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3章 王都
10 それぞれの好み
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食堂を作成してから一週間ほどが経った。
テーブルクロスやクッションなどの小物はそろったが、食堂の開店はまだ先になるらしい。
シェリルバイト領の派閥貴族を誘うにも、食事を誘うというのは今までのこの世界の常識ではないことなので慎重に事を運びたいらしい。
まあ、こっちとしてもベーコンの完成にはまだ時間がかかるから開店が先なのは助かる。
ソーセージは完成したのだが、ベーコンは液漬け、塩抜き、乾燥、燻製と工程が多いうえにそれぞれに日単位で時間がかかるから完成はまだまだ先なのだ。
ちなみにソーセージを使ったホットドッグやナポリタンをライアンさんやランドールさんたちに出した結果、シェリルバイト領でも燻製施設の建設を検討されている。
この世界は建築技術自体は結構なレベルだから、時間さえかければ形にはなるだろうけどチップ用の木の選定や液に使う調味料の作成など食堂で作ったのと同じレベルのものは難しいことは伝えてある。
肉の質さえよければ塩と燻製だけでも美味いベーコンやソーセージは作成可能だろうけれど、獣を家畜として買う余裕のないこの世界では質の良い肉を作り出すのは相当難しいだろう。
「いや、しかしホットドッグ。あれはいいですなあ……」
「私としてはナポリタンがいいと思うのですが、ソースの酸味とソーセージの肉肉しさが合わさって……」
「いやいや、茹でたソーセージをキラーバードの卵を使った目玉焼きとともにパンでいただく。素材の味が楽しめるこの食べ方が……」
今日はライアンさんがレイジと一緒に肉の調達に行っているから、残りの三人がソーセージの食べ方について議論している。
俺としてはどの調理法でも美味しく頂けるのだが、やはりこだわりは人それぞれで出るようだ。
「やはり皆さんとしては野菜よりも肉のほうがいい感じですか?」
「ふーむ、悩むがパンがあれば何でもおいしく頂けるのが実情ですかな」
ホットドッグが一番おいしいと言っていた騎士は、パン好きらしい。
そういえば米料理の時よりもパンに合う料理の時のほうがおかわりしていたような気がする。
「私としてはやはり肉も野菜もまんべんなく食べたいですね。そのためには一皿にすべてがのる麺料理がよいと思うのですよ」
ナポリタン推しの騎士はバランスよく食べたい派らしい。
そういえばかつ丼などを作った時にも緑菜のサラダを一緒に頼んでいたような気がする。
「肉も好きだが卵が一番いい。素朴でありながら調味料次第で化けるし、麺でもパンでもコメでも美味しく頂けるのが素敵だ」
ソーセージに目玉焼き派の騎士は肉よりも卵のほうがいいらしい。
まあ、キラーバードの卵はかなりおいしいから納得できる。
「皆さん食事が好きになってきていいですね」
「好きにもなるとも。今まではなぜあのような食事で満足していられたのか不思議なくらいだ」
「調合師の方には悪いですが、マサト殿の料理を食べてしまったらポーション頼りの食事には戻れないですよ」
「怪我をしたときは仕方がないですが、もう空腹時にポーションを飲むことはなくなりましたね。多分シェリルバイト領の人間のほとんどがそうなんじゃないですかね」
なるほどなるほど、俺が料理を広めてきた成果は着実に出てきているらしい。
そういえば食料が増えてきたことで、なんとなくステータスと食料の関連性も見えてきた。
今までは肉類が力、芋類が素早さ、野菜や果物が器用、クルミが運をあげることがわかっていた。
それに加えて、爆弾米や黒麦などの穀物類も素早さ、紫トマトやラージキャロット、紫菜が知力を上げることが分かった。
これらを総合して考えると肉や卵は力、穀物と芋は素早さ、淡色野菜や果物は器用、緑黄色野菜は知力、油脂類は運をあげるのだろう。
ということは逆説的に考えると残りの頑健さを上げるのは乳製品ということになるのだろう。
これなら俺がこれまで会ってきたこの世界の人間がすべて同じように頑健さが上がっていた理由もわかる。
おそらく乳児期に母乳を飲んでいた時期だけ頑健さが上がり、それ以降は乳製品をとる機会がなく頑健さが上がらないのだろう。
ということは、当面の目標は乳製品の安定供給ということになるのだが、レイジはもちろんライアンさんやランドールさんに聞いても牛や山羊の獣や魔獣は見たことがないらしい。
栄養素としてはカルシウムになるから乳製品でなくても小魚なんかでも問題はないのだろうが、王国には魚がまともにとれる水場がないらしいし結構詰んでる。
まあ、仮説にすぎないからもしかしたら全然関係ない食品をとって頑健さが上がる可能性もあるが、当面は乳製品探しがメインになるだろうな。
ステータス関連を無視してもチーズや牛乳があればレシピの幅も広がるし……。
「じゃあ、今日はパンにも合って野菜と一緒に食べられるソーセージ料理を作りましょうかね。スープになるのでメインはキラーバードの卵を使ったオムレツにしましょう」
ということでミーナに手伝ってもらってポトフを作ることにする。
正直、王国は年中温かいからポトフが美味しい国ではない気もするが、この世界の人間は硬いものよりも柔らかいもののほうが好きだから野菜たっぷりのポトフは気に入るだろう。
テーブルクロスやクッションなどの小物はそろったが、食堂の開店はまだ先になるらしい。
シェリルバイト領の派閥貴族を誘うにも、食事を誘うというのは今までのこの世界の常識ではないことなので慎重に事を運びたいらしい。
まあ、こっちとしてもベーコンの完成にはまだ時間がかかるから開店が先なのは助かる。
ソーセージは完成したのだが、ベーコンは液漬け、塩抜き、乾燥、燻製と工程が多いうえにそれぞれに日単位で時間がかかるから完成はまだまだ先なのだ。
ちなみにソーセージを使ったホットドッグやナポリタンをライアンさんやランドールさんたちに出した結果、シェリルバイト領でも燻製施設の建設を検討されている。
この世界は建築技術自体は結構なレベルだから、時間さえかければ形にはなるだろうけどチップ用の木の選定や液に使う調味料の作成など食堂で作ったのと同じレベルのものは難しいことは伝えてある。
肉の質さえよければ塩と燻製だけでも美味いベーコンやソーセージは作成可能だろうけれど、獣を家畜として買う余裕のないこの世界では質の良い肉を作り出すのは相当難しいだろう。
「いや、しかしホットドッグ。あれはいいですなあ……」
「私としてはナポリタンがいいと思うのですが、ソースの酸味とソーセージの肉肉しさが合わさって……」
「いやいや、茹でたソーセージをキラーバードの卵を使った目玉焼きとともにパンでいただく。素材の味が楽しめるこの食べ方が……」
今日はライアンさんがレイジと一緒に肉の調達に行っているから、残りの三人がソーセージの食べ方について議論している。
俺としてはどの調理法でも美味しく頂けるのだが、やはりこだわりは人それぞれで出るようだ。
「やはり皆さんとしては野菜よりも肉のほうがいい感じですか?」
「ふーむ、悩むがパンがあれば何でもおいしく頂けるのが実情ですかな」
ホットドッグが一番おいしいと言っていた騎士は、パン好きらしい。
そういえば米料理の時よりもパンに合う料理の時のほうがおかわりしていたような気がする。
「私としてはやはり肉も野菜もまんべんなく食べたいですね。そのためには一皿にすべてがのる麺料理がよいと思うのですよ」
ナポリタン推しの騎士はバランスよく食べたい派らしい。
そういえばかつ丼などを作った時にも緑菜のサラダを一緒に頼んでいたような気がする。
「肉も好きだが卵が一番いい。素朴でありながら調味料次第で化けるし、麺でもパンでもコメでも美味しく頂けるのが素敵だ」
ソーセージに目玉焼き派の騎士は肉よりも卵のほうがいいらしい。
まあ、キラーバードの卵はかなりおいしいから納得できる。
「皆さん食事が好きになってきていいですね」
「好きにもなるとも。今まではなぜあのような食事で満足していられたのか不思議なくらいだ」
「調合師の方には悪いですが、マサト殿の料理を食べてしまったらポーション頼りの食事には戻れないですよ」
「怪我をしたときは仕方がないですが、もう空腹時にポーションを飲むことはなくなりましたね。多分シェリルバイト領の人間のほとんどがそうなんじゃないですかね」
なるほどなるほど、俺が料理を広めてきた成果は着実に出てきているらしい。
そういえば食料が増えてきたことで、なんとなくステータスと食料の関連性も見えてきた。
今までは肉類が力、芋類が素早さ、野菜や果物が器用、クルミが運をあげることがわかっていた。
それに加えて、爆弾米や黒麦などの穀物類も素早さ、紫トマトやラージキャロット、紫菜が知力を上げることが分かった。
これらを総合して考えると肉や卵は力、穀物と芋は素早さ、淡色野菜や果物は器用、緑黄色野菜は知力、油脂類は運をあげるのだろう。
ということは逆説的に考えると残りの頑健さを上げるのは乳製品ということになるのだろう。
これなら俺がこれまで会ってきたこの世界の人間がすべて同じように頑健さが上がっていた理由もわかる。
おそらく乳児期に母乳を飲んでいた時期だけ頑健さが上がり、それ以降は乳製品をとる機会がなく頑健さが上がらないのだろう。
ということは、当面の目標は乳製品の安定供給ということになるのだが、レイジはもちろんライアンさんやランドールさんに聞いても牛や山羊の獣や魔獣は見たことがないらしい。
栄養素としてはカルシウムになるから乳製品でなくても小魚なんかでも問題はないのだろうが、王国には魚がまともにとれる水場がないらしいし結構詰んでる。
まあ、仮説にすぎないからもしかしたら全然関係ない食品をとって頑健さが上がる可能性もあるが、当面は乳製品探しがメインになるだろうな。
ステータス関連を無視してもチーズや牛乳があればレシピの幅も広がるし……。
「じゃあ、今日はパンにも合って野菜と一緒に食べられるソーセージ料理を作りましょうかね。スープになるのでメインはキラーバードの卵を使ったオムレツにしましょう」
ということでミーナに手伝ってもらってポトフを作ることにする。
正直、王国は年中温かいからポトフが美味しい国ではない気もするが、この世界の人間は硬いものよりも柔らかいもののほうが好きだから野菜たっぷりのポトフは気に入るだろう。
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