灰色に夕焼けを

柊 来飛

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止められない想い

頼って困らせて

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 みんなは僕と一緒に校門まで来てくれた。そして、僕の別れ際に言葉を交わす。

「さっきああは言ったけど、本当にばら撒く気は無いから。でも、これからも続くようだったら俺たちに言って、なんでもするから」

「そうだよ、夕ちゃん。もっと頼ってよ」

「そのさ、さっきのこと、俺ら聞いちゃったたけどさ…。俺らからも教えるよ。辛い時とか、困ったときは、頼って良いんだよ。迷惑かけて良いんだよ」

「迷惑、かけていいの…?」

 僕が不安な声で聞くと、みんなは大きく頷く。

「良いんだよ!同じクラスメイトでしょ!?と言うか、夕ちゃんの迷惑って迷惑じゃないし!」

 僕の手を握って笑顔で答えてくれる。僕はさっき泣いたばっかりなのに、また泣いてしまいそうだ。

「もっと頼ってよ、もっと迷惑かけてよ。そうやって仲良くなってくんだからさ」

 今回の案の提案者の男の子が言う。僕は堪えきれずに涙がポロポロと流れる。

「え!?待って、烏坂!?ちょ、ちが、泣かせたいわけじゃなくて、」

「あーあ。夕ちゃんの先生に怒られるぞー」

「違うって!俺まだやりたいこと沢山あるのに!」

 ワナワナとする男の子に僕は笑いかける。

「ありがとう。僕、これからはみんなをもっと頼るよ」

「うん、そうしてよ。後、烏坂の先生には、俺が泣かせたって言わないでほしいかな…」

「それは僕の気分だなぁ」

「待って烏坂!ジュース奢る!ジュース奢るから!」

 財布を取り出して慌てる姿が面白くて笑ってしまう。

 そっか、僕、もっと迷惑かけて良いんだ。また新しいことをみんなに教えてもらった。僕はまだ何も返せてない。しかし、みんなは見返りを望んでこんなことをしているわけじゃ無いと、彩葉が教えてくれた。

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「先生、お風呂入り終わった後、時間ありますか?話したいことがあるんです」

 夕飯を食べ終わった後、先生に話しかける。先生は全てを察したように答える。

「ああ。全部、聞かせてくれ」

 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
 
 お風呂上がり、僕たちはベランダに出ていた。

「今日、またあの男の子に呼ばれたんです」

「行ったのか?」

「はい。それで、最初は良かったんですけど、途中から僕も怒っちゃって。言い合いになったんです。取っ組み合いの喧嘩になってしまって」 

「お前がそんなになるなんて、随分と凄いな」

「はい。先生を、馬鹿にしてきたんです。僕の身体を、先生に売ってるって言われて、それで、先生のこと、凄い言って、」

「烏坂、」

「先生は、そんな人じゃ無いのに、何も知らないくせに、そんなこと言って」

 僕は先生の方を向く。先生は僕をただ見つめる。

「先生。僕とみんな、何が違うんでしょうか。聞いても、教えてくれなくて」

「全部違うし、全部同じだ」

 先生は僕の頭を撫でながら言う。

「同じところなんて無いし、違うところなんて無い。結局みんなそうだ、怖いんだ」

「怖い?」

「自分の知らないことが怖いんだ。だから、自分と違うものを認められない。違うということを、同じだということを、知らないから」

 未知は恐怖だと、どこかで聞いた。それは、この事なのだろうか。

「難しいですね、分かり合うのは」

「全くだ」

 先生も経験があるのだろう。遠い目をする。僕は先生に近づいて自分からハグをする。

「烏坂?」

「今日、みんなが教えてくれました。迷惑かけても良いと。だから、先生にも迷惑をかけます」

「可愛い迷惑だ」
 
 先生はそう笑って僕を抱き寄せる。先生の規則正しい鼓動が聞こえる。

「…今日、話したは良いものの、まだ解決してないんです。一応、証拠の動画は撮ったんですけど…」

「それなら十分だろう。何かあったら、俺がなんとかしてやる」

「心強いです」

 僕は安心感で眠くなる。しかし、もう少し先生と一緒にいたい。

「先生、あったかい…」

「それはお前の方だろ。もう寝るか?運ぶぞ」

「もう、少し…一緒に…」

 眠たい頭で僕はふと思い、先生から一回離れる。

「先生、しゃがんでくれませんか?」

「?、こうか?」

 スッと先生が屈む。身長差がある為、かなり腰を低くした状態になる。
 僕はほぼ同じ目線になった先生の頭を撫でる。

「か、烏坂?」

「先生がいつも撫でてくれるので、お返しです」

 わしゃわしゃと濡れた髪を撫でる。お返しとは言ったけれど、先生は頭を撫でられるの好きなのだろうか。僕は好きだけど、先生が好きじゃなかったらお返しにならないぞ。

「先生、今更ですけど、頭撫でられるの好きですか?」

「………お前に撫でられるのは、悪く無い」

「そっかぁ、えへへ」

 頭を撫でている間にも、睡魔は容赦なく襲ってくる。眠気でよろけた僕の身体を先生は支えてくれる。

「やっぱ眠いだろ、無理すんな」

「無理なんて、してない…」

 そう言っている間にも、僕の言葉は舌足らずだ。呂律が回らなくなっている僕を先生は僕を抱き上げる。
 
「今日はもう寝ろ。大変だったんだから」

「ん…。先生、また、明日…」

 
 僕はそのまま先生の腕の中で意識を手放した。

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