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5章 帝国
11 一喝
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……婿?
「これだけの技術を持っているのにフラフラしているのなんていけないわ」
「……えーと、私はこの技術を各国に広めるのが使命ですので」
「帝国にずっといて広めればいいじゃない? 国の外で危ない目に遭うことはないわ」
えーと、これは多分親切心とかで言ってるわけじゃないな。
こういう取り込もうという動きがありそうだから、王国では王家に近寄らなかったわけなんだけど……。
「おい、サルーシャ、誰に断ってシーニャの婿を決めてるんだ?」
リヒトから待ったがかかる。
「で、ですが」
「ここにいる全員に宣言しておく、マサトは俺が招いた客だ。どういう内容であれ、俺を通さずに国への勧誘をするようなら国家反逆罪に適応させるぞ」
「「「「「…………はい」」」」」
心当たりがありそうだった幾人かが返事をし、すでに食事を終えていたメンバーや食事が終わりそうだったメンバーは気まずそうに退室していく。
残ったのはリヒト、皇子が三人に妃が一人、それにミレーヌだけだな。
「……マサト、悪かったな。……勝手に勧誘するようなバカが一人くらいは出るかもしれんとは思っていたが、まさか本当にやりだすとは」
「改めて宣言しておきますが、私は料理の技術を広めるために旅を続けなければならないので、この国に腰を据えるつもりはありませんよ」
「ああ、それでいい。……当然、この国に居続けてほしいとは思うがマサトとの関係を悪くしてまで命じるものじゃないからな……あと、ここにいるメンツは少しはまともだから言葉遣いを崩していいぞ」
「……そうなのか?」
「ああ、王妃と上から三人の皇子はこの国の運営にかかわっているからな。マサトの重要性も国に取り込むリスクも把握している」
ミレーヌは飛ばされたが、まあ、ミレーヌはリヒトと軽くやり取りしているのを食堂で見てるからな。
「王妃はこの国出身、第一皇子は王妃との子供だ。第二皇子は内政、第三皇子は帝国兵として国に関わっているからな」
「他の妃は保護した他国の出身ってことか?」
「そういうことだな。マサトを取り込むことで自国の国力を増したいんだろうさ」
俺一人ごときで国力が上がるとは思えないが、料理が先に広まれば戦闘力だけは上がるか。
「一応、聞いておくがマサト、お前は結婚するつもりはあるか?」
「ないよ。料理の技術を広めるのが先っていうのもあるが、そういう気持ちになることがないんでね」
「じゃあ、あとは金や食材で釣ってくる奴がいるかもしれんが、食材のほうは俺が帝国兵を動員して探すからそれ以上に貴重なもんは出てこねーだろ。……マサトの方でも貴重な食材を見せられても付いていくんじゃねーぞ」
「わかってるわかってる。欲しい食材があったらリヒトに相談するよ」
王族から貴族へのトップダウンができてた王国や、そもそも権力が信仰という形で表現されていた聖王国とは違って多数の国の集合体である帝国はこういうところが面倒なんだろうな。
「おめーらからもなんか言っとくことあるか?」
「マサト様、ウィリアム殿から聞いていたのだが豚カツや唐揚げという肉料理があるとか……それを是非作ってほしい」
言い出したのは一番上の皇子、リヒトに紹介された第一皇子だが残りの皇子も力強く頷いている。
「マサト様、アイリーン様が好まれたケーキという食べ物があるとか」
こっちは王妃様だな、アイリーン様っていうのはシェリルバイト家、ジョシュアさんの奥さんの名前だ。
ということは、こっちもウィリアムさん経由の情報かな。
「皆様、王国でお出しした料理が気になっているのかと。本日は満腹でしょうからまた折を見てお出ししますね」
「……わりいな、マサト。こいつらはウィリアムが来た時に一緒にいたからよ」
「肉系の料理は魔獣や獣を確認しているから、材料があれば作れるよ。ケーキは同じのも作れるし、聖王国でミルクも手に入っているから違う種類のも作れるかな」
王国では牛乳が手に入らなかったから、パウンドケーキくらいしか作れなかったんだよな。
今はミルクもあれば生クリームもあるから、簡単なケーキくらいなら作れるだろう。
「……悪い。料理人の天職持ちも早めに探すから、そいつらにも料理を教えてやってくれ」
俺の言葉に歓声を上げる四人を見つつ、リヒトがそう答える。
皇帝っていうのも大変なんだな。
「それは助かる。……ああ、調理器具も発展させないと作れない料理が多いから、鍛冶師の天職持ちも多めに見つけてもらえると助かるよ」
「ああ、そっちも手配しておかねーとな」
「これだけの技術を持っているのにフラフラしているのなんていけないわ」
「……えーと、私はこの技術を各国に広めるのが使命ですので」
「帝国にずっといて広めればいいじゃない? 国の外で危ない目に遭うことはないわ」
えーと、これは多分親切心とかで言ってるわけじゃないな。
こういう取り込もうという動きがありそうだから、王国では王家に近寄らなかったわけなんだけど……。
「おい、サルーシャ、誰に断ってシーニャの婿を決めてるんだ?」
リヒトから待ったがかかる。
「で、ですが」
「ここにいる全員に宣言しておく、マサトは俺が招いた客だ。どういう内容であれ、俺を通さずに国への勧誘をするようなら国家反逆罪に適応させるぞ」
「「「「「…………はい」」」」」
心当たりがありそうだった幾人かが返事をし、すでに食事を終えていたメンバーや食事が終わりそうだったメンバーは気まずそうに退室していく。
残ったのはリヒト、皇子が三人に妃が一人、それにミレーヌだけだな。
「……マサト、悪かったな。……勝手に勧誘するようなバカが一人くらいは出るかもしれんとは思っていたが、まさか本当にやりだすとは」
「改めて宣言しておきますが、私は料理の技術を広めるために旅を続けなければならないので、この国に腰を据えるつもりはありませんよ」
「ああ、それでいい。……当然、この国に居続けてほしいとは思うがマサトとの関係を悪くしてまで命じるものじゃないからな……あと、ここにいるメンツは少しはまともだから言葉遣いを崩していいぞ」
「……そうなのか?」
「ああ、王妃と上から三人の皇子はこの国の運営にかかわっているからな。マサトの重要性も国に取り込むリスクも把握している」
ミレーヌは飛ばされたが、まあ、ミレーヌはリヒトと軽くやり取りしているのを食堂で見てるからな。
「王妃はこの国出身、第一皇子は王妃との子供だ。第二皇子は内政、第三皇子は帝国兵として国に関わっているからな」
「他の妃は保護した他国の出身ってことか?」
「そういうことだな。マサトを取り込むことで自国の国力を増したいんだろうさ」
俺一人ごときで国力が上がるとは思えないが、料理が先に広まれば戦闘力だけは上がるか。
「一応、聞いておくがマサト、お前は結婚するつもりはあるか?」
「ないよ。料理の技術を広めるのが先っていうのもあるが、そういう気持ちになることがないんでね」
「じゃあ、あとは金や食材で釣ってくる奴がいるかもしれんが、食材のほうは俺が帝国兵を動員して探すからそれ以上に貴重なもんは出てこねーだろ。……マサトの方でも貴重な食材を見せられても付いていくんじゃねーぞ」
「わかってるわかってる。欲しい食材があったらリヒトに相談するよ」
王族から貴族へのトップダウンができてた王国や、そもそも権力が信仰という形で表現されていた聖王国とは違って多数の国の集合体である帝国はこういうところが面倒なんだろうな。
「おめーらからもなんか言っとくことあるか?」
「マサト様、ウィリアム殿から聞いていたのだが豚カツや唐揚げという肉料理があるとか……それを是非作ってほしい」
言い出したのは一番上の皇子、リヒトに紹介された第一皇子だが残りの皇子も力強く頷いている。
「マサト様、アイリーン様が好まれたケーキという食べ物があるとか」
こっちは王妃様だな、アイリーン様っていうのはシェリルバイト家、ジョシュアさんの奥さんの名前だ。
ということは、こっちもウィリアムさん経由の情報かな。
「皆様、王国でお出しした料理が気になっているのかと。本日は満腹でしょうからまた折を見てお出ししますね」
「……わりいな、マサト。こいつらはウィリアムが来た時に一緒にいたからよ」
「肉系の料理は魔獣や獣を確認しているから、材料があれば作れるよ。ケーキは同じのも作れるし、聖王国でミルクも手に入っているから違う種類のも作れるかな」
王国では牛乳が手に入らなかったから、パウンドケーキくらいしか作れなかったんだよな。
今はミルクもあれば生クリームもあるから、簡単なケーキくらいなら作れるだろう。
「……悪い。料理人の天職持ちも早めに探すから、そいつらにも料理を教えてやってくれ」
俺の言葉に歓声を上げる四人を見つつ、リヒトがそう答える。
皇帝っていうのも大変なんだな。
「それは助かる。……ああ、調理器具も発展させないと作れない料理が多いから、鍛冶師の天職持ちも多めに見つけてもらえると助かるよ」
「ああ、そっちも手配しておかねーとな」
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