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予想外
しおりを挟む「これ望んだの?」
冷ややかな声が突き刺さる。
「うぇっ、え!?
ナイナイ、さっきも言ったけどアレンくんに対して尋常じゃない憧れの気持ちはあります!
だって素敵だからね。
でも、そういう気持ちは無いです。」
とんでもない誤解をされて否定するが、彼は心底軽蔑したような目で私と距離を取り始めた。
そんな目も素敵!
じゃなくて、誤解解かなきゃ、いやここから出る方法を考えないと。
「アレンくん、ヤリ部屋について何かわかる?
私、ヤらないと出れないぐらいの認識なんだけど」
友達が言うには、男女ペアが同じ部屋に閉じ込められて行為をするまで出られないとか。
今話題のLGBTへの配慮はないのかと聞いたら、そもそも男女がヤるまで出さないって時点で人権とかそんなのは配慮してないとか。
友達が言うには、悪魔のオナるためのAV的なものなのではないのかと予想されてるんだとか。
悪趣味な。
遅れたが、この世界は魔法も科学も悪魔も聖獣も何でもありな世界だ。だからもちろんAVもある。
アレンくんは返事をしないで、ドンドン部屋の奥に行ってしまい私に背を向けてポケットに入っていたらしい単語帳を見始めた。
アレンくんに初めてここまで無視された、それも素敵。
とまたウットリしてしまったが、さすがに寂しい気持ちもあったから私も手に持ってたバックから単語帳を取り出して見始めた。
体感で20分か30分経った頃にさすがに飽きて、対極の位置にいるアレンくんのところまで行って単語帳を覗き込んだ。
「アレンくん、もうここやってるの?
さすがパーフェクト美青年私と比べると進むスピード全然違うね」
そう声をかけるとビクッとしてからウザそうに見上げられた。
「え、もしかしてヤリ部屋に入ったの私のせいだと思ってる?本当に違うからね!」
「うるさい、その言い方やめて」
「パーフェクト美青年?それともヤリ部屋のこと?」
「どっちも」
「えー、事実パーフェクト美青年だからやめたくないよ。あ、でもヤリ部屋って言い方下品だよね、ごめんアレンくん!」
アレンくんの顔を覗き込むようにしながらそう言うと、心底嫌そうに「近付かないで」と言われた。
そういえば手に触れたものは一緒に持ってこれたらしく、買ったばかりのミルクティーもカバンも持っていた。だから私もアレンくんも暇潰しで勉強ができる。
ただ荷物を色々探してみたが、腕時計含めて時間がわかるものはなかった。
このままアレンくんの側で勉強するのも悪くないけど、今日は家族で出かける用事があるから帰らないといけない。
ゴホン。と咳払いをして、
「アレンくん、ここ本当に巷で話題のアレなら1発ヤらない?多分入れて出しておしまいだからさ、ね?」
と言ったら無視された。
仕方ないからミルクティーを飲んで、歴史の勉強を始めた。
少し経った後、段々身体が熱くなってきた。
靴も靴下も上着もカーディガンも脱いで、髪の毛を1つに縛ったが効果ない。
むしろ時間を追うごとに身体が熱くなる。
「アレンくん…ここ暑くない?」
「そうでも」
「そうだよね、気のせいだよね」
アレンくんは涼しい顔で勉強していた。
「アレンくん、アレンくんの炭酸飲料1口もらえたりしない?暑くて…」
パタパタしながら聞くと、彼は私の手にしてるミルクティーを見た。
「飲んでるんだけど、暑過ぎてちょっとミルクティーを飲むのは苦しいかなって」
アレンくんの炭酸飲料は清涼なレモン味だ、私のも冷たいミルクティーだけどなぜか1口飲むたびに熱くなる。
アレンくんの形の良い唇素敵だな、単語帳を持つ手は少し筋張ってて、指が長くて節々が男の人らしくて、喉元も色っぽくて…
生唾を飲み込んだ。
やめよう、アレンくんは憧れであって性的な目で見たことがなかったのに…けど止まらない。
私の考えてることに気付いたのかアレンくんは少し身体を引いた。
「ごめん…アレンくんのこと見てるとダメかも…部屋の向こう隅に行くね。」
憧れてる人に申し訳なくて、立ち上がった。
よろよろするし、気付きたくなかったけどパンツが濡れている。それに胸もソワソワする。
よたよたと1歩2歩と歩き出したが、3歩目を出そうとしたらグラっと視界が揺れた。
「やば…」
そのまま転ぶのかと思って力を抜いたが、ガシッと力強い腕に抱きとめられていた。
「あっ…アレンくん」
抱きとめられているという状況に、更に身体が熱を帯びる。アレンくんの鼓動が腕が身体が息遣いが、私の手に触れている男の人らしい高い体温の熱い手のひらが全てに反応してしまう。
「大丈夫?」
「う、ふぁっ!?」
神の最高傑作のような美しい人の美しい声に返事をしようとしたら、頭が真っ白になって花火が打ち上がった、身体の先は痺れて腰が抜けてその場にへたり込んだ。
「だ…ダメだから離れて…」
潤んでほとんどの前が見えない瞳でアレンくんを見上げてからまたミルクティーを飲んだ。
「けど、さすがに」
「お願い、アレンくん…おね…がふぁぁっん…!」
また甘美な痺れに襲われた。
このままだとアレンくんのことを本当に襲いそうだ。
性的な経験はないが、さっきよりも欲が強まってる。確実に襲いそうだ。
アレンくんに意識を向けないように努力し、時折何だかわからないがひどく官能的だった痺れを思い出しては、身体を震わせて這うようにしてベッドに向かい横たわり熱をやり過ごすために目を瞑った。
どれぐらい経ったのだろうか霧がかった頭では上手く考え事も出来ない。冷んやりしていたシーツも私の体温と同じぐらいになって、また熱さに苦しめられ、目を瞑ったままいくつかボタンを開けスカートを緩めた。
「もしかしたら、そのミルクティー媚薬」
「はぅっ!?」
アレンくんの声に目を開いて、返事をしようとしたが上手くいかなかった。ただ彼の指差す飲み終わってしまったミルクティーを見てこの身体の熱は証明できたと思った。
「悪魔…のぉっ!悪戯ぁっ?ハァハァ」
息が切れて上手く話せない。それにアレンくんのことを見たことでまた熱が上がって、足の間が寂しくなってモゾモゾと無意識のうちに擦り合わせてしまう。抱かれたい…
それに気付いたアレンくんが顔を赤くして目を逸らした。
初めて見る顔に嬉しくなって、私はまた意識が一瞬浮遊するあの感覚に襲われた。
「うぅっ、見苦しくて…ごめっ!」
それまでも恥ずかしかったが、さすがに何度も何度も何もしなくとも果てることに耐えられなくて、涙が溢れ出した。
泣くのもあられもない姿を見せるのも、欲望に負けそうなのも恥ずかしくて、申し訳なくて苦しくてでも欲しくてたまらなくて、アレンくんの方を見てられなくてプイと横を向いた。
唇を噛み締めて、熱をやり過ごそうとした時唾を飲み込む音とプシューと炭酸が抜ける音がした。
「こっち向いて」
アレンくんはそういうと炭酸飲料を少し飲んでから、いくらか口に含んで私の上に覆いかぶさるようにすると口移しで飲ませて来た。
生暖かくて、炭酸は抜けてたが甘いレモンの味がした。初めてのキスがレモン味なのが少しおかしかって、それに憧れの君からキスされたってことが現実に思えなくて笑ってしまった。
ただアレンくんはずっと真面目そうな顔をしながら、
「今から抱く」
と言った。
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