悪役令嬢ですが、ヒロインが大好きなので助けてあげてたら、その兄に溺愛されてます!?

柊 来飛

文字の大きさ
17 / 76

説得

しおりを挟む
ー「ノア家との関係を、考え直して欲しいのです」

 その言葉を聞いた両親は、顔をこれでもかと歪める。

「何を言っている、レイア」

「そのままの通りでございます」

「レイア、説明を」

 母が冷たい声で促す。

「はい。リリー家とノア家がライバル関係なのは充分存じております。しかし、ノア家はこちらと良好な関係を結びたいと思っております。どうか、話し合いだけでも、していただけないでしょうか」

「何故する必要がある」

「では逆に問います。何故、ノア家と競っているのですか?」

「そんなことも知らんのか!」

 大声をあげて父が椅子から立ち上がる。私はずっと頭を下げたままだ。

「ノア家とリリー家。この両家は始まりは同じだったのだ。同じスタートラインだったのに…!今ではノア家の方が良家とされ、優遇される。リリー家はいつもノア家の次だ!ノア家よりも劣っていると!そう思われている!そんなの許せないだろう!だから、何としてでもノア家を越えなければならないのだ!」

 リリー家がノア家を越えられないのは、この差だろう。目先のことしか考えず、後のことを考えていない。越えてどうするのか。越えて、何を手に入れる?手に入れて何になる?
 嫉妬に駆られ、我よ我よと先に行こうとする。周りと協力しようともせず。

「競っても、何も手に入りません」

「さっきのことを忘れたのか!越えた時、全てが手に入る!」

「手に入れて、どうするのですか。目先の宝に溺れ、滅びに向かうのですか」

「そんなことは言っていない!」

「それと、同じことです。何故、理解しようとしないのですか」

「お前……!!!」

 父がこちらにきて思い切り頬を叩かれる。
 しかし、私は目線を父から離さない。

「何だ、その目は…!そんなやつに育てた覚えは無いぞ!」

 当たり前だ。中の人物が変わっているのだ。知るわけがない。

「アンタなんて、産まなければよかった!この世に生まれてこなければ良かったのよ!」

 母が高い声で叫ぶ。耳がキーンとする。

 似たような言葉を、昔言われた気がする。
 両親が蒸発する前の言葉。


ー「アンタなんて、産まなきゃ良かった!」ー
ー「お前なんて、生まれてこなければ!」ー

 
 やっぱり私は、この世界でも要らないらしい。

「どうしても、聞いてくれませんか」

「当たり前だろう!」

「どうすれば、聞いてくれますか?」

「お前に何ができる」

 そう言われ、私は隠し持っていたナイフを取り出す。両親は驚き、一気に血の気が引いて恐怖の顔に変わる。

「ここに、切れ味の良いナイフがあります」

 そう言って私はナイフを持ったままその場に座る。


 「どこを切れば、何ヶ所切れば、本気だと、信じてくれますか?」

 
 自分に刃の先端を向ける。
 両親は黙ったままだ。
 そして、口を開く。



  
ー「お前が死ねば、考えてやらんこともない」

 


 私はナイフを握りしめる。
 想定していた回答だったからだ。

 本当は、もっと、やめてとか、言って欲しかった。
 でも、それはもう叶わないらしい。

 私は自分の首にナイフを当てる。
 ひんやりとした感覚と、少しの痛みが走る。死がすぐそこにある。

 グッと力を入れて、血が流れる。それを両親は引き攣った笑顔で見ている。

 

 ー本気で死ぬと、思っていないのだろう。

 
 
 私は覚悟を決め、ナイフを横に動かそうとしたその時、家の扉が開いた。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!

たぬきち25番
恋愛
ある日私は乙女ゲームのヒロインのライバル令嬢キャメロンとして転生していた。 なんと私は最推しのディラン王子の婚約者として転生したのだ!! 幸せすぎる~~~♡ たとえ振られる運命だとしてもディラン様の笑顔のためにライバル令嬢頑張ります!! ※主人公は婚約者が好きすぎる残念女子です。 ※気分転換に笑って頂けたら嬉しく思います。 短めのお話なので毎日更新 ※糖度高めなので胸やけにご注意下さい。 ※少しだけ塩分も含まれる箇所がございます。 《大変イチャイチャラブラブしてます!! 激甘、溺愛です!! お気を付け下さい!!》 ※他サイト様にも公開始めました!

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【だって、私はただのモブですから】 10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした―― ※他サイトでも投稿中

(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?

水無月あん
恋愛
本編は完結してます。8/6より、番外編はじめました。よろしくお願いいたします。 私は、公爵令嬢のアリス。ピンク頭の女性を腕にぶら下げたルイス殿下に、婚約解消を告げられました。美形だけれど、無表情の婚約者が苦手だったので、婚約解消はありがたい! はれて自由の身になれて、うれしい! なのに、なぜ、近づいてくるんですか? 私に興味なかったですよね? 無表情すぎる、美形王子の本心は? こじらせ、ヤンデレ、執着っぽいものをつめた、ゆるゆるっとした設定です。お気軽に楽しんでいただければ、嬉しいです。

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

処理中です...