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憧れの君
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美術クラブが終わり、校舎内に人が少なくなった頃、クラブを頑張ったご褒美にミルクティーを買いに自販機のある場所に向かったら憧れの君がいた。
美しい顔を悩ましげに歪ませ自販機の前に立っていた。今日も美しくかっこいい。
「やっほーアレンくん、今日もかっこいい!」
「…」
私、リリアナの日課は王子様のようなアレンくんに挨拶して褒めることだ。
もちろん、恋愛感情があるとか、好きとかそういった気持ちで褒めているわけではない。アレンくんに常に高い自尊心を持ってもらいたいのだ。
なぜなら私は彼のファンだから。
キャラメル色のサラサラの髪の毛に、琥珀色の瞳に美しく縁取った長い睫毛、透き通るような肌に形の良い唇を持っているだけでなく、身長182cmで成績優秀で運動神経も抜群なのに浮いた噂がなく冷静な彼は王子様としか言いようがない。
私は、ダークブラウンの髪と瞳の低身長貧乳でパッとしないどこにでもいる女子。彼に恋する筈がない、さすがに身の程知らずになってしまう。
ただ彼の外見や性格、何よりも雰囲気にたまらなく憧れている。だから私は彼のファンなのだ。
「まだ決まらない?先いい?」
「どうぞ」
「ありがとうアレンくん流石完璧美青年!
ところで、クラブ帰り?」
「いや、自習」
「そうなの、私はクラブ帰りだよ!
アレンくんは何の勉強をしたの?」
「色々」
「そうなんだ!私は絵を描いて来たよ」
「そう」
「じゃ、私そろそろ行くね」
そんな(ほぼ一方通行だけど)他愛もない会話をアレンくんとして帰ろうとした。ただのファンだから何を話せば良いのかわからないのだ。同じ空間で息を吸うだけで、また一言話すだけで満足だ。
目的のミルクティーを買って、去ろうとしたらガシャンと音がして見えない壁に阻まれて前に進まなくなった。
「え、どうしたんだろう?」
叩いてみるが、コンクリートを殴ったような鈍い音がするだけ。
「もしかして…魔法で閉じ込められた?
これヤバイよヤバイよ、閉じ込められちゃった」
1人でアワアワしてから、深呼吸をして心を落ち着かせて後ろを振り向いた。
まずはアレンくんのことを見ないように部屋を見渡した。自販機はもう無くなっていて、全く別の部屋に来たようだった。灰色の壁に囲まれた部屋の真ん中にベッドが1つあって、天井は窓のようになっていて光が降り注いでいる。もしかしてこの内装は巷でよく聞くヤリ部屋?
「何ここ、ヤリ部屋?」
口に出してしまった。
誤魔化すように咳払いをしてアレンくんを見ると、彼は手に炭酸飲料を持ったまま屈んでいた。どうやら取り出す最中に場所が変わったみたいだ。
私の「ヤリ部屋?」一言で、こっちを見ると怪訝そうな顔になった。
もしかして、わざとやったと誤解されてる?!
それは断じて違う、誤解を解かないと。
「あ、アレンくんのファンだから
ち、近付きたいから閉じ込められるようにしたとかじゃ、じゃないからね!私、帰りたいからね!
アレンくんがイケメンとかそんなの関係ないんだからね!」
もっとわざとらしくなった!
アレンくんと同じ空間にいるからテンパってしまった。
「魔法かな?これなんの魔法だろう…
やば、本当にヤバい何これ?え!?」
私は構わず、灰色の壁に変わってしまった前方の空間を叩いていた。
「やめな」
後ろから美しいテノールボイスが聞こえた。
さっきまでアレンくんとの間に距離があったのに、驚いてビクッとする。
「あっ、そうだよね!
イケメンに注意されちゃった、えへへ」
「大丈夫?」
「わ、私アレンくんのファンだから、同じ空間に長くいると変になるの…困っちゃうね!キャパオーバーだよ」
憧れて止まないアレンくんが2.5m先にいて、さらに彼の方からこっちに向かって来たらしいという事実に、私は最高に照れて、恥ずかしくて、嬉しくて、半周回って苦しくなって、真っ赤になってアレンくんのことを見ないように視線を彷徨わせた。
「ギャーハハハッッ!!!!」
突然、アレンくんの立っている方から激しく下品な笑い声が聞こえて驚いてアレンくんの方を見ると彼は気持ち悪そうな顔をしてこっちを見ていた。
気持ち悪そうな顔も素敵。
どこから声がしたのか考えるのをやめてうっとりしてしまった。
「コッチ、ミロ」
またカッスカスな残念な声がして、その方を見ると手の平サイズの真っ赤な悪魔のようなモノが浮いていた。
「オマエラ、セックス、シナイトダサナイッッ!!!!アッハハハウワァハハハハ!!!!」
とだけいうとボッと音がして、消えて代わりに何かが床に落ちた。
「何これって…」
とりあえず悪魔のようなヤツが言ったことを無視して、残された少し小さめの箱をマジマジと観察していると「はぁー」というため息とともに「コンドームの箱」と言われて驚いて落とした。
「なっ、えっ、うぇっマジなヤリ部屋?」
美しい顔を悩ましげに歪ませ自販機の前に立っていた。今日も美しくかっこいい。
「やっほーアレンくん、今日もかっこいい!」
「…」
私、リリアナの日課は王子様のようなアレンくんに挨拶して褒めることだ。
もちろん、恋愛感情があるとか、好きとかそういった気持ちで褒めているわけではない。アレンくんに常に高い自尊心を持ってもらいたいのだ。
なぜなら私は彼のファンだから。
キャラメル色のサラサラの髪の毛に、琥珀色の瞳に美しく縁取った長い睫毛、透き通るような肌に形の良い唇を持っているだけでなく、身長182cmで成績優秀で運動神経も抜群なのに浮いた噂がなく冷静な彼は王子様としか言いようがない。
私は、ダークブラウンの髪と瞳の低身長貧乳でパッとしないどこにでもいる女子。彼に恋する筈がない、さすがに身の程知らずになってしまう。
ただ彼の外見や性格、何よりも雰囲気にたまらなく憧れている。だから私は彼のファンなのだ。
「まだ決まらない?先いい?」
「どうぞ」
「ありがとうアレンくん流石完璧美青年!
ところで、クラブ帰り?」
「いや、自習」
「そうなの、私はクラブ帰りだよ!
アレンくんは何の勉強をしたの?」
「色々」
「そうなんだ!私は絵を描いて来たよ」
「そう」
「じゃ、私そろそろ行くね」
そんな(ほぼ一方通行だけど)他愛もない会話をアレンくんとして帰ろうとした。ただのファンだから何を話せば良いのかわからないのだ。同じ空間で息を吸うだけで、また一言話すだけで満足だ。
目的のミルクティーを買って、去ろうとしたらガシャンと音がして見えない壁に阻まれて前に進まなくなった。
「え、どうしたんだろう?」
叩いてみるが、コンクリートを殴ったような鈍い音がするだけ。
「もしかして…魔法で閉じ込められた?
これヤバイよヤバイよ、閉じ込められちゃった」
1人でアワアワしてから、深呼吸をして心を落ち着かせて後ろを振り向いた。
まずはアレンくんのことを見ないように部屋を見渡した。自販機はもう無くなっていて、全く別の部屋に来たようだった。灰色の壁に囲まれた部屋の真ん中にベッドが1つあって、天井は窓のようになっていて光が降り注いでいる。もしかしてこの内装は巷でよく聞くヤリ部屋?
「何ここ、ヤリ部屋?」
口に出してしまった。
誤魔化すように咳払いをしてアレンくんを見ると、彼は手に炭酸飲料を持ったまま屈んでいた。どうやら取り出す最中に場所が変わったみたいだ。
私の「ヤリ部屋?」一言で、こっちを見ると怪訝そうな顔になった。
もしかして、わざとやったと誤解されてる?!
それは断じて違う、誤解を解かないと。
「あ、アレンくんのファンだから
ち、近付きたいから閉じ込められるようにしたとかじゃ、じゃないからね!私、帰りたいからね!
アレンくんがイケメンとかそんなの関係ないんだからね!」
もっとわざとらしくなった!
アレンくんと同じ空間にいるからテンパってしまった。
「魔法かな?これなんの魔法だろう…
やば、本当にヤバい何これ?え!?」
私は構わず、灰色の壁に変わってしまった前方の空間を叩いていた。
「やめな」
後ろから美しいテノールボイスが聞こえた。
さっきまでアレンくんとの間に距離があったのに、驚いてビクッとする。
「あっ、そうだよね!
イケメンに注意されちゃった、えへへ」
「大丈夫?」
「わ、私アレンくんのファンだから、同じ空間に長くいると変になるの…困っちゃうね!キャパオーバーだよ」
憧れて止まないアレンくんが2.5m先にいて、さらに彼の方からこっちに向かって来たらしいという事実に、私は最高に照れて、恥ずかしくて、嬉しくて、半周回って苦しくなって、真っ赤になってアレンくんのことを見ないように視線を彷徨わせた。
「ギャーハハハッッ!!!!」
突然、アレンくんの立っている方から激しく下品な笑い声が聞こえて驚いてアレンくんの方を見ると彼は気持ち悪そうな顔をしてこっちを見ていた。
気持ち悪そうな顔も素敵。
どこから声がしたのか考えるのをやめてうっとりしてしまった。
「コッチ、ミロ」
またカッスカスな残念な声がして、その方を見ると手の平サイズの真っ赤な悪魔のようなモノが浮いていた。
「オマエラ、セックス、シナイトダサナイッッ!!!!アッハハハウワァハハハハ!!!!」
とだけいうとボッと音がして、消えて代わりに何かが床に落ちた。
「何これって…」
とりあえず悪魔のようなヤツが言ったことを無視して、残された少し小さめの箱をマジマジと観察していると「はぁー」というため息とともに「コンドームの箱」と言われて驚いて落とした。
「なっ、えっ、うぇっマジなヤリ部屋?」
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