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自覚
文化祭
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当日までに何とか終わり、迎えた文化祭。
1日目は学校内だけだが、2日目は外部からの人も呼んで文化祭を開く。
1日目はあまり振るわなかった僕たちの喫茶店も、2日目になると鰻登りで売り上げを上げていった。
先生はというと、PTAの役員で学校にはいるが、顔は出せるかどうか分からないとのことだった。
しかし、終わりの時間はほぼ一緒なので、帰りは一緒に帰れる。
僕は彩葉と2人組で、看板を持って宣伝に行く。宣伝のとき、ウェイトレス姿は1人いればいいということなので、彩葉は普通の学校のセーラー服だ。
人混みの中歩き回っていると、ある男性二人組に話しかけられた。
「お、そこの女の子二人組。それ、どこでやってんの?」
「3階の2年5組でやってます」
「いいね、案内してよ」
「わかりました。では私の後について来て…」
「君たちさ、そのシフト終わったら俺らと一緒に回らない?」
「「え?」」
急に言われ、僕と彩葉は同時に声を出す。
「君たち可愛いし、ここだけじゃなくて色んなところ案内してもらいたいんだよね~。いいでしょ、君たちのところ行ってあげるから」
僕と彩葉は目を合わせる。なんでこうも、厄介ごとに巻き込まれてしまうのか。
しかし、彩葉は淡々と言う。
「すみません、そういうのはやってません」
「え~いいじゃん。一緒に回るだけだよ?」
「お気持ちは嬉しいのですが、私たちもやることがあるので」
そう僕も加勢を入れて、穏便にその場から立ち去ろうとする。
しかしその人たちはまだ諦めていない。
あーだこーだ言ってくるのに困っていたら、
「すまないが、もうこの2人は先約がいてね。他を当たってくれないか」
僕たち4人は一斉に上を向く。そこにはなぜか、デッキブラシを持った先生が立っていた。持っているのはデッキブラシなのに、とてつもない強い武器に見えてしまう。
2人はすみませんと小声で言ってそそくさと立ち去っていた。
「お前は何でこんなに面倒くさい奴に絡まれやすいんだ」
「僕が知りたいです…」
まさかここで会うなんて。PTAの仕事は?と聞くと、交代しながらやっているらしく、今は休憩時間だと言う。
「何でデッキブラシ持ってるんですか?」
「俺が聞きたい。どこのデッキブラシなんだこれ。俺が通ってきた廊下のど真ん中に落ちてたんだが、近くに掃除箱が無いからここまで持ってきた」
デッキブラシを見せられて、そんな見せられても分かるはずないと思ったが、デッキブラシの持ち手の先の方に2年5組と書かれていた。
「あれ、これ僕のクラスのやつです」
「食堂近くの廊下にあったぞ。あそこ一階だし外にも近いところだろ。何でそんなところに落ちてるんだ?」
「食堂近くの廊下は、私たちのクラスが掃除当番です」
彩葉の言葉を聞いて全てを理解した。掃除当番の人が片付け忘れたのか。
「これを届けるついでに、せっかくだしお前の喫茶店寄るか」
そう言われて僕たちは教室へ戻る。あんなに一生懸命多い人混みをかき分けて宣伝してたのに、先生がいるだけで皆が道を開ける。何だかモーセみたいだ。
先生が僕のクラスの喫茶店に来ると、みんなが声を上げた。
「え!?烏坂の先生じゃん!いらっしゃいませ!」
「先生、こちらに案内するので…ふふ、ん、すみませ、んふふ、まっ、ふふふっ」
僕は笑みを堪えきれずクツクツと笑う。
「何がそんなにおかしいんだ」
「だ、だって先生、背が大きいから教室入るにもいちいち屈まなくちゃダメで、なんか、可愛くて、ふふっ」
「随分と失礼な店員だな」
「すみませ、ん、フフフッ」
僕は笑いながら先生を席に案内する。先生はコーヒーとプリンを頼んだ。
「お待たせしました」
「1分も待ってないが」
学生がやる喫茶店だ。市販のものをお皿にだすだけの簡素なやつだから、時間なんてそうそう掛からない。
先生は僕に話しかける。
「その服、似合ってる」
「!、そ、それは、あ、ありがとう、ござい、ます」
「照れてるな」
「て、照れてなんかいませんっ!」
笑われて根に持っているのだろう。やってやったと言わんばかりの笑みを僕に向ける。
「店員さんと写真も撮れるんですよー。夕ちゃんの先生も撮っていきます?」
「じゃあ撮るか、烏坂」
「え!?」
コーヒーとプリンを食べ終わった先生はガタンと席を立つ。
僕は手を引かれてフォトスポットの前まで来る。先生はスマホを渡してもう撮る態勢だ。
「笑って~、ハイチーズ!」
パシャリと一枚撮った写真は、先生の無愛想な顔と困惑しながらもきっちりピースをしている僕が写った写真だった。
1日目は学校内だけだが、2日目は外部からの人も呼んで文化祭を開く。
1日目はあまり振るわなかった僕たちの喫茶店も、2日目になると鰻登りで売り上げを上げていった。
先生はというと、PTAの役員で学校にはいるが、顔は出せるかどうか分からないとのことだった。
しかし、終わりの時間はほぼ一緒なので、帰りは一緒に帰れる。
僕は彩葉と2人組で、看板を持って宣伝に行く。宣伝のとき、ウェイトレス姿は1人いればいいということなので、彩葉は普通の学校のセーラー服だ。
人混みの中歩き回っていると、ある男性二人組に話しかけられた。
「お、そこの女の子二人組。それ、どこでやってんの?」
「3階の2年5組でやってます」
「いいね、案内してよ」
「わかりました。では私の後について来て…」
「君たちさ、そのシフト終わったら俺らと一緒に回らない?」
「「え?」」
急に言われ、僕と彩葉は同時に声を出す。
「君たち可愛いし、ここだけじゃなくて色んなところ案内してもらいたいんだよね~。いいでしょ、君たちのところ行ってあげるから」
僕と彩葉は目を合わせる。なんでこうも、厄介ごとに巻き込まれてしまうのか。
しかし、彩葉は淡々と言う。
「すみません、そういうのはやってません」
「え~いいじゃん。一緒に回るだけだよ?」
「お気持ちは嬉しいのですが、私たちもやることがあるので」
そう僕も加勢を入れて、穏便にその場から立ち去ろうとする。
しかしその人たちはまだ諦めていない。
あーだこーだ言ってくるのに困っていたら、
「すまないが、もうこの2人は先約がいてね。他を当たってくれないか」
僕たち4人は一斉に上を向く。そこにはなぜか、デッキブラシを持った先生が立っていた。持っているのはデッキブラシなのに、とてつもない強い武器に見えてしまう。
2人はすみませんと小声で言ってそそくさと立ち去っていた。
「お前は何でこんなに面倒くさい奴に絡まれやすいんだ」
「僕が知りたいです…」
まさかここで会うなんて。PTAの仕事は?と聞くと、交代しながらやっているらしく、今は休憩時間だと言う。
「何でデッキブラシ持ってるんですか?」
「俺が聞きたい。どこのデッキブラシなんだこれ。俺が通ってきた廊下のど真ん中に落ちてたんだが、近くに掃除箱が無いからここまで持ってきた」
デッキブラシを見せられて、そんな見せられても分かるはずないと思ったが、デッキブラシの持ち手の先の方に2年5組と書かれていた。
「あれ、これ僕のクラスのやつです」
「食堂近くの廊下にあったぞ。あそこ一階だし外にも近いところだろ。何でそんなところに落ちてるんだ?」
「食堂近くの廊下は、私たちのクラスが掃除当番です」
彩葉の言葉を聞いて全てを理解した。掃除当番の人が片付け忘れたのか。
「これを届けるついでに、せっかくだしお前の喫茶店寄るか」
そう言われて僕たちは教室へ戻る。あんなに一生懸命多い人混みをかき分けて宣伝してたのに、先生がいるだけで皆が道を開ける。何だかモーセみたいだ。
先生が僕のクラスの喫茶店に来ると、みんなが声を上げた。
「え!?烏坂の先生じゃん!いらっしゃいませ!」
「先生、こちらに案内するので…ふふ、ん、すみませ、んふふ、まっ、ふふふっ」
僕は笑みを堪えきれずクツクツと笑う。
「何がそんなにおかしいんだ」
「だ、だって先生、背が大きいから教室入るにもいちいち屈まなくちゃダメで、なんか、可愛くて、ふふっ」
「随分と失礼な店員だな」
「すみませ、ん、フフフッ」
僕は笑いながら先生を席に案内する。先生はコーヒーとプリンを頼んだ。
「お待たせしました」
「1分も待ってないが」
学生がやる喫茶店だ。市販のものをお皿にだすだけの簡素なやつだから、時間なんてそうそう掛からない。
先生は僕に話しかける。
「その服、似合ってる」
「!、そ、それは、あ、ありがとう、ござい、ます」
「照れてるな」
「て、照れてなんかいませんっ!」
笑われて根に持っているのだろう。やってやったと言わんばかりの笑みを僕に向ける。
「店員さんと写真も撮れるんですよー。夕ちゃんの先生も撮っていきます?」
「じゃあ撮るか、烏坂」
「え!?」
コーヒーとプリンを食べ終わった先生はガタンと席を立つ。
僕は手を引かれてフォトスポットの前まで来る。先生はスマホを渡してもう撮る態勢だ。
「笑って~、ハイチーズ!」
パシャリと一枚撮った写真は、先生の無愛想な顔と困惑しながらもきっちりピースをしている僕が写った写真だった。
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