灰色に夕焼けを

柊 来飛

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止められない想い

似たもの同士

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「んん…」

 重たい瞼を何とか上げると、そこは暗い。時計を見てみると、まだ日が上る前の時間だ。
 そうだ、僕寝てしまったんだ。と言うことは、また先生に運んでもらったのか。
 僕は服を着替えてベランダに出る。冬だしまだかなり寒い。ブランケットの裾を中心に寄せ、日が上るのを待つ。
 はぁと息を吐くと、目の前に白い息が現れる。小さい頃は、何で寒いと息が白くなるのかよくわかっていなかった。ただ、理由なんてどうでもよくて、それが楽しかった。
 下は靴下を履いてはいるが、スリッパだから寒い。

 家の中から見ればいいのだが、ガラス一枚が鬱陶しかった。朝日を何も遮るものが無い状態で見たい。
 その一心で待っていると、上からバサリと厚手の服を掛けられる。

「先生?」

「何で外いるんだ。風邪ひくぞ」

「朝日を見たくて」

「……そうか」

 先生も僕の隣に来て、一緒に待つ。先生は薄着だ。

「先生、一緒に入りましょ」

 僕はブランケットと先生に掛けられた厚手の服を先生の方に掛ける。先生も僕の方にもっと寄って、肩を寄せる。
 僕の息と先生の息が混ざって溶けていく。  

「烏坂」

「はい?」

 先生は場所を移動して、僕の背後に回る。そのまま僕を後ろから抱きしめる。

「この方があったかい」

 僕はあったかいだろうが、先生はあったかいのだろうか。先生は僕の手に指を絡める。

「ん、見えてきた」

 目の前が急に明るくなる。僕は目を細めながらも、目の前を見る。
 オレンジ色の光が僕の目を刺す。空も明るくなっていく。
 十分日が出た頃、先生が言う。
 
「寒い」

「そうですね、一旦戻りましょう」

 先生と僕は家の中に入る。先生は大きくあくびをした後、僕の頬に手を当てる。

「ひゃっ!」

「冷たいだろ」

「ずるい!」

 僕も先生に手を伸ばすが、頬に当てられない。逆に先生は僕の手を絡めとる。

「お前は俺が握ってたから冷たく無い」

「そ、そっか…」

 確かにさっきまで先生の大きな手に握られていたのだ。僕の手は冷たさを帯びていない。

「さて、飲み物でも飲むか」

「はい!」

 僕と先生は一緒に台所に行って飲み物を淹れる。先生は安定のブラックコーヒーで、僕はココアだ。
 暖かいマグカップを両手に抱え、僕は言う。

「そういえば、先生にご褒美あげてません」

「いや?、昨日貰ったが。…覚えてないか」

「えっ、あっ、すっ、すみません…。あの、僕先生に何あげました?」

「………そうだな、」

 先生はそこまで言うと、マグカップを机に置く。僕のマグカップも取り上げると、先生は余った手で僕の頭を撫でる。
 すると、僕の撫でた髪の上にキスをする。

「っ!?」

 僕はびっくりしてソファに倒れ込む。

「はは、やっぱりコップ俺が持って正解だったな」

「なっ、、なっ…」

「これが、俺が昨日お前から貰ったご褒美だ」

「へっ…?」

「嬉しかったぜ、ありがとう」

 先生はコーヒーを一気に飲み干して階段を上がっていってしまう。僕のコップはいつの間にか机の上に置かれている。
 僕はソファに倒れ込んだままだ。さっきまで冷たかった体が一気に熱を帯びる。
 
 僕、昨日の僕、なに、してるんだ。寝ぼけてた、んだよな。きっと。そうじゃ無いとあんな事しない。
 僕は先生にキスをされたところを撫でる。

「せ、先生からの、きす、」

 口に出してみて後悔する。破壊力がありすぎる。僕は一気にココアを飲み干す。しかし、甘いココアは僕の喉を渇かすだけだ。

「はぁあ………」

 先生からのキス。これだけで僕は空を飛べるだろう。これだけで僕はとてつもなく舞い上がっている。

「これはただのキス、これはただの、親愛の…」

 
   僕は長い間独り言を言っていた。

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