元・宿屋の娘は美人冒険者の恋路を応援したい

紫野

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元・宿屋の娘は推しカプを守りたい

1 王都に向かっ……ぅぐ!

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 領都を出た次の日、私達は王都に向かうため、ベスター領の最も東にある村に着いた。
 馬車での移動ならここまで3日はかかるのに、この世界の魔道車バスは速い。

 そこからは歩いて隣のリューン領に入る関所に向かい、今まさに審査を受けるところだった。順番待ちが長かったです……。

 審査は三段階あるらしいけど、全て門をくぐるだけなので何の問題も無かったらただ関所の門をこえるだけで終わる。


 と、思っていたのですが……

 ガシャン!

「ぅぐっ!」
「え?マリア!?」

 3つ目の門でなぜか捕縛されてしまいました……。


「えっ?えぇ!?何これ!?」
「あの色、特別指定人物!?て、丁重にお連れしろ!」
「し、失礼ながら、こちらへいらしてください」

 あれよあれよという間に関所の中に誘導され、パーティーメンバーともども応接間のような所に通された。


「ようこそリューン領へ、お待ちしておりました私はこの関所の責任者、グレイであります」

 なんだか位の高そうな兵士に頭を下げられて余計に困惑する。

「マリアはこの領に来たこともないし拘束されるようなこともしてないんだけど」

 リリーに言われたグレイさんは困ったような顔をする。

「ええ、そうだろうとは思います。しかし、門の検査で出たのは『王命によって探されている方、またはその血縁関係にある人物』でありまして、おそらくマリア殿は後者ではないかと」
「それが事実かはこちらでは分かりませんが、実際に探されている人物とはどなたなのですか?」

「それは、国王陛下が王太子であらせられたときに婚約者であった、サルーシャ・トルネ様であります」

 サルーシャ?トルネ?誰ですか、それ?

 全く聞き覚えのない名前に首を捻っていた私は、サルーシャさんの人相書きを見て唖然とした。

 母 さ ん じゃ な い で す か !

「え?え?」
「これって奥さんだよな」
「でも、奥さんの名前ってルーシーさんじゃなかったかな?」
「ふ、双子の妹とか?」
「トルネ家のお嬢様はサルーシャ様お一人であります」

 リリーさんが言ったありがちだけど私としてはあってほしかった展開は、グレイさんの一言でばっさりと切り落とされた。

 母さーん!?良いとこの出だとは聞いていたけど、あなた何して宿屋なんて営んでるんですか!?
 えっ?ということは父さん、王太子の婚約者かっさらってきちゃったの!?反逆者じゃないですか!


「でも、国王陛下にはもうお后様がいらっしゃらなかったかしら?なぜいまだにその女性を探していらっしゃるのかしら?」
「そっ、そうですよ!」

 たしかに国王陛下はすでに結婚している。
 ゲームでも国王陛下と王妃様の仲を取り持つみたいなよく分からないクエストがあったし!


「それは国王陛下が、いや、この国がいまだにサルーシャを欲しがっているからだよ」

 扉が開いて、会話に割り込んできたのは、ザ・お貴族様といった感じのきらきらしいご尊顔のオジサマだった。

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