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3章 王都
01 出発
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王都までの旅程に付き合ってくれるのは、レイジとミーナ、シェリルバイト領の領主になるランドールさん、騎士団からはライアンさんとベテランの騎士が三人。
だから俺を含めて八人がメンバーだ。
領都へ向かった時は倍以上の人数だったから今回は少数精鋭と言えるだろう。
騎士団のメンバーがどれくらいの戦力かというと、四人はレイジに勝てるくらいには強いということだ。
レイジは俺と出会ってからずっと一緒に食事をしてきているから、ステータスだけを見れば世界で一番と言っても過言ではない。
まあ、器用とかはこの世界の食事事情でもあがるから、世界一位ではないのだけれど。
だが、力とか素早さとかは確実に世界一いだろう。
ステータスでは騎士団の四人はレイジに劣るが、戦闘経験や鍛えた筋肉などはステータスには反映されないらしく、その辺の技量でレイジを上回るらしい。
とはいえ、レイジは騎士団の中堅レベルとは互角の勝負をするらしいし、この辺に出てくるような獣や魔獣相手なら後れを取らない程度には強いらしい。
というわけで、王都への道のりは領都へ向かった時よりもだいぶ楽に進んでいる。
まあ、領都への道中は食事の準備で結構な時間をかけていたからな。
八人分ならパンもそこまで苦労せずに作れるし、何なら八人くらいなら爆弾米の備蓄も使えるから食事は割と簡単に済む。
まあ、爆弾米の精米には結構な時間がかかっているから一概に簡単になったわけでもないんだけどな。
「今日の夕食は何にするんだい?」
「今日はキラーバードを使った親子丼でも作りましょうかね」
領都から出てしまったのにキラーバードの卵が手に入るのかと聞きたい人もいるだろうが、手に入るようになったと答えよう。
領都にいたころ、生きたキラーバードをウィリアムさんが持って帰ってきたことがあった。
その場で捌くかどうか決めるために一時的に裏庭畑に持っていったら、裏庭畑に鳥小屋というか、飼育小屋が出現していた。
いや、マジで意味が分からないんだが、多分神様の粋なはからいなんだろう。
……うん、そういうことにしておこう。
鳥小屋に入れたキラーバードは裏庭畑で採れた作物の中で、料理に使わない部分をやれば不満はないようでこちらに敵意を持たない。
まあ、だからそのまま飼育して卵を手に入れようと考えたところ、定期的に卵が手に入るようになったというわけだ。
ちなみに、親子丼に使う玉ねぎはサウザンドオニオンだ。
食材鑑定を使った時はオニオンって名前なのにニンニクの味がするって出て疑問に思っていたんだが、どうやら成長段階で味が変わる食材らしい。
二十日段階ではニンニクのような味、百日を過ぎると玉ねぎのようになるらしい。
ちなみにこれは、裏庭畑で育てているうちに気づいた。
というか、種を作るためにそのまま成育させていたら食材鑑定の内容が変わったので気づいたんだ。
というわけで、領都から持ってきたキラーバードの肉が尽きるまでは親子丼が作れるというわけだ。
まあ、鳥小屋で育てているキラーバードは雛も生まれているけど、食肉にはできないから肉には限りがあるってことだ。
ちなみに、卵のほうは囮代わりの無精卵が二日に五個くらいのペースでできる上に、無精卵にはキラーバードは執着しないから個数制限があるが卵は手に入るというわけだ。
「親子丼っ、丼ということは米を使った料理ですよね」
「ええ、ライアンさんはあまり口にされていないらしいですね」
「シェリルバイト領でも領主様一家しか食べたことがないでしょう。爆弾米の収穫が思うようにいかないらしいですから」
「食堂では賄いに出せるくらいには栽培しているので、王都までの道中に何回かは米料理も出しますよ。パンを作るよりも簡単なので」
「私も米料理は好きですよ。パンと違って噛み切るのに力がいらないのがいいですよね」
ランドールさんも会話に加わってきた。
ちなみに、道中の移動方法は俺とミーナとレイジ以外は馬に乗っている。
俺たちは領都行きの時と同じで馬車……というか、エメラルドホースに轢かれた車に乗っている。
この車はいわゆる大八車のようなもので、平台に車輪がくっついているような外見をしている。
幌なんかはもちろんないし、振動もすごいので馬に乗れないような子供以外は乗らない代物らしい。
まあ、俺たちは馬に乗れないので選択肢はないに等しい。
「そうですね。米料理はパンに比べても柔らかいので野菜や果物ばかり食べてきた人には食べやすいかもしれませんね」
パンはもちろんのこと肉料理でもなるべく柔らかくなるように調理はしているものの、いろいろ足りないこの世界ではそれなりにしっかりとした食感が残ってしまう。
まあ、それでもこれまでは初めて食べる料理の味で気にならなかったのかもしれないが、二年も料理のある生活に慣れてくるといろいろと不満も出てくるようだ。
現にイーリスもパンにはさむ具材やら練りこむ具材を俺に聞いてきた時期があったしな。
「それは楽しみですね。でも、今日の昼用に作ってくれたサンドイッチも楽しみなんですよ」
「領都を出たばかりでまだ食材が豊富ですからね。今日のサンドイッチの具材はライアンさんからリクエストのあったボアカツを挟んでありますよ」
「いやあ、それは楽しみですね」
「本当にライアンはカツの類が好きですね。確か、キラーバードもカツにしてもらっていたとか」
「キラーバードのチキンカツですね。白根を収穫した直後だったので白根をおろしたので漬け込んだのを出したんですよね」
「あれも好きですよ。でも、やはりカツといえばマサト君の食堂にあるソースを満足するまでかけるのが至高ですね」
そう、ライアンさんは濃い目の味付けが好きだから彼が食事した後は皿がソースの海になっていることがよくある。
まあ、この辺は騎士たちに共通だから、やはり体を動かす騎士の人たちは塩分を身体が欲しているのだろう。
ちなみに、鍛冶師のベックさんも濃い目の味付け、というか酒の肴みたいのが好みだった。
酒はこの世界にはまだ存在しないんだけどな。
ブドウみたいな果物が見つかったらワインを作ってみようかと思ったんだけど、シェリルバイト領ではそういう果物は栽培していなかったようだ。
黒麦を使ったビールづくりも挑戦だけはしてみたんだが、酵母菌がいないのか、作り方にミスがあったのかはわからないが、できたのはひどい匂いのする麦ジュースだった。
ちなみにジュースの類はいろいろ作っていたので、シェリルバイト領では水以外に果物を使った飲み物もブームになっている。
残念なのはお茶の木が見つからなかったことだな。
ハーブの類も探してはいたのだが、ペッパーミントとタイガージンジャー以外にはその手のものは見つからなかったので断念した。
ミントティーを作ってもよかったのだが、砂糖も見つかっていない状態では時期尚早かと思って見送った。
まあ、食堂内には調味料として抹茶や紅茶が存在しているから、食堂の従業員は飲んでいたわけだが。
ちなみに評判はいまいちだった。
調味料用だから、そこまで品質が良くないのもあるが、飲み物といえば水という環境だったからわざわざ苦い飲み物を飲む理由がよくわからないらしい。
食堂内で働いていたのは俺を含めて割と年齢が低かったから、味覚が育っていないだけかもしれないけどな。
だから俺を含めて八人がメンバーだ。
領都へ向かった時は倍以上の人数だったから今回は少数精鋭と言えるだろう。
騎士団のメンバーがどれくらいの戦力かというと、四人はレイジに勝てるくらいには強いということだ。
レイジは俺と出会ってからずっと一緒に食事をしてきているから、ステータスだけを見れば世界で一番と言っても過言ではない。
まあ、器用とかはこの世界の食事事情でもあがるから、世界一位ではないのだけれど。
だが、力とか素早さとかは確実に世界一いだろう。
ステータスでは騎士団の四人はレイジに劣るが、戦闘経験や鍛えた筋肉などはステータスには反映されないらしく、その辺の技量でレイジを上回るらしい。
とはいえ、レイジは騎士団の中堅レベルとは互角の勝負をするらしいし、この辺に出てくるような獣や魔獣相手なら後れを取らない程度には強いらしい。
というわけで、王都への道のりは領都へ向かった時よりもだいぶ楽に進んでいる。
まあ、領都への道中は食事の準備で結構な時間をかけていたからな。
八人分ならパンもそこまで苦労せずに作れるし、何なら八人くらいなら爆弾米の備蓄も使えるから食事は割と簡単に済む。
まあ、爆弾米の精米には結構な時間がかかっているから一概に簡単になったわけでもないんだけどな。
「今日の夕食は何にするんだい?」
「今日はキラーバードを使った親子丼でも作りましょうかね」
領都から出てしまったのにキラーバードの卵が手に入るのかと聞きたい人もいるだろうが、手に入るようになったと答えよう。
領都にいたころ、生きたキラーバードをウィリアムさんが持って帰ってきたことがあった。
その場で捌くかどうか決めるために一時的に裏庭畑に持っていったら、裏庭畑に鳥小屋というか、飼育小屋が出現していた。
いや、マジで意味が分からないんだが、多分神様の粋なはからいなんだろう。
……うん、そういうことにしておこう。
鳥小屋に入れたキラーバードは裏庭畑で採れた作物の中で、料理に使わない部分をやれば不満はないようでこちらに敵意を持たない。
まあ、だからそのまま飼育して卵を手に入れようと考えたところ、定期的に卵が手に入るようになったというわけだ。
ちなみに、親子丼に使う玉ねぎはサウザンドオニオンだ。
食材鑑定を使った時はオニオンって名前なのにニンニクの味がするって出て疑問に思っていたんだが、どうやら成長段階で味が変わる食材らしい。
二十日段階ではニンニクのような味、百日を過ぎると玉ねぎのようになるらしい。
ちなみにこれは、裏庭畑で育てているうちに気づいた。
というか、種を作るためにそのまま成育させていたら食材鑑定の内容が変わったので気づいたんだ。
というわけで、領都から持ってきたキラーバードの肉が尽きるまでは親子丼が作れるというわけだ。
まあ、鳥小屋で育てているキラーバードは雛も生まれているけど、食肉にはできないから肉には限りがあるってことだ。
ちなみに、卵のほうは囮代わりの無精卵が二日に五個くらいのペースでできる上に、無精卵にはキラーバードは執着しないから個数制限があるが卵は手に入るというわけだ。
「親子丼っ、丼ということは米を使った料理ですよね」
「ええ、ライアンさんはあまり口にされていないらしいですね」
「シェリルバイト領でも領主様一家しか食べたことがないでしょう。爆弾米の収穫が思うようにいかないらしいですから」
「食堂では賄いに出せるくらいには栽培しているので、王都までの道中に何回かは米料理も出しますよ。パンを作るよりも簡単なので」
「私も米料理は好きですよ。パンと違って噛み切るのに力がいらないのがいいですよね」
ランドールさんも会話に加わってきた。
ちなみに、道中の移動方法は俺とミーナとレイジ以外は馬に乗っている。
俺たちは領都行きの時と同じで馬車……というか、エメラルドホースに轢かれた車に乗っている。
この車はいわゆる大八車のようなもので、平台に車輪がくっついているような外見をしている。
幌なんかはもちろんないし、振動もすごいので馬に乗れないような子供以外は乗らない代物らしい。
まあ、俺たちは馬に乗れないので選択肢はないに等しい。
「そうですね。米料理はパンに比べても柔らかいので野菜や果物ばかり食べてきた人には食べやすいかもしれませんね」
パンはもちろんのこと肉料理でもなるべく柔らかくなるように調理はしているものの、いろいろ足りないこの世界ではそれなりにしっかりとした食感が残ってしまう。
まあ、それでもこれまでは初めて食べる料理の味で気にならなかったのかもしれないが、二年も料理のある生活に慣れてくるといろいろと不満も出てくるようだ。
現にイーリスもパンにはさむ具材やら練りこむ具材を俺に聞いてきた時期があったしな。
「それは楽しみですね。でも、今日の昼用に作ってくれたサンドイッチも楽しみなんですよ」
「領都を出たばかりでまだ食材が豊富ですからね。今日のサンドイッチの具材はライアンさんからリクエストのあったボアカツを挟んでありますよ」
「いやあ、それは楽しみですね」
「本当にライアンはカツの類が好きですね。確か、キラーバードもカツにしてもらっていたとか」
「キラーバードのチキンカツですね。白根を収穫した直後だったので白根をおろしたので漬け込んだのを出したんですよね」
「あれも好きですよ。でも、やはりカツといえばマサト君の食堂にあるソースを満足するまでかけるのが至高ですね」
そう、ライアンさんは濃い目の味付けが好きだから彼が食事した後は皿がソースの海になっていることがよくある。
まあ、この辺は騎士たちに共通だから、やはり体を動かす騎士の人たちは塩分を身体が欲しているのだろう。
ちなみに、鍛冶師のベックさんも濃い目の味付け、というか酒の肴みたいのが好みだった。
酒はこの世界にはまだ存在しないんだけどな。
ブドウみたいな果物が見つかったらワインを作ってみようかと思ったんだけど、シェリルバイト領ではそういう果物は栽培していなかったようだ。
黒麦を使ったビールづくりも挑戦だけはしてみたんだが、酵母菌がいないのか、作り方にミスがあったのかはわからないが、できたのはひどい匂いのする麦ジュースだった。
ちなみにジュースの類はいろいろ作っていたので、シェリルバイト領では水以外に果物を使った飲み物もブームになっている。
残念なのはお茶の木が見つからなかったことだな。
ハーブの類も探してはいたのだが、ペッパーミントとタイガージンジャー以外にはその手のものは見つからなかったので断念した。
ミントティーを作ってもよかったのだが、砂糖も見つかっていない状態では時期尚早かと思って見送った。
まあ、食堂内には調味料として抹茶や紅茶が存在しているから、食堂の従業員は飲んでいたわけだが。
ちなみに評判はいまいちだった。
調味料用だから、そこまで品質が良くないのもあるが、飲み物といえば水という環境だったからわざわざ苦い飲み物を飲む理由がよくわからないらしい。
食堂内で働いていたのは俺を含めて割と年齢が低かったから、味覚が育っていないだけかもしれないけどな。
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