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芽生え
大晦日
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「烏坂は、施設に顔を出したいか?」
夕飯を食べている途中、急にそんなことを聞かれる。
「な、なんで、ですか?」
「大晦日の話だ」
「ああそっか」
もうそろそろ一年の締めくくり。
もうそんな時期か、僕はゆったりと考える。
「………顔、出した方が、良いでしょうか」
「自分が好きにすれば良い。俺はどっちでも構わん」
正直言うと、出したくない。というか、どんな顔をして施設に戻れば良いのか。
きっと施設の職員も僕に会いたくないだろうし。
「……今年は、やめておきます。」
「わかった」
僕が施設を嫌っていることは気づかれているだろう。先生も一応聞いただけだ。予想通りの返答だったのだろう、先生は理由を聞いてこなかった。
その優しさが、今はありがたかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
先生はお正月ギリギリまで仕事があるらしい。
家の大掃除は殆ど僕がやってしまった。
しかし、僕が定期的に掃除をしているせいで大掃除と言える掃除にはならず、結局いつもと同じ掃除になってしまった。
大晦日というのに、今日の先生の帰りは遅いらしい。
僕は1人寂しく年が変わるのを待つ。
独りぼっち。それは、お母さんが死んでからずっと僕が置かれていた状況だった。
独りぼっちの期間の方が長いのに、何故かとても懐かしく感じる。そして、寂しくなる。
こんな感情、とっくに捨てたはずだったんだけどな。
気分を紛らわせるために、興味もない動画を見る。でもやっぱり気分が優れなくて、もう寝てしまおうかと思ったとき、彩葉から連絡が入った。
〈今、クラスグループの方でみんなで通話してるんだけど、夕も来る?〉
連絡を見ると、確かに複数人で通話をしていた。寂しかった気持ちが軽くなり、僕もそこに参加した。
「も、もしもーし」
〈あ、夕。来た〉
〈烏坂、先生居るんじゃねえの?〉
「先生、仕事なんだ」
〈えー!!大晦日なのに!?大変だなぁ〉
その後、みんなが冬休みのことを話していると、また何人か入ってきて、結構な人数となった。
〈うわー!もう11時50分だよ〉
〈後10分で年変わるね〉
〈いやー、ほんとこの1年色んなことがあったなぁ〉
〈そうそう、特に烏坂の先生とかな!〉
「あははっ。こんなにアイドル的存在になってるなんて、先生もビックリしてるよ」
先生が帰ってきたら、このことを話そう。そう思いながら時計を見る。後3分で年が変わるが、先生は依然として戻ってこない。少し寂しいが、仕事ならしょうがない。
でも、やっぱり、
「先生と一緒に、年越したかったなぁ」
不意に漏れた本音。クラスメイトも少し悲しい顔になる。空気を悪くしてしまった。ごめんと謝ろうとすると、前から声が聞こえてきた。
「俺も、烏坂と年越したいぜ」
「えっ、………」
突然の声にバっと前を向くと、そこには少し息を切らしてる先生がいた。
「この家、無駄に駐車場から家までの距離が長いんだよっ。でも、間に合って良かった」
通話先にも声が聞こえているのだろう。みんな驚いた顔をしている。
僕は反射的に立ち上がり、先生に向かって飛びつく。
その時ちょうど、時計は12時00を差していた。
夕飯を食べている途中、急にそんなことを聞かれる。
「な、なんで、ですか?」
「大晦日の話だ」
「ああそっか」
もうそろそろ一年の締めくくり。
もうそんな時期か、僕はゆったりと考える。
「………顔、出した方が、良いでしょうか」
「自分が好きにすれば良い。俺はどっちでも構わん」
正直言うと、出したくない。というか、どんな顔をして施設に戻れば良いのか。
きっと施設の職員も僕に会いたくないだろうし。
「……今年は、やめておきます。」
「わかった」
僕が施設を嫌っていることは気づかれているだろう。先生も一応聞いただけだ。予想通りの返答だったのだろう、先生は理由を聞いてこなかった。
その優しさが、今はありがたかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
先生はお正月ギリギリまで仕事があるらしい。
家の大掃除は殆ど僕がやってしまった。
しかし、僕が定期的に掃除をしているせいで大掃除と言える掃除にはならず、結局いつもと同じ掃除になってしまった。
大晦日というのに、今日の先生の帰りは遅いらしい。
僕は1人寂しく年が変わるのを待つ。
独りぼっち。それは、お母さんが死んでからずっと僕が置かれていた状況だった。
独りぼっちの期間の方が長いのに、何故かとても懐かしく感じる。そして、寂しくなる。
こんな感情、とっくに捨てたはずだったんだけどな。
気分を紛らわせるために、興味もない動画を見る。でもやっぱり気分が優れなくて、もう寝てしまおうかと思ったとき、彩葉から連絡が入った。
〈今、クラスグループの方でみんなで通話してるんだけど、夕も来る?〉
連絡を見ると、確かに複数人で通話をしていた。寂しかった気持ちが軽くなり、僕もそこに参加した。
「も、もしもーし」
〈あ、夕。来た〉
〈烏坂、先生居るんじゃねえの?〉
「先生、仕事なんだ」
〈えー!!大晦日なのに!?大変だなぁ〉
その後、みんなが冬休みのことを話していると、また何人か入ってきて、結構な人数となった。
〈うわー!もう11時50分だよ〉
〈後10分で年変わるね〉
〈いやー、ほんとこの1年色んなことがあったなぁ〉
〈そうそう、特に烏坂の先生とかな!〉
「あははっ。こんなにアイドル的存在になってるなんて、先生もビックリしてるよ」
先生が帰ってきたら、このことを話そう。そう思いながら時計を見る。後3分で年が変わるが、先生は依然として戻ってこない。少し寂しいが、仕事ならしょうがない。
でも、やっぱり、
「先生と一緒に、年越したかったなぁ」
不意に漏れた本音。クラスメイトも少し悲しい顔になる。空気を悪くしてしまった。ごめんと謝ろうとすると、前から声が聞こえてきた。
「俺も、烏坂と年越したいぜ」
「えっ、………」
突然の声にバっと前を向くと、そこには少し息を切らしてる先生がいた。
「この家、無駄に駐車場から家までの距離が長いんだよっ。でも、間に合って良かった」
通話先にも声が聞こえているのだろう。みんな驚いた顔をしている。
僕は反射的に立ち上がり、先生に向かって飛びつく。
その時ちょうど、時計は12時00を差していた。
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