんを見捨てられるはずがないのに、あんな事を言った自分が悪いのだ。桜亮はずっとそう思っていた。
桜亮は首を振った。激しく首を横に振りながら、桜亮は慌てて背負っていた鞄を開けて、落書き帳を取り出した。早く伝えなきゃ。時間切れになる前に、書かなきゃ。悪いのは自分で、翔太は何にも悪くないって。焦れば焦るほど、桜亮の手は震えてうまく書けなかった。
それで仕方なく、桜亮は1ページ目をめくった。
『ごめんなさい』
桜亮は必死にそれを翔太に見せた。
ごめんなさい。
翔太は何も悪くない。
悪いのはオレだよ。オレだけだよ。
それを見た翔太は泣きながら落書き帳をひったくると桜亮を再び強く抱きしめた。
「桜亮!目を覚まして!桜亮は何も悪くない。笑うなよ!桜亮!そんな顔して笑うな!桜亮は、桜亮は…」
桜亮はもう、どうして良いのかわからなくなった。早く帰らないと、征太郎様に怒られる。早く翔太から逃げないと。全部バレちゃう前に。オレがもう、ただの薄汚れた人形だってバレちゃう前に、翔太の前から消えないと。
「桜亮、逃げないで。桜亮、好きなんだ。お前のこと、ずっと、ずっと好きなんだよ。」
翔太の声が頭の中に響いた。
ああ、これはいよいよ幻覚だ。
桜亮はついに自分が狂ったのだと思った。
そのまま、桜亮は意識を失った。
どうしたのだろう。桜亮は心配になった。具合でも悪くなって帰ったのだろうか。でも、そりゃあ、本物の翔太は生身の人間なんだから、そういうこともあるか、桜亮はしばらく待ったが諦めて、帰ることにした。今日は、篤太郎様に言われて旅館で複数の男達のお相手をしないといけない日だった。征太郎に連れられてそこに行く予定だ。翔太を一目見てから行きたかった。輪姦されている間ずっと、プールで泳ぐ翔太の顔を思い浮かべて気を紛らわそうと思っていた。相手が誰か、何人いるのかも分からないのは、いくら犯される事にも輪姦される事にももう慣れたとはいえ、いつも怖くて逃げ出したい気持ちになった。
「はぁー」
大きな溜息を一つついて、桜亮は下駄箱に向かった。
渡り廊下を渡り切って曲がるとすぐに、翔太がいた。
驚いた桜亮が息を飲み、逃げ出そうとするよりも一瞬早く、翔太は桜亮の前に立ちはだかってその腕を掴んだ。
「ン゛ッ!!??」
喉の奥で息が詰まった。
「逃げないで!桜亮!!」
翔太は折れそうに細い桜亮の腕を掴んだまま言った。振り解こうと踠くうちに桜亮は壁に追い詰められ、翔太は桜亮の片腕を掴んで壁に縫い付けたままそっと桜亮を抱きしめた。
なんで?
やめて…
あまりの事に桜亮は頭が真っ白になって、その場にズルズルとしゃがみ込んだ。
逃げなきゃ…
だめ、オレの身体は汚いから、触っちゃダメだよ、翔太。
逃げなきゃ…
でも足に力が入らず、立ち上がる事ができなかった。
「桜亮、ごめん。ずっと桜亮に謝りたかった。あの時、桜亮と逃げられずに、それで、それで、自分だけ逃げて、ごめん、桜亮。ごめんなさい。許して。」
桜亮は驚いてしまった。そんな事を、翔太はずっと気に病んでいたのだろうか。翔太が佐田のばあちゃんを見捨てられるはずがないのに、あんな事を言った自分が悪いのだ。桜亮はずっとそう思っていた。
桜亮は首を振った。激しく首を横に振りながら、桜亮は慌てて背負っていた鞄を開けて、落書き帳を取り出した。早く伝えなきゃ。時間切れになる前に、書かなきゃ。悪いのは自分で、翔太は何にも悪くないって。焦れば焦るほど、桜亮の手は震えてうまく書けなかった。
それで仕方なく、桜亮は1ページ目をめくった。
『ごめんなさい』
桜亮は必死にそれを翔太に見せた。
ごめんなさい。
翔太は何も悪くない。
悪いのはオレだよ。オレだけだよ。
それを見た翔太は泣きながら落書き帳をひったくると桜亮を再び強く抱きしめた。
「桜亮!目を覚まして!桜亮は何も悪くない。笑うなよ!桜亮!そんな顔して笑うな!桜亮は、桜亮は…」
桜亮はもう、どうして良いのかわからなくなった。早く帰らないと、征太郎様に怒られる。早く翔太から逃げないと。全部バレちゃう前に。オレがもう、ただの薄汚れた人形だってバレちゃう前に、翔太の前から消えないと。
「桜亮、逃げないで。桜亮、好きなんだ。お前のこと、ずっと、ずっと好きなんだよ。」
翔太の声が頭の中に響いた。
ああ、これはいよいよ幻覚だ。
桜亮はついに自分が狂ったのだと思った。
そのまま、桜亮は意識を失った。
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