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1章 名もなき村
22 帰宅
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二人と約束し、龍グルミとドラゴンマッシュルームを必要十分量収穫して、あ、ドラゴンマッシュルームのほうは根こそぎ収穫せずに三分の一ほどは残してある。
キノコがどれくらいで繁殖して食用に耐えうる大きさになるのかはわからないが、残しておけば村人が入った時に収穫することもできるだろう。
「さて、いろいろ収穫があったけど、これからどうしようか?昼飯も食べたし、収穫でも時間が結構かかったから今日はここまでにしておくか?」
「うん、そうだね。魔獣にも一回襲われてるし、今日は戻った方がいいかも」
「ミーナは先も気になるけど、お兄ちゃんのほうが森には詳しいし、お兄ちゃんの判断に任せるよ」
「だったら、レイジも戻った方がいいって考えてるし今日はここまでにするか。ホーンラビットの解体もしたいしな」
ホーンラビットは血抜きと内臓抜きをしただけで皮も剝いでないから、解体にも時間がかかるだろうしな。
ただでさえ、大型犬サイズでデビルボア並みとは言わないけどかなりでかいから解体も大変そうだし。
「ミーナはね、さっき拾った木の実とか、マサトさんが掘ってた野菜とかが気になるな」
「じゃあ、戻って夕飯の準備をしようよ。森にはまた来れるしさ」
「オーケー。じゃあ、レイジもミーナも戻るか。忘れ物とかないよな?」
ミーナはナイフくらいしか持ってきていないが、レイジは両親の形見である武器を持ってきているのでそれを、俺のほうも食堂から色々出していたので出しっぱなしで忘れているものがないか周囲を確認する。
包丁はナイフってことで何とかなるかもしれないが、ガラス製のコップや鉄製のシャベルを置いて帰ったら他の村人に見られた時に面倒だ。
「レイジ、帰りの方角は分かるか?」
「もちろんだよ、マサト兄ちゃん」
すごいな、入口から入ってきたときは確かにまっすぐ進んでいたが、そこからちょこちょこ方向を変えて移動してきたから俺にはここがどこでどっちに行けば村かなんてさっぱりだ。
「頼もしいな。じゃあ、先頭はレイジに任せるよ」
一応、最後に忘れ物がないか確認してレイジの後についていく。
方角が分かるといったレイジの言に間違いはなく、迷いのない足取りで森の中を進んでいく。
いろいろ寄り道していたので、来た時に通ってきた風景とは違うが、周囲を食材鑑定してみてもめぼしい食材は見当たらなかった。
すでに見つけていたレモンライムと白根がいくつか群生しているのを発見したが、食材としては余りあるほど収穫したのと、やはり魔獣の襲撃からの一連の流れで疲れていたからかわざわざ近づいて収穫しようとは二人も言いださなかった。
いくら神様の加護があって、誰もけがをしないとは言ってもレイジ自身が一体の魔獣しか受けきれず、俺たちのほうに一体行かせてしまったことを気にしているのか。
レイジは魔獣や獣が近づいてこないか行きの道中以上に警戒してくれていたし、その緊張感がミーナにもわかっていた、といのもあるのかもしれない。
「マサト兄ちゃん、ミーナ、ほら、村が見えたよ」
森の出入り口、村が見えるあたりまで来て、ようやくレイジの緊張感は解けた。
日はまだまだ高いが、解体や収穫物の選別、夕飯の用意をしていれば、あっという間に暗くなるだろう。
「よし、じゃあ早く二人の家まで帰るか。食堂も再展開しないといけないしな」
村に帰ってきたことで二人の間の空気も弛緩し、足取りも軽くなる。
獣が出ることが少ない人里にいることと、やはりこの村が二人にとって安心できる場所だからだろう。
こういった様子を見てしまうと旅に連れていくのはどうかとも思ってしまうが、二人が勇気を出して俺についてきてくれると言ってくれた以上、残った方がなんてまたぶり返すのも二人に対して失礼だろう。
「さて、食堂に帰ったらレイジはホーンラビットの解体、ミーナは白根やドラゴンマッシュルームを使ったレシピの手伝いをしてくれよ」
レイジは夕方の斑芋撒きには参加するだろうが、解体するホーンラビットは一体だけだしそれまでには終わるだろう。
ミーナのほうは最近は朝だけの参加になってるのでそのまま夕飯の準備を手伝ってもらおう。
あとやらなければならないことは、畑に白根を植え替えることとレモンライムや龍グルミを種から発芽させる方法を異界のレシピで調べておくことか。
レイジとミーナの両親や移住してきた村人たちが戦闘系の天職持ち、あるいは天職がなくてもある程度戦える技量を持っていることから村の外に出ても獣や魔獣に襲われるのだろう。
そう考えれば、村から出ても食肉に困ることはそんなにないはずだ。
だが、野菜はそうはいかない。
食堂内で肉を食材鑑定すると『冷凍保存可能。ただし、味が落ちる』の一文が追加される。
だが、野菜、それも水分量の多いものほど『冷凍保存不可。食感、味、共に食べるのが不可能になる』の一文が追加される。
例外は紫トマトをソース状にしたものだが、こちらは入手数が少なすぎてあてにはできない。
あとは、おそらく今回入手したドラゴンマッシュルームと龍グルミ、あとは毒持ちの斑芋は長期保存が可能だろうが、水瓜や緑菜は数日もすれば萎びてくるし、白根やレモンライムもある程度ならともかく長期にわたっての保存は難しいだろう。
だからこそ、食堂として認識されている畑がこれからの旅の光明になるはずだ。
問題は生育期間と食堂を収納している間に作物が成長するのか、という点だろう。
今まで発見してきた作物は最低でも数十日の育成期間を経ているもの。
ドラゴンマッシュルームは十日ほどだったが、あれは龍グルミの木にしか生えない。
龍グルミ自体は百八十日だったが、あれは身を鑑定した結果であって木を鑑定したときには年齢は数百年を超えていた。
さすがに、実が生るまでそれほどかかるとも思えないが、少なくとも数年はかかるであろうことは容易に想像できる。
「マサト兄ちゃん、ついたけど食堂出さないのか?」
「マサトさん、また何か考え事してましたね?」
二人のいいところは俺が何か思索していても邪魔をしないところだが、流石に家の前までついておきながら食堂も出さずに思索し続ける俺にはしびれを切らしたらしい。
「悪い悪い、すぐに出すよ」
森の中ではレベル1だったが、村の中ではレベル3。
作れる料理の幅も段違いだが、やはり眠れるところを確保できるのは大きい。
おそらく三人で旅をするときにもレベル3は活躍するだろう。
キノコがどれくらいで繁殖して食用に耐えうる大きさになるのかはわからないが、残しておけば村人が入った時に収穫することもできるだろう。
「さて、いろいろ収穫があったけど、これからどうしようか?昼飯も食べたし、収穫でも時間が結構かかったから今日はここまでにしておくか?」
「うん、そうだね。魔獣にも一回襲われてるし、今日は戻った方がいいかも」
「ミーナは先も気になるけど、お兄ちゃんのほうが森には詳しいし、お兄ちゃんの判断に任せるよ」
「だったら、レイジも戻った方がいいって考えてるし今日はここまでにするか。ホーンラビットの解体もしたいしな」
ホーンラビットは血抜きと内臓抜きをしただけで皮も剝いでないから、解体にも時間がかかるだろうしな。
ただでさえ、大型犬サイズでデビルボア並みとは言わないけどかなりでかいから解体も大変そうだし。
「ミーナはね、さっき拾った木の実とか、マサトさんが掘ってた野菜とかが気になるな」
「じゃあ、戻って夕飯の準備をしようよ。森にはまた来れるしさ」
「オーケー。じゃあ、レイジもミーナも戻るか。忘れ物とかないよな?」
ミーナはナイフくらいしか持ってきていないが、レイジは両親の形見である武器を持ってきているのでそれを、俺のほうも食堂から色々出していたので出しっぱなしで忘れているものがないか周囲を確認する。
包丁はナイフってことで何とかなるかもしれないが、ガラス製のコップや鉄製のシャベルを置いて帰ったら他の村人に見られた時に面倒だ。
「レイジ、帰りの方角は分かるか?」
「もちろんだよ、マサト兄ちゃん」
すごいな、入口から入ってきたときは確かにまっすぐ進んでいたが、そこからちょこちょこ方向を変えて移動してきたから俺にはここがどこでどっちに行けば村かなんてさっぱりだ。
「頼もしいな。じゃあ、先頭はレイジに任せるよ」
一応、最後に忘れ物がないか確認してレイジの後についていく。
方角が分かるといったレイジの言に間違いはなく、迷いのない足取りで森の中を進んでいく。
いろいろ寄り道していたので、来た時に通ってきた風景とは違うが、周囲を食材鑑定してみてもめぼしい食材は見当たらなかった。
すでに見つけていたレモンライムと白根がいくつか群生しているのを発見したが、食材としては余りあるほど収穫したのと、やはり魔獣の襲撃からの一連の流れで疲れていたからかわざわざ近づいて収穫しようとは二人も言いださなかった。
いくら神様の加護があって、誰もけがをしないとは言ってもレイジ自身が一体の魔獣しか受けきれず、俺たちのほうに一体行かせてしまったことを気にしているのか。
レイジは魔獣や獣が近づいてこないか行きの道中以上に警戒してくれていたし、その緊張感がミーナにもわかっていた、といのもあるのかもしれない。
「マサト兄ちゃん、ミーナ、ほら、村が見えたよ」
森の出入り口、村が見えるあたりまで来て、ようやくレイジの緊張感は解けた。
日はまだまだ高いが、解体や収穫物の選別、夕飯の用意をしていれば、あっという間に暗くなるだろう。
「よし、じゃあ早く二人の家まで帰るか。食堂も再展開しないといけないしな」
村に帰ってきたことで二人の間の空気も弛緩し、足取りも軽くなる。
獣が出ることが少ない人里にいることと、やはりこの村が二人にとって安心できる場所だからだろう。
こういった様子を見てしまうと旅に連れていくのはどうかとも思ってしまうが、二人が勇気を出して俺についてきてくれると言ってくれた以上、残った方がなんてまたぶり返すのも二人に対して失礼だろう。
「さて、食堂に帰ったらレイジはホーンラビットの解体、ミーナは白根やドラゴンマッシュルームを使ったレシピの手伝いをしてくれよ」
レイジは夕方の斑芋撒きには参加するだろうが、解体するホーンラビットは一体だけだしそれまでには終わるだろう。
ミーナのほうは最近は朝だけの参加になってるのでそのまま夕飯の準備を手伝ってもらおう。
あとやらなければならないことは、畑に白根を植え替えることとレモンライムや龍グルミを種から発芽させる方法を異界のレシピで調べておくことか。
レイジとミーナの両親や移住してきた村人たちが戦闘系の天職持ち、あるいは天職がなくてもある程度戦える技量を持っていることから村の外に出ても獣や魔獣に襲われるのだろう。
そう考えれば、村から出ても食肉に困ることはそんなにないはずだ。
だが、野菜はそうはいかない。
食堂内で肉を食材鑑定すると『冷凍保存可能。ただし、味が落ちる』の一文が追加される。
だが、野菜、それも水分量の多いものほど『冷凍保存不可。食感、味、共に食べるのが不可能になる』の一文が追加される。
例外は紫トマトをソース状にしたものだが、こちらは入手数が少なすぎてあてにはできない。
あとは、おそらく今回入手したドラゴンマッシュルームと龍グルミ、あとは毒持ちの斑芋は長期保存が可能だろうが、水瓜や緑菜は数日もすれば萎びてくるし、白根やレモンライムもある程度ならともかく長期にわたっての保存は難しいだろう。
だからこそ、食堂として認識されている畑がこれからの旅の光明になるはずだ。
問題は生育期間と食堂を収納している間に作物が成長するのか、という点だろう。
今まで発見してきた作物は最低でも数十日の育成期間を経ているもの。
ドラゴンマッシュルームは十日ほどだったが、あれは龍グルミの木にしか生えない。
龍グルミ自体は百八十日だったが、あれは身を鑑定した結果であって木を鑑定したときには年齢は数百年を超えていた。
さすがに、実が生るまでそれほどかかるとも思えないが、少なくとも数年はかかるであろうことは容易に想像できる。
「マサト兄ちゃん、ついたけど食堂出さないのか?」
「マサトさん、また何か考え事してましたね?」
二人のいいところは俺が何か思索していても邪魔をしないところだが、流石に家の前までついておきながら食堂も出さずに思索し続ける俺にはしびれを切らしたらしい。
「悪い悪い、すぐに出すよ」
森の中ではレベル1だったが、村の中ではレベル3。
作れる料理の幅も段違いだが、やはり眠れるところを確保できるのは大きい。
おそらく三人で旅をするときにもレベル3は活躍するだろう。
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