悪役令嬢ですが、ヒロインが大好きなので助けてあげてたら、その兄に溺愛されてます!?

柊 来飛

文字の大きさ
32 / 76

純粋

しおりを挟む
 どうにかこうにかして、後の授業を乗り切る。私の経験不足のせいか、エヴェレットの距離感がとても近く感じる。でもエリーも近い方だと思うし、兄妹揃ってそんな感じなのだろうか。

 学校が終わり、家の扉を開ける。いつものような歓迎は無い。部屋に行く途中、両親に会ったため挨拶をしたが、これも無視をされる。
 私はそのまま部屋に入り、大きなベッドに倒れ込む。フカフカなベッドが私の体を優しく包み込み、柔らかい匂いが広がる。


 ーどうすれば、ノア家との関係を変えられるのだろう。

 
 両親の体の芯まで根づいた嫉妬心。それを完全に無くすのは不可能だろう。


 何故、手を取り合う事ができないのか。

 
 毛布を握り締め、考える。しかし、解決に向けた具体案は永遠に出てこない。
 救われた命だ。無駄にするわけにはいかない。もう2度とあんな真似はしないし、出来ない。
 
 私に力があったら、無理にでも出来たのだろうか。しかし、それは円満な解決にはならない。

 
 どうすれば、何をすれば、この現状を打破できる?

 
 私は思い悩んだ末、制服のまま眠りについてしまった。
 
 目が覚めて時計を見ると、1時間半経っていた。かなり寝てしまった。むくりと起き上がり、簡素な服に着替えてから階段を降りていく。

 いつもご飯を食べている部屋からは、両親の声が聞こえる。何かを話しているようだったが、今は何も聞きたく無い。
 料理の匂いが鼻を掠める。こんなに美味しそうな匂いなのに、お腹が空かない。

 私が戻ろうとすると、私に気づいた両親が声を掛ける。

「待って、レイア!」

 振り向くと、眉を下げて申し訳なさそうな顔をした母がいた。

「ごめんなさい、レイア。私たちのせいで、苦しませていたわ。それに気づかないなんて、親失格よね」

「…お、お母様、」

「ごめんなさい、レイア。さっきお父様と話し合って、話し合いの場を設けようって話になったのよ」

「ああ。私たちも少し頭を冷やしてな。すまなかった、レイア。辛い思いをさせたな。だけどもう、大丈夫だからな」

 そう言って私のことを抱きしめる両親。それはとても嬉しい。私の思いが伝わったのだ。


     ーただ、何故急に?ー


 あんなに反対していたのに、私を産まなければと言っていたのに。自分の子では無いと言っていたのに。
 その不信感が両親にも伝わったのだろう。両親は私へ弁解の言葉を並べる。

「急にこんなことを言って、信じられないのはわかるわ。でも、本当なのよ。信じてちょうだい、レイア」

「そうだ。あの日、レイアが連れて行かれた日、私たちは本当に焦ったんだ。レイアが帰ったとき挨拶をしなかったのは謝る。見せる顔がないと思っていたんだ。許してくれ、レイア」

 私は黙ったままだ。信用…は、低い。ただ、ただ本当に、心を入れ替えてくれたのなら。
 
「嬉しいです。お父様、お母様!」


 それは、私の純粋な気持ちだった。
しおりを挟む
感想 10

あなたにおすすめの小説

有能女官の赴任先は辺境伯領

たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!! お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。 皆様、お気に入り登録ありがとうございました。 現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。 辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26) ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。 そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。 そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。   だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。 仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!? そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく…… ※お待たせしました。 ※他サイト様にも掲載中

我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。 しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。 そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。 ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。 というか、甘やかされてません? これって、どういうことでしょう? ※後日談は激甘です。  激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。 ※小説家になろう様にも公開させて頂いております。  ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。  タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~

折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!

たぬきち25番
恋愛
ある日私は乙女ゲームのヒロインのライバル令嬢キャメロンとして転生していた。 なんと私は最推しのディラン王子の婚約者として転生したのだ!! 幸せすぎる~~~♡ たとえ振られる運命だとしてもディラン様の笑顔のためにライバル令嬢頑張ります!! ※主人公は婚約者が好きすぎる残念女子です。 ※気分転換に笑って頂けたら嬉しく思います。 短めのお話なので毎日更新 ※糖度高めなので胸やけにご注意下さい。 ※少しだけ塩分も含まれる箇所がございます。 《大変イチャイチャラブラブしてます!! 激甘、溺愛です!! お気を付け下さい!!》 ※他サイト様にも公開始めました!

悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!

たぬきち25番
恋愛
 気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡ ※マルチエンディングです!! コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m 2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。 楽しんで頂けると幸いです。 ※他サイト様にも掲載中です

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【だって、私はただのモブですから】 10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした―― ※他サイトでも投稿中

(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?

水無月あん
恋愛
本編は完結してます。8/6より、番外編はじめました。よろしくお願いいたします。 私は、公爵令嬢のアリス。ピンク頭の女性を腕にぶら下げたルイス殿下に、婚約解消を告げられました。美形だけれど、無表情の婚約者が苦手だったので、婚約解消はありがたい! はれて自由の身になれて、うれしい! なのに、なぜ、近づいてくるんですか? 私に興味なかったですよね? 無表情すぎる、美形王子の本心は? こじらせ、ヤンデレ、執着っぽいものをつめた、ゆるゆるっとした設定です。お気軽に楽しんでいただければ、嬉しいです。

前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!

ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。 前世では犬の獣人だった私。 私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。 そんな時、とある出来事で命を落とした私。 彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。

処理中です...