39 / 76
越えてしまった線
しおりを挟む
騎士の服装に着替えて街の見回りに行く。
最近は事件が少ないとは言え、油断は禁物だ。
数人のグループに分かれて街全体を回る。
特に人通りの少ない裏路地などは要注意だ。過去にもそこで事件が起こることが多々あった。
そこに足を踏み入れたのは偶然だった。
ここは人通りが一気に少なくなる。宿舎が近いから人通りも増えそうだが、宿舎に行くならここよりも大通りを通ったほうが見通しは良いし、入り口も近い。
ここの通りを通る人は夜になると格段に少なくなる。その上、ここは裏路地に通じている。何かあっても、そこに引き摺られて仕舞えば、声は大通りに届きにくい。
裏路地に足を踏み入れ奥に進んでいくと、人影がチラホラと見えた。何か話をしている。
こういうときは大体、未成年たちが煙草を吸っていたり、犯罪に手を染めているグループが集まっているときだ。
しかし、何かが変だ。会話というより、一方的に誰かに話しかけている様子だった。悪寒が背中を駆け上がる。
「何をしている!!!」
俺は声を張る。すると、男たちは驚いて此方に目線を向ける。
その時だった。
「…エ、ヴェ、レット、さま、」
小さな呟きが聞こえる。その声を聞き逃すはずがない。其方に視線を移すと、全身の服を引き裂かれ、下着や素肌が丸見えのレイアがいた。
「お前……!!!」
長い髪はボサボサで、服は全く機能していない。下着は完全ではないものの下に下げられていたり、肩にかかっているだけだ。
首からは血が少し流れ出ており、何よりその目は見たことない赤黒い色をしていた。
こいつらが、レイアに何をしていたかなんて明白だった。
俺は目の前が真っ赤になる。ドロドロと俺の視界を赤黒い殺意が埋め尽くしていく。
全身の血液が頭に上り、そして全てが沸騰してしまいそうだった。俺は形だけの質問を投げかける。
「何をしていた」
そう言っても素直に答えるはずがない。
俺は腰からサーベルを引き抜いて奴らに向ける。
「ま、待ってくれよ騎士様。俺らは同意の上で、」
「その格好が同意の上だと?馬鹿も休み休み言え」
こんなくだらない戯言に付き合ってはいられない。一歩を踏み出すと、相手も一歩下がる。
男達は自分が不利と踏んだのだろう。レイアを盾にして、その首にナイフを突き立てる。ナイフが食い込んで、余計に傷から血が流れ出る。
ーああ、越えてはいけない線を超えてしまったな。
お前も、この俺も
俺は冷静だった。さっきまで体を支配していた激情は、全てを通り越して無となっていた。
此方に向かってきた3人の男を軽く捌くと、残りの男達は口を開けたまま絶句していた。何とも無様な姿だろうか。
ー「さあ、言い訳を聞こうか」ー
俺の低い声が、闇夜に静かに響いた。
最近は事件が少ないとは言え、油断は禁物だ。
数人のグループに分かれて街全体を回る。
特に人通りの少ない裏路地などは要注意だ。過去にもそこで事件が起こることが多々あった。
そこに足を踏み入れたのは偶然だった。
ここは人通りが一気に少なくなる。宿舎が近いから人通りも増えそうだが、宿舎に行くならここよりも大通りを通ったほうが見通しは良いし、入り口も近い。
ここの通りを通る人は夜になると格段に少なくなる。その上、ここは裏路地に通じている。何かあっても、そこに引き摺られて仕舞えば、声は大通りに届きにくい。
裏路地に足を踏み入れ奥に進んでいくと、人影がチラホラと見えた。何か話をしている。
こういうときは大体、未成年たちが煙草を吸っていたり、犯罪に手を染めているグループが集まっているときだ。
しかし、何かが変だ。会話というより、一方的に誰かに話しかけている様子だった。悪寒が背中を駆け上がる。
「何をしている!!!」
俺は声を張る。すると、男たちは驚いて此方に目線を向ける。
その時だった。
「…エ、ヴェ、レット、さま、」
小さな呟きが聞こえる。その声を聞き逃すはずがない。其方に視線を移すと、全身の服を引き裂かれ、下着や素肌が丸見えのレイアがいた。
「お前……!!!」
長い髪はボサボサで、服は全く機能していない。下着は完全ではないものの下に下げられていたり、肩にかかっているだけだ。
首からは血が少し流れ出ており、何よりその目は見たことない赤黒い色をしていた。
こいつらが、レイアに何をしていたかなんて明白だった。
俺は目の前が真っ赤になる。ドロドロと俺の視界を赤黒い殺意が埋め尽くしていく。
全身の血液が頭に上り、そして全てが沸騰してしまいそうだった。俺は形だけの質問を投げかける。
「何をしていた」
そう言っても素直に答えるはずがない。
俺は腰からサーベルを引き抜いて奴らに向ける。
「ま、待ってくれよ騎士様。俺らは同意の上で、」
「その格好が同意の上だと?馬鹿も休み休み言え」
こんなくだらない戯言に付き合ってはいられない。一歩を踏み出すと、相手も一歩下がる。
男達は自分が不利と踏んだのだろう。レイアを盾にして、その首にナイフを突き立てる。ナイフが食い込んで、余計に傷から血が流れ出る。
ーああ、越えてはいけない線を超えてしまったな。
お前も、この俺も
俺は冷静だった。さっきまで体を支配していた激情は、全てを通り越して無となっていた。
此方に向かってきた3人の男を軽く捌くと、残りの男達は口を開けたまま絶句していた。何とも無様な姿だろうか。
ー「さあ、言い訳を聞こうか」ー
俺の低い声が、闇夜に静かに響いた。
427
あなたにおすすめの小説
有能女官の赴任先は辺境伯領
たぬきち25番
恋愛
お気に入り1000ありがとうございます!!
お礼SS追加決定のため終了取下げいたします。
皆様、お気に入り登録ありがとうございました。
現在、お礼SSの準備中です。少々お待ちください。
辺境伯領の当主が他界。代わりに領主になったのは元騎士団の隊長ギルベルト(26)
ずっと騎士団に在籍して領のことなど右も左もわからない。
そのため新しい辺境伯様は帳簿も書類も不備ばかり。しかも辺境伯領は王国の端なので修正も大変。
そこで仕事を終わらせるために、腕っぷしに定評のあるギリギリ貴族の男爵出身の女官ライラ(18)が辺境伯領に出向くことになった。
だがそこでライラを待っていたのは、元騎士とは思えないほどつかみどころのない辺境伯様と、前辺境伯夫妻の忘れ形見の3人のこどもたち(14歳男子、9歳男子、6歳女子)だった。
仕事のわからない辺境伯を助けながら、こどもたちの生活を助けたり、魔物を倒したり!?
そしていつしか、ライラと辺境伯やこどもたちとの関係が変わっていく……
※お待たせしました。
※他サイト様にも掲載中
我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。
たぬきち25番
恋愛
「ここはどこですか?私はだれですか?」目を覚ましたら全く知らない場所にいました。
しかも以前の私は、かなり我儘令嬢だったそうです。
そんなマイナスからのスタートですが、文句はいえません。
ずっと冷たかった周りの目が、なんだか最近優しい気がします。
というか、甘やかされてません?
これって、どういうことでしょう?
※後日談は激甘です。
激甘が苦手な方は後日談以外をお楽しみ下さい。
※小説家になろう様にも公開させて頂いております。
ただあちらは、マルチエンディングではございませんので、その関係でこちらとは、内容が大幅に異なります。ご了承下さい。
タイトルも違います。タイトル:異世界、訳アリ令嬢の恋の行方は?!~あの時、もしあなたを選ばなければ~
折角転生したのに、婚約者が好きすぎて困ります!
たぬきち25番
恋愛
ある日私は乙女ゲームのヒロインのライバル令嬢キャメロンとして転生していた。
なんと私は最推しのディラン王子の婚約者として転生したのだ!!
幸せすぎる~~~♡
たとえ振られる運命だとしてもディラン様の笑顔のためにライバル令嬢頑張ります!!
※主人公は婚約者が好きすぎる残念女子です。
※気分転換に笑って頂けたら嬉しく思います。
短めのお話なので毎日更新
※糖度高めなので胸やけにご注意下さい。
※少しだけ塩分も含まれる箇所がございます。
《大変イチャイチャラブラブしてます!! 激甘、溺愛です!! お気を付け下さい!!》
※他サイト様にも公開始めました!
悪役令嬢ですが、当て馬なんて奉仕活動はいたしませんので、どうぞあしからず!
たぬきち25番
恋愛
気が付くと私は、ゲームの中の悪役令嬢フォルトナに転生していた。自分は、婚約者のルジェク王子殿下と、ヒロインのクレアを邪魔する悪役令嬢。そして、ふと気が付いた。私は今、強大な権力と、惚れ惚れするほどの美貌と身体、そして、かなり出来の良い頭を持っていた。王子も確かにカッコイイけど、この世界には他にもカッコイイ男性はいる、王子はヒロインにお任せします。え? 当て馬がいないと物語が進まない? ごめんなさい、王子殿下、私、自分のことを優先させて頂きまぁ~す♡
※マルチエンディングです!!
コルネリウス(兄)&ルジェク(王子)好きなエンディングをお迎えください m(_ _)m
2024.11.14アイク(誰?)ルートをスタートいたしました。
楽しんで頂けると幸いです。
※他サイト様にも掲載中です
【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~
降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。
転生先がヒロインに恋する悪役令息のモブ婚約者だったので、推しの為に身を引こうと思います
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【だって、私はただのモブですから】
10歳になったある日のこと。「婚約者」として現れた少年を見て思い出した。彼はヒロインに恋するも報われない悪役令息で、私の推しだった。そして私は名も無いモブ婚約者。ゲームのストーリー通りに進めば、彼と共に私も破滅まっしぐら。それを防ぐにはヒロインと彼が結ばれるしか無い。そこで私はゲームの知識を利用して、彼とヒロインとの仲を取り持つことにした――
※他サイトでも投稿中
(本編完結)無表情の美形王子に婚約解消され、自由の身になりました! なのに、なんで、近づいてくるんですか?
水無月あん
恋愛
本編は完結してます。8/6より、番外編はじめました。よろしくお願いいたします。
私は、公爵令嬢のアリス。ピンク頭の女性を腕にぶら下げたルイス殿下に、婚約解消を告げられました。美形だけれど、無表情の婚約者が苦手だったので、婚約解消はありがたい! はれて自由の身になれて、うれしい! なのに、なぜ、近づいてくるんですか? 私に興味なかったですよね? 無表情すぎる、美形王子の本心は? こじらせ、ヤンデレ、執着っぽいものをつめた、ゆるゆるっとした設定です。お気軽に楽しんでいただければ、嬉しいです。
前世で私を嫌っていた番の彼が何故か迫って来ます!
ハルン
恋愛
私には前世の記憶がある。
前世では犬の獣人だった私。
私の番は幼馴染の人間だった。自身の番が愛おしくて仕方なかった。しかし、人間の彼には獣人の番への感情が理解出来ず嫌われていた。それでも諦めずに彼に好きだと告げる日々。
そんな時、とある出来事で命を落とした私。
彼に会えなくなるのは悲しいがこれでもう彼に迷惑をかけなくて済む…。そう思いながら私の人生は幕を閉じた……筈だった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる