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1章 名もなき村
33 お菓子作り
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「はあ、別に何ともないが敵意を向けられるのは嫌なもんだし、やっぱり疲れてるな」
身体は何ともない、それでも精神がガリガリと削られたのは事実なんだろう。
「当り前ですよ。森の中のことでマサトさんが攻撃されてもなんともないのは分かっていましたけど、ミーナだってびっくりしましたもん。それにしてもあの男の人はなんなんですかね、こっちの話を聞きもせず。マサトさんは優しいから最初の二人にも治療するように言っていましたけど、本当はほっといていいんですよ? こっちのことを敵視してきた人なんですから」
「まあ、命令していた男はともかく最初の二人は自分の意思で攻撃してきたわけじゃないからな。ミーナも大人になったらわかると思うけど、生きていくためには自分の意思を封じ込めて上に従うことも必要になってくるから」
そういう意味では一番被害に遭ったのは、理不尽な命令で攻撃したのに大けがを負った二人なのだろう。
「はあ、疲れたし、なんか美味しい物でも作ろうか」
「マサトさん、疲れてるのに料理するんですね?」
「まあ結局、昼飯も食べてないからな」
そう、あの男たちがやってきたのはちょうど昼飯の準備をしようかというときだったので昼近いのにまだ何も食べていないのだ。
疲れたし、食堂でしか食べられないけどクッキーでも作るか。
卵も牛乳もないが、砂糖、小麦粉、バターがあれば簡単なショートブレッドくらいは作れるらしいし。
「今日は甘じょっぱいお菓子でも作るか。まあ、昼飯のほうはいつもの肉野菜炒めとパンだけど」
「新しい料理ですか?」
「そうそう、材料がこの食堂でしか手に入らないから村の人たちには内緒だけどな」
まずはバターを柔らかくなるまで温める。
本当は室内に出しておいて常温に戻すのがいいんだろうが、今回は今すぐ作りたいのでレンジで軽く温める。
「ミーナはバターをこの泡だて器を使って混ぜてくれ。空気を含ませるようにやってくれよ」
「わかりました」
ミーナにバターを任せている間に上白糖と薄力粉を計量しておく。
お菓子作りは分量の違いが出来に直結するからな。
「じゃあ、ここに上白糖を入れていくぞ。今度は全体的に白くなるまで、空気を含ませるように混ぜていってくれ」
やはり、料理人の天職は素晴らしいものでこの程度の曖昧な指示でもミーナは完璧に応えてくれる。
俺のほうも見ているだけじゃなくて、昼食の準備に取り掛からないとな。
とりあえずは、ホーンラビットの肉と緑菜の炒め物、白根の味噌汁とパンでいいかな。
ホーンラビットの肉は肉食獣のくせに甘味が強く肉質も柔らかいという謎の現象が起こっていたが、これは食材鑑定通りなのでやはり魔力が味や性質に関係しているのだろう。
肉はレイジが切ってくれているから、緑菜を四分の一程度切り出して一口大に切っていく。
そういえば、食堂内にはかん水もあったからその内中華麺でも作って焼きそばを作るのも一興だな。
デビルボアの肉を豚肉代わりにして、まあ、野菜が緑菜だけになってしまうがそこはしょうがない。
白根のほうはみそ汁に入れるからいちょう切りでもいいんだが、今回は拍子木切りにしておこう。
「マサトさん、白っぽくなってきましたよ」
「よし、じゃあ薄力粉を半分の量だけ篩いながら入れていこう」
「? 全部入れないんですか? それにそのまま入れちゃあだめなんですか?」
「薄力粉は固まりやすいからな。塊がそのまま生地になると焼きあがった時に食感が悪くなったり、粉が固まったまま焼きあがったりするから篩うんだ。分けて入れるのも同じ理由だな。まあ、一緒に入れる場合とか、何なら最初から全部袋に入れて混ぜる方法もあるけど、今回はスタンダードな奴でいこう」
異界のレシピで調べてみると結構、時短レシピとずぼらレシピみたいなものも見つかるから、一人で食べる場合はこっちで作るのもいいかもな。
「今回は有塩のバターを使ったからいいけど、無塩バターを使った場合は薄力粉を入れる前に塩を入れるんだ。よし、あとはこっちのゴムベラで切るように混ぜてくれ」
「泡だて器じゃないんですね?」
「薄力粉を入れると生地が固まってくるから、泡だて器だと中に生地が入り込んじゃうからな。ある程度生地がまとまったら残りの薄力粉を入れて、粉っぽさが無くなってきたらボウルに押し付けるようにしてまとめてくれ」
こっちも白根を切ってを出汁を張った鍋に入れていく。
とりあえずは昼飯の前に生地だけは完成させて冷蔵庫で寝かせておきたい。
「マサトさん、生地がまとまってきましたよ」
「じゃあ、残りの粉も入れちまうか。あとはまとまるまでよろしくな」
残りの作業もミーナに任せつつ、俺のほうは肉野菜炒めのほうにかかる。
まあ、こっちは既に切ってある材料を適当にフライパンで炒めるだけだから簡単だ。
「マサト兄ちゃんっ! 大丈夫!?」
「レイジか、急に大声を出すなよ、びっくりしただろ」
「だって、マサト兄ちゃんが襲われたって聞いたから」
「お兄ちゃん、マサトさんは平気だよ。お兄ちゃんも森でのこと覚えてるでしょ?」
どうも、レイジは村長に俺が襲われたから家に帰ったって聞いて慌てて戻ってきたらしい。
「レイジ、心配してくれてありがとな。でも、俺は大丈夫だから。それよりも、森に行ってきて腹が減ってるだろ? もうすぐ昼ができるから待っててくれよ」
「マサトさん、こっちの生地もまとまってきたけどどうするの?」
「そっちは棒みたいに細長く丸めておいてくれるか? こっちの炒め物が終わったらそっちに行くから」
まとまった生地は棒状にした後に麵棒で厚みのある板状にしてから冷蔵庫に入れておく。
この世界にはないラップを使うのだが、ラップも冷蔵庫もない状態だとどうやって寝かせるのが正解なんだろうな?
「マサトさん、こっちのお鍋はお味噌汁でいいのかな? 白根に火が通ってるから味噌を入れておくね」
「おう、火を止めてからしっかり混ぜ入れてくれよな」
ミーナも料理に慣れてきて、一度作ったものなら指示なしでも結構できるようになってきてる。
「マサト兄ちゃん、僕はパンを用意しておくね」
「おう、頼む。俺は炒め物を持っていくから取り皿とフォークも頼む」
「マサトさん、さっきの生地はどのくらい休ませるんですか?」
「一時間くらいだから昼飯を食べ終わって一服したら切り分けて焼こうか」
身体は何ともない、それでも精神がガリガリと削られたのは事実なんだろう。
「当り前ですよ。森の中のことでマサトさんが攻撃されてもなんともないのは分かっていましたけど、ミーナだってびっくりしましたもん。それにしてもあの男の人はなんなんですかね、こっちの話を聞きもせず。マサトさんは優しいから最初の二人にも治療するように言っていましたけど、本当はほっといていいんですよ? こっちのことを敵視してきた人なんですから」
「まあ、命令していた男はともかく最初の二人は自分の意思で攻撃してきたわけじゃないからな。ミーナも大人になったらわかると思うけど、生きていくためには自分の意思を封じ込めて上に従うことも必要になってくるから」
そういう意味では一番被害に遭ったのは、理不尽な命令で攻撃したのに大けがを負った二人なのだろう。
「はあ、疲れたし、なんか美味しい物でも作ろうか」
「マサトさん、疲れてるのに料理するんですね?」
「まあ結局、昼飯も食べてないからな」
そう、あの男たちがやってきたのはちょうど昼飯の準備をしようかというときだったので昼近いのにまだ何も食べていないのだ。
疲れたし、食堂でしか食べられないけどクッキーでも作るか。
卵も牛乳もないが、砂糖、小麦粉、バターがあれば簡単なショートブレッドくらいは作れるらしいし。
「今日は甘じょっぱいお菓子でも作るか。まあ、昼飯のほうはいつもの肉野菜炒めとパンだけど」
「新しい料理ですか?」
「そうそう、材料がこの食堂でしか手に入らないから村の人たちには内緒だけどな」
まずはバターを柔らかくなるまで温める。
本当は室内に出しておいて常温に戻すのがいいんだろうが、今回は今すぐ作りたいのでレンジで軽く温める。
「ミーナはバターをこの泡だて器を使って混ぜてくれ。空気を含ませるようにやってくれよ」
「わかりました」
ミーナにバターを任せている間に上白糖と薄力粉を計量しておく。
お菓子作りは分量の違いが出来に直結するからな。
「じゃあ、ここに上白糖を入れていくぞ。今度は全体的に白くなるまで、空気を含ませるように混ぜていってくれ」
やはり、料理人の天職は素晴らしいものでこの程度の曖昧な指示でもミーナは完璧に応えてくれる。
俺のほうも見ているだけじゃなくて、昼食の準備に取り掛からないとな。
とりあえずは、ホーンラビットの肉と緑菜の炒め物、白根の味噌汁とパンでいいかな。
ホーンラビットの肉は肉食獣のくせに甘味が強く肉質も柔らかいという謎の現象が起こっていたが、これは食材鑑定通りなのでやはり魔力が味や性質に関係しているのだろう。
肉はレイジが切ってくれているから、緑菜を四分の一程度切り出して一口大に切っていく。
そういえば、食堂内にはかん水もあったからその内中華麺でも作って焼きそばを作るのも一興だな。
デビルボアの肉を豚肉代わりにして、まあ、野菜が緑菜だけになってしまうがそこはしょうがない。
白根のほうはみそ汁に入れるからいちょう切りでもいいんだが、今回は拍子木切りにしておこう。
「マサトさん、白っぽくなってきましたよ」
「よし、じゃあ薄力粉を半分の量だけ篩いながら入れていこう」
「? 全部入れないんですか? それにそのまま入れちゃあだめなんですか?」
「薄力粉は固まりやすいからな。塊がそのまま生地になると焼きあがった時に食感が悪くなったり、粉が固まったまま焼きあがったりするから篩うんだ。分けて入れるのも同じ理由だな。まあ、一緒に入れる場合とか、何なら最初から全部袋に入れて混ぜる方法もあるけど、今回はスタンダードな奴でいこう」
異界のレシピで調べてみると結構、時短レシピとずぼらレシピみたいなものも見つかるから、一人で食べる場合はこっちで作るのもいいかもな。
「今回は有塩のバターを使ったからいいけど、無塩バターを使った場合は薄力粉を入れる前に塩を入れるんだ。よし、あとはこっちのゴムベラで切るように混ぜてくれ」
「泡だて器じゃないんですね?」
「薄力粉を入れると生地が固まってくるから、泡だて器だと中に生地が入り込んじゃうからな。ある程度生地がまとまったら残りの薄力粉を入れて、粉っぽさが無くなってきたらボウルに押し付けるようにしてまとめてくれ」
こっちも白根を切ってを出汁を張った鍋に入れていく。
とりあえずは昼飯の前に生地だけは完成させて冷蔵庫で寝かせておきたい。
「マサトさん、生地がまとまってきましたよ」
「じゃあ、残りの粉も入れちまうか。あとはまとまるまでよろしくな」
残りの作業もミーナに任せつつ、俺のほうは肉野菜炒めのほうにかかる。
まあ、こっちは既に切ってある材料を適当にフライパンで炒めるだけだから簡単だ。
「マサト兄ちゃんっ! 大丈夫!?」
「レイジか、急に大声を出すなよ、びっくりしただろ」
「だって、マサト兄ちゃんが襲われたって聞いたから」
「お兄ちゃん、マサトさんは平気だよ。お兄ちゃんも森でのこと覚えてるでしょ?」
どうも、レイジは村長に俺が襲われたから家に帰ったって聞いて慌てて戻ってきたらしい。
「レイジ、心配してくれてありがとな。でも、俺は大丈夫だから。それよりも、森に行ってきて腹が減ってるだろ? もうすぐ昼ができるから待っててくれよ」
「マサトさん、こっちの生地もまとまってきたけどどうするの?」
「そっちは棒みたいに細長く丸めておいてくれるか? こっちの炒め物が終わったらそっちに行くから」
まとまった生地は棒状にした後に麵棒で厚みのある板状にしてから冷蔵庫に入れておく。
この世界にはないラップを使うのだが、ラップも冷蔵庫もない状態だとどうやって寝かせるのが正解なんだろうな?
「マサトさん、こっちのお鍋はお味噌汁でいいのかな? 白根に火が通ってるから味噌を入れておくね」
「おう、火を止めてからしっかり混ぜ入れてくれよな」
ミーナも料理に慣れてきて、一度作ったものなら指示なしでも結構できるようになってきてる。
「マサト兄ちゃん、僕はパンを用意しておくね」
「おう、頼む。俺は炒め物を持っていくから取り皿とフォークも頼む」
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