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5章 帝国
12 マカロニ
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「陛下はマサト様を取り込むことに反対するとは思いませんでした」
「あ? サルーシャのことか?」
「そうです」
「そりゃあ、取り込めるもんなら取り込むのがいいに決まってるだろ」
「では?」
「だが、マサトは王国で国王の勧誘を断って旅を続けたような人間だぞ。そんな簡単に取り込めるんなら苦労はしねーわな」
「……ええと、リヒトもミレーヌもさ、本人がいる前でそんなこと話し合う?」
ピザを振舞った翌日の昼、料理の下ごしらえをしていた食堂にふらりとリヒトがやってきてからミレーヌとリヒトの二人が昨日の出来事について語り合い始めた。
俺を取り込むだのどうだと話し合ってるが、俺を取り込んだところで大した恩恵はないと思うがなぁ。
「ここが一番安全なんだ。話し合うならここしかねーだろ」
「リヒトの執務室とかで話し合いなよ」
「皇帝陛下の執務室に第八皇女のわたくしが足を運べるわけないじゃないですか」
「別に父親の執務室に娘が来ちゃいけねーなんて法律は帝国にはねーぞ」
「そういうことじゃありません」
あー、いろいろ考えるとリヒトとしては子供は可愛がりたいけど、皇帝としての立場としても判断しなきゃいけないから、ミレーヌはそれに不信感を抱いてるって感じかな。
どっちの立場もわかるけど、それをここで発散されてもなぁ。
「ところで、マサト。今は何を作ってんだ?」
「ああ、これ? マカロニだよ。グラタンでも作ろうかなって思って」
そう、今はパスタマシーンを使ってマカロニを作ってる最中だ。
チーズやらミルクやらが手に入ったから満を持してグラタンを作りたくなってね。
一応、帝国の料理人たちにはパスタマシーンを使わない手作りのマカロニづくりをしてもらってるけど、やっぱり機械を使うと使わないじゃ手間が段違いだな。
「昨日のピザとやらとは違う料理なのか?」
「チーズは違うが全くの別物だな。今作ってるマカロニと呼ばれるパスタをミルクを使ったホワイトクリームで煮込んで、チーズをのせてオーブンで焼く料理だ」
「ピザじゃダメなのか?」
「ダメってことはないけど、ピザはパン生地を作るのに時間がかかるからさ。その点、マカロニは作るのに時間がかからないし、乾燥させておけば保存も効くからさ」
「ほー」
「それに、ピザは熱いうちに食べるのなら問題ないけど、冷めるとチーズが固まりやすいからね。グラタンはホワイトクリームが熱をため込むからこっちの方が帝国には合ってるんじゃないか?」
帝国は王国はもちろん、聖王国と比べても寒い国だから、冷めやすくて冷めると固くなるピザよりはグラタンのほうが合ってるだろう。
マカロニも小麦粉と卵が手に入れば簡単に作れるしな。
「ふーん、俺の分も用意してるんだよな?」
「昨日と同じ人数分のマカロニはもう作ってあるよ。今作ってるのは兵士の人たちの分とか保存用だよ」
「んで、ミレーヌは何してるんだ?」
「チーズ作りをしてもらってるんだよ。天職持ちのミレーヌのほうが上手くできるだろうし」
「わたくしは味噌や醤油を作ってみたいのですけど……」
「発酵に必要な米の備蓄も少ないし、何より原料の大豆が見つかっていないからなぁ。とりあえずはチーズとかパンに必要な酵母を作ってくれると嬉しいな」
米と小麦はレイジに頼んで、増産しているけど、大豆はそもそも手に入れてないからなぁ。
「わかっていますわ」
「あとリヒト、食堂で保管している作物の種を渡すからどこかに畑を作って増やしてくれるか?」
「帝城内で作るのは無理だが、帝都の近くなら可能だな。あとで、農業担当を食堂に寄越すわ」
「頼むよ」
ミレーヌとか兵士に聞く限りじゃ、緑菜とか斑芋、紫トマトなんかは帝国内でも手に入るみたいだけど、白根、黒麦、爆弾米は見たことがないらしいからな。
まあ、この辺の作物は料理しないと生じゃ食べられないから意識の外にあっただけで現物は帝国内に自生している可能性もあるけどな。
とりあえず、実の娘との会話を楽しんだリヒトが食堂から出ていったからパスタの増産に励むかな。
「あ? サルーシャのことか?」
「そうです」
「そりゃあ、取り込めるもんなら取り込むのがいいに決まってるだろ」
「では?」
「だが、マサトは王国で国王の勧誘を断って旅を続けたような人間だぞ。そんな簡単に取り込めるんなら苦労はしねーわな」
「……ええと、リヒトもミレーヌもさ、本人がいる前でそんなこと話し合う?」
ピザを振舞った翌日の昼、料理の下ごしらえをしていた食堂にふらりとリヒトがやってきてからミレーヌとリヒトの二人が昨日の出来事について語り合い始めた。
俺を取り込むだのどうだと話し合ってるが、俺を取り込んだところで大した恩恵はないと思うがなぁ。
「ここが一番安全なんだ。話し合うならここしかねーだろ」
「リヒトの執務室とかで話し合いなよ」
「皇帝陛下の執務室に第八皇女のわたくしが足を運べるわけないじゃないですか」
「別に父親の執務室に娘が来ちゃいけねーなんて法律は帝国にはねーぞ」
「そういうことじゃありません」
あー、いろいろ考えるとリヒトとしては子供は可愛がりたいけど、皇帝としての立場としても判断しなきゃいけないから、ミレーヌはそれに不信感を抱いてるって感じかな。
どっちの立場もわかるけど、それをここで発散されてもなぁ。
「ところで、マサト。今は何を作ってんだ?」
「ああ、これ? マカロニだよ。グラタンでも作ろうかなって思って」
そう、今はパスタマシーンを使ってマカロニを作ってる最中だ。
チーズやらミルクやらが手に入ったから満を持してグラタンを作りたくなってね。
一応、帝国の料理人たちにはパスタマシーンを使わない手作りのマカロニづくりをしてもらってるけど、やっぱり機械を使うと使わないじゃ手間が段違いだな。
「昨日のピザとやらとは違う料理なのか?」
「チーズは違うが全くの別物だな。今作ってるマカロニと呼ばれるパスタをミルクを使ったホワイトクリームで煮込んで、チーズをのせてオーブンで焼く料理だ」
「ピザじゃダメなのか?」
「ダメってことはないけど、ピザはパン生地を作るのに時間がかかるからさ。その点、マカロニは作るのに時間がかからないし、乾燥させておけば保存も効くからさ」
「ほー」
「それに、ピザは熱いうちに食べるのなら問題ないけど、冷めるとチーズが固まりやすいからね。グラタンはホワイトクリームが熱をため込むからこっちの方が帝国には合ってるんじゃないか?」
帝国は王国はもちろん、聖王国と比べても寒い国だから、冷めやすくて冷めると固くなるピザよりはグラタンのほうが合ってるだろう。
マカロニも小麦粉と卵が手に入れば簡単に作れるしな。
「ふーん、俺の分も用意してるんだよな?」
「昨日と同じ人数分のマカロニはもう作ってあるよ。今作ってるのは兵士の人たちの分とか保存用だよ」
「んで、ミレーヌは何してるんだ?」
「チーズ作りをしてもらってるんだよ。天職持ちのミレーヌのほうが上手くできるだろうし」
「わたくしは味噌や醤油を作ってみたいのですけど……」
「発酵に必要な米の備蓄も少ないし、何より原料の大豆が見つかっていないからなぁ。とりあえずはチーズとかパンに必要な酵母を作ってくれると嬉しいな」
米と小麦はレイジに頼んで、増産しているけど、大豆はそもそも手に入れてないからなぁ。
「わかっていますわ」
「あとリヒト、食堂で保管している作物の種を渡すからどこかに畑を作って増やしてくれるか?」
「帝城内で作るのは無理だが、帝都の近くなら可能だな。あとで、農業担当を食堂に寄越すわ」
「頼むよ」
ミレーヌとか兵士に聞く限りじゃ、緑菜とか斑芋、紫トマトなんかは帝国内でも手に入るみたいだけど、白根、黒麦、爆弾米は見たことがないらしいからな。
まあ、この辺の作物は料理しないと生じゃ食べられないから意識の外にあっただけで現物は帝国内に自生している可能性もあるけどな。
とりあえず、実の娘との会話を楽しんだリヒトが食堂から出ていったからパスタの増産に励むかな。
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