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Holy Valkyrie【起】
2 二人の召喚者
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『…………』
『はあ?』
『え?なになに?なんかまずいの?』
召喚されたのは2人。
それに対する3人の反応は実に分かりやすかった。
考え込むように黙ってしまったアリアに、理解できないという様子のアカネ。ユナは私たちが驚く理由を知らないようだった。
アカネが呆れたように説明する間に、召喚者の方に意識を戻す。
黒髪をミディアムボブにした背の低い女の子は怯えて泣きそうになっているが、もう1人の茶髪を緩くウェーブさせた女の子はきらきらと目を輝かせている。
黒髪の子の方が普通の反応だと思うけど、茶髪の子は異世界転移にあこがれでもあったのかな……?
召喚の間にいる魔法使いも政務官も、想定外……というよりはあり得ない事態に右往左往している。
…………と、思ったら、全く動じない人達がいましたよ。
魔道士達の輪の外側から、すたすたと歩いて2人の少女の前に立ったのは、この国の国主であるアーロン。それと別の場所では、国軍少将のルーカスが狼狽える魔法使い達を静かに一喝していた。
2人の様子に、ざわついていた人たちも落ち着きを取り戻し始める。
式典用の軍服のような服装に赤髪が映えるイケメンを目の前にした2人の少女は、そろって頬を赤く染めた。
「あの、ここは……?」
茶髪の女の子が、不安そうにアーロンに問いかけた。
「急に呼び出してすまない。ここは豪ノ国だ。君たちからすると、異世界ということになる」
「異世界……」
黒髪の女の子がぽつりと呟く。アーロンの登場で涙も引っ込んでいたようだったが、アーロンの言葉を聞いて、また目を潤ませ始めた。
「不安になるのも分かる。しかし、私たちは君たちを害するつもりはないということだけは信じてほしい」
「あ、あのっ! 私はどうして呼ばれたのですか?」
黒髪の女の子の涙をぬぐうアーロンに、茶髪の女の子が話しかけた。
「どうして、か。端的に言うと、世界を守るためだな」
「それは、どういうことですか?」
…………
2人でするはずの会話を3人でしてはいるけれど、彼らのやりとり自体は『ホリヴァル』のはじめの方とそう変わらない。
つまり、私がするべきことも変わらないんだけど、戦乙女が2人もいると、サポキャラ一人では対応が間に合わない。
内心で頭を抱えていると、ゲームのシナリオにない展開になった。
「……君たちは知り合い同士なのか?」
アーロンの質問に対して、2人はそろって首を横に振った。
それを見て、アーロンが口を開く。
「そうか。それでは、どちらかが先ほど説明した“戦乙女”なのだが、心当たりはあるか?」
本来、異世界人は皆同じ扱いである。
アーロンの質問の意味がすぐには理解できず、一拍おいて、ああそうかと納得した。確かに、2人が知り合いでないなら別々にした方が都合が良いのかもしれない。
その意図に思い至って、念話を再開する。
『聞こえてるかな?』
『聞こえてるよー』
『急に黙り込むのやめてよねー。びっくりしたたじゃん』
『結局どうなったのかしら?』
こちらの様子が気になっていたのか、一気に帰ってきた返事に驚きつつも、答える。
『1人は隠すみたい』
『……分かったわ』
『…………そっかー』
『………………どういうこと?』
アリアが了解して、アカネも納得した様子。ユナは相変わらず何も分かっていないみたいだけど、君はそのままでいいと思うよ。
☆お気に入り登録していただいた皆様、お待たせしてしまい大変申し訳ありません!
行き当たりばったりなもので、展開や辻褄合わせが大変なことになっていました
久しぶりの文章なのでさらに拙くなっている部分もあるかもしれませんがご容赦ください!
時間がかかっても完結はさせようと思っているので、今後とも気長にお待ちいただけると幸いです!
『はあ?』
『え?なになに?なんかまずいの?』
召喚されたのは2人。
それに対する3人の反応は実に分かりやすかった。
考え込むように黙ってしまったアリアに、理解できないという様子のアカネ。ユナは私たちが驚く理由を知らないようだった。
アカネが呆れたように説明する間に、召喚者の方に意識を戻す。
黒髪をミディアムボブにした背の低い女の子は怯えて泣きそうになっているが、もう1人の茶髪を緩くウェーブさせた女の子はきらきらと目を輝かせている。
黒髪の子の方が普通の反応だと思うけど、茶髪の子は異世界転移にあこがれでもあったのかな……?
召喚の間にいる魔法使いも政務官も、想定外……というよりはあり得ない事態に右往左往している。
…………と、思ったら、全く動じない人達がいましたよ。
魔道士達の輪の外側から、すたすたと歩いて2人の少女の前に立ったのは、この国の国主であるアーロン。それと別の場所では、国軍少将のルーカスが狼狽える魔法使い達を静かに一喝していた。
2人の様子に、ざわついていた人たちも落ち着きを取り戻し始める。
式典用の軍服のような服装に赤髪が映えるイケメンを目の前にした2人の少女は、そろって頬を赤く染めた。
「あの、ここは……?」
茶髪の女の子が、不安そうにアーロンに問いかけた。
「急に呼び出してすまない。ここは豪ノ国だ。君たちからすると、異世界ということになる」
「異世界……」
黒髪の女の子がぽつりと呟く。アーロンの登場で涙も引っ込んでいたようだったが、アーロンの言葉を聞いて、また目を潤ませ始めた。
「不安になるのも分かる。しかし、私たちは君たちを害するつもりはないということだけは信じてほしい」
「あ、あのっ! 私はどうして呼ばれたのですか?」
黒髪の女の子の涙をぬぐうアーロンに、茶髪の女の子が話しかけた。
「どうして、か。端的に言うと、世界を守るためだな」
「それは、どういうことですか?」
…………
2人でするはずの会話を3人でしてはいるけれど、彼らのやりとり自体は『ホリヴァル』のはじめの方とそう変わらない。
つまり、私がするべきことも変わらないんだけど、戦乙女が2人もいると、サポキャラ一人では対応が間に合わない。
内心で頭を抱えていると、ゲームのシナリオにない展開になった。
「……君たちは知り合い同士なのか?」
アーロンの質問に対して、2人はそろって首を横に振った。
それを見て、アーロンが口を開く。
「そうか。それでは、どちらかが先ほど説明した“戦乙女”なのだが、心当たりはあるか?」
本来、異世界人は皆同じ扱いである。
アーロンの質問の意味がすぐには理解できず、一拍おいて、ああそうかと納得した。確かに、2人が知り合いでないなら別々にした方が都合が良いのかもしれない。
その意図に思い至って、念話を再開する。
『聞こえてるかな?』
『聞こえてるよー』
『急に黙り込むのやめてよねー。びっくりしたたじゃん』
『結局どうなったのかしら?』
こちらの様子が気になっていたのか、一気に帰ってきた返事に驚きつつも、答える。
『1人は隠すみたい』
『……分かったわ』
『…………そっかー』
『………………どういうこと?』
アリアが了解して、アカネも納得した様子。ユナは相変わらず何も分かっていないみたいだけど、君はそのままでいいと思うよ。
☆お気に入り登録していただいた皆様、お待たせしてしまい大変申し訳ありません!
行き当たりばったりなもので、展開や辻褄合わせが大変なことになっていました
久しぶりの文章なのでさらに拙くなっている部分もあるかもしれませんがご容赦ください!
時間がかかっても完結はさせようと思っているので、今後とも気長にお待ちいただけると幸いです!
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