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2章 領都
27 パスタ
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「ばかやろう、うめえじゃねえかっ! なんで俺に食べさせなかったんだっ!」
「ええええ、お褒めいただきありがとうございます」
「こんなうめえもん作るために鍋が必要なら先に言えってんだっ!」
「あのー、マサトさん。このおじいさん、さっきまで文句しか言ってませんでしたよね?」
「ミーナ、レイジも覚えておくといい。年寄りとか職人にはこういった人間が結構な確率でいるからな」
別に老人や職人に対して偏見があるわけではないけれど、狭い世界で生きてきた人間が常識を変えるのは難しい。
特にこの世界では食料といえば生野菜という固定観念が生まれているから、むしろ今まで出会った人たちが柔軟すぎただけだ。
「鍋は平底じゃなきゃダメなのか? 浅底のほうも平底だが」
「そうですね、かまどに固定して使う分には調合用と一緒で丸底でもいいですけど、移動させる際に不便なので平底のほうがいいですかね」
フライパンも中華鍋は丸底だから別にこだわりはない。
ただ、保管や洗い物を考えると平底のほうが便利だろうというだけだ。
「ふむ、お前さんたちが使っている刃物はナイフとは違うが、それも作った方がいいか」
「包丁もそうですけど、フォークやスプーンのカトラリーを量産してほしいですね。生野菜と違って手づかみというわけにはいかないですから」
「それもそうか」
「あとは、粉ひきのために石臼を作ってもらえればいいんですが」
「石臼? どんなやつだ?」
食堂には小型の石臼も常備されているのでそれを見せる。
まあ、これを使うことはないな、食堂内には電動のミルとかミキサーもあるから使う意味がない。
「ふむふむ、石は専門外だが構造は分かった」
「上から穀物なんかを入れて回すことで粉にする道具です。ここにはないですが、鉄での制作も可能とか」
前の世界には鉄臼なんていうものもあったらしい。
まあ、ポピュラーなものじゃなかったらしいから石臼のほうが手軽なんだろうけど。
「鉄でか……。作れんこともないか」
「これがあれば、領地内で見つかった黒麦でパンを作れるようになりますからね」
「パンっちゅうと、あのふかふかしとったやつか」
「ええ、領主様の息女のイーリスもパンに特化した料理人ですので喜ぶかと」
「そうか、イーリス嬢ちゃんが……。よっしゃ、鉄臼も鍋も他のものも俺に任せとけっ!!」
「ええ、お願いしますよ。使うのはイーリスたちになりますので、女性でも使いやすいようにあまり重くしないでもらえると助かります」
イーリスもロバートもボブもどれだけ力のステータスが上がるかわからないから、あまり重くても困るだろう。
「よし、ウィリアム。設置するはずの騎士団の食堂とやらに案内せい」
「まだ建設中ですよ」
「それでも、寸法自体は分かるじゃろうがっ!」
「わかりましたよ。マサト君、あとで今日の分の収穫物を持ってくるからね」
「わかりました、ウィリアムさん。よろしくお願いします」
大声で怒鳴りながらベックさんはウィリアムさんを引き連れて出ていった。
別にことさら苦手なタイプではないけれど、朝っぱらから相手するのは疲れる相手だったな。
「さあ、レイジもミーナも少し早いけど食堂の準備を始めようか」
「「はい」」
今日はパンのほかにパスタも作ろうと思っているのでパスタマシンを出しておこう。
キラーバードの卵が継続的に供給されるようになったから、そろそろ主食に使っても大丈夫だろう。
ジョシュアさんからも定期的に紫トマトと水瓜と緑菜は供給されるから、キラーバードの肉と紫トマトを使ったスパゲッティにするかな。
「マサトさん、また新しい料理を作るんですね?」
「マサト兄ちゃん、わかりやすすぎだよ。ワクワクしてる顔だもん」
そんなにか?
いや、ワクワクというかやっと洋食っぽいものが食べられるとは思ったが、そんな風にみられるとは思わなかった。
「今回作るのはパンの代わりになる一品だよ。サンドイッチみたいに一品で一食になるものだから手軽に食べられていいんだ」
うどんもそうだが、麺類って他のなにかと合わせるってことが少ないよな。
ラーメンに餃子とかチャーハンを合わせるくらいか?
まあ、本場だとコースになるからスパゲッティにも前菜とかメインとか合わせるのかもしれないけど。
「ミーナにも作り方を教えてくれますよね?」
「マサト兄ちゃん、僕食べたい」
「はいはい、今日の昼飯はソレにするから準備を手伝ってくれ。パンみたいに生地を作らないといけないからな」
「「はい」」
そんなこんなで今日の昼飯はスパゲッティだ。
この世界の人は二食が基本だから、昼には騎士の人はほとんど来ないしな。
来るのは非番の人くらいだから、朝と夜に比べれば微々たるものだ。
「まあ、昼のことよりも朝飯だ。もうすぐイーリスも来るし、昨日のロバートとボブも来るから二人とも頼んだぞ」
とりあえず俺は昼のスパゲッティの分の食料だけとり分けておこう。
寝かせる時間を考えても朝の営業が終わってから作るので十分に間に合うしな。
「ええええ、お褒めいただきありがとうございます」
「こんなうめえもん作るために鍋が必要なら先に言えってんだっ!」
「あのー、マサトさん。このおじいさん、さっきまで文句しか言ってませんでしたよね?」
「ミーナ、レイジも覚えておくといい。年寄りとか職人にはこういった人間が結構な確率でいるからな」
別に老人や職人に対して偏見があるわけではないけれど、狭い世界で生きてきた人間が常識を変えるのは難しい。
特にこの世界では食料といえば生野菜という固定観念が生まれているから、むしろ今まで出会った人たちが柔軟すぎただけだ。
「鍋は平底じゃなきゃダメなのか? 浅底のほうも平底だが」
「そうですね、かまどに固定して使う分には調合用と一緒で丸底でもいいですけど、移動させる際に不便なので平底のほうがいいですかね」
フライパンも中華鍋は丸底だから別にこだわりはない。
ただ、保管や洗い物を考えると平底のほうが便利だろうというだけだ。
「ふむ、お前さんたちが使っている刃物はナイフとは違うが、それも作った方がいいか」
「包丁もそうですけど、フォークやスプーンのカトラリーを量産してほしいですね。生野菜と違って手づかみというわけにはいかないですから」
「それもそうか」
「あとは、粉ひきのために石臼を作ってもらえればいいんですが」
「石臼? どんなやつだ?」
食堂には小型の石臼も常備されているのでそれを見せる。
まあ、これを使うことはないな、食堂内には電動のミルとかミキサーもあるから使う意味がない。
「ふむふむ、石は専門外だが構造は分かった」
「上から穀物なんかを入れて回すことで粉にする道具です。ここにはないですが、鉄での制作も可能とか」
前の世界には鉄臼なんていうものもあったらしい。
まあ、ポピュラーなものじゃなかったらしいから石臼のほうが手軽なんだろうけど。
「鉄でか……。作れんこともないか」
「これがあれば、領地内で見つかった黒麦でパンを作れるようになりますからね」
「パンっちゅうと、あのふかふかしとったやつか」
「ええ、領主様の息女のイーリスもパンに特化した料理人ですので喜ぶかと」
「そうか、イーリス嬢ちゃんが……。よっしゃ、鉄臼も鍋も他のものも俺に任せとけっ!!」
「ええ、お願いしますよ。使うのはイーリスたちになりますので、女性でも使いやすいようにあまり重くしないでもらえると助かります」
イーリスもロバートもボブもどれだけ力のステータスが上がるかわからないから、あまり重くても困るだろう。
「よし、ウィリアム。設置するはずの騎士団の食堂とやらに案内せい」
「まだ建設中ですよ」
「それでも、寸法自体は分かるじゃろうがっ!」
「わかりましたよ。マサト君、あとで今日の分の収穫物を持ってくるからね」
「わかりました、ウィリアムさん。よろしくお願いします」
大声で怒鳴りながらベックさんはウィリアムさんを引き連れて出ていった。
別にことさら苦手なタイプではないけれど、朝っぱらから相手するのは疲れる相手だったな。
「さあ、レイジもミーナも少し早いけど食堂の準備を始めようか」
「「はい」」
今日はパンのほかにパスタも作ろうと思っているのでパスタマシンを出しておこう。
キラーバードの卵が継続的に供給されるようになったから、そろそろ主食に使っても大丈夫だろう。
ジョシュアさんからも定期的に紫トマトと水瓜と緑菜は供給されるから、キラーバードの肉と紫トマトを使ったスパゲッティにするかな。
「マサトさん、また新しい料理を作るんですね?」
「マサト兄ちゃん、わかりやすすぎだよ。ワクワクしてる顔だもん」
そんなにか?
いや、ワクワクというかやっと洋食っぽいものが食べられるとは思ったが、そんな風にみられるとは思わなかった。
「今回作るのはパンの代わりになる一品だよ。サンドイッチみたいに一品で一食になるものだから手軽に食べられていいんだ」
うどんもそうだが、麺類って他のなにかと合わせるってことが少ないよな。
ラーメンに餃子とかチャーハンを合わせるくらいか?
まあ、本場だとコースになるからスパゲッティにも前菜とかメインとか合わせるのかもしれないけど。
「ミーナにも作り方を教えてくれますよね?」
「マサト兄ちゃん、僕食べたい」
「はいはい、今日の昼飯はソレにするから準備を手伝ってくれ。パンみたいに生地を作らないといけないからな」
「「はい」」
そんなこんなで今日の昼飯はスパゲッティだ。
この世界の人は二食が基本だから、昼には騎士の人はほとんど来ないしな。
来るのは非番の人くらいだから、朝と夜に比べれば微々たるものだ。
「まあ、昼のことよりも朝飯だ。もうすぐイーリスも来るし、昨日のロバートとボブも来るから二人とも頼んだぞ」
とりあえず俺は昼のスパゲッティの分の食料だけとり分けておこう。
寝かせる時間を考えても朝の営業が終わってから作るので十分に間に合うしな。
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