灰色に夕焼けを

柊 来飛

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学校

体育祭の予行

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 高校の行事と言えば、遠足や体育祭、文化祭に修学旅行など色々あるが、僕たち1年生にとって初めての学校全体の行事は体育祭だ。

 この高校は体育祭に力を入れているらしく、早い時期から準備が行われる。応援団で踊るダンスの振り付け決めや、各団の応援歌決め。競技の練習は勿論、各自が担当する役回りの確認など沢山やることがある。

「まずはリレーの選手を決めてしまいたいと思います!」

 体育祭実行委員の男女2人がクラス全体に呼びかける。2人の手元には体育の時間計測したクラス全員の50mの記録表があり、おそらくそれを見て速い人に声をかける感じなのだろう。
 リレーは他の競技と比べて単純ながらもよく盛り上がる競技だ。この体育祭の最後の競技も団対抗リレーとなっている。
 
 今年は女子の人数が少ないらしく、女子は最低でも1人2つの競技に出なければならない。まぁ僕は文化部だしリレーは関係ないか。そう思って何の競技に出ようか考えていたとき、

「烏坂さん、リレー出てくれませんか?」

「えっ」

「50mの記録、烏坂さんが1番速いんだよね」

そう言って実行委員の女の子が手元の資料に目を落とす。隣にいた男の子もチラリと覗く。

「えっ!烏坂さん速くね!?男子入れても良い順位入るでしょ!」

 その子が驚きの声を上げる。確かに速かったもんね。運動部だっけ?いや、違かった気がする。そんな言葉が飛び交う中、僕は唖然としていた。
 いや、確かに僕は運動は得意な方…だと思う。だけど、そんなに速い方だったのか。

「どう?やってくれないかな?」

「…ぼ、わ、私でよければ。」

「ほんと!?ありがとう!!」

 パチパチとみんなが拍手をしてくれる。僕は嬉しい気持ちと気恥ずかしい気持ちで彩葉にチラリと視線を向けた。それに気づいた彩葉は、無言でグッジョブポーズをくれた。

 結局、僕は障害物競争、クラス100m対抗リレー、そして団対抗リレーに出ることになった。
 三つも競技に出てもらって申し訳ないと女子のみんなから謝られたが僕は気にしてないし、むしろみんなが僕を頼ってくれているのがとても嬉しかった。

 彩葉は大玉転がしと玉入れに出ると言っていた。運動は苦手だが、球技は得意な方だから任せてと意気込んでいてとても可愛かった。

 写真部でやる事は体育祭のみんなの勇姿を写真に収めること。実に分かりやすいが、とても難しいことでもある。自分たちが取った写真が卒業アルバムなどにも使われるのだから、ちゃんとかっこいい写真を撮らなければ。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 体育祭も近づいてきて、体育の時間に体育祭の練習をしているときに彩葉が足を捻ってしまった。僕は保健室に彩葉を連れて行った。

「一年三組の烏坂です。月輪さんが足を捻ってしまって…」

 そこまで言うと、奥にいた保健の先生が出てきてくれた。

「あら、じゃぁこちらに」

そう言って椅子を出してきてそこに彩葉を座らせた。氷水を足首に置いて安静にする。

「ありがとうね。体育祭が近いから、怪我人が多くて」

 そう僕に感謝を伝える保健の先生はちょう先生。全身真っ白な容姿で、童話から出てきた雪の妖精のような人だ。
 膝あたりまである真っ白な長い髪を後頭部の下の方で結んでおり、前髪は長いが目にかからないように上手く分けている。
 瞳は宇宙みたいで吸い込まれそうな綺麗な青い瞳をしており、キラキラと色んな光を反射して本当に星が光っているようだ。白く分厚い睫毛が目の回りを縁取り少し垂れ目の大きな目をより大きく見せている。
 少し童顔で、顔だけ見れば可愛らしい印象だが身長は僕より少し高く165くらい。女性の中では大きい方だし、何よりその真っ白な容姿がこの世の住人とは思えない儚さと神秘さを兼ね備えていて、可愛いと言うよりも美人と言った方が近いだろう。
 先生目的でこの保健室に来る生徒も多いらしく、それが今の学校の課題になっているとか、いないとか。

 保健室はとても涼しくて、僕は少しここで時間を潰していこうと先生に話しかけた。

「先生はいつ見ても妖精みたいですよね」

「そう?妖精なんて、嬉しいなぁ」

ふんわりと笑うその顔に何か見覚えがある気がしたが、気にせず話しかける。

「先生、左手の薬指に指輪してますけど、ご結婚されてるんですか?」

「わぁすごい!烏坂さん、大正解!そう、結婚してるの私」

 ニコニコと笑う先生を見て旦那さんとの関係は良好なんだなと、誰目線でものを言っているのだとツッコみたくなるような感想を思ったところでそろそろ戻らなければと思い、彩葉に一言声を掛けてからグラウンドに戻った。


 
 
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