超鳥人C'NE バサラーダ -CHOUJIN CODENAME BASALARDA-

黒鉄ライドウ

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作戦司令室

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魁斗が向かったのは、揖保川の橋の先に位置するたつの市民文化ホール。

普段は高校の吹奏楽部の発表会やら演劇の公演、たまに映画などもやるこのホールには、もう一つの裏の顔があった。

ホールの近くにある喫茶店「サンタディスタンス」の裏口から入り、物置部屋の奥の小さなロッカー。

ダイヤル式のパスワード(企業秘密)を回して合わせていき、開くと、そこには地下へと続く秘密の階段があったのだ。

魁斗はそこに入り扉を閉める。階段を降りていくとそこにはエレベーターがあり、横に設置してある指紋スキャナーに手をかざすと、エレベーターのドアが開き、乗るとそのまま地下へと降りていく。

地下1階、2階、3階、どんどん地下に降りていき、そして地下10階くらいの場所まできた時、エレベーターの扉が開いた。

 目の前の巨大スクリーンに様々な設備、そこはまるで秘密基地と言わんばかりの場所だ。

「遅いわよ、魁斗君!」

目の前にいる亜麻色髪のスーツ姿の20代くらいのメガネ美女、この人物こそが神崎絵凪その人である。

「そう言わないでくださいよ絵凪さん、俺親にコンビニ寄ってくるって言って抜けてきたんですよ?」

そういうと、絵凪はどこからともなくハリセンを取り出して魁斗の頭をバシン!っと叩く。

「言い訳しない!アンタもプロならプロらしく、緊急事態に備えておきなさい!」

いってぇぇ!っと頭を押さえて悶え苦しむ魁斗。そんな時だ、

『その通りだよ魁斗君、我々の仕事は一分一秒たりとも遅れが許されないんだ』

どこからともなく声がした。この声の主はこのマスカレードの総司令官、近藤こんどう清春きよはるである。

「近藤司令!?えっ、今どこにいるんですか?」

「ここだよ」

声の主である近藤がそう告げるとモニターに映像が映る。

上半身裸の筋肉質の髭の男性がうつりだす。ピンクの光が浴びている個室で隣には、

「お客様、延長は?」

「1時間追加で」

ピンクのタオルを胸元から巻いた裸の女性が隣にすわっていた。

その光景に魁斗はジト目で問いかける。

「………風俗エッチなお店にいるんですね…」

「違う、断じてそういうところでは」

「それじゃあ×××ピーしますねぇ」

「あっ、お願いします」

確定だ、確実に姫路の行きつけの風俗エッチなお店にいる事間違いなしである。

「どうしてヒーローの司令が風俗エッチなお店に行くんですか!!!!!」

「やかましい!!!司令だってムラムラするんじゃぁ!!!」

「逆ギレすんなボケェ!!」

作戦室が二人の怒声で響き渡る。もうぐだくだだ、しかもモニターごしからネチョネチョした音も響き渡ってきた。

「とにかく司令、モニターオフにしてください、これ以上見たくないです」

「うぉ~、気持ちいい、いいぞぉ~」

「……….死ね…」

今度は絵凪が腐敗ゴミを見る目で近藤を見つめる。そうするとモニターが切り替わり、たつの市周辺のマップに切り替わる。

「我が組織の予測AIが、今から20分後に龍野城周辺に亜空間(クレイドルゲート)が出現することが予想される事が判明した、至急現場に向かい、見つけクレイドルが出現する前に破壊してくれ」

昼、魁斗がバサラーダとして戦った敵、クレイドルは数年前、突如として現れた亜空間から現れる怪人である。

その存在は謎に包まれており、何が目的で何処から来たのかも未だ判明していない、分かっているのは人の持つポラルを求め無差別に人間に襲いかかるという事だけである。

亜空間とクレイドルの存在に気づいた近藤の祖父と父は元警察関係者と協力して秘密結社《マスカレード》を設立。

秘密裏に亜空間の破壊とクレイドルの殲滅のために活動している。

「ですが司令、魁斗君一人だけじゃ龍野城周辺全域を探し出すのは困難なのでは?」

「問題ない、魁斗君と一緒に、安里くんも合流する予定だ、魁斗君、彼と一緒に亜空間を見つけて欲しい」

安里、聞き慣れていない名前である。

「あの司令、安里って誰です?」

「あぁ、君は初めて会うんだね、安里(あさと)弾(だん)、君と同じ秘密結社《マスカレード》のエージェントで超鳥人、コードネームは「ノックス」だ」

魁斗は驚いた、自分以外にも超鳥人がいたのかと。

「驚いた顔してるようだね、当たり前だよ超鳥人が君だけなわけないじゃないか、君も含めて我が組織には五人の超鳥人がこのたつの市に滞在しているんだよ」

「ご、五人!?俺の他にあと四人いるってことですよね、今何処に」

「はい、あと20分しかないんだから無駄口叩いてないでさっさと行く!あっ!私もそろそろイッ」

ブチっとそのままモニターの音は切れてしまった。危ない、危うく本作がR-18になる所であった。

「それじゃあ絵凪さん、俺向かいます!やばいあと18分しかない!!」

「あっ、ちょっと待って魁斗君そのまま自転車で行くつもり?」

「えっ?そうですよ、だから急いでるんですよ」

「じゃあ自転車はここに置いておきなさい」

「はい!? まさか徒歩で行けと!?」

「そう言わないで、代わりに良いものあげるから♡」

絵凪は司令室の左側の壁に手をやると、そこが開きタッチパネルが出現する。そして、手慣れた手つきでパスコードを入力すると、壁が音を立てながら大きく開いた。

そこは何やらガレージらしき場所であり、そこにあったのは、

「こっ、これは!?」

[617121293/1743753003.png]

「我々、秘密結社《マスカレード》の技術部の精鋭達が開発した超高性能バイク「フォーゲルチェイサー」よ、これに乗って行って、自転車は翌日家に届けるから」

「でっ、でも俺、バイクの免許が、」

「問題なし、あなたの免許証はここにあるわ、偽造だけど」

「偽造って、それ犯罪じゃ」

「細かい事は気にしない、それよりあと15分よ、急ぎなさい!」

「あ~もぉ!了解!」と魁斗はそのままバイクに乗り、グリップにあったヘルメットを被る。

「これ、鍵がついてないんですけど、どうやってエンジンかけるんですか?」

「ハンドルのグリップを握れば、指紋認証で勝手にエンジンがかかるわ」

そう言ってハンドルのグリップを両手で握るとエンジンがかかる。

その瞬間、前方のハッチが開き秘密の入り口が出現する。

「それじゃあ、行ってきます」

「気をつけて、安里くんによろしくね」

そして魁斗はフォーゲルチェイサーを走らせ、そのまま行ってしまったのだった。



その頃、龍野城にて、

「せっかくの龍野城見学なのに、一人じゃつまりませんわ」

「お嬢様、そう言わずに」

夜の龍野城に着物姿の黒髪の可憐な美少女が執事らしき初老の男性を連れて道を歩いていた。
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