91 / 132
止められない想い
ご褒美
しおりを挟む
助手席で寝てしまった烏坂を横目に車を走らせる。いつもならイライラする渋滞も、烏坂が隣にいるだけでもっと続いてほしいと願うほどだ。
車が止まった時、烏坂の方に手を伸ばす。髪を避けてやると、その手に頭を擦り寄せる。どこまでも猫のような烏坂に笑ってしまう。
「今日はすまないな」
聞こえていない謝罪を言う。俺も、どこまでもずるい奴だな。今日は長い時間烏坂を連れ回してしまった。しかし、良いものが見れた。
烏坂は意外と揺れに弱いらしい。地震の時もかなりビクリとするし、ジェットコースターも足がガクガクになっていた。コーヒーカップは最初は楽しんでいたものの、俺が回し始めると悲鳴を上げていた。滅多に見せないその姿が面白くて可愛くて、意地悪で何回も回してしまった。
俺は身長制限で乗れない物も多いのに、烏坂は俺と一緒が良いと言って俺でも乗れるものを選んだ。その健気さがとても愛おしくて、烏坂は気づいていないだろうが俺はずっと口角が上がっていた。
烏坂とのイルミネーションは楽しかった。観覧車での烏坂も可愛かったが、イルミネーションではしゃいでいるのも可愛くて、俺はイルミネーションをそっちのけで烏坂ばかり見ていた気がする。
烏坂が手袋を取って息を吹きかけている時、無性にその手を取りたいと思った。指先と鼻先が赤くなり、それでも周りの景色に目を輝かす。それは嬉しいことなのに、少しばかり嫌な気にもなる。その瞳に俺が映らないのが、こんなにも嫌だなんて。
俺は烏坂の手を取って自分のポッケに突っ込んだ。そうすれば、何がなんでも触れ合っているから繋がりができる。なんて俺は心が狭いのだろうか。
最後の大きなイルミネーション前、こちらに視線を送る人が多いのは分かっていた。俺は目立つし、何より関係性がわかりにくい。それだけならまだ良いのだ。今日の烏坂は口紅をつけている。そのせいで、いつもよりも大人っぽく仕上がっていて、男の目を引くのだ。それが気に入らない。
俺は見せつけるように烏坂を抱きしめた。俺のものだと、静かに周りに言い聞かせるように。烏坂は最初は驚いていたものの、俺の背中に手を回して抱きしめてくれた。
最後、自分がエスコートすると言って結局迷ってしまったのも仕方がない。イルミネーションのところはできるだけ場所を確保するために、奥の方にあるし入り組んでいる。マップを見ても中々分かりにくい。俺はそれを知っていて任せたが、案の定迷った烏坂が俺に助けを求める瞳に優越感が駆け上がった。ほんと、酷い大人だ。
「夕」
名前を呼んでも返事はない。すっかり寝ているようだ。その赤い唇から静かに寝息が漏れる。胸元には俺があげたネックレスが。
「今日は、ありがとな」
このチケットも、何回かやって手に入れた。いつもなら、こんなのには申し込みもしない。面倒くさいだけだし、行ったところで混んでいてつまらないだろう。
でも、烏坂がいるから、何でも楽しく思える。お前なんだ、烏坂。お前がいないと、何も楽しくない、つまらないんだ。
「ずっと、いていいのにな」
離れたくないのだ。烏坂がいなくなった生活なんて、どうすればいいのか。烏坂がいない生活なんて忘れてしまった。
「でも、お前は離れてくんだろ」
問いかけるが、返事は無い。
俺はハンドルを握りしめる。渋滞がもう無い道なのに、無駄に遠回りをしてゆっくりと帰る。この時間が、少しでも長く続いてほしくて。
そんな願いも儚く、家に着いてしまった。俺は烏坂に話しかける。
「烏坂、着いたぞ」
「んん…」
少し体を揺さぶると、烏坂は眉を顰めて声を上げる。これは、俺が運んだ方が早いな。
俺は烏坂を抱き上げると、家の中に入る。鍵を開けるのも特に難しいことでは無い。
しかし、いくら何でも軽すぎる。いつになったら体重が増えるんだ。ちゃんと食っているはずなのだが。
烏坂のベッドに下ろすと、烏坂は舌足らずの声で言う。
「せんせ…、こっち…」
「ん?」
俺が顔を近づけると、烏坂は俺の髪を撫でた後、そこにキスを落とす。
「ご褒美、」
「…ありがとう」
寝ぼけているのだろう。烏坂は直ぐにまた寝息を立てる。
「はあー……」
俺は額に手を当てる。
「やっば………」
俺もダメだな、キスの一つでこんなに舞い上がって。
俺は烏坂の唇をなぞる。このままでいいのだろうか、落とした方がいいか?
そんなことを考えるが、俺には何もわからない。
「俺だけご褒美もらっちゃ、フェアじゃねぇもんな」
俺は烏坂の頬にそっとキスを落とした。
車が止まった時、烏坂の方に手を伸ばす。髪を避けてやると、その手に頭を擦り寄せる。どこまでも猫のような烏坂に笑ってしまう。
「今日はすまないな」
聞こえていない謝罪を言う。俺も、どこまでもずるい奴だな。今日は長い時間烏坂を連れ回してしまった。しかし、良いものが見れた。
烏坂は意外と揺れに弱いらしい。地震の時もかなりビクリとするし、ジェットコースターも足がガクガクになっていた。コーヒーカップは最初は楽しんでいたものの、俺が回し始めると悲鳴を上げていた。滅多に見せないその姿が面白くて可愛くて、意地悪で何回も回してしまった。
俺は身長制限で乗れない物も多いのに、烏坂は俺と一緒が良いと言って俺でも乗れるものを選んだ。その健気さがとても愛おしくて、烏坂は気づいていないだろうが俺はずっと口角が上がっていた。
烏坂とのイルミネーションは楽しかった。観覧車での烏坂も可愛かったが、イルミネーションではしゃいでいるのも可愛くて、俺はイルミネーションをそっちのけで烏坂ばかり見ていた気がする。
烏坂が手袋を取って息を吹きかけている時、無性にその手を取りたいと思った。指先と鼻先が赤くなり、それでも周りの景色に目を輝かす。それは嬉しいことなのに、少しばかり嫌な気にもなる。その瞳に俺が映らないのが、こんなにも嫌だなんて。
俺は烏坂の手を取って自分のポッケに突っ込んだ。そうすれば、何がなんでも触れ合っているから繋がりができる。なんて俺は心が狭いのだろうか。
最後の大きなイルミネーション前、こちらに視線を送る人が多いのは分かっていた。俺は目立つし、何より関係性がわかりにくい。それだけならまだ良いのだ。今日の烏坂は口紅をつけている。そのせいで、いつもよりも大人っぽく仕上がっていて、男の目を引くのだ。それが気に入らない。
俺は見せつけるように烏坂を抱きしめた。俺のものだと、静かに周りに言い聞かせるように。烏坂は最初は驚いていたものの、俺の背中に手を回して抱きしめてくれた。
最後、自分がエスコートすると言って結局迷ってしまったのも仕方がない。イルミネーションのところはできるだけ場所を確保するために、奥の方にあるし入り組んでいる。マップを見ても中々分かりにくい。俺はそれを知っていて任せたが、案の定迷った烏坂が俺に助けを求める瞳に優越感が駆け上がった。ほんと、酷い大人だ。
「夕」
名前を呼んでも返事はない。すっかり寝ているようだ。その赤い唇から静かに寝息が漏れる。胸元には俺があげたネックレスが。
「今日は、ありがとな」
このチケットも、何回かやって手に入れた。いつもなら、こんなのには申し込みもしない。面倒くさいだけだし、行ったところで混んでいてつまらないだろう。
でも、烏坂がいるから、何でも楽しく思える。お前なんだ、烏坂。お前がいないと、何も楽しくない、つまらないんだ。
「ずっと、いていいのにな」
離れたくないのだ。烏坂がいなくなった生活なんて、どうすればいいのか。烏坂がいない生活なんて忘れてしまった。
「でも、お前は離れてくんだろ」
問いかけるが、返事は無い。
俺はハンドルを握りしめる。渋滞がもう無い道なのに、無駄に遠回りをしてゆっくりと帰る。この時間が、少しでも長く続いてほしくて。
そんな願いも儚く、家に着いてしまった。俺は烏坂に話しかける。
「烏坂、着いたぞ」
「んん…」
少し体を揺さぶると、烏坂は眉を顰めて声を上げる。これは、俺が運んだ方が早いな。
俺は烏坂を抱き上げると、家の中に入る。鍵を開けるのも特に難しいことでは無い。
しかし、いくら何でも軽すぎる。いつになったら体重が増えるんだ。ちゃんと食っているはずなのだが。
烏坂のベッドに下ろすと、烏坂は舌足らずの声で言う。
「せんせ…、こっち…」
「ん?」
俺が顔を近づけると、烏坂は俺の髪を撫でた後、そこにキスを落とす。
「ご褒美、」
「…ありがとう」
寝ぼけているのだろう。烏坂は直ぐにまた寝息を立てる。
「はあー……」
俺は額に手を当てる。
「やっば………」
俺もダメだな、キスの一つでこんなに舞い上がって。
俺は烏坂の唇をなぞる。このままでいいのだろうか、落とした方がいいか?
そんなことを考えるが、俺には何もわからない。
「俺だけご褒美もらっちゃ、フェアじゃねぇもんな」
俺は烏坂の頬にそっとキスを落とした。
7
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
人狼な幼妻は夫が変態で困り果てている
井中かわず
恋愛
古い魔法契約によって強制的に結ばれたマリアとシュヤンの14歳年の離れた夫婦。それでも、シュヤンはマリアを愛していた。
それはもう深く愛していた。
変質的、偏執的、なんとも形容しがたいほどの狂気の愛情を注ぐシュヤン。異常さを感じながらも、なんだかんだでシュヤンが好きなマリア。
これもひとつの夫婦愛の形…なのかもしれない。
全3章、1日1章更新、完結済
※特に物語と言う物語はありません
※オチもありません
※ただひたすら時系列に沿って変態したりイチャイチャしたりする話が続きます。
※主人公の1人(夫)が気持ち悪いです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
俺様上司に今宵も激しく求められる。
美凪ましろ
恋愛
鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。
蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。
ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。
「おまえの顔、えっろい」
神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。
――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる