62 / 132
止められない想い
罰ゲーム
しおりを挟む
「じゃあ気をつけろよ」
「はい」
風邪が治った僕は先生に見送られながら家を出る。
学校に行くと、みんなが声をかけてくれる。
「やっぱり、夕。あの日具合悪かったじゃん」
「だよねー。夕ちゃん本当に顔面蒼白って感じだったし」
「無理にでも保健室連れていくべきだったわ…」
結局、僕はあの日から2日休んで学校に登校した。その間先生は仕事を休んで、ずっと僕のそばに居てくれた。
それが嬉しくて、ずっと風邪で良いのにと、とても浅はかな考えをしたものだ。
時間が来たので友達と別れて自分の席に着く。すると、机の中に何かが入っている。
取り出すと、小さな紙切れに何かが書いてある。
〈○月⬜︎日の放課後、学校裏に来て下さい〉
日付は今日を指していた。僕はその紙を黙って見つめる。そして、折りたたんで筆箱の中にしまう。
今日の授業はあまり頭に入ってこなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
指定通りに学校裏に来ると、男の子が待っていた。確か、隣のクラスの男の子だ。クラスが一緒になったことはないが、時々話す子だ。
「あ、烏坂さん」
「は、はい」
「好きです、その…付き合って、下さい…」
やはり告白だったか。僕が告白されるなんて夢にも思わなかった。
しかし、何故だ?
この子とは話したことはあるが連絡先を交換したりしていない。友人…と言い切れるかも分からない。知人くらいの関係だ。
不自然じゃないように辺りを見ると、物陰に数人の影があった。キラリとレンズが反射する。スマホをこちらに向けているようだ。
あー、これは……。
手紙の文字もそうだった。殴り書きみたいで、丁寧じゃなかったし。
告白の感じも、言わされているような感じで。本心じゃない。ぶっきらぼうで、目も合わせない。
特に仲良くもない人に、こんな事をする。
これは、罰ゲームか。
「えっと…。ごめんなさい」
「えっ?」
「その…。たまに話すけど、よく、貴方のこと知らないから…」
そう言うと、彼はグイッと距離を詰めてくる。
「な、何で、俺の誘いを断るの!?」
「えっ、だっ、だから……」
「俺、結構女子からも人気だし、何で!?」
あー。これ、あれか。この子が告白するば、相手が誰だろうとOKを貰えると思っていたのだ。
そして、付き合って少ししたら、罰ゲームだったとバラす。そんな感じか。
しかし、今僕に断られている。シナリオが崩れたのだ。
「いいの?俺の結構人気だし、断ったら後悔するよ?」
「いや、あの…」
どうやって断ろうと、しどろもどろしていると、男の子はため息をつく。
「はあぁ。別に良いよ。罰ゲームだったし。断られるとは思ってなかったけど。つまんねーの」
僕はそれにカチンと来た。何で僕がこんなこと言われなきゃ駄目なのだ。
「烏坂さん、なに?他に好きな人いんの?」
「えっ…」
「どうなの?じゃなきゃ断らなくね?」
「いや、…」
どこまで無礼なのだろうか。人のプライバシーに土足でズケズケと入り込んできて。こんな人だとは知らなかったし、思いもしなかった。サッカー部でかっこいいと女子は言っていたし。
「烏坂さん施設育ちなんでしょ?そんなの俺の方から願い下げだし。チョロそうだからって烏坂さんに決めたけど、意外と図太いんだね」
すごい言われる。別に昔から言われていたことだし気にしないが。
「用がないならもう帰ります」
「なに?逃げんの?そうやっていつもいつもやな事実から逃げてきたんだ。さすが、施設育ち」
その言葉が僕の胸をチクリと刺す。逃げてきた。事実だからだ。何も見えない、聞こえないフリをしてきたからだ。
「はーあ。そんなんだからモテないんだよ。烏坂さん、彼氏いたこと無いでしょ。いつもクールぶってるしね」
ああ。いつ終わるのだろうか。今帰ると確実に尾鰭がつく。いや、いつ帰っても同じか。しかし、今帰るのは得策では無い。逃げられたと思われる。
「顔とか身体とかは良いのに。でもそれだけだね。俺の告白断るし。あー、分かった分かった。もう良いよ」
何が分かったのだろうか。何も知らないくせに。
彼はそう言うと、荷物を持って去っていた。
陰に隠れていた人たちも、コソコソと帰って行った。
散々な日だったな。
僕は気持ちが晴れないままスーパーに寄り、ご飯を作った。
「はい」
風邪が治った僕は先生に見送られながら家を出る。
学校に行くと、みんなが声をかけてくれる。
「やっぱり、夕。あの日具合悪かったじゃん」
「だよねー。夕ちゃん本当に顔面蒼白って感じだったし」
「無理にでも保健室連れていくべきだったわ…」
結局、僕はあの日から2日休んで学校に登校した。その間先生は仕事を休んで、ずっと僕のそばに居てくれた。
それが嬉しくて、ずっと風邪で良いのにと、とても浅はかな考えをしたものだ。
時間が来たので友達と別れて自分の席に着く。すると、机の中に何かが入っている。
取り出すと、小さな紙切れに何かが書いてある。
〈○月⬜︎日の放課後、学校裏に来て下さい〉
日付は今日を指していた。僕はその紙を黙って見つめる。そして、折りたたんで筆箱の中にしまう。
今日の授業はあまり頭に入ってこなかった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
指定通りに学校裏に来ると、男の子が待っていた。確か、隣のクラスの男の子だ。クラスが一緒になったことはないが、時々話す子だ。
「あ、烏坂さん」
「は、はい」
「好きです、その…付き合って、下さい…」
やはり告白だったか。僕が告白されるなんて夢にも思わなかった。
しかし、何故だ?
この子とは話したことはあるが連絡先を交換したりしていない。友人…と言い切れるかも分からない。知人くらいの関係だ。
不自然じゃないように辺りを見ると、物陰に数人の影があった。キラリとレンズが反射する。スマホをこちらに向けているようだ。
あー、これは……。
手紙の文字もそうだった。殴り書きみたいで、丁寧じゃなかったし。
告白の感じも、言わされているような感じで。本心じゃない。ぶっきらぼうで、目も合わせない。
特に仲良くもない人に、こんな事をする。
これは、罰ゲームか。
「えっと…。ごめんなさい」
「えっ?」
「その…。たまに話すけど、よく、貴方のこと知らないから…」
そう言うと、彼はグイッと距離を詰めてくる。
「な、何で、俺の誘いを断るの!?」
「えっ、だっ、だから……」
「俺、結構女子からも人気だし、何で!?」
あー。これ、あれか。この子が告白するば、相手が誰だろうとOKを貰えると思っていたのだ。
そして、付き合って少ししたら、罰ゲームだったとバラす。そんな感じか。
しかし、今僕に断られている。シナリオが崩れたのだ。
「いいの?俺の結構人気だし、断ったら後悔するよ?」
「いや、あの…」
どうやって断ろうと、しどろもどろしていると、男の子はため息をつく。
「はあぁ。別に良いよ。罰ゲームだったし。断られるとは思ってなかったけど。つまんねーの」
僕はそれにカチンと来た。何で僕がこんなこと言われなきゃ駄目なのだ。
「烏坂さん、なに?他に好きな人いんの?」
「えっ…」
「どうなの?じゃなきゃ断らなくね?」
「いや、…」
どこまで無礼なのだろうか。人のプライバシーに土足でズケズケと入り込んできて。こんな人だとは知らなかったし、思いもしなかった。サッカー部でかっこいいと女子は言っていたし。
「烏坂さん施設育ちなんでしょ?そんなの俺の方から願い下げだし。チョロそうだからって烏坂さんに決めたけど、意外と図太いんだね」
すごい言われる。別に昔から言われていたことだし気にしないが。
「用がないならもう帰ります」
「なに?逃げんの?そうやっていつもいつもやな事実から逃げてきたんだ。さすが、施設育ち」
その言葉が僕の胸をチクリと刺す。逃げてきた。事実だからだ。何も見えない、聞こえないフリをしてきたからだ。
「はーあ。そんなんだからモテないんだよ。烏坂さん、彼氏いたこと無いでしょ。いつもクールぶってるしね」
ああ。いつ終わるのだろうか。今帰ると確実に尾鰭がつく。いや、いつ帰っても同じか。しかし、今帰るのは得策では無い。逃げられたと思われる。
「顔とか身体とかは良いのに。でもそれだけだね。俺の告白断るし。あー、分かった分かった。もう良いよ」
何が分かったのだろうか。何も知らないくせに。
彼はそう言うと、荷物を持って去っていた。
陰に隠れていた人たちも、コソコソと帰って行った。
散々な日だったな。
僕は気持ちが晴れないままスーパーに寄り、ご飯を作った。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
敏腕SEの優しすぎる独占愛
春咲さゆ
恋愛
仕事も恋愛も、兎に角どん底の毎日だった。
あの日、あの雨の夜、貴方に出逢うまでは。
「終わらせてくれたら良かったのに」
人生のどん底にいた、26歳OL。
木崎 茉莉 ~kisaki matsuri~
×
「泣いたらいいよ。傍にいるから」
雨の日に現れた、30歳システムエンジニア。
藤堂 柊真 ~Todo Syuma~
雨の夜の出会いがもたらした
最高の溺愛ストーリー。
【R18】純粋無垢なプリンセスは、婚礼した冷徹と噂される美麗国王に三日三晩の初夜で蕩かされるほど溺愛される
奏音 美都
恋愛
数々の困難を乗り越えて、ようやく誓約の儀を交わしたグレートブルタン国のプリンセスであるルチアとシュタート王国、国王のクロード。
けれど、それぞれの執務に追われ、誓約の儀から二ヶ月経っても夫婦の時間を過ごせずにいた。
そんなある日、ルチアの元にクロードから別邸への招待状が届けられる。そこで三日三晩の甘い蕩かされるような初夜を過ごしながら、クロードの過去を知ることになる。
2人の出会いを描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスを野盗から助け出したのは、冷徹と噂される美麗国王でした」https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/443443630
2人の誓約の儀を描いた作品はこちら
「純粋無垢なプリンセスは、冷徹と噂される美麗国王と誓約の儀を結ぶ」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/702276663/183445041
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる