元・宿屋の娘は美人冒険者の恋路を応援したい

紫野

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宿屋の娘は美男美女に付き合ってほしい

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「マリアの運はどうなってるの!?」

 呆然として佇むレティを目の前に興奮気味なリリーは、こちらに駆け寄ってきて言った。

「運、ですか?」
「そうよ!レティクエストは、薬師ドーマのクエストを受けたときに低確率で起こるクエストなの!というか、隠しキャラのクエストよ!」
「……ええ!?」

 隠しキャラというワードに驚きと興味が湧き上がる。私はこのゲームを緩ーくプレイしていて、行ったことがない場所も知らない設定だってある。隠しキャラを知ったのだってこの前が初めてだった。

「隠しキャラって、騎士もいたんですか!?」
「レティは黒魔道士よ!剣士スキルは後から生えるの」
「っていうか、こんなに簡単に会えて良いんですか、隠しキャラ?」
「だから言ったでしょ、マリアの運はどうなってるのって!薬師ドーマのクエストでレティクエストが出る確率は2%、ドーマクエストは報酬がしょっぱいから受ける人はほとんどいなかったし、はじめに見つかった時だって完全な運だったんだから!」

 ちなみにこの会話、はじめから小声で行われています。本人目の前ですしね。


「名前を呼ばれた気がしたが、私の話か?」
「ええ。あなたがいて助かったわねって。素晴らしい魔法の腕ね」

 後ろから声をかけられたけれど、リリーは用意していたかのようにさらりと答えた。
 私は凄く驚いたんだけど、もしかしてゲームではそういう会話があったのかな?

「いや、私一人では危なかった。君たちも素晴らしい冒険者なのだな。父上の護衛が君たちで本当に良かった」

 レティは美人だけど、麗人という感じだ。嫌みの無い爽やかな賛辞は女子にキャーキャー言われそうな格好良さだった。

「それと父上」

 ドーマさんの方に向き直ったレティは懐から何かを取り出し、ドーマさんに渡した。

「フォレストイーグルの爪です。ここへ来る途中で襲われてやむを得ず討伐した際のものなので、私たちには必要ありません。どうぞ受け取ってください」
「ふむ、状態も良いしこれだけあったら十分だね。ありがとう。君たち、ここまで来てしまって申し訳ないが、依頼は達成のようだ」
「依頼はギルドへの報告が必要だろう。それが終わったら領主館まできてくれないだろうか。地竜討伐の報酬も渡す必要がある」

 これはゲームだったら依頼達成からの新しいクエストで領主館に行く流れになるのだろう。
 現実はまず一日かけてギルドに帰還、報告して、領主館にはアポを取って返事が来てから向かうことになるから時間がかかる。

「さて、ギルドに戻ろうか!」
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