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4章 聖王国
14 異教徒
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「ここに異教徒がいることは分かっているんだっ!」
リリーからブラックカウを引き取ってから数日、ミルクを使った料理を教えたりシチューに必要な材料を畑に植えたり世話の仕方を教えたりしていたのだが……。
王国でも似たようなことがあったような……なんだろうな、俺はこういう揉め事というか面倒くさい物事に巻き込まれる運命なのか?
「俺のことだろう?」
叫び散らしていたのは神経質そうな細身の男……だが、本当に偉そうなのはその傍ででっぷりとした腹をさすっている男だろう。
二人の男の周りには武装した集団……とはいえ、王国で騎士団を見てきた以上大したことはないが……六人程度のおそらく戦闘系の天職持ちがいる。
軽く鑑定してみた結果は、王国の子供にすら劣るステータス……聖王国では王国以上にポーションへの依存度が高いからこの結果は分かり切っていたことだ。
こっちに戦闘系の天職持ちが居なかったらヤバかったかもしれないが、レイジが居ればこの程度のステータスなら百人いても問題ないレベルだろう。
「貴様かっ! 貴様のことは王国の貴族より報告をもらっている! この国に混乱をもたらす異教の神を信仰する異教徒だとなっ!」
王国って言うと王様か……? いや、取り込もうとはしていたが流石に一国の王があれだけ騎士団? を痛めつけられてそれでも敵対するってことあるか?
国内にとどまっているなら意地になってけん制なりしてきそうだが、他国に出た以上敵対するメリットが薄すぎるだろう。
となると、あの時喧嘩を売ってきた貴族関連か? 確か、ランドールさんが王都に入り浸っている貴族は聖王国とつながっている貴族が多くて腐敗しているとか言っていたしな。
「俺は俺の信ずる神を信じているだけだ。自分たちの信仰と違っているからと言って異教徒と蔑むのはいささか狭量じゃないか?」
「調べは付いているのだぞ! 貴様は料理なるもので人心を惑わし、我らが女神への信仰心を妨げている! そのような行いをしているものを異教徒と呼ばずに何と呼ぶ!」
「……料理? いやいや、腹を空かせている人に食事を振舞うことの何が罪なんだ?」
「女神への信仰心を妨げたことが罪なのだっ!」
おいおい、スゲーこと言い出したぞ。
確かに見たこともない女神とやらよりも俺をここに送り出してくれた神様の方を信仰しているが、それと料理は関係ないだろ。
いや、神様からの依頼だから関係はあるがそれはほとんど知られていないはず……リリーが話した?
いやいや、王国では俺が神様からの依頼で料理を広めていると話しているからその方面で話が流れたのか。
「別にあんたらはあんたらで女神とやらを勝手に信仰していればいいだろ? 俺は自分のやりたいようにこの国に料理を広げるだけだ。別にあんたたちが信仰している女神とやらを貶める意図はない」
「ふざけるなっ! 調べは付いていると言っているだろう! 貴様が通ってきた村では女神さまを信仰する村人が激減しているのだ!」
いやいや、リリーから聞いた話ではもともとこの国の村では創造神の信仰が盛んで女神への信仰はないんだろ?
いや……あー、そうか。
「食事で栄養が得られるようになったからポーションが不要になったんだな。だから巡礼者へこびへつらう必要がなくなった」
「こびへつらうとはなんだっ! 女神さまが我々に下賜されたポーションを大切にするのはこの世の常識だっ!」
生活に必要不可欠だったポーションで仮初の信仰心を植え付けていたのが、俺が広めた料理でうまくいかなくなった。
ランドールさんやジョシュアさんも王国にいた時に言っていたな……貴族の中にはポーションで平民を馬車馬のごとく使役するような輩がいるって。
つまりは聖王国の上層部もそれと同じ考え……信仰をたがえる民にはポーションの供給を止めると脅していたってことか。
「……もうよい。……言ってもわからぬのなら無理やり首都に連れていけばいいだけのことよ」
後ろに控えていたでっぷりとした男が苦しそうな声で話してきた。
リリーからブラックカウを引き取ってから数日、ミルクを使った料理を教えたりシチューに必要な材料を畑に植えたり世話の仕方を教えたりしていたのだが……。
王国でも似たようなことがあったような……なんだろうな、俺はこういう揉め事というか面倒くさい物事に巻き込まれる運命なのか?
「俺のことだろう?」
叫び散らしていたのは神経質そうな細身の男……だが、本当に偉そうなのはその傍ででっぷりとした腹をさすっている男だろう。
二人の男の周りには武装した集団……とはいえ、王国で騎士団を見てきた以上大したことはないが……六人程度のおそらく戦闘系の天職持ちがいる。
軽く鑑定してみた結果は、王国の子供にすら劣るステータス……聖王国では王国以上にポーションへの依存度が高いからこの結果は分かり切っていたことだ。
こっちに戦闘系の天職持ちが居なかったらヤバかったかもしれないが、レイジが居ればこの程度のステータスなら百人いても問題ないレベルだろう。
「貴様かっ! 貴様のことは王国の貴族より報告をもらっている! この国に混乱をもたらす異教の神を信仰する異教徒だとなっ!」
王国って言うと王様か……? いや、取り込もうとはしていたが流石に一国の王があれだけ騎士団? を痛めつけられてそれでも敵対するってことあるか?
国内にとどまっているなら意地になってけん制なりしてきそうだが、他国に出た以上敵対するメリットが薄すぎるだろう。
となると、あの時喧嘩を売ってきた貴族関連か? 確か、ランドールさんが王都に入り浸っている貴族は聖王国とつながっている貴族が多くて腐敗しているとか言っていたしな。
「俺は俺の信ずる神を信じているだけだ。自分たちの信仰と違っているからと言って異教徒と蔑むのはいささか狭量じゃないか?」
「調べは付いているのだぞ! 貴様は料理なるもので人心を惑わし、我らが女神への信仰心を妨げている! そのような行いをしているものを異教徒と呼ばずに何と呼ぶ!」
「……料理? いやいや、腹を空かせている人に食事を振舞うことの何が罪なんだ?」
「女神への信仰心を妨げたことが罪なのだっ!」
おいおい、スゲーこと言い出したぞ。
確かに見たこともない女神とやらよりも俺をここに送り出してくれた神様の方を信仰しているが、それと料理は関係ないだろ。
いや、神様からの依頼だから関係はあるがそれはほとんど知られていないはず……リリーが話した?
いやいや、王国では俺が神様からの依頼で料理を広めていると話しているからその方面で話が流れたのか。
「別にあんたらはあんたらで女神とやらを勝手に信仰していればいいだろ? 俺は自分のやりたいようにこの国に料理を広げるだけだ。別にあんたたちが信仰している女神とやらを貶める意図はない」
「ふざけるなっ! 調べは付いていると言っているだろう! 貴様が通ってきた村では女神さまを信仰する村人が激減しているのだ!」
いやいや、リリーから聞いた話ではもともとこの国の村では創造神の信仰が盛んで女神への信仰はないんだろ?
いや……あー、そうか。
「食事で栄養が得られるようになったからポーションが不要になったんだな。だから巡礼者へこびへつらう必要がなくなった」
「こびへつらうとはなんだっ! 女神さまが我々に下賜されたポーションを大切にするのはこの世の常識だっ!」
生活に必要不可欠だったポーションで仮初の信仰心を植え付けていたのが、俺が広めた料理でうまくいかなくなった。
ランドールさんやジョシュアさんも王国にいた時に言っていたな……貴族の中にはポーションで平民を馬車馬のごとく使役するような輩がいるって。
つまりは聖王国の上層部もそれと同じ考え……信仰をたがえる民にはポーションの供給を止めると脅していたってことか。
「……もうよい。……言ってもわからぬのなら無理やり首都に連れていけばいいだけのことよ」
後ろに控えていたでっぷりとした男が苦しそうな声で話してきた。
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