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止められない想い
ハロウィン
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10月31日、この日はハロウィンだ。
街はハロウィン色に全て彩られ、ハロウィンに侵食されているみたいだ。
「みんなはハロウィンパーティーとかするの?」
クラスの女の子に聞かれる。する人もいれば、いない人もいる。言われてみれば、僕の家はしてないな。
「先生、こういうのあんまり楽しまないタイプだしなぁ」
みんなが盛り上がるイベントも、先生は淡々と済ましてしまう。僕もあんまり気にしないタイプだから別に良いのだが。
「試しに、今日ケーキ買ってみようかな」
「ケーキついでにコスプレすれば?似合うと思うなぁ、夕ちゃん」
「わかるー!スーパーとか百均にも売ってるからさ、今日の帰り買ってみる?あ、でも夕ちゃん夕飯の支度あるんだっけ」
「いや、大丈夫だよ。僕も気になるし」
「良いね!夕ちゃん何が似合うだろう」
「紳士だから吸血鬼とか!」
「可愛いから猫とか!」
「ねっ…」
僕は猫だと思われてるのか!?先生にも言われたけど、猫じゃなくて犬だと言って欲しい。
「僕は犬だよ!」
「あーまぁ、忠犬みたいな感じだしね」
忠犬!忠犬だって!忠犬って言われた!!嬉しい!!ようやく言われた!!先生にもこれを言えば考えを改めてくれるかも!
「じゃあ決まり!夕ちゃんのコスプレ衣装を買いに行こう!」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「ハッピーハロウィン!です!先生!」
「………お、おう、」
僕は先生の帰りを出迎える。先生は目を見開いてその言葉だけを発する。
僕は今吸血鬼の格好をしている。黒のマントをして角のカチューシャをしているだけだが。
「トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃイタズラしちゃいますよ!」
僕はお馴染みの言葉を口にする。
「お菓子…あったか…?」
先生はポケットやバッグを漁るが、何も出てこない。
「無いな」
「じゃあイタズラですね!」
「何するんだ?」
「えっと、まずは靴を脱いで上がりましょう」
「ああ、そうか」
とりあえず上がってもらおう。先生は靴を脱ぐと、廊下の端に持っていたバッグを置く。
「で、何するんだ?」
「ふふん、僕だって考えてきてるんですよ!」
「そうなのか」
僕は先生に狙いを定めて抱きつく。そして、力一杯に先生を抱きしめる。
「うお、」
先生は僕の頭を撫でる。しかし、カチューシャが邪魔で上手く撫でられてない。
「カチューシャ取っていいか?」
「だ、ダメですよ!僕は今吸血鬼なんですから!」
先生はカチューシャの角を触っていて、反対の手は僕のマントをいじっている。
「吸血鬼さん、君のイタズラ何かな?」
先生がニヤリと笑って問いかける。
「これ、です、」
「……は?これ、なのか?」
「……だって、先生こちょこちょ効かないし、かと言って吸血鬼みたいに血を吸うわけにもいかないし」
「イタズラというか、ただのハグだな」
先生は僕を抱きしめ返す。そして、先生は僕の耳元である言葉を言う。
「トリックオアトリート、お菓子くれなきゃイタズラするぞ」
「えっ、」
僕が言われるとは思っていなかった。僕は考えるが、今は持ち合わせのお菓子がない。しかし、冷蔵庫にケーキが入っている。
「せ、先生!ケーキ!ケーキが冷蔵庫の中に、」
「今、手元には無いんだな?」
「……手元、には、無いです」
僕がしどろもどろに言うと、先生は愉快な声で言う。
「じゃあイタズラだな」
先生は僕の顎の線をなぞる。僕はそこが弱いのを、先生に知られてしまった。
「ふわぁ、ひゃっ、」
「首も弱いよな」
先生が首を触る。普通に触るのではなく、指でなぞるように触るから余計にくすぐったい。
「んやっ、やん、せんせっ、」
僕は先生から離れようとするが腰をがっちり固定されており、背中を反っても頭を固定されていていて無理だ。
「耳も弱い」
耳元でそう囁かれる。僕は全身の血が沸騰しそうなくらい熱くなり、恥ずかしさで全身がプルプルと震える。
「あー…可愛い…」
そんなことをぼそっと言うものだから、余計に僕の顔は赤くなる。それすらも愉しんでいる先生は、きっと悪魔だ。
「せ、先生の悪魔…」
「今頃気づいたのか?」
先生は勝ち誇った声で言う。今の先生には何を言っても僕にとって不利になるだけだ。僕の負けだ。
「こ、降参、降参です。だ、だからもうやめ…」
「じゃあカチューシャ取っていいか?」
「カチューシャでもマントでも何でも取っていいですからぁ!」
僕が言うと、先生はカチューシャを投げ捨てて僕の頭を満足そうに撫でる。
「そんなに僕の頭撫でたかったんですか」
「ああ。撫でて欲しくなかったら今すぐやめるぞ」
「……もう少し、だけなら良いですよ」
「素直じゃねぇな」
わしゃわしゃとしばらく僕の頭を撫でた後、先生は僕を離す。
「そろそろいいか。夕飯もあるしな」
「はい!」
「後、烏坂」
「はい?」
先生は端に置いてあったバッグを取り、中から何かを取り出す。
「お菓子」
「…え?」
「よく探したらあった」
よく探したらあった…って、先生、バッグ取ってすぐ出しましたよね?すぐ見つけられるところにあって、すぐ取り出せるところにあった。それなのに、さっき見つけ出せないわけがない。
「せん、」
「ほら、ケーキもあるんだっけな。楽しみだ」
先生はスタスタと行ってしまう。僕は先生からもらったお菓子を持ってその場に立ち尽くすだけだ。
やはり、吸血鬼は悪魔には勝てないらしい。
街はハロウィン色に全て彩られ、ハロウィンに侵食されているみたいだ。
「みんなはハロウィンパーティーとかするの?」
クラスの女の子に聞かれる。する人もいれば、いない人もいる。言われてみれば、僕の家はしてないな。
「先生、こういうのあんまり楽しまないタイプだしなぁ」
みんなが盛り上がるイベントも、先生は淡々と済ましてしまう。僕もあんまり気にしないタイプだから別に良いのだが。
「試しに、今日ケーキ買ってみようかな」
「ケーキついでにコスプレすれば?似合うと思うなぁ、夕ちゃん」
「わかるー!スーパーとか百均にも売ってるからさ、今日の帰り買ってみる?あ、でも夕ちゃん夕飯の支度あるんだっけ」
「いや、大丈夫だよ。僕も気になるし」
「良いね!夕ちゃん何が似合うだろう」
「紳士だから吸血鬼とか!」
「可愛いから猫とか!」
「ねっ…」
僕は猫だと思われてるのか!?先生にも言われたけど、猫じゃなくて犬だと言って欲しい。
「僕は犬だよ!」
「あーまぁ、忠犬みたいな感じだしね」
忠犬!忠犬だって!忠犬って言われた!!嬉しい!!ようやく言われた!!先生にもこれを言えば考えを改めてくれるかも!
「じゃあ決まり!夕ちゃんのコスプレ衣装を買いに行こう!」
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「ハッピーハロウィン!です!先生!」
「………お、おう、」
僕は先生の帰りを出迎える。先生は目を見開いてその言葉だけを発する。
僕は今吸血鬼の格好をしている。黒のマントをして角のカチューシャをしているだけだが。
「トリックオアトリート!お菓子をくれなきゃイタズラしちゃいますよ!」
僕はお馴染みの言葉を口にする。
「お菓子…あったか…?」
先生はポケットやバッグを漁るが、何も出てこない。
「無いな」
「じゃあイタズラですね!」
「何するんだ?」
「えっと、まずは靴を脱いで上がりましょう」
「ああ、そうか」
とりあえず上がってもらおう。先生は靴を脱ぐと、廊下の端に持っていたバッグを置く。
「で、何するんだ?」
「ふふん、僕だって考えてきてるんですよ!」
「そうなのか」
僕は先生に狙いを定めて抱きつく。そして、力一杯に先生を抱きしめる。
「うお、」
先生は僕の頭を撫でる。しかし、カチューシャが邪魔で上手く撫でられてない。
「カチューシャ取っていいか?」
「だ、ダメですよ!僕は今吸血鬼なんですから!」
先生はカチューシャの角を触っていて、反対の手は僕のマントをいじっている。
「吸血鬼さん、君のイタズラ何かな?」
先生がニヤリと笑って問いかける。
「これ、です、」
「……は?これ、なのか?」
「……だって、先生こちょこちょ効かないし、かと言って吸血鬼みたいに血を吸うわけにもいかないし」
「イタズラというか、ただのハグだな」
先生は僕を抱きしめ返す。そして、先生は僕の耳元である言葉を言う。
「トリックオアトリート、お菓子くれなきゃイタズラするぞ」
「えっ、」
僕が言われるとは思っていなかった。僕は考えるが、今は持ち合わせのお菓子がない。しかし、冷蔵庫にケーキが入っている。
「せ、先生!ケーキ!ケーキが冷蔵庫の中に、」
「今、手元には無いんだな?」
「……手元、には、無いです」
僕がしどろもどろに言うと、先生は愉快な声で言う。
「じゃあイタズラだな」
先生は僕の顎の線をなぞる。僕はそこが弱いのを、先生に知られてしまった。
「ふわぁ、ひゃっ、」
「首も弱いよな」
先生が首を触る。普通に触るのではなく、指でなぞるように触るから余計にくすぐったい。
「んやっ、やん、せんせっ、」
僕は先生から離れようとするが腰をがっちり固定されており、背中を反っても頭を固定されていていて無理だ。
「耳も弱い」
耳元でそう囁かれる。僕は全身の血が沸騰しそうなくらい熱くなり、恥ずかしさで全身がプルプルと震える。
「あー…可愛い…」
そんなことをぼそっと言うものだから、余計に僕の顔は赤くなる。それすらも愉しんでいる先生は、きっと悪魔だ。
「せ、先生の悪魔…」
「今頃気づいたのか?」
先生は勝ち誇った声で言う。今の先生には何を言っても僕にとって不利になるだけだ。僕の負けだ。
「こ、降参、降参です。だ、だからもうやめ…」
「じゃあカチューシャ取っていいか?」
「カチューシャでもマントでも何でも取っていいですからぁ!」
僕が言うと、先生はカチューシャを投げ捨てて僕の頭を満足そうに撫でる。
「そんなに僕の頭撫でたかったんですか」
「ああ。撫でて欲しくなかったら今すぐやめるぞ」
「……もう少し、だけなら良いですよ」
「素直じゃねぇな」
わしゃわしゃとしばらく僕の頭を撫でた後、先生は僕を離す。
「そろそろいいか。夕飯もあるしな」
「はい!」
「後、烏坂」
「はい?」
先生は端に置いてあったバッグを取り、中から何かを取り出す。
「お菓子」
「…え?」
「よく探したらあった」
よく探したらあった…って、先生、バッグ取ってすぐ出しましたよね?すぐ見つけられるところにあって、すぐ取り出せるところにあった。それなのに、さっき見つけ出せないわけがない。
「せん、」
「ほら、ケーキもあるんだっけな。楽しみだ」
先生はスタスタと行ってしまう。僕は先生からもらったお菓子を持ってその場に立ち尽くすだけだ。
やはり、吸血鬼は悪魔には勝てないらしい。
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