灰色に夕焼けを

柊 来飛

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止められない想い

忠犬のような猫

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 先生とご飯を食べ終わった時、僕は思い出して言う。

「先生、今日僕犬って言われましたよ!」

「そうなのか?」

「はい!友達に、忠犬って言われました!」

 僕は大きく胸を張ってみせる。これで先生も僕を見直してくれるだろう。

「猫って言われなかったのか?」

「最初は言われましたけど、後からちゃんと忠犬って言われましたよ」

「言われてるじゃねぇか」

「でも!!ちゃんと忠犬です!」

 僕は一歩も引かずに食いかかる。

「俺だって、お前が完全な猫だとは思っていない」

「!、なら、」

「犬っぽい猫だと思ってる」

「い、犬っぽい猫…?」

「勘違いするなよ、じゃない、だ」

 先生は強調して言う。あくまでも、お前は猫だと。

「何でそんなに言うんですか!犬っぽいなら犬でいいじゃないですか!」

「いや、猫だ」

「忠犬です!」

 僕がグルルと睨むと、先生はフッと口角を上げる。

「猫だな」

「何で!!」

 僕は先生に詰め寄ると、先生は僕の顎下を撫でる。

「ふっ、」

「ほら、あまり怒んなよ。撫でてやるから」

「だから、僕は猫じゃな、いっ!?」

 顎に集中してわからなかったが、いつの間にか腰に手を回されていて、腰にグッと力を入れられる。

「ん?お前、もしかして腰も弱いのか?」

 先生は疑問の声を上げる。
 僕だって、今知った。腰も弱いのか。なんか、そこを触られるとくすぐったいのだ。
 女の子同士のハグでは腕は背中に回されるし、今までのハグも先生は腰あたりは触らなかった。さっき、僕の腰を固定するときは腕を使ってたし。
 
「あの、やめっ、んんっ!」

 先生は腰あたりをトンと叩く。それだけなのに、僕の体は大きくビクンと跳ねる。
 痛くはない。だからこそ、くすぐったいのだ。

「んぁ、はっ」

 トントンと優しく腰あたりを叩かれる。僕は先生から離れたいのに、先生にしがみついている。このままでは腰が抜けてしまいそうだ。

「知ってるか、烏坂」

「ふぁ、へ?」

「猫の腰には神経が集中しているんだ」

「は、、はい、」

「だから、腰を叩くと猫は気持ち良いし、些細な刺激でも反応してしまうらしい」

「そ、そう、なんですね、」

 確かに、テレビとかで猫の尻尾の付け根?辺りをトントンと叩いている飼い主をよく見かける。それはそういうことだったのか。
 
「だから、お前は猫だ」

「なっ、ひゃん!」

 トンとまた腰を叩かれる。

「も、むりっ、せんせっ、」

 僕は先生にしがみつきながら懇願する。これ以上続けたら本当に腰が抜けてしまう。

「じゃ、やめてやるよ、猫さん」

 腰から先生の手が離れる。しかし、僕は先生にしがみついたままだ。

「ほら、もう触ってないぞ」

「まっ、待って、もう少し…」

 もう少しこのまま休ませてほしい。その意味だったのだが、

「何だよ、素直じゃねぇな」

 また先生は僕の腰に手を回す。

「まっ、」

 トンと腰を叩かれる。

「っー!」

 僕は声も出さずに先生に寄りかかる。もう腰に力が入らない。

「あまり叩きすぎると駄目らしいが…。烏坂、大丈夫か?」

「む、むり、せ、先生のばかっ、」

 先生に文句を言うと、先生はカラカラと笑う。

「すまん」

 先生はそれだけ言って、僕をひょいとお姫様抱っこする。
 リビングのソファに移動して、僕は先生の膝の上に座る。

「はぁ、こ、腰が抜けました、」

「そんなにか。やっぱ猫だな」

「こ、腰が弱い犬だっています」

 苦し紛れの反抗をする。これでは本当に猫みたいではないか。

「そう言うことにしといてやるよ」

 先生は不敵に笑う。

 一体、僕が先生に勝てる日はいつ来るのだろうか。
 
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