83 / 128
止められない想い
18歳の誕生日
しおりを挟む
夏が過ぎて秋が来た。
秋は好きだ。母が好きな季節だったし、夕焼けも綺麗。前はそれだけの理由だったが、今は一つ増えた。
それは、
「夕、ハッピーバースデー」
「うわぁ!!」
急に後ろから声をかけられる。いつもはドアを開けたらそこにいる形式だったため、不意を突かれた。
「ふふふ、サプライズ大成功」
にんまりと口角を上げて彩葉が言う。その顔が、ドヤ顔の猫の顔みたいで可愛くて笑ってしまう。
「夕、プレゼント」
そう言って彩葉はプレゼントをくれる。彩葉は一年生から三年生までずっとプレゼントをくれた。秋限定のお菓子が多くて、中には人気でなかなか手に入らないお菓子もあった。今回も、その例だ。
「あれ、これ人気のやつじゃん!」
「近くのコンビニに売ってたよ。まだ沢山あった」
彩葉は淡々と言う。最初は僕に変な気を使わせないように嘘をついていると思っていたが、なかなか手に入らなかった時は普通にそのことを話したので、特に嘘はついていない。
「ありがとう、彩葉」
「私も貰ってるからお互い様」
僕もクラスメイトの誕生日にはプレゼントをあげている。
僕は最初、何で僕なんかにプレゼントをくれるのかが不思議でたまらなかったが、今ならわかる。
ただ単純に嬉しいのだ。誰かの記念日が。プレゼントをあげて、喜ぶ顔が。
ただ、それだけ。それだけだか、それにはどんな宝石も叶わない価値がある。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ただいま」
「先生!おかえりなさい!」
僕はエプロン姿のまま先生を出迎える。先生の手にはケーキの箱が。
「誕生日おめでとう、烏坂」
「はい!!」
ケーキの箱を受けってすぐに冷蔵庫の中に入れる。ケーキの種類は、夕飯後のお楽しみだ。
ご飯を食べていると、先生が口を開く。
「そういや、もう18なのか」
「はい、18歳になりました!」
僕は今日18歳になった。もう選挙にも行けるし、クレジットカードも作れる。世間的にはもう大人なのだ。
「もう大人の仲間入りです!」
「めでたいことだな」
そう言って先生はワインを飲む。いつも夕飯時は飲まないのだが、僕が今日くらいは好きに食べて飲んで欲しいと言った。
すると、先生は「バースデーガールの言うことなら」と、貰ったと言っていたワインを取り出した。
何だか梱包から高そうなワインだった。ワインの種類については何も分からないが、赤ワインだ。それだけしか分からない。
「ワインと先生、似合いますね」
「何だそれ」
先生は顔を顰めるが、本当に似合っている。大人の余裕というか、色気というか。着ている服はただの白のワイシャツで、上二つのボタンは空いているのに、すごく上品に見える。
いや、先生に似合わないものの方が少ないのだが。
「烏坂、手を出してくれ」
「はい?」
「誕生日プレゼントだ」
ポンと手に置かれたのは小さな細長い箱。とても綺麗な箱で、細かい絵が描かれている。蓋を開けると、何なら見覚えはある形が見える。
「こ、これって…」
「18で、大人の仲間入りなんだろ?」
僕の手元には、口紅があった。
「か、買ったん、ですか?」
「盗むわけねぇだろ、捕まるぞ」
いや、先生が窃盗したとかそんなことを思ったわけではない。
こんな大きな男の人が女性の化粧品売り場にいたら、さぞかし目立つだろう。いや、彼女へのプレゼントを選んでるとして見られているから別に良いのか?僕、先生の彼女じゃないけど。
「初めて手に取りました…。凄い、凄いですね…、」
この口紅、僕でもわかる。高いやつだ。梱包から凄かったし、本体も凄い。細かいところまで手を抜いていないデザインで、口紅本体にも細かくデザインがされている。使うのが勿体無いくらいだ。
色は真っ赤な赤色。よく見る色だ。とても綺麗。それしか感想が出てこない。
「後で塗って先生に見せますね」
「楽しみにしている」
今はご飯中だからか塗るのは控えた方がいいだろう。僕は口紅を箱に戻すと、先生は僕をじっと見る。
「せ、先生?」
「もう、18なのか。早いな、時の流れは」
先生はしみじみと言う。
「そうでしょうか?僕は遅いと感じます」
先生と会って、本当色々なことがあった。前の僕では考えられないなど、目の回る生活で、とても楽しかった。こんな生活が待っているなんて、出来るなんて、昔の僕が知ったらどんな反応をするのだろうか。
ずるいと思うだろう。羨ましいとか言って、怒って、悲しむかな。いや、意外と冷たい反応もしそうだ。そもそも、信じなさそうだ。
昔の自分を俯瞰して考える。思えば、僕はすごく変わった。それは、先生の影響だ。
「烏坂」
「何でしょうか?」
「ー生まれてきてくれて、ありがとう」
母以外に、初めて言われた言葉。
こんな僕でも、生まれた意味はあったのだ。
「お前が居たから、今の俺がある」
先生は優しく笑う。その顔は本当に穏やかで、その瞳に嘘は無い。
先生は、何か愛しいものを見る顔で、僕を見ていた。
秋は好きだ。母が好きな季節だったし、夕焼けも綺麗。前はそれだけの理由だったが、今は一つ増えた。
それは、
「夕、ハッピーバースデー」
「うわぁ!!」
急に後ろから声をかけられる。いつもはドアを開けたらそこにいる形式だったため、不意を突かれた。
「ふふふ、サプライズ大成功」
にんまりと口角を上げて彩葉が言う。その顔が、ドヤ顔の猫の顔みたいで可愛くて笑ってしまう。
「夕、プレゼント」
そう言って彩葉はプレゼントをくれる。彩葉は一年生から三年生までずっとプレゼントをくれた。秋限定のお菓子が多くて、中には人気でなかなか手に入らないお菓子もあった。今回も、その例だ。
「あれ、これ人気のやつじゃん!」
「近くのコンビニに売ってたよ。まだ沢山あった」
彩葉は淡々と言う。最初は僕に変な気を使わせないように嘘をついていると思っていたが、なかなか手に入らなかった時は普通にそのことを話したので、特に嘘はついていない。
「ありがとう、彩葉」
「私も貰ってるからお互い様」
僕もクラスメイトの誕生日にはプレゼントをあげている。
僕は最初、何で僕なんかにプレゼントをくれるのかが不思議でたまらなかったが、今ならわかる。
ただ単純に嬉しいのだ。誰かの記念日が。プレゼントをあげて、喜ぶ顔が。
ただ、それだけ。それだけだか、それにはどんな宝石も叶わない価値がある。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ただいま」
「先生!おかえりなさい!」
僕はエプロン姿のまま先生を出迎える。先生の手にはケーキの箱が。
「誕生日おめでとう、烏坂」
「はい!!」
ケーキの箱を受けってすぐに冷蔵庫の中に入れる。ケーキの種類は、夕飯後のお楽しみだ。
ご飯を食べていると、先生が口を開く。
「そういや、もう18なのか」
「はい、18歳になりました!」
僕は今日18歳になった。もう選挙にも行けるし、クレジットカードも作れる。世間的にはもう大人なのだ。
「もう大人の仲間入りです!」
「めでたいことだな」
そう言って先生はワインを飲む。いつも夕飯時は飲まないのだが、僕が今日くらいは好きに食べて飲んで欲しいと言った。
すると、先生は「バースデーガールの言うことなら」と、貰ったと言っていたワインを取り出した。
何だか梱包から高そうなワインだった。ワインの種類については何も分からないが、赤ワインだ。それだけしか分からない。
「ワインと先生、似合いますね」
「何だそれ」
先生は顔を顰めるが、本当に似合っている。大人の余裕というか、色気というか。着ている服はただの白のワイシャツで、上二つのボタンは空いているのに、すごく上品に見える。
いや、先生に似合わないものの方が少ないのだが。
「烏坂、手を出してくれ」
「はい?」
「誕生日プレゼントだ」
ポンと手に置かれたのは小さな細長い箱。とても綺麗な箱で、細かい絵が描かれている。蓋を開けると、何なら見覚えはある形が見える。
「こ、これって…」
「18で、大人の仲間入りなんだろ?」
僕の手元には、口紅があった。
「か、買ったん、ですか?」
「盗むわけねぇだろ、捕まるぞ」
いや、先生が窃盗したとかそんなことを思ったわけではない。
こんな大きな男の人が女性の化粧品売り場にいたら、さぞかし目立つだろう。いや、彼女へのプレゼントを選んでるとして見られているから別に良いのか?僕、先生の彼女じゃないけど。
「初めて手に取りました…。凄い、凄いですね…、」
この口紅、僕でもわかる。高いやつだ。梱包から凄かったし、本体も凄い。細かいところまで手を抜いていないデザインで、口紅本体にも細かくデザインがされている。使うのが勿体無いくらいだ。
色は真っ赤な赤色。よく見る色だ。とても綺麗。それしか感想が出てこない。
「後で塗って先生に見せますね」
「楽しみにしている」
今はご飯中だからか塗るのは控えた方がいいだろう。僕は口紅を箱に戻すと、先生は僕をじっと見る。
「せ、先生?」
「もう、18なのか。早いな、時の流れは」
先生はしみじみと言う。
「そうでしょうか?僕は遅いと感じます」
先生と会って、本当色々なことがあった。前の僕では考えられないなど、目の回る生活で、とても楽しかった。こんな生活が待っているなんて、出来るなんて、昔の僕が知ったらどんな反応をするのだろうか。
ずるいと思うだろう。羨ましいとか言って、怒って、悲しむかな。いや、意外と冷たい反応もしそうだ。そもそも、信じなさそうだ。
昔の自分を俯瞰して考える。思えば、僕はすごく変わった。それは、先生の影響だ。
「烏坂」
「何でしょうか?」
「ー生まれてきてくれて、ありがとう」
母以外に、初めて言われた言葉。
こんな僕でも、生まれた意味はあったのだ。
「お前が居たから、今の俺がある」
先生は優しく笑う。その顔は本当に穏やかで、その瞳に嘘は無い。
先生は、何か愛しいものを見る顔で、僕を見ていた。
10
あなたにおすすめの小説
婚活に疲れたアラサーOLの私、癒やし的存在の弟分(高校生)に「もう待てない」と外堀を埋められています ~10年分の執着は、甘すぎて重すぎる~
ダルい
恋愛
「29歳? 子供産むならもっと若い子がよかったな」
中堅企業で働く早川結衣(29)は、婚活市場における年齢の壁と、デリカシーのない男たちにすり減らされる日々を送っていた。
そんな結衣の唯一の癒やしは、マンションの隣に住む幼馴染の高校生・瀬戸湊(16)。
両親が共働きの彼に代わって、幼い頃はお世話をしてあげていた……はずが、いつの間にか立場は逆転。
手料理を振る舞われ、愚痴を聞かれ、マッサージまでされる始末。「湊がお嫁さんならいいのに」なんて冗談を言っていたけれど。
「今の結衣姉が一番綺麗だよ。……早く、誰も手出しできない『おばさん』になってくれればいいのに」
可愛い弟分だと思っていた彼が、時折見せる『オス』の顔。
16歳の高校生と、もうすぐ30歳のアラサー。
13歳差の常識と理性に抗いながら、生意気な年下男子に外堀を埋められていく、甘くて重い現状維持(ラブストーリー)。
「俺が大人になるまで、誰とも結婚しないで」
癒やされたいすべての女性に贈る、最強の年下幼馴染による溺愛包囲網、開始。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
嘘コクのゆくえ
キムラましゅろう
恋愛
アニーは奨学金とバイトで稼いだお金で魔法学校に通う苦学生。
生活は困窮、他の学生みたいに愛だの恋だのに現を抜かしている暇などない生活を送っていた。
そんな中、とある教授の研究室で何らかの罰としてアニー=メイスンに告白して来いと教授が学生に命じているのを偶然耳にしてしまう。
アニーとは自分のこと、そして告白するように言われていた学生は密かに思いを寄せる同級生のロンド=ハミルトンで……
次の日、さっそくその命令に従ってアニーに嘘の告白、嘘コクをしてきたロンドにアニーは……
完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。
誤字脱字が罠のように点在するお話です。菩薩の如き広いお心でお読みいただけますと幸いです。
作者は元サヤハピエン主義を掲げております。
アンチ元サヤの方は回れ右をお勧めいたします。
小説家になろうさんにも時差投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる