灰色に夕焼けを

柊 来飛

文字の大きさ
123 / 128
アフターストーリー

飛び入り参加

しおりを挟む
「ふ、んん、ふぁっ、」

 ようやく先生から口が離されたとき、僕はもうヘロヘロだ。一方先生はやってやったと言う悪戯な顔をして、何事も無かったかの様にパソコンの前に行って授業を始める。

 さっきはリモートであんなに手こずって僕がやってあげたのに。

 そんな負け犬の様な言葉を心の中で吐いて動こうとするが、体はいまいち動いてくれない。僕はヨロヨロと先生の前に行って授業を聞くが、何一つ授業の内容は頭に入ってこない。だって、あんななされたら、誰だってこうなるはずだ、僕だけじゃないはず。

 僕は疎い、とても疎い、それは自他共に認めている。だから経験なんて無に等しいから全てが初めてで、先生が初めてを教えてくれる。ゆっくりと、丁寧に。それが仇となる時もあるが。

 にしても、先生カッコいいなぁ。みんなこれ授業集中出来てないでしょ。そう思いながらボケーと見ていると、先生が急に言う。

「さて、ここからは見えていないがきちんとメモを取っているか?」

 僕は自分に言われている様に感じて一気に意識が戻る。僕が慌ててペンを持つと、先生はククッと笑う。そのまま僕はきちんと授業を聞いていると、最後にまた質問タイムが入る。今度は女性の声が聞こえてくる。

「さっきの授業とった友達から聞いたんですけど、今家に知り合いがいるって本当ですかー?」

「だから、授業に関係ある質問を、」

「え!?何それ!?本当っすか先生!」

 今度はさっきよりもガヤガヤとして先生は一気に顔を顰める。僕は苦笑いをして先生の方にノートを向ける。

〈顔がすごいことになってますよ、先生〉

「……………そうだな、時間も少しあるし、今目の前に知り合いがいるから見るか?」

「えっ!?」

 僕は思わず声を出してしまい、急いで口を塞ぐがもう手遅れだ。その声は先生の生徒たちにも聞こえてしまったらしく、みんなが一気に喋るため何が何だかわからない。
 先生は僕のそばに来ると僕の腕を引いてみんなの前に僕を出す。僕がアワアワとしていると、最初に質問したであろう女性が僕に質問する。

「え!若!本当に灰月先生の知り合い?」

「そ、そうです。その、先生にはお世話になってて、」

「今彼女は大学一年生で、少し勉強を教えているんだ。どこの大学かは伏せるが、特待生だ」

 それを言うと、みんなから驚きの声が上がる。凄い凄いと言われ、僕は耳を赤くして下を向くだけだ。

「照れてる!可愛い~!!」

 僕はもう恥ずかしくて先生を睨みつけてポカポカと叩く。

「馬鹿!!先生の馬鹿!!」

 僕はそれだけ言ってパソコンの前から足早に去る。

「もういいのか?」

「もう出ません!!馬鹿!!」

 それを言うと、みんなの笑い声が聞こえたり、もっと見たかったと残念がる声が聞こえる。

「え!灰月先生とその子って付き合い長いんですか?」

「彼女が高校生の時に知り合いから紹介されてな。それなりに長い」

「へー!名前は?」

「ほら、名前くらい自分で言ったらどうだ?」

「…………か、烏坂、です、」

「烏坂!じゃあ烏ちゃん!勉強方法とかってなんかある?特待生の勉強方法とか生活聞きたい!」

 僕は画面外からポツポツと話す。とりあえず、生活と一緒に生活しているのは伏せて濁しながら話すが、特にみんな不審がることなく聞いてくれた。

「えー!凄ーい!灰月先生、たまにこの子出してください!」

「予定が合ったらな」

「やったー!」

 勝手に予定が決まっていく。僕は先生をジトリと睨みつけると、先生は挑発的に笑う。ああ、こんな顔まで様になってズルい。先生が授業を終わらせた時、僕はすぐさま先生の方に近寄る。

「先生!何で!僕のこと話したくないって言ってたくせに!」

「なぁ夕、俺は面倒くさい性格なんだ」

「は、はぁ、」

「夕のことを誰にも話したくないし、逆に自慢したい」

「ん、え?」

「つまり、そう言うことだ」

「え?」

 僕が頭にはてなマークを浮かべていると、先生はくつくつと笑って僕を腕の中に収める。

「夕、お前は何にも知らないからな」

 先生がスルリと僕の首を撫で、僕は肩を上げる。

「今日、俺が教えてやるよ」

 先生が耳元で妖しく囁く。僕は耳を真っ赤にしてぷるぷると震えていると、それすら先生は面白そうに笑う。

「せんせ、」

「ああ、先生で結構。俺が、教えるんだからな」

 先生は満足そうな、何かを企んでる様な意味深な顔をしてまた授業に取り掛かった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

婚活に疲れたアラサーOLの私、癒やし的存在の弟分(高校生)に「もう待てない」と外堀を埋められています ~10年分の執着は、甘すぎて重すぎる~

ダルい
恋愛
「29歳? 子供産むならもっと若い子がよかったな」  中堅企業で働く早川結衣(29)は、婚活市場における年齢の壁と、デリカシーのない男たちにすり減らされる日々を送っていた。  そんな結衣の唯一の癒やしは、マンションの隣に住む幼馴染の高校生・瀬戸湊(16)。  両親が共働きの彼に代わって、幼い頃はお世話をしてあげていた……はずが、いつの間にか立場は逆転。 手料理を振る舞われ、愚痴を聞かれ、マッサージまでされる始末。「湊がお嫁さんならいいのに」なんて冗談を言っていたけれど。 「今の結衣姉が一番綺麗だよ。……早く、誰も手出しできない『おばさん』になってくれればいいのに」  可愛い弟分だと思っていた彼が、時折見せる『オス』の顔。 16歳の高校生と、もうすぐ30歳のアラサー。  13歳差の常識と理性に抗いながら、生意気な年下男子に外堀を埋められていく、甘くて重い現状維持(ラブストーリー)。 「俺が大人になるまで、誰とも結婚しないで」 癒やされたいすべての女性に贈る、最強の年下幼馴染による溺愛包囲網、開始。

ちょっと大人な物語はこちらです

神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な短編物語集です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています

紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、 ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。 「もう君は、僕の管理下だよ」 退院と同時に退職手続きは完了。 住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。 外出制限、健康管理、過保護な独占欲。 甘くて危険な“保護生活”の中で、 私は少しずつ彼に心を奪われていく――。 元社畜OL×執着気味の溺愛社長 囲い込み同棲ラブストーリー。

嘘コクのゆくえ

キムラましゅろう
恋愛
アニーは奨学金とバイトで稼いだお金で魔法学校に通う苦学生。 生活は困窮、他の学生みたいに愛だの恋だのに現を抜かしている暇などない生活を送っていた。 そんな中、とある教授の研究室で何らかの罰としてアニー=メイスンに告白して来いと教授が学生に命じているのを偶然耳にしてしまう。 アニーとは自分のこと、そして告白するように言われていた学生は密かに思いを寄せる同級生のロンド=ハミルトンで…… 次の日、さっそくその命令に従ってアニーに嘘の告白、嘘コクをしてきたロンドにアニーは…… 完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。 誤字脱字が罠のように点在するお話です。菩薩の如き広いお心でお読みいただけますと幸いです。 作者は元サヤハピエン主義を掲げております。 アンチ元サヤの方は回れ右をお勧めいたします。 小説家になろうさんにも時差投稿します。

病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜

来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。 望んでいたわけじゃない。 けれど、逃げられなかった。 生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。 親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。 無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。 それでも――彼だけは違った。 優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。 形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。 これは束縛? それとも、本当の愛? 穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

処理中です...