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終章 迷宮都市
09 集合
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「あー見つけました! やっと会えましたね! お師匠様!」
レイジが三人組の冒険者とパーティーを組んで数日、冒険者はもとより、騎士や軍人も迷宮産の食材を持ってきてくれているので、食堂のメニューにカレー味の料理が常設されるようになった。
当然そうなれば、作ってみたいのがカレーで、今日はカレーを作ろうと朝からせっせと食材を切ったりスパイスを調合したりしていたら、食堂内に突然叫び声が響いた。
「イーリスさん!?」
「あ、ミーナも! 久しぶり!」
「イーリス?」
食堂の入り口にいた女性は、確かにイーリスの面影はあるが、流石に五年もあっていない人間の顔なんてわからないぞ?
「お師匠様が迷宮都市にいるって聞いて来ちゃいました」
「……来ちゃいましたって」
「というか、そのお師匠様って呼び方はやめてくれ」
「でもでも、王国では料理人は全員、お師匠様って呼んでますよ?」
「マジで勘弁してくれ」
イーリスは王国の子爵家のお嬢様……今はシェリルバイト家は伯爵家に陞爵したって話だったから、伯爵家のお嬢様か。
レイジとミーナに出会った村から出て、初めて訪れた場所でお世話になった人たちの中で、料理人の天職という当時は何に使えるのかわからない天職のせいで苦労していたんだよな。
「おー……ホントだー。……ここにいたんだねー、お兄さん」
イーリスの相手をしていたら、食堂にまた女性が現れた……って、この呼び方は。
「……リリーか?」
「そうだよー……聖王国もきな臭くなってきたから迷宮都市に来たんだー」
聖王国で別れた酪農家の少女、リリーが食堂に入ってきた。
年齢的には俺よりも年上のはずなんだが、リリーは俺のことをお兄さんと呼ぶんだよな。
「先生! 今度こそ先生が認める醤油と味噌が出来ました!」
と、思っていたら、その直後に食堂に入ってきたのは帝国で別れたばかりの皇女、ミレーヌだ。
「ミレーヌ、リヒトの許可はちゃんと得てここまで来たんだろうな?」
「当然ですわ。いくらわたくしでも護衛もなしに迷宮都市には来られませんもの」
なんというかこれまでの旅で出会ってきた料理人が勢ぞろいって感じになってきたな。
「マサトさん、なんか全員集合って感じですね」
「そうだな。まあ、その割にはウィリアムさんとかリヒトとかはいないけど」
「お師匠様、ウィリアムならお父様たちと一緒に来ていますよ」
「先生、皇帝陛下……もう返上したからお父様ですね。こちらも一緒に来ていますよ」
「はあ? おいおい、そんな気軽に来て良い身分じゃないだろ」
ウィリアムさんは王国の伯爵量の騎士団長、イーリスの父親は爵位を譲ったとはいえ王国の子爵を務めていたジョシュアさんだな。
それに、帝国の皇帝のリヒト……いや、ミレーヌのいうことを信じれば元皇帝か。
「王国に居ても利用しようとしてくる人や、邪魔に思う人が多すぎてうっとうしいからお師匠様がいるなら迷宮都市に来た方が楽しそうだと……」
「お父様……リヒトも帝位はお兄様に譲ったからこれからは自由にすると言って、お義母様……元正妃様と一緒にこちらに来ましたわ」
はー、なんだか迷宮都市も賑やかになりそうだな。
「お師匠様、王国の占領地にパン焼き工房を作るそうで、私はそちらの指揮をしますからこれからはより一層美味しいパンを提供しますね」
「お兄さんー……こっちもブラックカウたちを連れてきてるからー……ミルクでもチーズでも生クリームでも提供するよー」
「先生、麹も安定して生産できるようになりましたので、醤油も味噌も完璧に用意しますわ」
「っていうか、こんなに一斉にやってきて国許は平気なのか?」
「王国には料理人の天職持ちが大量にいますので私一人が抜けた程度では問題ありませんよ?」
「聖王国はー……結構きな臭くなってきたから……避難?」
「わたくし以外の発酵職人がいましたので、帝国のほうはそちらに任せてきましたわ」
あー、まあ準備万端なら俺が口を出すのも変か……リリーに至ってはおそらく俺が女神を信仰していたやつらと揉めたのが原因っぽいしな。
まあ、なんにせよ。
「マサトさんのやってきたことが実ってきたみたいで嬉しいですね」
そうなんだよな、これまで旅をしてきていろんな場所で料理を広めてきたのが実ってきたみたいで、なんというか、嬉しいんだよな。
まあ、恥ずかしいから面と向かって口にはしないけどな。
「ミーナ、これからは忙しくなりそうだぞ」
「はい!」
レイジが三人組の冒険者とパーティーを組んで数日、冒険者はもとより、騎士や軍人も迷宮産の食材を持ってきてくれているので、食堂のメニューにカレー味の料理が常設されるようになった。
当然そうなれば、作ってみたいのがカレーで、今日はカレーを作ろうと朝からせっせと食材を切ったりスパイスを調合したりしていたら、食堂内に突然叫び声が響いた。
「イーリスさん!?」
「あ、ミーナも! 久しぶり!」
「イーリス?」
食堂の入り口にいた女性は、確かにイーリスの面影はあるが、流石に五年もあっていない人間の顔なんてわからないぞ?
「お師匠様が迷宮都市にいるって聞いて来ちゃいました」
「……来ちゃいましたって」
「というか、そのお師匠様って呼び方はやめてくれ」
「でもでも、王国では料理人は全員、お師匠様って呼んでますよ?」
「マジで勘弁してくれ」
イーリスは王国の子爵家のお嬢様……今はシェリルバイト家は伯爵家に陞爵したって話だったから、伯爵家のお嬢様か。
レイジとミーナに出会った村から出て、初めて訪れた場所でお世話になった人たちの中で、料理人の天職という当時は何に使えるのかわからない天職のせいで苦労していたんだよな。
「おー……ホントだー。……ここにいたんだねー、お兄さん」
イーリスの相手をしていたら、食堂にまた女性が現れた……って、この呼び方は。
「……リリーか?」
「そうだよー……聖王国もきな臭くなってきたから迷宮都市に来たんだー」
聖王国で別れた酪農家の少女、リリーが食堂に入ってきた。
年齢的には俺よりも年上のはずなんだが、リリーは俺のことをお兄さんと呼ぶんだよな。
「先生! 今度こそ先生が認める醤油と味噌が出来ました!」
と、思っていたら、その直後に食堂に入ってきたのは帝国で別れたばかりの皇女、ミレーヌだ。
「ミレーヌ、リヒトの許可はちゃんと得てここまで来たんだろうな?」
「当然ですわ。いくらわたくしでも護衛もなしに迷宮都市には来られませんもの」
なんというかこれまでの旅で出会ってきた料理人が勢ぞろいって感じになってきたな。
「マサトさん、なんか全員集合って感じですね」
「そうだな。まあ、その割にはウィリアムさんとかリヒトとかはいないけど」
「お師匠様、ウィリアムならお父様たちと一緒に来ていますよ」
「先生、皇帝陛下……もう返上したからお父様ですね。こちらも一緒に来ていますよ」
「はあ? おいおい、そんな気軽に来て良い身分じゃないだろ」
ウィリアムさんは王国の伯爵量の騎士団長、イーリスの父親は爵位を譲ったとはいえ王国の子爵を務めていたジョシュアさんだな。
それに、帝国の皇帝のリヒト……いや、ミレーヌのいうことを信じれば元皇帝か。
「王国に居ても利用しようとしてくる人や、邪魔に思う人が多すぎてうっとうしいからお師匠様がいるなら迷宮都市に来た方が楽しそうだと……」
「お父様……リヒトも帝位はお兄様に譲ったからこれからは自由にすると言って、お義母様……元正妃様と一緒にこちらに来ましたわ」
はー、なんだか迷宮都市も賑やかになりそうだな。
「お師匠様、王国の占領地にパン焼き工房を作るそうで、私はそちらの指揮をしますからこれからはより一層美味しいパンを提供しますね」
「お兄さんー……こっちもブラックカウたちを連れてきてるからー……ミルクでもチーズでも生クリームでも提供するよー」
「先生、麹も安定して生産できるようになりましたので、醤油も味噌も完璧に用意しますわ」
「っていうか、こんなに一斉にやってきて国許は平気なのか?」
「王国には料理人の天職持ちが大量にいますので私一人が抜けた程度では問題ありませんよ?」
「聖王国はー……結構きな臭くなってきたから……避難?」
「わたくし以外の発酵職人がいましたので、帝国のほうはそちらに任せてきましたわ」
あー、まあ準備万端なら俺が口を出すのも変か……リリーに至ってはおそらく俺が女神を信仰していたやつらと揉めたのが原因っぽいしな。
まあ、なんにせよ。
「マサトさんのやってきたことが実ってきたみたいで嬉しいですね」
そうなんだよな、これまで旅をしてきていろんな場所で料理を広めてきたのが実ってきたみたいで、なんというか、嬉しいんだよな。
まあ、恥ずかしいから面と向かって口にはしないけどな。
「ミーナ、これからは忙しくなりそうだぞ」
「はい!」
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