122 / 128
アフターストーリー
噂
しおりを挟む
俺の大学にリモート授業が導入され、今日はその試運転日だ。俺は大学には行かずに自分の家から配信する。俺の家にはプロジェクターもあるからスライドを写せるし特に問題は無い。
俺はパソコンを起動して授業を進めていく。マイクとチャットはうるさいし気が散るからオフにして進めていると、今日はオフの夕が前に来る。夕は何かノートに書くとパッと俺の方に見せる。
〈僕も授業受けます〉
その字を見せた後、夕はその場に座って行儀良く授業を受ける。たまにカリカリとメモを取り、また前を向く。いつもこんな感じで授業を受けているのか、そんなことを思って特にそのまま授業を進めていると、夕からまたノートを見せられる。
〈多分、生徒さんの方に画面映ってませんよ〉
「そうなのか?」
俺が言うと、夕はこくりと頷いてまたノートを見せる。
〈少し代わってくれますか?僕が設定します〉
「ああ、頼む」
俺が変わると、夕は慣れた手つきで操作して画面をこちらに向ける。おそらく画面設定が違ったのだろう、パッとこちらが映し出され、今まで壁が映っていたことを知る。俺は皆に謝罪をした後夕の方にもありがとうと会釈を送ると、夕ははにかんで手を振る。その姿に和んだ後、俺は授業を進めていく。
すると、また夕がノートを見せる。
〈マイクオンにしないんですか?チャットもオフだったし、それじゃ今回みたいに気付けませんし不便ですよ〉
その意見には同意出来るが、それだと気が散るしな…。しかし、やはり使い勝手は悪いから皆に聞くと、全員が賛成の意見を出す。俺は隠すこともせずに顔を顰めると、前にいる夕が静かに笑う。俺は苦肉の策でチャットだけオンにしてマイクは俺の許可でオンにすることにする。
最後、質問の時間を取るとすぐさまマイクから声が聞こえてくる。
「先生!さっき映ってたあの人誰ですか!?」
「授業に関係ある質問だけ許可する」
「アレ教えてくれないと授業集中出来ませんよ!誰ですか!?え、彼女!?」
ああ、やっぱり来たか。さっき夕に貸した時に夕が映ってしまったのは気づいていたが、まさかこんなみんなの前で言われるとは思っていなかった。しかもコイツはかなりグイグイ踏み込んでくる。俺は諦めて濁しながら言うが、何も信じてくれない。これからもこの様なハプニングがあったら面倒だから何かとテンプレートを作っておかなくては、そう思いながら授業を終わらせる。
俺の方のマイクと画面をオフにすると、夕が初めて声を出す。
「えへへ、灰月先生、大変ですね」
いちいち「灰月先生」と言ってくる夕になんとも言えない感情が湧き上がる。先生呼びも減ってきたが、わざとこの様に言われるとなんだかむず痒い。せっかく名前で呼び合っているのだから名前で呼んで欲しい。
「夕」
「何ですか?灰月先生」
この状況を楽しんでいる夕を目の端に俺は溜め息を吐く。
「聞かれちゃいましたね、僕のこと」
「ああ。何も話したく無い」
何で夕のことを話さなければならないのか、夕の事なんてみんなには関係ないだろうに。何故、皆俺のことを知りたがるのだろうか。そのことを前に夕に聞いた時、夕は悩むことも無くすぐに答えを返す。
「そりゃ、気になる人のことは知りたいでしょう?僕が先生のことを知りたい様に」
そんなものだのだろうか。俺が夕のことを知りたい様に、皆俺のことを知りたいのか?そう思えば少し納得できる様な、感じはする。しかし、話したくないものは話したくないのだ。
「知り合いって、何だか他人ぽい答えですね」
夕が珍しく拗ねる。
「次、もしも次あったら、また知り合いで通すんですか?」
「なんて言って欲しい?」
「…………ち、違う大学に通う、し、知り合い」
「やっぱ知り合いじゃねぇか」
夕は何かと恥ずかしがる。キスは勿論ハグだって前みたいにしてくれないし、恋人という関係を言うのもモゴモゴとして口をなかなか開かない。
「きっと噂になってますよ、先生の近くに女がいたって。僕、いつか刺されちゃうかも」
「そんなことない様に俺がそばにいてやるよ」
俺は夕のそばに行くと、夕は相変わらず慣れていない様で逃げる体制になる。俺はもうその行動パターンを分かっているからすぐに引き寄せると、夕は体を縮こませて俺から目を逸らす。
「おい夕」
「お、怒らないで、ね?た、鷹翔さん?」
コテンと首を傾げて上目遣いで見つめてくる夕にグッと喉を鳴らす。夕はそれで逃げられると思ったらしいが、俺は夕を離さない。
「た、鷹翔さん、そ、そろそろ授業じゃな、」
「そうだな、後5分だ」
「じゃ、じゃあ、」
「パソコンは閉じてないからすぐに始められる」
「し、、資料とか、」
「机の上に全部置いてあるから心配するな」
「え、えっと、」
「夕、お前がわざわざ「灰月先生」なんて言ったこと、俺少し怒ってるんだぜ」
「あの、それは、少しの出来心で、」
「そうだな、ああ分かってる。悪気はなかったんだよな?」
「そ、そうです!」
夕は目を輝かして希望を見てるが、俺が夕の唇に手を触れた時、一変してビクリと体を硬直させる。
「なぁ夕…後3分くらいか?残り3分、耐えられるといいな」
「え、」
夕の瞳には俺しか映っていない。それに優越感が駆け上がり、これから俺が夕を蹂躙すると言う期待のもと、俺は夕に口付けた。
俺はパソコンを起動して授業を進めていく。マイクとチャットはうるさいし気が散るからオフにして進めていると、今日はオフの夕が前に来る。夕は何かノートに書くとパッと俺の方に見せる。
〈僕も授業受けます〉
その字を見せた後、夕はその場に座って行儀良く授業を受ける。たまにカリカリとメモを取り、また前を向く。いつもこんな感じで授業を受けているのか、そんなことを思って特にそのまま授業を進めていると、夕からまたノートを見せられる。
〈多分、生徒さんの方に画面映ってませんよ〉
「そうなのか?」
俺が言うと、夕はこくりと頷いてまたノートを見せる。
〈少し代わってくれますか?僕が設定します〉
「ああ、頼む」
俺が変わると、夕は慣れた手つきで操作して画面をこちらに向ける。おそらく画面設定が違ったのだろう、パッとこちらが映し出され、今まで壁が映っていたことを知る。俺は皆に謝罪をした後夕の方にもありがとうと会釈を送ると、夕ははにかんで手を振る。その姿に和んだ後、俺は授業を進めていく。
すると、また夕がノートを見せる。
〈マイクオンにしないんですか?チャットもオフだったし、それじゃ今回みたいに気付けませんし不便ですよ〉
その意見には同意出来るが、それだと気が散るしな…。しかし、やはり使い勝手は悪いから皆に聞くと、全員が賛成の意見を出す。俺は隠すこともせずに顔を顰めると、前にいる夕が静かに笑う。俺は苦肉の策でチャットだけオンにしてマイクは俺の許可でオンにすることにする。
最後、質問の時間を取るとすぐさまマイクから声が聞こえてくる。
「先生!さっき映ってたあの人誰ですか!?」
「授業に関係ある質問だけ許可する」
「アレ教えてくれないと授業集中出来ませんよ!誰ですか!?え、彼女!?」
ああ、やっぱり来たか。さっき夕に貸した時に夕が映ってしまったのは気づいていたが、まさかこんなみんなの前で言われるとは思っていなかった。しかもコイツはかなりグイグイ踏み込んでくる。俺は諦めて濁しながら言うが、何も信じてくれない。これからもこの様なハプニングがあったら面倒だから何かとテンプレートを作っておかなくては、そう思いながら授業を終わらせる。
俺の方のマイクと画面をオフにすると、夕が初めて声を出す。
「えへへ、灰月先生、大変ですね」
いちいち「灰月先生」と言ってくる夕になんとも言えない感情が湧き上がる。先生呼びも減ってきたが、わざとこの様に言われるとなんだかむず痒い。せっかく名前で呼び合っているのだから名前で呼んで欲しい。
「夕」
「何ですか?灰月先生」
この状況を楽しんでいる夕を目の端に俺は溜め息を吐く。
「聞かれちゃいましたね、僕のこと」
「ああ。何も話したく無い」
何で夕のことを話さなければならないのか、夕の事なんてみんなには関係ないだろうに。何故、皆俺のことを知りたがるのだろうか。そのことを前に夕に聞いた時、夕は悩むことも無くすぐに答えを返す。
「そりゃ、気になる人のことは知りたいでしょう?僕が先生のことを知りたい様に」
そんなものだのだろうか。俺が夕のことを知りたい様に、皆俺のことを知りたいのか?そう思えば少し納得できる様な、感じはする。しかし、話したくないものは話したくないのだ。
「知り合いって、何だか他人ぽい答えですね」
夕が珍しく拗ねる。
「次、もしも次あったら、また知り合いで通すんですか?」
「なんて言って欲しい?」
「…………ち、違う大学に通う、し、知り合い」
「やっぱ知り合いじゃねぇか」
夕は何かと恥ずかしがる。キスは勿論ハグだって前みたいにしてくれないし、恋人という関係を言うのもモゴモゴとして口をなかなか開かない。
「きっと噂になってますよ、先生の近くに女がいたって。僕、いつか刺されちゃうかも」
「そんなことない様に俺がそばにいてやるよ」
俺は夕のそばに行くと、夕は相変わらず慣れていない様で逃げる体制になる。俺はもうその行動パターンを分かっているからすぐに引き寄せると、夕は体を縮こませて俺から目を逸らす。
「おい夕」
「お、怒らないで、ね?た、鷹翔さん?」
コテンと首を傾げて上目遣いで見つめてくる夕にグッと喉を鳴らす。夕はそれで逃げられると思ったらしいが、俺は夕を離さない。
「た、鷹翔さん、そ、そろそろ授業じゃな、」
「そうだな、後5分だ」
「じゃ、じゃあ、」
「パソコンは閉じてないからすぐに始められる」
「し、、資料とか、」
「机の上に全部置いてあるから心配するな」
「え、えっと、」
「夕、お前がわざわざ「灰月先生」なんて言ったこと、俺少し怒ってるんだぜ」
「あの、それは、少しの出来心で、」
「そうだな、ああ分かってる。悪気はなかったんだよな?」
「そ、そうです!」
夕は目を輝かして希望を見てるが、俺が夕の唇に手を触れた時、一変してビクリと体を硬直させる。
「なぁ夕…後3分くらいか?残り3分、耐えられるといいな」
「え、」
夕の瞳には俺しか映っていない。それに優越感が駆け上がり、これから俺が夕を蹂躙すると言う期待のもと、俺は夕に口付けた。
0
あなたにおすすめの小説
婚活に疲れたアラサーOLの私、癒やし的存在の弟分(高校生)に「もう待てない」と外堀を埋められています ~10年分の執着は、甘すぎて重すぎる~
ダルい
恋愛
「29歳? 子供産むならもっと若い子がよかったな」
中堅企業で働く早川結衣(29)は、婚活市場における年齢の壁と、デリカシーのない男たちにすり減らされる日々を送っていた。
そんな結衣の唯一の癒やしは、マンションの隣に住む幼馴染の高校生・瀬戸湊(16)。
両親が共働きの彼に代わって、幼い頃はお世話をしてあげていた……はずが、いつの間にか立場は逆転。
手料理を振る舞われ、愚痴を聞かれ、マッサージまでされる始末。「湊がお嫁さんならいいのに」なんて冗談を言っていたけれど。
「今の結衣姉が一番綺麗だよ。……早く、誰も手出しできない『おばさん』になってくれればいいのに」
可愛い弟分だと思っていた彼が、時折見せる『オス』の顔。
16歳の高校生と、もうすぐ30歳のアラサー。
13歳差の常識と理性に抗いながら、生意気な年下男子に外堀を埋められていく、甘くて重い現状維持(ラブストーリー)。
「俺が大人になるまで、誰とも結婚しないで」
癒やされたいすべての女性に贈る、最強の年下幼馴染による溺愛包囲網、開始。
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜
来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、
疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。
無愛想で冷静な上司・東條崇雅。
その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、
仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。
けれど――
そこから、彼の態度は変わり始めた。
苦手な仕事から外され、
負担を減らされ、
静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。
「辞めるのは認めない」
そんな言葉すらないのに、
無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。
これは愛?
それともただの執着?
じれじれと、甘く、不器用に。
二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。
無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
ブラック企業で倒れた私を、ネトゲ仲間の社長が強制保護して溺愛しています
紅 与一
恋愛
過労で倒れた私を救ったのは、
ネトゲ仲間――そしてIT企業の若き社長。
「もう君は、僕の管理下だよ」
退院と同時に退職手続きは完了。
住む場所も、生活も、すべて彼に囲われた。
外出制限、健康管理、過保護な独占欲。
甘くて危険な“保護生活”の中で、
私は少しずつ彼に心を奪われていく――。
元社畜OL×執着気味の溺愛社長
囲い込み同棲ラブストーリー。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
嘘コクのゆくえ
キムラましゅろう
恋愛
アニーは奨学金とバイトで稼いだお金で魔法学校に通う苦学生。
生活は困窮、他の学生みたいに愛だの恋だのに現を抜かしている暇などない生活を送っていた。
そんな中、とある教授の研究室で何らかの罰としてアニー=メイスンに告白して来いと教授が学生に命じているのを偶然耳にしてしまう。
アニーとは自分のこと、そして告白するように言われていた学生は密かに思いを寄せる同級生のロンド=ハミルトンで……
次の日、さっそくその命令に従ってアニーに嘘の告白、嘘コクをしてきたロンドにアニーは……
完全ご都合主義、ノーリアリティノークオリティのお話です。
誤字脱字が罠のように点在するお話です。菩薩の如き広いお心でお読みいただけますと幸いです。
作者は元サヤハピエン主義を掲げております。
アンチ元サヤの方は回れ右をお勧めいたします。
小説家になろうさんにも時差投稿します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる