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保健室の先生
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「佐藤、雛ちゃん……。雛ちゃんは、なぜニヤけているんですか?」
今井先生が、分厚い紙の束を片付けて、私の隣に静かに腰を下ろした。そして、長い脚を組んで、私の方を見る。宝石のように綺麗な瞳が、私を映した。ちらりと覗く、好奇心。
うわ、わわわ、近い、身体の距離が近いよ!それに、それに今、私のこと、雛ちゃんって!下の名前で呼んだ!!
「雛ちゃん?」
「え、あ、えーと……い、まい先生に名前、聞いてもらえた、のが……嬉しくて、頬が緩んじゃい……ました」
今井先生の身体がすぐ近くにある、あの石鹸の香りが、より強く鼻をくすぐる。その緊張で、脚がカタカタと震えて止まらない。そんな私の様子を見て、今井先生がふっと笑った。笑った……?……笑った!
「本当に変な子ですね、雛ちゃん。そんなに震えないでくださいよ、僕がいじめているみたいじゃないですか」
いじめられているわけじゃないけど、震えているのはあなたのせいです。でも、なんていうか、今井先生って、笑うと……ちょっと可愛い。
じゃなくて、今井先生、無自覚?そんな風に名前を呼ばれたら、そんな風に笑いかけられたら、大抵の女子生徒は……ころっと落ちちゃうよ?
今度は今井先生が、じっと私の顔を見つめる。見つめられている顔が、熱く火照り出す。なんで、なんで見つめられているんだろう。私は今井先生みたいに綺麗な顔してないし、見つめられる理由なんて……あ。
「……鼻血、出てます?」
私が真顔でそう尋ねると、今井先生が吹き出した。そして、お腹を抱えて、顔を俯けながら笑った。今井先生って、笑いの沸点が低いのだろうか。今井先生はしばらく笑い続けて、次に顔を上げた時には、瞳にうっすらと涙が浮かんでいた。
「そんなに笑うことないじゃないですか……」
「っふ、ふふふ……すみません。真顔でそんなことを聞かれるとは、思っていなかったので」
私は少し頬を膨らませて、保健室の窓の外を見た。保健室の近くの桜の木から花びらが舞い落ちてくる風景が綺麗で、思わず見入ってしまった。
「雛ちゃん」
見入っていたものだから、今井先生の呼びかけに答えるのが遅れた。
「雛ちゃん、聞こえています?」
ずいっと、今井先生の顔が目の前に現れた。
「きゃっ!」
私はびっくりして、体勢を崩してしまった、今井先生の片付けた紙の束を見事に散らかして、ベッドに倒れ込む。
「おやおや、僕がせっかく片付けたのに、散らかして。いけない子ですね」
え?え?今井先生が、私の身体の上に。覆い、被さって……?今井先生の綺麗な顔が、近付いてくる。吐息が、耳元にかかった。くすぐったい、いや、そうじゃなくて!今井先生、どうしちゃったの!?
「……笑ってしまったお詫びに、サービスしますよ」
「いま、いせんせ……?」
サ、サササ、サービスって、まさかそういうサービスですか!?今井先生って、クールに見えて、実はそういう……!?私が一人、赤面していると、今井先生がニコッと笑った。
「紅茶、淹れてあげます。特別、ですよ?」
その言葉を聞いた瞬間、身体から力が抜けてしまった。なんだ、私の勘違……い?
ちゅ。あれ?音を立てて、今井先生の唇が、私の耳に、耳に……!?
「今井先生、いまいせんせ、」
クスクス。今井先生は笑いながら私の上から退くと、紅茶を淹れにデスクへと戻ってしまった。今の、今のは一体……なに?
今井先生が、分厚い紙の束を片付けて、私の隣に静かに腰を下ろした。そして、長い脚を組んで、私の方を見る。宝石のように綺麗な瞳が、私を映した。ちらりと覗く、好奇心。
うわ、わわわ、近い、身体の距離が近いよ!それに、それに今、私のこと、雛ちゃんって!下の名前で呼んだ!!
「雛ちゃん?」
「え、あ、えーと……い、まい先生に名前、聞いてもらえた、のが……嬉しくて、頬が緩んじゃい……ました」
今井先生の身体がすぐ近くにある、あの石鹸の香りが、より強く鼻をくすぐる。その緊張で、脚がカタカタと震えて止まらない。そんな私の様子を見て、今井先生がふっと笑った。笑った……?……笑った!
「本当に変な子ですね、雛ちゃん。そんなに震えないでくださいよ、僕がいじめているみたいじゃないですか」
いじめられているわけじゃないけど、震えているのはあなたのせいです。でも、なんていうか、今井先生って、笑うと……ちょっと可愛い。
じゃなくて、今井先生、無自覚?そんな風に名前を呼ばれたら、そんな風に笑いかけられたら、大抵の女子生徒は……ころっと落ちちゃうよ?
今度は今井先生が、じっと私の顔を見つめる。見つめられている顔が、熱く火照り出す。なんで、なんで見つめられているんだろう。私は今井先生みたいに綺麗な顔してないし、見つめられる理由なんて……あ。
「……鼻血、出てます?」
私が真顔でそう尋ねると、今井先生が吹き出した。そして、お腹を抱えて、顔を俯けながら笑った。今井先生って、笑いの沸点が低いのだろうか。今井先生はしばらく笑い続けて、次に顔を上げた時には、瞳にうっすらと涙が浮かんでいた。
「そんなに笑うことないじゃないですか……」
「っふ、ふふふ……すみません。真顔でそんなことを聞かれるとは、思っていなかったので」
私は少し頬を膨らませて、保健室の窓の外を見た。保健室の近くの桜の木から花びらが舞い落ちてくる風景が綺麗で、思わず見入ってしまった。
「雛ちゃん」
見入っていたものだから、今井先生の呼びかけに答えるのが遅れた。
「雛ちゃん、聞こえています?」
ずいっと、今井先生の顔が目の前に現れた。
「きゃっ!」
私はびっくりして、体勢を崩してしまった、今井先生の片付けた紙の束を見事に散らかして、ベッドに倒れ込む。
「おやおや、僕がせっかく片付けたのに、散らかして。いけない子ですね」
え?え?今井先生が、私の身体の上に。覆い、被さって……?今井先生の綺麗な顔が、近付いてくる。吐息が、耳元にかかった。くすぐったい、いや、そうじゃなくて!今井先生、どうしちゃったの!?
「……笑ってしまったお詫びに、サービスしますよ」
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