料理を作って異世界改革

3章 王都

09 食堂作成

　いろいろ準備しているうちにあっという間に食堂の開店準備が進んでいく。
　レイジはライアンさんたちと一緒に食材の確保に専念してくれたことで食堂内の肉の備蓄も増えてきたし。
　ミーナがいろいろ教えたことでエリックとルッカは王都で手に入る食材に関するレシピは作れるようになってきている。
　テーブルクロスやクッションの準備もできているし、あとは実際に食堂を建てて準備を進めるだけだ。

「ランドール様から食堂の作成をお願いされましたが、マサト君の準備は大丈夫ですか？」

　ライアンさんがランドールさんからの伝言を伝えに来てくれた。

「ええ、準備自体は終わっていますけど食堂を作成しても大丈夫になったんですか？」

「はい、ですので早速食堂を作ってもらおうかと」

　まあ、ランドールさんの方で準備ができたというのなら作成するのはいいのだが、この前の話し合いの時に食道を作ったら燻製肉を作る話をしてたからそれ目当てで食堂を早めに作るように言ってきたわけじゃないよな。
　別に俺もソーセージやベーコンは楽しみにしているからいいんだけど、作るのに早くても数日はかかるんだけどな。

「じゃあ、食堂を作る場所まで案内してもらっていいですか？」

「ええ、ええもちろんですよ」

　というわけで、ライアンさんの案内でタウンハウスから外に出ることになる。
　レイジはライアンさんたちと狩りに行っているのでタウンハウスの外に出たことはあるのだが、俺とミーナは王都についた時以来の外だ。
　幸いにも俺もミーナも忙しくしてたし、体を動かさないとストレスが溜まるというようなタイプではないから問題はなかったが、それでも外に出られるのはうれしいものだ。

　王都の貴族街は区画ごとに国内の貴族に割り振られていて、区画の割り当てはおおよそ国内の地図に適合しているらしい。
　よって、シェリルバイト領の区画の傍にはシェリルバイト領の近くの領の領主たちがタウンハウスを構えている。
　王都内では貴族の移動自体は制限がないものの、交流のない貴族同士や敵対派閥の貴族の区画に入るのはマナー違反とされている。
　まあ、要するにシェリルバイト領の区画に建てる食堂にはシェリルバイト領の近くのいわゆる同盟貴族は来ることはあっても敵対的な貴族はこないという話らしい。

　これは本当に助かる話だ。
　レイジやミーナはもちろんのこと、俺自身も貴族に対する態度や処世術なんかはわからないから、貴族が喧嘩を売ってきた場合には応じてしまう可能性が高い。
　神様の加護があるから殺されるようなことはないだろうけど、そんなことになったらこの国で料理技術を広めることはできなくなるだろう。

「食堂の場所はここにするとランドール様から伺ってますよ。タウンハウスのすぐそばですし、領内で一番の商店も向かいにありますから材料がなくなった時も安心でしょう」

　ライアンさんの言う通りタウンハウスは目と鼻の先と言えるような距離で歩いても五分とかからないだろう。
　目の前にはシェリルバイト領でも野菜や果物を仕入れるのに使わせてもらっていた商店の支店があるようで、これも食堂を運営するのには便利な点だろう。
　この商店は食料品がメインの商店らしいから、食堂に使うような備品は違う商店に頼むことになるらしいが食堂の運営を始めたらお世話になるだろう。

「この大きさなら食堂の展開には問題なさそうですね」

　シェリルバイト領で借りていた土地ほどではないけれど、ライアンさんに教えられて土地は食堂の作成に十分以上の広さがある。
　この広さならレベル４の食堂も作成できるし、ライアンさんたちが楽しみにしているベーコンやソーセージも作れるだろう。