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3章 王都
05 エリックとルッカ
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「執事見習いをしています、エリックと申します」
「メイド見習いをしているルッカです」
予定通り、昼前には手伝い予定の二人が来てくれた。
二人とも俺と同じくらいの年齢で、何度か料理を習いに来てくれていた。
「これからよろしくな。とりあえず俺たちがどんな料理を作っているかを知ってもらいたいから一緒に食べてもらっていいか?」
二人の前にもあらかじめ作っておいた肉うどんを出す。
まあ、二人には昼に食べるという習慣がないから俺たちのよりは小盛にしてある。
もちろん、ライアンさんたちの分は大盛だ。
この人たちはおいしいものなら何でも遠慮なく食うからな。
「これはスープですか?」
「うどんと呼ばれる料理だ。パンにも使っていた小麦粉を練って作った麺を食べる料理だな。味付けは薄めにしてあるからスープまで飲めるぞ」
果物や野菜ばかり食べてきたこの世界の人間は甘みには強いのだが、塩味や苦み、辛味には弱い一面がある。
とはいっても一般的なそれなら十分においしく食べてくれるのだが、スープなんかだと塩味が強いとのみ切るのはつらくなるらしい。
だから、うどんの汁も結構薄味にしてある。
まあ、塩気が足りなくなるのは俺だけだし、料理が広まってくれば自然と濃い味にも慣れていくだろう。
「このフォークで食べればいいんですか?」
「ああ、慣れないだろうけど頑張ってくれ」
「皆さんはフォークでなくその棒で食べるのですか?」
「はい、これはお箸と言ってマサトさんはこっちのほうが慣れているらしいので」
「俺のいたところではフォークやナイフよりも箸のほうが普及してたからな。まあ、味は変わらないから好きなように食べてくれ」
二人にフォークでの食べ方を見せようかとも思ったのだが、隣のテーブルでライアンさんたちがフォークで食べてるから大丈夫だろう。
ライアンさんたちがフォークでうどんを食べられるのはシェリルバイト領にいた時にパスタなんかを出していたからだ。
その時は俺もフォークで食べていたから見ながら学んだ形だな。
「そういえば、マサト君はパスタの時にはフォークを使っていたのにうどんの時は箸なんだな」
「ああ、パスタは丸い形に麺を打つので箸だと食べにくいんですよ。うどんは平型になるので」
まあ、うどんは箸圏の食べ物でパスタはフォーク圏の食べ物ってだけなような気もするが。
多分、前の世界ではパスタを箸で食べる人もうどんをフォークで食べる人もいただろうし。
だから、さっきの返答は適当な答えだ。
「「おいしいっ」」
そうだろうそうだろう。
うどんはコシが命、他のものならミーナに劣っていても体重がモノを言ううどん作りなら俺のほうがまだうまい。
それに肉うどんの肉部分はこの世界の住人用に甘辛く、というよりも甘めの味付けにしてあるので普通のステーキなんかよりもこの世界の住人にはうまく感じるだろう。
フライラットの肉も臭み抜きや柔らかくする処理をしてあるから、いつも食べているデビルボアの肉よりもおいしく感じるだろうしな。
「マサトさん、フライラットのお肉ってこれで最後ですよね? デビルボアのお肉をこんな風にすることってできるんですか?」
ミーナの言う通りフライラットの肉の在庫はこれで最後だ。
村以外ではフライラットを見たことがないし、これから手に入るかどうかはわからない。
まあ、デビルボアの肉も細かめに切って食堂の調味料を駆使すれば同じくらいには柔らかくなるだろう。
「今度、デビルボアの肉でもやってみるかな。まあ、冷蔵庫がないと肉の漬け込みは難しいから食堂限定になるだろうけど」
この世界……というかシェリルバイト領の気候は四季を通じて温暖で、夏でも二十六度くらい、冬でも二十度くらいとほとんど服装を変えなくても過ごせるくらい快適だった。
まあ、そのおかげで魔法の恩恵にあずからないと食料の保存が難しいのだが。
だから、肉は熟成なんて考えずにその場で食べることがほとんどだ。
今まで食料の保存を考えたことのない地域だったせいか、地下室とか氷室なんてものは存在しないから、というか氷自体、ミーナたちは愚か貴族のイーリスでさえ食堂で初めて見たらしい。
「食堂だけでもやろうよ、僕このお肉好きだよ」
「そうだな、牛丼は無理でも豚丼を作るのはいいかもな」
まあ、豚丼というか猪丼なんだけど……まあ、似たようなものだろう。
「そういえば、ライアンさん。ランドールさんが王城に呼ばれたらしいですけど、王都での食材の確保はできるようになるってことですよね?」
「ああ、我々が直接狩りに行くことは流石に難しいが、騎士団や兵士に食材の買い取りの交渉には行けるようになるだろう」
よしよし、これで最悪でも爆弾米の仕入れは可能になるだろう。
あとは王都周辺の獣で何がとれるかだな。
鳥型の獣がいるって話だったから、鶏肉と卵が定期的に仕入れられたら爆弾米と合わせて親子丼とかを作るか。
あとは鶏肉でメンチカツとかハンバーグでも作るかな、黒麦はシェリルバイト領から送られてきているみたいだし。
「爆弾米は多めにお願いしますね。あと、肉類も仕入れてもらえれば食事に幅が出ますし」
「まあ、最初は取れる限りの種類を仕入れてマサト君に食べられるかどうか確認してもらう流れになると思うけどね」
そりゃあそうだ、シェリルバイト領でも最初は俺が食材鑑定して食用可能かどうか確認していたしな。
俺の個人的な欲望を言うなら、牛型の獣がとれればいいな。
まあ、爆弾米があれば個人的には肉と野菜があればなんとかなるしいいか。
王都周辺でも魚がとれるような水場はないみたいだから魚介系は期待できないしな。
「メイド見習いをしているルッカです」
予定通り、昼前には手伝い予定の二人が来てくれた。
二人とも俺と同じくらいの年齢で、何度か料理を習いに来てくれていた。
「これからよろしくな。とりあえず俺たちがどんな料理を作っているかを知ってもらいたいから一緒に食べてもらっていいか?」
二人の前にもあらかじめ作っておいた肉うどんを出す。
まあ、二人には昼に食べるという習慣がないから俺たちのよりは小盛にしてある。
もちろん、ライアンさんたちの分は大盛だ。
この人たちはおいしいものなら何でも遠慮なく食うからな。
「これはスープですか?」
「うどんと呼ばれる料理だ。パンにも使っていた小麦粉を練って作った麺を食べる料理だな。味付けは薄めにしてあるからスープまで飲めるぞ」
果物や野菜ばかり食べてきたこの世界の人間は甘みには強いのだが、塩味や苦み、辛味には弱い一面がある。
とはいっても一般的なそれなら十分においしく食べてくれるのだが、スープなんかだと塩味が強いとのみ切るのはつらくなるらしい。
だから、うどんの汁も結構薄味にしてある。
まあ、塩気が足りなくなるのは俺だけだし、料理が広まってくれば自然と濃い味にも慣れていくだろう。
「このフォークで食べればいいんですか?」
「ああ、慣れないだろうけど頑張ってくれ」
「皆さんはフォークでなくその棒で食べるのですか?」
「はい、これはお箸と言ってマサトさんはこっちのほうが慣れているらしいので」
「俺のいたところではフォークやナイフよりも箸のほうが普及してたからな。まあ、味は変わらないから好きなように食べてくれ」
二人にフォークでの食べ方を見せようかとも思ったのだが、隣のテーブルでライアンさんたちがフォークで食べてるから大丈夫だろう。
ライアンさんたちがフォークでうどんを食べられるのはシェリルバイト領にいた時にパスタなんかを出していたからだ。
その時は俺もフォークで食べていたから見ながら学んだ形だな。
「そういえば、マサト君はパスタの時にはフォークを使っていたのにうどんの時は箸なんだな」
「ああ、パスタは丸い形に麺を打つので箸だと食べにくいんですよ。うどんは平型になるので」
まあ、うどんは箸圏の食べ物でパスタはフォーク圏の食べ物ってだけなような気もするが。
多分、前の世界ではパスタを箸で食べる人もうどんをフォークで食べる人もいただろうし。
だから、さっきの返答は適当な答えだ。
「「おいしいっ」」
そうだろうそうだろう。
うどんはコシが命、他のものならミーナに劣っていても体重がモノを言ううどん作りなら俺のほうがまだうまい。
それに肉うどんの肉部分はこの世界の住人用に甘辛く、というよりも甘めの味付けにしてあるので普通のステーキなんかよりもこの世界の住人にはうまく感じるだろう。
フライラットの肉も臭み抜きや柔らかくする処理をしてあるから、いつも食べているデビルボアの肉よりもおいしく感じるだろうしな。
「マサトさん、フライラットのお肉ってこれで最後ですよね? デビルボアのお肉をこんな風にすることってできるんですか?」
ミーナの言う通りフライラットの肉の在庫はこれで最後だ。
村以外ではフライラットを見たことがないし、これから手に入るかどうかはわからない。
まあ、デビルボアの肉も細かめに切って食堂の調味料を駆使すれば同じくらいには柔らかくなるだろう。
「今度、デビルボアの肉でもやってみるかな。まあ、冷蔵庫がないと肉の漬け込みは難しいから食堂限定になるだろうけど」
この世界……というかシェリルバイト領の気候は四季を通じて温暖で、夏でも二十六度くらい、冬でも二十度くらいとほとんど服装を変えなくても過ごせるくらい快適だった。
まあ、そのおかげで魔法の恩恵にあずからないと食料の保存が難しいのだが。
だから、肉は熟成なんて考えずにその場で食べることがほとんどだ。
今まで食料の保存を考えたことのない地域だったせいか、地下室とか氷室なんてものは存在しないから、というか氷自体、ミーナたちは愚か貴族のイーリスでさえ食堂で初めて見たらしい。
「食堂だけでもやろうよ、僕このお肉好きだよ」
「そうだな、牛丼は無理でも豚丼を作るのはいいかもな」
まあ、豚丼というか猪丼なんだけど……まあ、似たようなものだろう。
「そういえば、ライアンさん。ランドールさんが王城に呼ばれたらしいですけど、王都での食材の確保はできるようになるってことですよね?」
「ああ、我々が直接狩りに行くことは流石に難しいが、騎士団や兵士に食材の買い取りの交渉には行けるようになるだろう」
よしよし、これで最悪でも爆弾米の仕入れは可能になるだろう。
あとは王都周辺の獣で何がとれるかだな。
鳥型の獣がいるって話だったから、鶏肉と卵が定期的に仕入れられたら爆弾米と合わせて親子丼とかを作るか。
あとは鶏肉でメンチカツとかハンバーグでも作るかな、黒麦はシェリルバイト領から送られてきているみたいだし。
「爆弾米は多めにお願いしますね。あと、肉類も仕入れてもらえれば食事に幅が出ますし」
「まあ、最初は取れる限りの種類を仕入れてマサト君に食べられるかどうか確認してもらう流れになると思うけどね」
そりゃあそうだ、シェリルバイト領でも最初は俺が食材鑑定して食用可能かどうか確認していたしな。
俺の個人的な欲望を言うなら、牛型の獣がとれればいいな。
まあ、爆弾米があれば個人的には肉と野菜があればなんとかなるしいいか。
王都周辺でも魚がとれるような水場はないみたいだから魚介系は期待できないしな。
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