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アフターストーリー
メイク
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晴れて大学生になった僕は先生の家から大学に通っている。もう通学にも慣れて大学内で友達も出来た。
「夕!」
その子は僕の隣に座って授業の準備をする。
「まっさか初日から特待生に会うなんてねー。私びっくりしちゃった」
この子は最初の授業のとき、僕に1番に話しかけていた子だった。僕が名乗るとその子は驚きの顔をして僕に詰め寄った。特待生の名前を覚えていたらしく、僕のことも名前だけ知っていたようだった。
「頭のいい夕がいれば授業だって楽勝よ。多分私今日寝るから起こしてね」
「えー」
そんなこんなで授業が始まり、開始10分もしないでその子は寝てしまった。僕は何回かそのこと肩を叩いて起こすがその度すぐに寝てしまう。僕は常にその子の肩を叩きながら授業を終えた。
授業が終わるチャイムがなったとき、その子は今までが嘘のように飛び起きる。
「夕、ありがとう。寝ないで済んだ」
「寝てたよ」
軽いジョークを交わした後、その子は僕の顔をまじまじと見る。
「夕、いつも思ってたけどさ、もしかしてメイク口紅だけ?」
「え?うん」
「えー!?うっそー!?」
その子は僕の頬をムニッと掴んで目元を触ったりする。ちなみに、その子はバッチリとメイクを決めている。
「ほぼスッピンでこれ!?あり得ない、大学のミスコン出れば?余裕で一位だと思う」
「えー、僕はいいよ」
「その僕っ子属性も強いよなー、ずるーい。ねぇ、というかさ、メイクやったことないの?」
「無いなー。何が似合うとか、何が良いとか変わらないし」
「ふーん。ねぇ、じゃあさ、今度私の家来なよ」
「え?」
「メイク教えてあげる!私の姉貴がメイクアップアーティストでさ、その影響で私も結構詳しいんだよね。今週の土日なら姉貴も居るし」
「い、いいの?僕、何持ってけばいい?」
「いつも使ってるリップで良いよ。他は家の使う」
「ほ、本当?」
「ほんとほんと。と言うか、私も姉貴もこんな逸材前にして好きに出来るなんてこっちがお礼言いたいもん」
好きに出来る。言い方はアレだが事実だし、メイクを教えてもらえるならありがたい。今週は丁度バイトのシフトも入っていないため、僕はその子と約束をして次の授業に向かった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「鷹翔さん」
夕飯時、僕が話しかけると先生はこちらを向く。
「今週の土日、友達の家行ってきます」
それを言うと、先生は少し眉を顰める。
「それは男か?」
「え?いえ、女の子です、同じ授業取ってる」
「…なら良い、気をつけろよ」
先生はそれだけ言ってご飯を食べるが、僕は少し不安になって箸を止める。僕が遊びにいくと言ったとき、先生は少し眉を顰めた。僕、もしかして勉強を疎かにしてるとか思われてるかな?ちゃんも頑張ってると言わないと。
「先生!僕ちゃんと勉強頑張ってます!疎かになんてしてないので心配しないで下さい!」
僕が宣言すると、先生は驚いた顔をする。そして、「あー」と腑に落ちたような、悟ったような顔をする。
「もしかして、俺がさっき嫌な顔したの気にしてるか?」
「え、っ……と、」
「それは男だと思ったからだ。同性なら良い、まだ」
先生は嫉妬深い。前からそうだったけど、先生と恋人関係になったらそれがもっと見に沁みて分かった。
「僕、浮気なんてしませんよ」
「その気が無くても、無理矢理な奴もいる。何かされたら言えよ、殺して…」
「駄目です!!」
先生は何かとすぐ殺そうとする。そして毎回僕がツッコミを入れると、先生はカラカラと笑う。もう僕たちの一種の戯れと言うか、ネタになってる。こんな軽い感じになっているが、先生なら本当にやりかねないから僕はいつもビクビクとしている。
「後、鷹翔な」
「え?僕、先生って言いました?」
「ああ」
「また抜けませんね…」
「ゆっくりで良いさ、夕」
先生はそう言って僕の頭を撫でる。僕はそれに身を任せてご飯を終えた。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「夕ー!こっちー!」
約束の日、僕はその子と待ち合わせをしてその子の家に行く。その子の家は大学から近いらしく、大学が待ち合わせ場所だった。
「家に行けば姉貴がいるから」
「うん!」
ほんとにその子の家は近くてすぐに着いてしまった。挨拶をして家に上がると、その子の姉らしき人が出迎えてくれた。前髪をピンで止め、髪を後ろで雑に丸く纏めている。
「君が夕ちゃん?」
「は、はい」
「やー、写真で見た時よりもべっぴんさんだね、モデルさん?」
「い、いえ」
「へー、やってないんだ、スカウトとかされないの?」
「た、たまに?」
ほんとにたまにだが、勧誘の声がかかる。僕にそんな魅力なんてないのにな。ただ、向こうも必死なのだろう。
「ねぇ、早くメイク教えてあげてよ!リップしか知らないんだよ!?いつも肌に直接だし、下地とか知らないよ!?」
「ウッソだろ、来い来い来い!」
僕は二人に手を引かれて部屋に招かれる。そこには沢山のメイク道具があって僕には何が何だか分からない。
「さて!君はブルベだね」
イエベとブルベ、かなり前に先生から聞いた言葉だ。僕はその時何かの化粧品だと思っていたが、これは肌の系統を示す言葉らしい。
そこから二人はサラサラと僕の顔に化粧品を乗せていき、鏡に映る僕の顔がどんどん変わっていく。
「す、すごい…」
あんな短時間でこんなに変わってしまうものなのかと感心していると、今度はメイク道具について説明してくれる。これがファンデでこれがアイライナーとか、アイシャドウとか、なんか色々。僕にオススメの色とか今人気の化粧品とか、肌のケアとかも教えてくれた。
ずっと話を聞いていたらかなり時間が過ぎていて、僕が帰る時間となってしまった。帰り際、その子と姉が僕に言う。
「君、美人だから彼氏に見せたら喜ぶよ」
「そ、そうでしょうか…」
僕が遠慮がちに答えると、その子は驚いた顔をする。
「彼氏いるの!?やっぱ居るかー!そうだよねー!!どんな人!?」
「えっ、あっ、わ、」
どうしよう、どうしよう!どうする?先生のこと言う?でも15歳も年上なんて言ったらヤバいかな!?どうしよう!?
僕は一瞬の内に頭をフル回転させ、ありきたりな言葉に収める。
「と、年上の人なんだ。か、カッコいい人だよ」
「写真はないの!?」
「え、」
「ほら、もうやめとけ、この子も帰るんだから」
その子の姉が助太刀をしてくれて、僕はそのままお礼を言って去る。先生に連絡をすると、ちょうど大学の方に迎えに来てくれるらしい。僕が待っていると、男性に声をかけられる。
「あ!ねぇ、君暇?よかったら…」
「すみません、人を待っていますので」
僕は身につけたスキルでそれを躱わす。何かと絡まれやすい僕は経験を重ね、1番効くのはストレートに断ることだと知った。やんわり断るとこれは行けると勘違いさせてしつこいのだ。
「そんなこと言わず、」
「恋人がいるので」
「それ誰?いるなら写真くらい見せられるよね?」
僕はため息をついてスマホを操作する。この人はもしかしたら同じ大学の人かもしれないが、僕が取っている授業の中でこんな顔は見たことないから別にいいだろう。パッとスマホ画面を見せると、彼は顔を顰める。そりゃそうだ、こんなにイケメンな人がいたら怖気付くに決まってる。
「そんなわけで」
「いや待てよ、こんなんで騙されるわけ、」
彼は僕の手首を握ろうとするが、それは空中で弾かれる。
「俺の恋人に何か?」
僕は一気に体を引かれて先生の腕の中に収まる。彼の顔から血の気が一気に無くなり、何を言っているか分からないか細い声を出してすぐにその場を去っていった。
「鷹翔さん、」
「……………夕、」
先生は僕の顔をじっと見つめた後、急に意識が戻ったように僕の名前を呼ぶ。
「えへへ、ありがとうございます。でもほら、僕、浮気なんてしないでしょう?」
「そうだな」
先生の車に乗り込み、そのまま家に向かう。その間僕たちは無言だったが、家に着いた時先生が口を開く。
「それ、メイクか?」
「そうなんです!友達とそのお姉さんがしてくれて!色々お化粧について聞いていたんです」
僕が興奮気味に話すと先生は柔らかい顔をしてから僕の髪を触る。
「綺麗だ」
「………ふ、ふぁ…」
いきなりそんなことを言うものだから僕は一気に茹蛸みたいに赤くなる。先生はイタズラに笑ってから車から降り、僕も急いで車から降りて先生に問いかける。
「先生!僕、似合いますか!?」
「ああ」
先生はこちらに来て僕の頬に触れる。
「本心を言うと、誰にも見せたくない」
「え、」
「俺だけに、俺の前だけでして欲しい、俺だけが知りたい」
先生は僕の頬の上に指を滑らせて口元に触れる。リップを塗り直したそこは赤く、少し湿っている。先生はそこに唇を重ね、そしてゆっくりと離す。
「せん、」
僕は処理しきれていない頭ををまた殴られるような感覚に陥る。先生の口元に僕の口紅が付いていて、僕と先生はキスをしたと、その事実を突きつけてくる。たったそれだけなのに、僕の体は一気に熱に包まれる。
「ハハッ」
先生はわざとらしくその口紅を拭って伸ばす。その仕草がとても色っぽくて僕は思わず目を逸らす。
「これじゃあ、キスしたってバレるな」
上から楽しそうな声が降りてくるが、僕はそんな笑っていられるほど余裕が無い。今、心臓が痛いくらいにバクバクと鼓動して全身が熱くて火傷してしまいそうだ。
「綺麗だぜ夕、その顔、俺以外にするなよ」
先生以外の誰にするものか。先生だから、貴方だから、僕はこんなに恥ずかしくて、胸が高鳴って、ときめいているんだ。
先生と恋人になってから、僕はずっと翻弄されてばかりだった。
「夕!」
その子は僕の隣に座って授業の準備をする。
「まっさか初日から特待生に会うなんてねー。私びっくりしちゃった」
この子は最初の授業のとき、僕に1番に話しかけていた子だった。僕が名乗るとその子は驚きの顔をして僕に詰め寄った。特待生の名前を覚えていたらしく、僕のことも名前だけ知っていたようだった。
「頭のいい夕がいれば授業だって楽勝よ。多分私今日寝るから起こしてね」
「えー」
そんなこんなで授業が始まり、開始10分もしないでその子は寝てしまった。僕は何回かそのこと肩を叩いて起こすがその度すぐに寝てしまう。僕は常にその子の肩を叩きながら授業を終えた。
授業が終わるチャイムがなったとき、その子は今までが嘘のように飛び起きる。
「夕、ありがとう。寝ないで済んだ」
「寝てたよ」
軽いジョークを交わした後、その子は僕の顔をまじまじと見る。
「夕、いつも思ってたけどさ、もしかしてメイク口紅だけ?」
「え?うん」
「えー!?うっそー!?」
その子は僕の頬をムニッと掴んで目元を触ったりする。ちなみに、その子はバッチリとメイクを決めている。
「ほぼスッピンでこれ!?あり得ない、大学のミスコン出れば?余裕で一位だと思う」
「えー、僕はいいよ」
「その僕っ子属性も強いよなー、ずるーい。ねぇ、というかさ、メイクやったことないの?」
「無いなー。何が似合うとか、何が良いとか変わらないし」
「ふーん。ねぇ、じゃあさ、今度私の家来なよ」
「え?」
「メイク教えてあげる!私の姉貴がメイクアップアーティストでさ、その影響で私も結構詳しいんだよね。今週の土日なら姉貴も居るし」
「い、いいの?僕、何持ってけばいい?」
「いつも使ってるリップで良いよ。他は家の使う」
「ほ、本当?」
「ほんとほんと。と言うか、私も姉貴もこんな逸材前にして好きに出来るなんてこっちがお礼言いたいもん」
好きに出来る。言い方はアレだが事実だし、メイクを教えてもらえるならありがたい。今週は丁度バイトのシフトも入っていないため、僕はその子と約束をして次の授業に向かった。
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「鷹翔さん」
夕飯時、僕が話しかけると先生はこちらを向く。
「今週の土日、友達の家行ってきます」
それを言うと、先生は少し眉を顰める。
「それは男か?」
「え?いえ、女の子です、同じ授業取ってる」
「…なら良い、気をつけろよ」
先生はそれだけ言ってご飯を食べるが、僕は少し不安になって箸を止める。僕が遊びにいくと言ったとき、先生は少し眉を顰めた。僕、もしかして勉強を疎かにしてるとか思われてるかな?ちゃんも頑張ってると言わないと。
「先生!僕ちゃんと勉強頑張ってます!疎かになんてしてないので心配しないで下さい!」
僕が宣言すると、先生は驚いた顔をする。そして、「あー」と腑に落ちたような、悟ったような顔をする。
「もしかして、俺がさっき嫌な顔したの気にしてるか?」
「え、っ……と、」
「それは男だと思ったからだ。同性なら良い、まだ」
先生は嫉妬深い。前からそうだったけど、先生と恋人関係になったらそれがもっと見に沁みて分かった。
「僕、浮気なんてしませんよ」
「その気が無くても、無理矢理な奴もいる。何かされたら言えよ、殺して…」
「駄目です!!」
先生は何かとすぐ殺そうとする。そして毎回僕がツッコミを入れると、先生はカラカラと笑う。もう僕たちの一種の戯れと言うか、ネタになってる。こんな軽い感じになっているが、先生なら本当にやりかねないから僕はいつもビクビクとしている。
「後、鷹翔な」
「え?僕、先生って言いました?」
「ああ」
「また抜けませんね…」
「ゆっくりで良いさ、夕」
先生はそう言って僕の頭を撫でる。僕はそれに身を任せてご飯を終えた。
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「夕ー!こっちー!」
約束の日、僕はその子と待ち合わせをしてその子の家に行く。その子の家は大学から近いらしく、大学が待ち合わせ場所だった。
「家に行けば姉貴がいるから」
「うん!」
ほんとにその子の家は近くてすぐに着いてしまった。挨拶をして家に上がると、その子の姉らしき人が出迎えてくれた。前髪をピンで止め、髪を後ろで雑に丸く纏めている。
「君が夕ちゃん?」
「は、はい」
「やー、写真で見た時よりもべっぴんさんだね、モデルさん?」
「い、いえ」
「へー、やってないんだ、スカウトとかされないの?」
「た、たまに?」
ほんとにたまにだが、勧誘の声がかかる。僕にそんな魅力なんてないのにな。ただ、向こうも必死なのだろう。
「ねぇ、早くメイク教えてあげてよ!リップしか知らないんだよ!?いつも肌に直接だし、下地とか知らないよ!?」
「ウッソだろ、来い来い来い!」
僕は二人に手を引かれて部屋に招かれる。そこには沢山のメイク道具があって僕には何が何だか分からない。
「さて!君はブルベだね」
イエベとブルベ、かなり前に先生から聞いた言葉だ。僕はその時何かの化粧品だと思っていたが、これは肌の系統を示す言葉らしい。
そこから二人はサラサラと僕の顔に化粧品を乗せていき、鏡に映る僕の顔がどんどん変わっていく。
「す、すごい…」
あんな短時間でこんなに変わってしまうものなのかと感心していると、今度はメイク道具について説明してくれる。これがファンデでこれがアイライナーとか、アイシャドウとか、なんか色々。僕にオススメの色とか今人気の化粧品とか、肌のケアとかも教えてくれた。
ずっと話を聞いていたらかなり時間が過ぎていて、僕が帰る時間となってしまった。帰り際、その子と姉が僕に言う。
「君、美人だから彼氏に見せたら喜ぶよ」
「そ、そうでしょうか…」
僕が遠慮がちに答えると、その子は驚いた顔をする。
「彼氏いるの!?やっぱ居るかー!そうだよねー!!どんな人!?」
「えっ、あっ、わ、」
どうしよう、どうしよう!どうする?先生のこと言う?でも15歳も年上なんて言ったらヤバいかな!?どうしよう!?
僕は一瞬の内に頭をフル回転させ、ありきたりな言葉に収める。
「と、年上の人なんだ。か、カッコいい人だよ」
「写真はないの!?」
「え、」
「ほら、もうやめとけ、この子も帰るんだから」
その子の姉が助太刀をしてくれて、僕はそのままお礼を言って去る。先生に連絡をすると、ちょうど大学の方に迎えに来てくれるらしい。僕が待っていると、男性に声をかけられる。
「あ!ねぇ、君暇?よかったら…」
「すみません、人を待っていますので」
僕は身につけたスキルでそれを躱わす。何かと絡まれやすい僕は経験を重ね、1番効くのはストレートに断ることだと知った。やんわり断るとこれは行けると勘違いさせてしつこいのだ。
「そんなこと言わず、」
「恋人がいるので」
「それ誰?いるなら写真くらい見せられるよね?」
僕はため息をついてスマホを操作する。この人はもしかしたら同じ大学の人かもしれないが、僕が取っている授業の中でこんな顔は見たことないから別にいいだろう。パッとスマホ画面を見せると、彼は顔を顰める。そりゃそうだ、こんなにイケメンな人がいたら怖気付くに決まってる。
「そんなわけで」
「いや待てよ、こんなんで騙されるわけ、」
彼は僕の手首を握ろうとするが、それは空中で弾かれる。
「俺の恋人に何か?」
僕は一気に体を引かれて先生の腕の中に収まる。彼の顔から血の気が一気に無くなり、何を言っているか分からないか細い声を出してすぐにその場を去っていった。
「鷹翔さん、」
「……………夕、」
先生は僕の顔をじっと見つめた後、急に意識が戻ったように僕の名前を呼ぶ。
「えへへ、ありがとうございます。でもほら、僕、浮気なんてしないでしょう?」
「そうだな」
先生の車に乗り込み、そのまま家に向かう。その間僕たちは無言だったが、家に着いた時先生が口を開く。
「それ、メイクか?」
「そうなんです!友達とそのお姉さんがしてくれて!色々お化粧について聞いていたんです」
僕が興奮気味に話すと先生は柔らかい顔をしてから僕の髪を触る。
「綺麗だ」
「………ふ、ふぁ…」
いきなりそんなことを言うものだから僕は一気に茹蛸みたいに赤くなる。先生はイタズラに笑ってから車から降り、僕も急いで車から降りて先生に問いかける。
「先生!僕、似合いますか!?」
「ああ」
先生はこちらに来て僕の頬に触れる。
「本心を言うと、誰にも見せたくない」
「え、」
「俺だけに、俺の前だけでして欲しい、俺だけが知りたい」
先生は僕の頬の上に指を滑らせて口元に触れる。リップを塗り直したそこは赤く、少し湿っている。先生はそこに唇を重ね、そしてゆっくりと離す。
「せん、」
僕は処理しきれていない頭ををまた殴られるような感覚に陥る。先生の口元に僕の口紅が付いていて、僕と先生はキスをしたと、その事実を突きつけてくる。たったそれだけなのに、僕の体は一気に熱に包まれる。
「ハハッ」
先生はわざとらしくその口紅を拭って伸ばす。その仕草がとても色っぽくて僕は思わず目を逸らす。
「これじゃあ、キスしたってバレるな」
上から楽しそうな声が降りてくるが、僕はそんな笑っていられるほど余裕が無い。今、心臓が痛いくらいにバクバクと鼓動して全身が熱くて火傷してしまいそうだ。
「綺麗だぜ夕、その顔、俺以外にするなよ」
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