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お願いしますと頭を下げながら、彼の頭の中には答えの出ない問いで溢れていた。
人権……
国語辞典に載っていた人権という言葉は、彼にはよく分からなかった。自分には関係のないもののような気がした。今でも、そんな気がする。夏目先生は、今も僕は人権を持っているって言うけれど、それならどうして僕はここに閉じ込められているのだろう。僕の事は僕が決められる、それが人権だと先生は言った。それならば、僕はもうここを出て行っても良いのだろうか。
よく分からなかった。でもここを出て、僕はどうするのだろう。森が、あの、昔一度だけ見せてもらえた、あの、蛍のいる森が、どこにあるのかは分からない。
ここを出て独りで森を探す事を想像したら、彼はとたんに怖くなった。昔、混み合う美術館でおじ様とはぐれてしまった時の事を思い出した。
あの時、睡蓮の花を描いた絵のあまりの美しさに見惚れてしまって、気付いた時にはおじ様がどこにいるのか分からなかった。自分がたった独りでここにいると分かった瞬間、足元から崩れ落ちそうな恐怖に襲われて、彼はそこから動けなかった。見渡してもおじ様の姿はなく、彼は、探さなきゃと焦ったが、焦れば焦るほど恐怖で足が動かずその場に立ち尽くした。様子がおかしいと、美術館のスタッフに声をかけられると、彼の恐怖はますます増した。おじ様以外の人と話してはいけないといつも言われていた彼は、スタッフの問いかけに一言も言葉を発しなかったから、スタッフは手を引いて彼を控え室に連れて行こうとした。どこかに連れ去られると思った彼はパニックになり、
「おじ様!!助けて!」
と叫んだ。それを聞いたおじ様が迎えに来てくれて無事に帰れたけれど、帰ってから、怒り狂ったおじ様に彼は鞭で何時間も打ち据えられた。数を数えさせられながら鞭打たれ、痛みで朦朧としてカウントし損じると1からやり直しを命じられた。そのため彼は痛みを誤魔化すために空想に逃避する事もできず、立っていられなくなって蹲ることも許されなかった。何度も意識を失っては平手打ちで目覚めさせられて、尻からも背中からも血が流れてもおじ様は鞭打つのをやめなかった。
「わざとだろ?逃げようとしたんだな?」
そう言われて、彼は驚いた。そんなはずはないのに。おじ様に置いて行かれたと思って、どれだけ怖かったか。迎えに来てくれて、どれだけ安心したか。
何度言っても、おじ様は鞭打つ手を止めなかった。許してくださいと、何度懇願しても、許されなかった。最後には彼は痛みすら感じなくなり、全身は震えを抑えられず、もう死ぬんだと思いながら意識を失って、平手打ちをされても目を覚まさなかった。
次に意識を取り戻した時には、息をするだけで全身が痛み、傷の炎症からか高熱に苦しめられた。その時初めて、彼は医師の診察を受けた。やり過ぎたと焦ったおじ様が友人の医師を呼んだのだ。その男はそれからも度々おじ様に呼ばれて彼を診察した。男達の友情はその後ろ暗い性的欲望で繋がっており、秘密はどこにも漏れなかった。医師の男はその2年後、おじ様の寵愛を失った彼を頻繁に抱いた。
その時の鞭の傷は、今でも彼の背中や腰、尻に残っている。高熱は何日も続き、彼は文字通り命を落としかけた。その時彼は、10歳になったばかりだった。その後何度も彼を死の淵まで追いやった壮絶な暴力の、それは最初の出来事だった。
あの時の恐怖を、彼は思い出した。いつ終わるか分からない痛みの記憶と共に。
あの時も、僕には人権というものがあったのだろうか。彼は考えた。もしそうだとしたら、なぜ自分はあんなにひどく打たれねばならなかったのか。僕は逃げようとなんてしなかったのに。
いや、逃げなかったから、打たれたのだろうか。
あの時逃げていたら、僕は奴隷をやめられたのだろうか。なぜ、僕はおじ様の奴隷になったのだろうか。
考えても考えても分からなかった。
長い間、男達の、性欲を放つ穴でしかなかった自分の、どこに人権があったのだろう。もしあったとしたら、なぜ奪われてしまったのだろう。
なぜ…という問いは、彼を混乱させ、彼は無力感に苛まれた。
ここからも、逃げる事はできない。
どこからも、逃げられなかったように。
あんな美しい森なんて、本当はどこにも無いのかもしれない。
ならば、今まで囚われた場所の中では、ここが一番マシかもしれない。
今の所は。
彼の出生とその後の人生は、おじ様と彼が呼んでいた男の逮捕によって突然明らかになった。弁護士が就籍の手続きをし始めた矢先の事だった。隣の県で国立大学の教授が未成年者淫行の疑いで逮捕された。その男は数学の世界では著名な学者だったため、そのニュースは大きく報道された。
ある日、10歳の少年が交番に来た。
助けて欲しい、母親の家に帰りたい、と泣きじゃくるその少年は、清潔でちゃんとした身なりをしていたが、靴を履いていなかった。
警官達は当初は単純な迷子かと思っていたが、その少年がおじ様と呼ぶ男に性的行為を強要されていたと聞き、只事じゃないと考えた。少年は母親に連れられて毎週その男のマンションに通っており、夏休みはずっとそのマンションで過ごしたと言う。その間毎日、おじ様に肛門性交を含むあらゆる性的虐待をされていた。夏休みが終わって、ようやく家に帰れると思ったが、母親は迎えに来なかった。それで、寝ている隙に逃げ出して来た、と少年は証言した。
少年の証言でまず、母親が逮捕された。逮捕時母親は東京のホストクラブで豪遊しており、金の出どころを問い詰められて出た男が、大学教授だった。少年も、自分が性的虐待を受けたのはその男からだと証言した。男のマンションの防犯カメラには、母親に連れられた少年が出入りする映像や、少年が独りで裸足で出ていく映像が残されており、男は逮捕された。
男のパソコンには、その少年以外にも複数の少年たちに性的虐待を加えている画像や動画が、夥しい数残されていた。
その男の金の流れを捜査する中で、未成年の少年を集めた違法風俗店が摘発された。男はそこに通っていただけでなく、その店から2度、まとまった金を受け取っていた。最初男は黙秘していたが、風俗店の従業員の証言でその男が人身売買に関与していたことが分かった。被害者を探す捜査の中で、ある刑事が隣県で1年前に起こった事件を思い出した。隣県の警察本部から、未成年の少年たちを働かせている違法風俗店があるのではないかと指摘されたのだった。身元の分からない傷害被害者の証言だけで物証もなく、その時は捜査はなされなかった。
その時の被害者の顔写真と、男のパソコンの中に残されていた10年以上前の映像の少年が似ていた。その少年の画像や映像は多数あり、捜査員も目を背けるような暴力や性的虐待が行われていた。ほとんど拷問のような事をされている映像もあった。その子はまだほんの小学生くらいの子供だった。
隣県の警察署からも、その事件の被害者の情報を共有して欲しいという打診があった。傷害事件そのものはもう判決も確定しているが、未だ身元の分からないその青年の、身元解明に繋がるかも知れない、という事だった。
刑事達は厳しく男を尋問し、結局男は洗いざらいを話した。その男は、その高い社会的地位の裏で、20年にもわたって少年たちを買い、そして自分のその病んだ性的欲求を満足させられない年齢になった少年たちを風俗店に売っていた。何人もの少年が彼ら自身の親に売られてその男の支配下に置かれ、虐待された。
「この子供の名前は?」
写真を見せられそう聞かれて、男はゾッとするような笑いを浮かべた。
「ああ、その子。私が初めて完全に飼育した奴隷だ。ああ、思い出すよ。それは素晴らしい奴隷だった。美しくて、知的で。
その子はね。存在しない子供だった。出生届が出されていなくてね。だから、学校にも通った事がなかった。あの子は良かった。何にも汚されていない、無垢な子供だった。私が全部何もかも、あの子に教え込んで、あの子は1つも疑うという事がなかった。真っ白な子供だった。後にも先にも、あんな上等な奴隷は手に入らなかったよ。
日本の小学校というのは子供達を汚す。あんなところに行って…」
「その子の母親の名前は?」
「知らないよ。忘れたね。ふしだらで薄汚い女の名前なぞ、覚える気はないからね。」
「あんた、ずいぶんと頭が良いみたいだが、肝心なことを分かっていないようだな。」
「どういう意味だ?」
「ああ、あんた、知らないんだな。小児性愛者が刑務所でどんな扱いを受けるのか。死んだ方がマシだってやつもいるらしい。あんたは今や有名人だからな。俺だったらここまで物証があるんなら、捜査に協力して少しでも地獄にいる時間を減らす努力をするけどな。」
「私を脅しているつもりか?」
「いいや、アドバイスだよ。」
「ふん、くだらない。だが、私は嘘はついていないよ。あの女の名前なぞ、本当に覚えてはいない。あの女は、芸術家気取りでゴミ屑のような絵を描いておった。くだらないくせに肥大化した自我を塗りたくった、実にくだらない絵だ。雨宿りのためにたまたま入ったギャラリーで、あの女に会った。顔だけは良いが、頭は空っぽな女だった。だが、一枚だけ、興味深い絵があった。裸の少年の絵だ。全くうまくはなかったが、その女と顔が似ていた。きっと息子だ。そう思った時の興奮は…忘れられないよ。
ギャラリーの名前は覚えている。月影。そのギャラリーのオーナーと、あの女は寝てた。それから、これはアレを手に入れる前に念の為少し調べた事だ。アレの生物学上の父親は〇〇の社長の息子だ。そいつも顔だけは良い、空虚な男だ。だが、私は2人に感謝しているよ。奴らの遺伝子とその空っぽな頭、旺盛な性欲のおかげで、あの美しい奴隷は産まれた。」
〇〇と言えば、ある分野では国内シェアトップの有名なメーカーだった。
捜査は一気に進んだ。
人権……
国語辞典に載っていた人権という言葉は、彼にはよく分からなかった。自分には関係のないもののような気がした。今でも、そんな気がする。夏目先生は、今も僕は人権を持っているって言うけれど、それならどうして僕はここに閉じ込められているのだろう。僕の事は僕が決められる、それが人権だと先生は言った。それならば、僕はもうここを出て行っても良いのだろうか。
よく分からなかった。でもここを出て、僕はどうするのだろう。森が、あの、昔一度だけ見せてもらえた、あの、蛍のいる森が、どこにあるのかは分からない。
ここを出て独りで森を探す事を想像したら、彼はとたんに怖くなった。昔、混み合う美術館でおじ様とはぐれてしまった時の事を思い出した。
あの時、睡蓮の花を描いた絵のあまりの美しさに見惚れてしまって、気付いた時にはおじ様がどこにいるのか分からなかった。自分がたった独りでここにいると分かった瞬間、足元から崩れ落ちそうな恐怖に襲われて、彼はそこから動けなかった。見渡してもおじ様の姿はなく、彼は、探さなきゃと焦ったが、焦れば焦るほど恐怖で足が動かずその場に立ち尽くした。様子がおかしいと、美術館のスタッフに声をかけられると、彼の恐怖はますます増した。おじ様以外の人と話してはいけないといつも言われていた彼は、スタッフの問いかけに一言も言葉を発しなかったから、スタッフは手を引いて彼を控え室に連れて行こうとした。どこかに連れ去られると思った彼はパニックになり、
「おじ様!!助けて!」
と叫んだ。それを聞いたおじ様が迎えに来てくれて無事に帰れたけれど、帰ってから、怒り狂ったおじ様に彼は鞭で何時間も打ち据えられた。数を数えさせられながら鞭打たれ、痛みで朦朧としてカウントし損じると1からやり直しを命じられた。そのため彼は痛みを誤魔化すために空想に逃避する事もできず、立っていられなくなって蹲ることも許されなかった。何度も意識を失っては平手打ちで目覚めさせられて、尻からも背中からも血が流れてもおじ様は鞭打つのをやめなかった。
「わざとだろ?逃げようとしたんだな?」
そう言われて、彼は驚いた。そんなはずはないのに。おじ様に置いて行かれたと思って、どれだけ怖かったか。迎えに来てくれて、どれだけ安心したか。
何度言っても、おじ様は鞭打つ手を止めなかった。許してくださいと、何度懇願しても、許されなかった。最後には彼は痛みすら感じなくなり、全身は震えを抑えられず、もう死ぬんだと思いながら意識を失って、平手打ちをされても目を覚まさなかった。
次に意識を取り戻した時には、息をするだけで全身が痛み、傷の炎症からか高熱に苦しめられた。その時初めて、彼は医師の診察を受けた。やり過ぎたと焦ったおじ様が友人の医師を呼んだのだ。その男はそれからも度々おじ様に呼ばれて彼を診察した。男達の友情はその後ろ暗い性的欲望で繋がっており、秘密はどこにも漏れなかった。医師の男はその2年後、おじ様の寵愛を失った彼を頻繁に抱いた。
その時の鞭の傷は、今でも彼の背中や腰、尻に残っている。高熱は何日も続き、彼は文字通り命を落としかけた。その時彼は、10歳になったばかりだった。その後何度も彼を死の淵まで追いやった壮絶な暴力の、それは最初の出来事だった。
あの時の恐怖を、彼は思い出した。いつ終わるか分からない痛みの記憶と共に。
あの時も、僕には人権というものがあったのだろうか。彼は考えた。もしそうだとしたら、なぜ自分はあんなにひどく打たれねばならなかったのか。僕は逃げようとなんてしなかったのに。
いや、逃げなかったから、打たれたのだろうか。
あの時逃げていたら、僕は奴隷をやめられたのだろうか。なぜ、僕はおじ様の奴隷になったのだろうか。
考えても考えても分からなかった。
長い間、男達の、性欲を放つ穴でしかなかった自分の、どこに人権があったのだろう。もしあったとしたら、なぜ奪われてしまったのだろう。
なぜ…という問いは、彼を混乱させ、彼は無力感に苛まれた。
ここからも、逃げる事はできない。
どこからも、逃げられなかったように。
あんな美しい森なんて、本当はどこにも無いのかもしれない。
ならば、今まで囚われた場所の中では、ここが一番マシかもしれない。
今の所は。
彼の出生とその後の人生は、おじ様と彼が呼んでいた男の逮捕によって突然明らかになった。弁護士が就籍の手続きをし始めた矢先の事だった。隣の県で国立大学の教授が未成年者淫行の疑いで逮捕された。その男は数学の世界では著名な学者だったため、そのニュースは大きく報道された。
ある日、10歳の少年が交番に来た。
助けて欲しい、母親の家に帰りたい、と泣きじゃくるその少年は、清潔でちゃんとした身なりをしていたが、靴を履いていなかった。
警官達は当初は単純な迷子かと思っていたが、その少年がおじ様と呼ぶ男に性的行為を強要されていたと聞き、只事じゃないと考えた。少年は母親に連れられて毎週その男のマンションに通っており、夏休みはずっとそのマンションで過ごしたと言う。その間毎日、おじ様に肛門性交を含むあらゆる性的虐待をされていた。夏休みが終わって、ようやく家に帰れると思ったが、母親は迎えに来なかった。それで、寝ている隙に逃げ出して来た、と少年は証言した。
少年の証言でまず、母親が逮捕された。逮捕時母親は東京のホストクラブで豪遊しており、金の出どころを問い詰められて出た男が、大学教授だった。少年も、自分が性的虐待を受けたのはその男からだと証言した。男のマンションの防犯カメラには、母親に連れられた少年が出入りする映像や、少年が独りで裸足で出ていく映像が残されており、男は逮捕された。
男のパソコンには、その少年以外にも複数の少年たちに性的虐待を加えている画像や動画が、夥しい数残されていた。
その男の金の流れを捜査する中で、未成年の少年を集めた違法風俗店が摘発された。男はそこに通っていただけでなく、その店から2度、まとまった金を受け取っていた。最初男は黙秘していたが、風俗店の従業員の証言でその男が人身売買に関与していたことが分かった。被害者を探す捜査の中で、ある刑事が隣県で1年前に起こった事件を思い出した。隣県の警察本部から、未成年の少年たちを働かせている違法風俗店があるのではないかと指摘されたのだった。身元の分からない傷害被害者の証言だけで物証もなく、その時は捜査はなされなかった。
その時の被害者の顔写真と、男のパソコンの中に残されていた10年以上前の映像の少年が似ていた。その少年の画像や映像は多数あり、捜査員も目を背けるような暴力や性的虐待が行われていた。ほとんど拷問のような事をされている映像もあった。その子はまだほんの小学生くらいの子供だった。
隣県の警察署からも、その事件の被害者の情報を共有して欲しいという打診があった。傷害事件そのものはもう判決も確定しているが、未だ身元の分からないその青年の、身元解明に繋がるかも知れない、という事だった。
刑事達は厳しく男を尋問し、結局男は洗いざらいを話した。その男は、その高い社会的地位の裏で、20年にもわたって少年たちを買い、そして自分のその病んだ性的欲求を満足させられない年齢になった少年たちを風俗店に売っていた。何人もの少年が彼ら自身の親に売られてその男の支配下に置かれ、虐待された。
「この子供の名前は?」
写真を見せられそう聞かれて、男はゾッとするような笑いを浮かべた。
「ああ、その子。私が初めて完全に飼育した奴隷だ。ああ、思い出すよ。それは素晴らしい奴隷だった。美しくて、知的で。
その子はね。存在しない子供だった。出生届が出されていなくてね。だから、学校にも通った事がなかった。あの子は良かった。何にも汚されていない、無垢な子供だった。私が全部何もかも、あの子に教え込んで、あの子は1つも疑うという事がなかった。真っ白な子供だった。後にも先にも、あんな上等な奴隷は手に入らなかったよ。
日本の小学校というのは子供達を汚す。あんなところに行って…」
「その子の母親の名前は?」
「知らないよ。忘れたね。ふしだらで薄汚い女の名前なぞ、覚える気はないからね。」
「あんた、ずいぶんと頭が良いみたいだが、肝心なことを分かっていないようだな。」
「どういう意味だ?」
「ああ、あんた、知らないんだな。小児性愛者が刑務所でどんな扱いを受けるのか。死んだ方がマシだってやつもいるらしい。あんたは今や有名人だからな。俺だったらここまで物証があるんなら、捜査に協力して少しでも地獄にいる時間を減らす努力をするけどな。」
「私を脅しているつもりか?」
「いいや、アドバイスだよ。」
「ふん、くだらない。だが、私は嘘はついていないよ。あの女の名前なぞ、本当に覚えてはいない。あの女は、芸術家気取りでゴミ屑のような絵を描いておった。くだらないくせに肥大化した自我を塗りたくった、実にくだらない絵だ。雨宿りのためにたまたま入ったギャラリーで、あの女に会った。顔だけは良いが、頭は空っぽな女だった。だが、一枚だけ、興味深い絵があった。裸の少年の絵だ。全くうまくはなかったが、その女と顔が似ていた。きっと息子だ。そう思った時の興奮は…忘れられないよ。
ギャラリーの名前は覚えている。月影。そのギャラリーのオーナーと、あの女は寝てた。それから、これはアレを手に入れる前に念の為少し調べた事だ。アレの生物学上の父親は〇〇の社長の息子だ。そいつも顔だけは良い、空虚な男だ。だが、私は2人に感謝しているよ。奴らの遺伝子とその空っぽな頭、旺盛な性欲のおかげで、あの美しい奴隷は産まれた。」
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