悪役令嬢ですが、ヒロインが大好きなので助けてあげてたら、その兄に溺愛されてます!?

柊 来飛

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 今日はノア家に泊まり、明日の早朝にリリー家に送り届けてくれるらしい。
 明日も学園はあるから有難い。

 私は客室と呼ぶには立派すぎる部屋を貸してもらい、そこで一夜を明かした。

 しかし、結局のところ一睡も出来ず、ある程度の時間になったところで起きて準備をしていた。
 準備といっても、何も持ってきていないためやる事がほぼないが。
 時間が来るまで部屋の散策をしていると、ドアが軽くノックされる。

「レイア様、お目覚めでしょうか」

「はい」

「起きておられたのですね。馬車の用意ができました。お送りいたします」

「ありがとうございます」

 皆を起こさないように使用人と小さな声でやりとりする。
 朝は冷えるとのことで、厚手のカーディガンを羽織らせて貰った。

「今回の件に関しては、本当にありがとうございました。御当主様にも、感謝の気持ちを伝えてくれますでしょうか?」

「勿論でございます、レイア様。両家の関係が良くなることを、私たちも願っております」

 深くお辞儀をして、そう言ってくれる使用人。私はその人と別れのハグをすると、馬車に乗り込んだ。

 馬車に乗り込むと、エヴェレットがいた。

「エヴェレット様。こんな朝早く、どうされたのですか?」

 乗る馬車を間違えてしまったのだろうか。非礼を詫びて、降りようとする私をエヴェレットは止める。

「違う、乗る馬車は間違っていない。1人ではあれだから、俺が送り届ける」

「ありがとうございます、エヴェレット様」

「…1人だと、エリーが心配するからな」

 目を合わさずぶっきらぼうに言う。
 それでも、一緒に居てくれるのは心強い。
 
 馬車に揺れているとき、私から口を開く。

「エヴェレット様は、お優しいですね」

「何だと?」

「とても、お優しい方です」

「……俺は未来の騎士団長だ。そんな、甘い奴じゃない」

「そんな厳しさも、優しさから来る厳しさだと私は思います」

「お前は…、本当に、考えが甘っちょろいな」

「………、社会経験が、少なくて」

 前世を合わせればそうでもないだろうが、この世界ではまだまだ知らない事が沢山ある。そう思われても仕方ないだろう。

「考え方も甘っちょろいですし、未だに将来に夢を見るほどです。しかし、私には譲れない事があるのです。その為に私は、前に進みたいと、いつもそう思っております」

 自分の想いを口にする。誰か言うのは初めてだ。

 そんなこんなでリリー家の家の前に馬車が止まる。

 私は馬車から降りる前、エヴェレットに言う。

「ありがとうございました、エヴェレット様。エリーにも、私は無事だとお伝え下さい。では」

 馬車から降りると、後ろからエヴェレットの声が聞こえる。

「そう言うことは、自分の口からエリーに伝えろ!」

 私は振り返り、はい!と返事をしてエヴェレットに頭を下げる。エヴェレットはその姿を見ると、今日、休むんじゃないぞと一言言ってから馬車の扉を閉めた。

 馬車が見えなくなるまで見送った後、私は静かに家の中に入っていた。


 
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