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3章 王都
16 謁見場
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「シェリルバイト子爵、並びにシェリルバイト領の客人、陛下の命に従い参上いたしました」
「うむ、ご苦労。面を上げることを許そう」
正直に言えば、俺は国王に対してかしこまる必要もないのだが、無駄に喧嘩を売るのも得策ではないので一応、ランドールさんを真似して膝をついて首を垂れておいた。
レイジやミーナも貴族に対しての礼儀なんて知らないが、とりあえず俺たちの真似をしていたみたいだ。
「ふむ、そちらが巷で噂の料理を作るという客人か。どうだ、王城にて料理をふるまってはくれないか?」
「陛下、こちらの客人は料理の技術を伝えるための旅をしているのです。無理を言ってはいけません」
「子爵、我は客人に聞いているのだ。直答を許すゆえに返答を」
正直、ランドールさんの断りの文句で退いてくれたらそれでよかったのだがどうやら、俺自身が答えないといけないらしい。
「私は神様から料理の技術を広めるという使命を与えられています。この国には十分以上に料理の技術を広めましたのでお暇しなければなりません」
どうだろう、貴族やお偉いさんに対する話し方としては、若干無礼な気もするが、記憶もなければこういった知識もない俺ではこの辺が限界だ。
いやいや、無理無理……みたいな返答にならなかっただけ頑張った方だと思う。
「ふむ、広めたという割には我の元には料理は届けられていないが……、褒美なら望むものを用意するぞ」
「陛下、私が陛下に料理について奏上した際には一蹴したではないですか。それを今になって聞いていないというのは権力者としては少々横暴かと」
どうも、ランドールさんは爵位を継ぐために登城したときに俺のことについても報告していたらしい。
とはいえ、その時は宰相から真偽不明の情報で身元も確かではない人間を城には呼べないと一蹴されたらしい。
国王自身が断ったわけではないが、宰相の判断に従った以上、あとから聞いていないというのは傲慢が過ぎるというものだ。
「……ふむ、まあそれもそうか。子爵、シェリルバイト領では料理の技術があるらしいな。城や王都にその技術の導入を頼んでもよいか?」
「一度、領に戻り精鋭を選抜してその任を全うしましょう」
まあ、この辺は規定事項というか、ランドールさんの読み通りだ。
国王は権力者ゆえの傲慢さはあるものの、偏屈でも我儘でもないから無理は言わない。
だが、最新技術が王城や王都にないのは周辺国や、国内に対して隙を見せることになるから導入しなければならない。
だから、俺に断られたらランドールさんに頼るだろう、と。
「子爵、出しゃばりが過ぎるのではないか? その客人とやら陛下に対してあまりにも無礼だ。我が国に世話になっておきながら恩を返すこともないのか?」
国王の右手側から現れた神経質そうな男が声を荒げる。
俺はあったことはないが、国王との距離感からこの男が宰相なんだろう。
「宰相閣下、客人はこの国に対して貢献はしても世話にはなっていません」
「何を言うか、この国の重要物資であるポーションを受け取っているのだろう? だったら我が国の国民と同義だ」
「そういうわけにはまいりません。客人はこの国に訪れてから一度としてポーションを受け取っていないのですから」
「なっ!」
ランドールさんの言葉に謁見場内の人間がざわつく。
まあ、この世界ではポーションなしでは貴族でさえまともに生きていけないのだから、ポーションを受け取っていないなんてありえないことなんだろう。
「戯言をっ! もういい、近衛兵よ、このペテン師を痛めつけてやれっ!」
「宰相! 我の許しなしに兵を動かすなっ!」
宰相の言葉に従って数名の兵が俺たちを囲む。
謁見場には数十名の近衛兵が控えていたが、宰相の言葉に従うのは数名だけのようだ。
「一応言っておく、俺は神様から加護を受けている。攻撃を加えれば痛い目を見るのはそちらだぞ」
正直、頭に血が上っている人間がこんな言動を受け入れるとは思えないが、謁見場には宰相だけではなく貴族もそこそこいるから宣言だけはしておく。
「戯言だっ! 聞く必要はないっ!」
「宰相っ、やめよっ!」
じりじりと兵が距離を詰めてくる。
ランドールさんにとばっちりがいっても困るので、兵が囲みやすいように俺が孤立するように少し立ち位置を変える。
「やれっ!」
前に出た二人が俺に向かって槍を突き出してくる。
仕方がないことだが、俺の言動は信じられなかったらしい。
まあ、王の言葉にも従わないのだからよくわからない、この国の人間もない人物の言葉など信じはしないだろう。
「「ぐわぁぁっ!」」
俺の四肢に対して槍を突き出した二人は、神様の加護により突き出した部位と同じ個所に大穴が空く結果になった。
とはいえ、そこまでの威力で突き出してはいなかったようでホーンラビットや俺に対して殺意を持って攻撃してきたシェリルバイト領の騎士のように即死することはなかった。
「な、なにがっ! くっ、面妖な術を使いおって!」
「兵よっ! 宰相が乱心だっ! 拘束せよっ!」
ようやく国王が動いてくれた。
まあ、国王としては俺に対して強硬手段に出てもいいのか宰相を使って判断したのだろう。
国王が指示したわけではないから、うまくいったら、ラッキーくらいの感覚だったんだろうな。
「うむ、ご苦労。面を上げることを許そう」
正直に言えば、俺は国王に対してかしこまる必要もないのだが、無駄に喧嘩を売るのも得策ではないので一応、ランドールさんを真似して膝をついて首を垂れておいた。
レイジやミーナも貴族に対しての礼儀なんて知らないが、とりあえず俺たちの真似をしていたみたいだ。
「ふむ、そちらが巷で噂の料理を作るという客人か。どうだ、王城にて料理をふるまってはくれないか?」
「陛下、こちらの客人は料理の技術を伝えるための旅をしているのです。無理を言ってはいけません」
「子爵、我は客人に聞いているのだ。直答を許すゆえに返答を」
正直、ランドールさんの断りの文句で退いてくれたらそれでよかったのだがどうやら、俺自身が答えないといけないらしい。
「私は神様から料理の技術を広めるという使命を与えられています。この国には十分以上に料理の技術を広めましたのでお暇しなければなりません」
どうだろう、貴族やお偉いさんに対する話し方としては、若干無礼な気もするが、記憶もなければこういった知識もない俺ではこの辺が限界だ。
いやいや、無理無理……みたいな返答にならなかっただけ頑張った方だと思う。
「ふむ、広めたという割には我の元には料理は届けられていないが……、褒美なら望むものを用意するぞ」
「陛下、私が陛下に料理について奏上した際には一蹴したではないですか。それを今になって聞いていないというのは権力者としては少々横暴かと」
どうも、ランドールさんは爵位を継ぐために登城したときに俺のことについても報告していたらしい。
とはいえ、その時は宰相から真偽不明の情報で身元も確かではない人間を城には呼べないと一蹴されたらしい。
国王自身が断ったわけではないが、宰相の判断に従った以上、あとから聞いていないというのは傲慢が過ぎるというものだ。
「……ふむ、まあそれもそうか。子爵、シェリルバイト領では料理の技術があるらしいな。城や王都にその技術の導入を頼んでもよいか?」
「一度、領に戻り精鋭を選抜してその任を全うしましょう」
まあ、この辺は規定事項というか、ランドールさんの読み通りだ。
国王は権力者ゆえの傲慢さはあるものの、偏屈でも我儘でもないから無理は言わない。
だが、最新技術が王城や王都にないのは周辺国や、国内に対して隙を見せることになるから導入しなければならない。
だから、俺に断られたらランドールさんに頼るだろう、と。
「子爵、出しゃばりが過ぎるのではないか? その客人とやら陛下に対してあまりにも無礼だ。我が国に世話になっておきながら恩を返すこともないのか?」
国王の右手側から現れた神経質そうな男が声を荒げる。
俺はあったことはないが、国王との距離感からこの男が宰相なんだろう。
「宰相閣下、客人はこの国に対して貢献はしても世話にはなっていません」
「何を言うか、この国の重要物資であるポーションを受け取っているのだろう? だったら我が国の国民と同義だ」
「そういうわけにはまいりません。客人はこの国に訪れてから一度としてポーションを受け取っていないのですから」
「なっ!」
ランドールさんの言葉に謁見場内の人間がざわつく。
まあ、この世界ではポーションなしでは貴族でさえまともに生きていけないのだから、ポーションを受け取っていないなんてありえないことなんだろう。
「戯言をっ! もういい、近衛兵よ、このペテン師を痛めつけてやれっ!」
「宰相! 我の許しなしに兵を動かすなっ!」
宰相の言葉に従って数名の兵が俺たちを囲む。
謁見場には数十名の近衛兵が控えていたが、宰相の言葉に従うのは数名だけのようだ。
「一応言っておく、俺は神様から加護を受けている。攻撃を加えれば痛い目を見るのはそちらだぞ」
正直、頭に血が上っている人間がこんな言動を受け入れるとは思えないが、謁見場には宰相だけではなく貴族もそこそこいるから宣言だけはしておく。
「戯言だっ! 聞く必要はないっ!」
「宰相っ、やめよっ!」
じりじりと兵が距離を詰めてくる。
ランドールさんにとばっちりがいっても困るので、兵が囲みやすいように俺が孤立するように少し立ち位置を変える。
「やれっ!」
前に出た二人が俺に向かって槍を突き出してくる。
仕方がないことだが、俺の言動は信じられなかったらしい。
まあ、王の言葉にも従わないのだからよくわからない、この国の人間もない人物の言葉など信じはしないだろう。
「「ぐわぁぁっ!」」
俺の四肢に対して槍を突き出した二人は、神様の加護により突き出した部位と同じ個所に大穴が空く結果になった。
とはいえ、そこまでの威力で突き出してはいなかったようでホーンラビットや俺に対して殺意を持って攻撃してきたシェリルバイト領の騎士のように即死することはなかった。
「な、なにがっ! くっ、面妖な術を使いおって!」
「兵よっ! 宰相が乱心だっ! 拘束せよっ!」
ようやく国王が動いてくれた。
まあ、国王としては俺に対して強硬手段に出てもいいのか宰相を使って判断したのだろう。
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