1 / 2
ある日、起きたらゴミ捨て場でした。
1
しおりを挟む
あたしは一人、呟いた。
「どうしたもんかなぁ」
本当にどうしたものか。あたし、如月 菜摘は「ゴミ捨て場」に座り込んでいた。
別にそういう特殊な趣味があるわけではない。目覚めたら、真夏の服装で真冬のゴミ捨て場に捨てられていたのだ。寒い。時刻も場所も分からない。唯一の救いは、どうやらこの地域の燃えるゴミの日が今日じゃなかったことだろうか。あたしは生ゴミではなく、資源ゴミに囲まれていた。
「ちくしょー、あのクソ親め」
どうしてこうなったのか、については心当たりがあった。いや、確信があった。あたしの両親はいわゆる毒親で、長女であるあたしのことは散々な扱いをするくせに妹二人のことは猫可愛がりしていた。あたしがこういう目に遭うのも初めてじゃない。こういう時の為に、あたしは自宅の住所を教えられていない。電話番号も、だ。
あたしは一応、まだ未成年だ。あたしが警察や他人様に保護された場合、あたしが自宅の住所や電話番号を知っていたら厄介なことになる。あたしが住所や電話番号を言おうものなら、罰せられるのは親なのだ。勿論、あたしも親から罰せられるが。いつもなら夜間に「捨てて」早朝には「拾う」。それはうちの親が行うあたしへの「躾」の一つだった。
……だが。
「どう考えても、これから日暮れだよねぇ」
あたしがぼけーっとしている間に太陽が沈み始めた。もしかしたらもしかしなくても、これ、躾じゃないやつ?本気で捨てたやつ?あたしが躾と称して見知らぬ土地に捨てられる時は、夜間に軽い睡眠薬を飲ませられ、ご丁寧に目隠しまでされ、捨てられた先で目を覚ますのがお決まりなのだが……今回に限ってはそれも無かった。
それはどうしてか。恐らく、あたしは親に強い睡眠薬を盛られ、意識を手放してさっきまで眠っていた。記憶があるのは昨日の夕方まで。今は真冬、あたしはアホだが自ら進んで夏服に着替えるようなバカなことはしない、そんな記憶も無い。下手したら凍死するし。つ・ま・り?
「……あたし、殺す気で捨てられたのか」
あたしの身体は冷え切っていた。ガチガチと歯が鳴っている。本当に、どうしたもんかなぁ……。
「どうしたもんかなぁ」
本当にどうしたものか。あたし、如月 菜摘は「ゴミ捨て場」に座り込んでいた。
別にそういう特殊な趣味があるわけではない。目覚めたら、真夏の服装で真冬のゴミ捨て場に捨てられていたのだ。寒い。時刻も場所も分からない。唯一の救いは、どうやらこの地域の燃えるゴミの日が今日じゃなかったことだろうか。あたしは生ゴミではなく、資源ゴミに囲まれていた。
「ちくしょー、あのクソ親め」
どうしてこうなったのか、については心当たりがあった。いや、確信があった。あたしの両親はいわゆる毒親で、長女であるあたしのことは散々な扱いをするくせに妹二人のことは猫可愛がりしていた。あたしがこういう目に遭うのも初めてじゃない。こういう時の為に、あたしは自宅の住所を教えられていない。電話番号も、だ。
あたしは一応、まだ未成年だ。あたしが警察や他人様に保護された場合、あたしが自宅の住所や電話番号を知っていたら厄介なことになる。あたしが住所や電話番号を言おうものなら、罰せられるのは親なのだ。勿論、あたしも親から罰せられるが。いつもなら夜間に「捨てて」早朝には「拾う」。それはうちの親が行うあたしへの「躾」の一つだった。
……だが。
「どう考えても、これから日暮れだよねぇ」
あたしがぼけーっとしている間に太陽が沈み始めた。もしかしたらもしかしなくても、これ、躾じゃないやつ?本気で捨てたやつ?あたしが躾と称して見知らぬ土地に捨てられる時は、夜間に軽い睡眠薬を飲ませられ、ご丁寧に目隠しまでされ、捨てられた先で目を覚ますのがお決まりなのだが……今回に限ってはそれも無かった。
それはどうしてか。恐らく、あたしは親に強い睡眠薬を盛られ、意識を手放してさっきまで眠っていた。記憶があるのは昨日の夕方まで。今は真冬、あたしはアホだが自ら進んで夏服に着替えるようなバカなことはしない、そんな記憶も無い。下手したら凍死するし。つ・ま・り?
「……あたし、殺す気で捨てられたのか」
あたしの身体は冷え切っていた。ガチガチと歯が鳴っている。本当に、どうしたもんかなぁ……。
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
黒瀬部長は部下を溺愛したい
桐生桜
恋愛
イケメン上司の黒瀬部長は営業部のエース。
人にも自分にも厳しくちょっぴり怖い……けど!
好きな人にはとことん尽くして甘やかしたい、愛でたい……の溺愛体質。
部下である白石莉央はその溺愛を一心に受け、とことん愛される。
スパダリ鬼上司×新人OLのイチャラブストーリーを一話ショートに。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
甘すぎるドクターへ。どうか手加減して下さい。
海咲雪
恋愛
その日、新幹線の隣の席に疲れて寝ている男性がいた。
ただそれだけのはずだったのに……その日、私の世界に甘さが加わった。
「案外、本当に君以外いないかも」
「いいの? こんな可愛いことされたら、本当にもう逃してあげられないけど」
「もう奏葉の許可なしに近づいたりしない。だから……近づく前に奏葉に聞くから、ちゃんと許可を出してね」
そのドクターの甘さは手加減を知らない。
【登場人物】
末永 奏葉[すえなが かなは]・・・25歳。普通の会社員。気を遣い過ぎてしまう性格。
恩田 時哉[おんだ ときや]・・・27歳。医者。奏葉をからかう時もあるのに、甘すぎる?
田代 有我[たしろ ゆうが]・・・25歳。奏葉の同期。テキトーな性格だが、奏葉の変化には鋭い?
【作者に医療知識はありません。恋愛小説として楽しんで頂ければ幸いです!】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる