灰色に夕焼けを

柊 来飛

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アフターストーリー

飛び入り参加

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「ふ、んん、ふぁっ、」

 ようやく先生から口が離されたとき、僕はもうヘロヘロだ。一方先生はやってやったと言う悪戯な顔をして、何事も無かったかの様にパソコンの前に行って授業を始める。

 さっきはリモートであんなに手こずって僕がやってあげたのに。

 そんな負け犬の様な言葉を心の中で吐いて動こうとするが、体はいまいち動いてくれない。僕はヨロヨロと先生の前に行って授業を聞くが、何一つ授業の内容は頭に入ってこない。だって、あんななされたら、誰だってこうなるはずだ、僕だけじゃないはず。

 僕は疎い、とても疎い、それは自他共に認めている。だから経験なんて無に等しいから全てが初めてで、先生が初めてを教えてくれる。ゆっくりと、丁寧に。それが仇となる時もあるが。

 にしても、先生カッコいいなぁ。みんなこれ授業集中出来てないでしょ。そう思いながらボケーと見ていると、先生が急に言う。

「さて、ここからは見えていないがきちんとメモを取っているか?」

 僕は自分に言われている様に感じて一気に意識が戻る。僕が慌ててペンを持つと、先生はククッと笑う。そのまま僕はきちんと授業を聞いていると、最後にまた質問タイムが入る。今度は女性の声が聞こえてくる。

「さっきの授業とった友達から聞いたんですけど、今家に知り合いがいるって本当ですかー?」

「だから、授業に関係ある質問を、」

「え!?何それ!?本当っすか先生!」

 今度はさっきよりもガヤガヤとして先生は一気に顔を顰める。僕は苦笑いをして先生の方にノートを向ける。

〈顔がすごいことになってますよ、先生〉

「……………そうだな、時間も少しあるし、今目の前に知り合いがいるから見るか?」

「えっ!?」

 僕は思わず声を出してしまい、急いで口を塞ぐがもう手遅れだ。その声は先生の生徒たちにも聞こえてしまったらしく、みんなが一気に喋るため何が何だかわからない。
 先生は僕のそばに来ると僕の腕を引いてみんなの前に僕を出す。僕がアワアワとしていると、最初に質問したであろう女性が僕に質問する。

「え!若!本当に灰月先生の知り合い?」

「そ、そうです。その、先生にはお世話になってて、」

「今彼女は大学一年生で、少し勉強を教えているんだ。どこの大学かは伏せるが、特待生だ」

 それを言うと、みんなから驚きの声が上がる。凄い凄いと言われ、僕は耳を赤くして下を向くだけだ。

「照れてる!可愛い~!!」

 僕はもう恥ずかしくて先生を睨みつけてポカポカと叩く。

「馬鹿!!先生の馬鹿!!」

 僕はそれだけ言ってパソコンの前から足早に去る。

「もういいのか?」

「もう出ません!!馬鹿!!」

 それを言うと、みんなの笑い声が聞こえたり、もっと見たかったと残念がる声が聞こえる。

「え!灰月先生とその子って付き合い長いんですか?」

「彼女が高校生の時に知り合いから紹介されてな。それなりに長い」

「へー!名前は?」

「ほら、名前くらい自分で言ったらどうだ?」

「…………か、烏坂、です、」

「烏坂!じゃあ烏ちゃん!勉強方法とかってなんかある?特待生の勉強方法とか生活聞きたい!」

 僕は画面外からポツポツと話す。とりあえず、生活と一緒に生活しているのは伏せて濁しながら話すが、特にみんな不審がることなく聞いてくれた。

「えー!凄ーい!灰月先生、たまにこの子出してください!」

「予定が合ったらな」

「やったー!」

 勝手に予定が決まっていく。僕は先生をジトリと睨みつけると、先生は挑発的に笑う。ああ、こんな顔まで様になってズルい。先生が授業を終わらせた時、僕はすぐさま先生の方に近寄る。

「先生!何で!僕のこと話したくないって言ってたくせに!」

「なぁ夕、俺は面倒くさい性格なんだ」

「は、はぁ、」

「夕のことを誰にも話したくないし、逆に自慢したい」

「ん、え?」

「つまり、そう言うことだ」

「え?」

 僕が頭にはてなマークを浮かべていると、先生はくつくつと笑って僕を腕の中に収める。

「夕、お前は何にも知らないからな」

 先生がスルリと僕の首を撫で、僕は肩を上げる。

「今日、俺が教えてやるよ」

 先生が耳元で妖しく囁く。僕は耳を真っ赤にしてぷるぷると震えていると、それすら先生は面白そうに笑う。

「せんせ、」

「ああ、先生で結構。俺が、教えるんだからな」

 先生は満足そうな、何かを企んでる様な意味深な顔をしてまた授業に取り掛かった。



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