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自覚
色々な感情
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そこから僕たちは警察署に行き、取り調べを受けた。
本当は1人ずつなのだが、彩葉達が泣きながら僕から離れないので、3人一緒に話をした。
こんなことがあった後だ。怖がらせないようにと、婦警さんが話を聞いてくれた。
彩葉達の話はこうだ。
まず、暴漢から逃げた後、警察に連絡を入れた。
そのときに、仕事が早く終わった先生がたまたま通りかかり、彩葉が事情を話す。
それを聞いた先生は、場所を聞いてすぐに僕の方へ向かった。
彩葉達は到着した警察を率いて僕の方に来た。
とのことだった。
僕はされたことを話すと、彩葉達は自分たちだけごめんと謝ってきた。
彩葉達が先生と警察に言ってくれたから僕は今こうして助かっているのだ。何も謝ることはない。
婦警さんもそう言ってくれて、僕たちは警察署を出た。
別室で話していた先生も出てきて、あの人達はと聞くと、過去にも暴漢や万引きなど色々やっていたそうで、今回は逮捕らしい。
彩葉達は家族が警察署まで迎えにきてくれるらしく、僕は先生と一緒に家に帰った。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
家に帰ると、玄関でまた先生に抱きしめられる。
「せ、先生」
「本当に、何でお前はこんな輩に好かれるんだ…」
「な、何ででしょう、軽い女だと思われているとか、」
「そんなことない」
先生は僕の髪をサラリとかき分ける。露わになった首を撫でて、低い声で言う。
「首、舐められたって言ったよな」
「え?ええ、まぁ…」
「チッ」
舌打ちすると、先生は靴を脱いで上がる。
「風呂下ろすから入っちまえ。早く洗い流したいだろ」
「ありがとうございます」
僕もローファーを脱いで上がり、自分の部屋に行く。
ー「そいつを殺したら、無かったことになるか?」
先生の独り言は、僕には聞こえなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
被害者の子達の話を聞いて、その子達を送り出す。
友達はすごく泣いていたけれど、肝心の被害にあった子は肝が据わっていて受け答えもちゃんとしていた。
今の子は強いのね。そう思っていたが、最後に3人を抱きしめてあげると、目が潤んでいた。年相応の反応に、ああ、まだこの子は子供なんだなと気付かされた。
「先輩達、聞いてくださいよ~」
事情聴取が終わり、後輩の子が話しかけてくる。その話を私とベテランの先輩2人が聞く。
「いや俺、さっきあの人の話聞いたじゃないですか。あの背がめっちゃ高い人」
「ええ、いたわね。その人、あの子がお世話になってる家の人なんでしょ?」
「はい、そうなんですけど、そうじゃなくて!あの人、めっちゃ怖いんですよ」
「まぁ背が高いと威圧感があって怖いわよね」
「背も関係してるんですけど、俺が質問するじゃないですか。そうすると簡潔に答えてくれるんですけど、なんか殺気が凄くて」
「殺気?」
「あの暴漢、全部あの人がやったらしいです。あの人数をですよ?何か武器使ったかと思ったけど生身だったし」
「ほう、それで?」
ベテランの先輩も気になるようだ。タバコ吸いながら先を促す。
「それで、あの人ナイフで暴漢の首切ったじゃないですか」
「ああ、あれか。少し切れてただけだが。綺麗な切り口だったよ。迷いがないね」
暴漢達の事情聴取を担当したのはこのベテランの先輩だ。
「そう!それなんですよ!」
「それって?」
「なんか、わざとじゃなくても切ったりとかしたらまぁ少しぐらいは狼狽えるじゃないですか。あの人、全然狼狽えないんですよ。しかも、切ったのは明確に傷つける意思があったからで、正当防衛だって言って」
正当防衛というのは、反撃をする意思ではなく、守るためにやったことが正当防衛とされる。
この場合、どっちの意思もあってやってることになるが。
「それで、何でやったか聞いたんです。貴方なら、傷つけなくても拳で行けたでしょって」
「拳で行けたって…」
「そしたら、そこにいた暴漢全員殺す気だったって言って!被害者の女の子がやめてって言ったから辞めただけで、頼まれたら皆殺しだったて」
「あら、」
「あら、じゃなくないですか!?それで、俺流石に嘘だと思ったんですよ。でも、目が本当に本気で…。俺、怖くなっちゃって」
「貴方、柔道部じゃなかった?」
「勝てません!あれは本当に!技とかは俺繰り出せますけど、相手があの人だったら棄権します。目で殺されます」
そんなに言うほどなのか。私がうーんと、あまり見当が入っていない様子を見たベテラン先輩が口を開いた。
「まぁ君の言うこともわかるよ。暴漢達、あの人にかなり怯えていてね。このままじゃ本当に殺されるって。日常に戻ったらいつ殺されるからわかんないから、ムショ行きでも良いって。むしろそっちの方が良いとも言っていたよ」
「そんなにですか」
「あの人、何か暴漢達に伝えたいことは?って聞いたら、殺されないだけマシだと思えと伝えてくれって言われて、本当に怖かったぁ」
机に突っ伏してその時を振り返る後輩。
「あの人、本当にあの子のこと大事に思っているんですね。自分の娘のように思ってるんでしょうか」
「いや、娘というより…あれは違うな。娘にあんな感情は向けないだろう」
「どんな感情ですか?」
後輩が聞く。
「色んな感情だよ。本当に色々な、ね」
本当は1人ずつなのだが、彩葉達が泣きながら僕から離れないので、3人一緒に話をした。
こんなことがあった後だ。怖がらせないようにと、婦警さんが話を聞いてくれた。
彩葉達の話はこうだ。
まず、暴漢から逃げた後、警察に連絡を入れた。
そのときに、仕事が早く終わった先生がたまたま通りかかり、彩葉が事情を話す。
それを聞いた先生は、場所を聞いてすぐに僕の方へ向かった。
彩葉達は到着した警察を率いて僕の方に来た。
とのことだった。
僕はされたことを話すと、彩葉達は自分たちだけごめんと謝ってきた。
彩葉達が先生と警察に言ってくれたから僕は今こうして助かっているのだ。何も謝ることはない。
婦警さんもそう言ってくれて、僕たちは警察署を出た。
別室で話していた先生も出てきて、あの人達はと聞くと、過去にも暴漢や万引きなど色々やっていたそうで、今回は逮捕らしい。
彩葉達は家族が警察署まで迎えにきてくれるらしく、僕は先生と一緒に家に帰った。
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家に帰ると、玄関でまた先生に抱きしめられる。
「せ、先生」
「本当に、何でお前はこんな輩に好かれるんだ…」
「な、何ででしょう、軽い女だと思われているとか、」
「そんなことない」
先生は僕の髪をサラリとかき分ける。露わになった首を撫でて、低い声で言う。
「首、舐められたって言ったよな」
「え?ええ、まぁ…」
「チッ」
舌打ちすると、先生は靴を脱いで上がる。
「風呂下ろすから入っちまえ。早く洗い流したいだろ」
「ありがとうございます」
僕もローファーを脱いで上がり、自分の部屋に行く。
ー「そいつを殺したら、無かったことになるか?」
先生の独り言は、僕には聞こえなかった。
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被害者の子達の話を聞いて、その子達を送り出す。
友達はすごく泣いていたけれど、肝心の被害にあった子は肝が据わっていて受け答えもちゃんとしていた。
今の子は強いのね。そう思っていたが、最後に3人を抱きしめてあげると、目が潤んでいた。年相応の反応に、ああ、まだこの子は子供なんだなと気付かされた。
「先輩達、聞いてくださいよ~」
事情聴取が終わり、後輩の子が話しかけてくる。その話を私とベテランの先輩2人が聞く。
「いや俺、さっきあの人の話聞いたじゃないですか。あの背がめっちゃ高い人」
「ええ、いたわね。その人、あの子がお世話になってる家の人なんでしょ?」
「はい、そうなんですけど、そうじゃなくて!あの人、めっちゃ怖いんですよ」
「まぁ背が高いと威圧感があって怖いわよね」
「背も関係してるんですけど、俺が質問するじゃないですか。そうすると簡潔に答えてくれるんですけど、なんか殺気が凄くて」
「殺気?」
「あの暴漢、全部あの人がやったらしいです。あの人数をですよ?何か武器使ったかと思ったけど生身だったし」
「ほう、それで?」
ベテランの先輩も気になるようだ。タバコ吸いながら先を促す。
「それで、あの人ナイフで暴漢の首切ったじゃないですか」
「ああ、あれか。少し切れてただけだが。綺麗な切り口だったよ。迷いがないね」
暴漢達の事情聴取を担当したのはこのベテランの先輩だ。
「そう!それなんですよ!」
「それって?」
「なんか、わざとじゃなくても切ったりとかしたらまぁ少しぐらいは狼狽えるじゃないですか。あの人、全然狼狽えないんですよ。しかも、切ったのは明確に傷つける意思があったからで、正当防衛だって言って」
正当防衛というのは、反撃をする意思ではなく、守るためにやったことが正当防衛とされる。
この場合、どっちの意思もあってやってることになるが。
「それで、何でやったか聞いたんです。貴方なら、傷つけなくても拳で行けたでしょって」
「拳で行けたって…」
「そしたら、そこにいた暴漢全員殺す気だったって言って!被害者の女の子がやめてって言ったから辞めただけで、頼まれたら皆殺しだったて」
「あら、」
「あら、じゃなくないですか!?それで、俺流石に嘘だと思ったんですよ。でも、目が本当に本気で…。俺、怖くなっちゃって」
「貴方、柔道部じゃなかった?」
「勝てません!あれは本当に!技とかは俺繰り出せますけど、相手があの人だったら棄権します。目で殺されます」
そんなに言うほどなのか。私がうーんと、あまり見当が入っていない様子を見たベテラン先輩が口を開いた。
「まぁ君の言うこともわかるよ。暴漢達、あの人にかなり怯えていてね。このままじゃ本当に殺されるって。日常に戻ったらいつ殺されるからわかんないから、ムショ行きでも良いって。むしろそっちの方が良いとも言っていたよ」
「そんなにですか」
「あの人、何か暴漢達に伝えたいことは?って聞いたら、殺されないだけマシだと思えと伝えてくれって言われて、本当に怖かったぁ」
机に突っ伏してその時を振り返る後輩。
「あの人、本当にあの子のこと大事に思っているんですね。自分の娘のように思ってるんでしょうか」
「いや、娘というより…あれは違うな。娘にあんな感情は向けないだろう」
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後輩が聞く。
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